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オオカミ人間をテーマにしたホラー映画も数多く存在する。そして、そのジャンル内で更に枝分かれもしている。中世が舞台の作品や現代劇、中年が体の変異に苦しむボディホラーとしての側面を強調したものもあれば、簡単にオオカミ化を受け入れて暴れまわる話もある。一口にオオカミ人間といっても非常に奥深い世界が広がっているのだ。この度、U-NEXTに私が長年ずっと観たかったオオカミ人間ホラー『ジンジャー スナップス』が追加されたので、このタイミングで『ジンジャー スナップス』を含めたいくつかのおすすめオオカミ人間ホラーを紹介していきたい。
「五分前までは人間だった!」というキャッチコピーをご存じの方は多いと思う。今もなお、オオカミ人間ホラーの代表作として君臨する名作である。
ある夜、猟奇殺人犯に電話で呼び出された女性が、おぞましい姿に変貌した犯人に襲われる。ショックのあまりその出来事の記憶を失った彼女は、とある療養所に向かうのだが……。
改めて見ると、実はオオカミ人間の出番はかなり少ない。それでも脳内にそのビジュアルがハッキリと残るのは、終盤に出てくる最大の見せ場、人間からオオカミへ変異する過程をじっくりと見せつける映像が多大なインパクトを放っているからだ。
『遊星からの物体X』や『ザ・グリード』を始め、ミラクルな特殊造形をいくつも生み出してきた天才メイクアップアーティスト、ロブ・ボッティンが手掛けた凄まじい肉体の変異は、今観ても全く色あせない。額が隆起し、頬の筋肉が細かく震え、指は伸び、口が前にゆっくりと飛び出す。これらを省略することなく丁寧に余すことなく見せる。一体何をどうやってこれを撮影したのだろうか。当時の観客からしたら相当な衝撃だったに違いない。キャッチコピーが観た人たちの心の叫びに思えてくる。
特殊メイクを駆使した見せ場だけでなく、そこに至るまでのサスペンス劇も非常に良く出来ている。なんたって監督がジョー・ダンテですから。そりゃ面白いに決まってます。あの晩に何があったのか。そのフラッシュバックに悩まされつつ、更には療養所も何かを隠しているのではという疑念。外界から隔絶された環境で次第に追い詰められる様がスリリングで、オオカミ人間がいない合間でも巧みに引き込んでくる。特定の箇所だけが優れているのではなく、万遍なく面白い。これが今でも語り継がれる所以だろう。
この手のジャンルではオオカミに変異するのは男性が圧倒的に多いが、本作は珍しく女性が変身してしまう作品である。「自殺は究極の“くたばれ”だ!」と謳い、無残な死にざまを偽装したスナップ写真を撮るという、かなり変わった嗜好を持つ姉ジンジャーと妹ブリジットのフィッツジェラルド姉妹が主人公。2人は固い絆で結ばれており、他人を拒絶し常に一緒に行動していた。そんなある日、近隣で飼い犬が連続死する事件が発生。やがて姉のジンジャーが巨大な四足歩行の生き物に襲われてから、彼女の体に恐ろしい変化が現れる。
女性の身体の変化にオオカミ人間への変異を重ねたストーリーがユニークだ。人外への肉体の変化によってジンジャーは苦しみ続ける。その孤独感は相当なものだろう。あれだけ仲の良かった妹につらく当たり、野生動物のように男に貪りつく。そのあと、本当に食い殺してしまう。まるで人が変わったかのような姉の振る舞いに傷つくブリジットの姿もまた辛い。
この作品は、オオカミ人間そのものの恐怖よりも、成長と肉体の変化に苦悩する姉妹の暗黒青春ドラマが肝である。尺の大半を使って描かれる2人の距離の変化が繊細に描かれており、感情を揺さぶられる。次第に自身でも衝動をコントロールできなくなったジンジャーと対峙するクライマックスが悲壮的。そのうえでモンスターパニックとしてのダイナミズムもしっかりと描き切り、見事に青春オオカミホラーのジャンルを確立させた。
ちなみに、本作はその後2作の続編も作られており、ここ日本には『ウルフマン』と『ウルフマン・リターンズ』というタイトルでリリースされた。ここで注意していただきたいのが、リターンズがジンジャー・スナップス2で、ウルフマンがジンジャー・スナップス3ということ。ウルフマンはいわゆるエピソード0的な内容だからこうなってしまったのかもしれないが、ややこしすぎるって!!
洞窟ホラー『ディセント』で世のホラーファンから絶大な信頼を得たイギリスのクリエイター、ニール・マーシャルのデビュー作である。
山奥で演習を行っていたイギリスの兵士たちが突如何かに襲われる。その正体はオオカミ人間だった!!ということで、今回の対戦カードは軍人という強者たちとオオカミ人間。そのため、ホラーよりもバトルアクションの趣が強い内容となっている。
この映画、とにかく無駄がなく勢いがいい。デビュー作だからだろうが、いい意味で荒々しい。オオカミ人間を手掛けたのは、サメキメラ人間が出てくるホラー『プロテウス』の特殊造形などで知られるボブ・キーン。これが滅茶苦茶カッコいい!そして強い!!重装備した兵士が相手でも全くお構いなしで殺戮を繰り広げる。途中から家屋が舞台となり、籠城戦に突入。屋外から屋内への切り替えも、物語に変化を生んで飽きさせない要因となっている。舞台が限定されてもその勢いは衰えることなく、最後の最後まで見せ場の応酬で話が進む。終盤に至っては、軍人側も「やられっぱなしじゃ納得できねえ!!!」と大奮起。1人が完全に覚悟を決めて、オオカミ人間に自分の身一つでステゴロで戦いを挑むブチ切れまくったクライマックスへと突入する。あまりの面白さにガッツポーズ連発だ。
本作は長らくDVD止まりだったが、近年になってホラーマニアックス企画にてめでたくBlu-ray化。映像が鮮明になったおかげでより面白さが増した。そんな本作は、製作国のイギリスではなんと4K UHDにもなっているようだ。今、ドッグ・ソルジャー再評価の機運が高まっている。ちなみにニール・マーシャル監督の最新作『ヘル・ディセント』(なんて安直な邦題!!)は、かなり本作に近い仕上がりで、こちらもおすすめ。やっぱりこちらでも覚悟を決めた人間が化け物に拳で戦いを挑んでいます。その展開は大好きなので、もっとやってほしい!!!
本作は、ユニバーサルの元祖オオカミ男を現在の技術をもって映像化した作品だ。兄が行方不明になったとの報せを受けて故郷へと戻った男(ベニチオ・デル・トロ)。しかしそこで恐ろしい獣に襲われてしまう。その正体はオオカミ男だった。彼もまた満月の晩になるとオオカミに変身し、人を襲うようになってしまう……。
主人公自身が変身してしまうタイプの作品にありがちな、人ならざる者へと変わってしまう絶望感や悲哀などといった要素は、本作にはほとんどない。代わりにあるのは、人間離れしたスピードと戦闘能力を持つオオカミ男の破壊的な大暴れ!これにただひたすら圧倒される。
ヤツが現れ、狩猟者たちのキャンプを蹂躙する見せ場は、初見時は思わずアゴが外れそうになった。目にも止まらぬ速度で走り回り、一瞬でターゲットの命を奪う。爪で体を切り裂き、顔面の下から豪快に爪を突き立てる!残酷描写アリのハルクを見ているようだ。CGを駆使しつつも、生身のスタントも取り入れた超人的アクションに興奮必死。クライマックスには、なかなかお目にかかれないウルフマン同士のタイマンまで繰り広げられるのだからたまらない。
このジャンルの中でもトップクラスの予算規模で製作された超メジャー枠ということで、映像も非常にゴージャス。19世紀末のイギリスの街並みを圧倒的スケールで描写している。この辺りはさすがジョー・ジョンストン監督だ。加えて、ベニチオ・デル・トロを始め一級クラスの名優たちが華を添え、血しぶきが舞い、肉が飛び散る物語に説得力をもたらしている。ベニチオは何というか素でウルフマン顔になっていて凄い。おかげで変身シーンにも異様な生々しさがあった。このレベルの予算規模のモンスター映画はいまや貴重になってしまったが、またそのうち沢山作られるようになってほしい。
というわけで、今回はオオカミ人間映画を4本紹介させて頂いた。同じクリーチャーを扱いつつも、そのバリエーションは非常に幅広い。それ自身の特徴はただオオカミに変身するだけではあるが、そこにボディホラー要素を加えてみたり、肉体の変化に絡めた人間ドラマを強調したり、はたまたバトルに特化したりと、いろいろな方面にジャンルを拡大することができる。これ以外にもまだまだ名作は存在するので、是非お気に入りの1本を見つけてほしい。
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