現在は『腸はなくとも食欲はある!』を連載中のギャグ漫画家・島袋全優さんに『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のレビュー記事を書いていただきました。
初めまして、漫画家の島袋全優と申します。
普段ギャグ漫画を生業にしている私にレビュー漫画のお話をいただきまして、それが2022年に話題になった海外ドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のシーズン1だったというわけです。
2024年6月にシーズン2が配信されるということで、おさらいのような気持ちで思い出しながら描かせていただきました。
当時、私が新人の頃から昔からのお付き合いがある頭がおかしいし柄シャツが素敵と定評のある編集者Kさんから「全優ちゃん、ハウス・オブ・ザ・ドラゴンを知っているかい」という声をかけられ、私の『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』視聴が始まりました。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は、ターガリエン家を衰退させた内戦をメインとしたドラマになっており、お世継ぎをかけた女同士の戦いでドロッドロの人間模様を見て重すぎる内容で一気に見ることが中々出来ない深い作品です。
誰に感情移入が出来るのか、と言われたらここまで現実離れしていると誰にも感情移入は出来ません。それがいい。主人公のレイニラですら手段を選ばなさすぎて、共感どころか引きますからね。
誰がターガリエン式離婚(相手死亡)に共感できますか?できたらヤバいやつです。
そんなヤバいやつ、それが原作者のお気に入りキャラのデイモンなのです。
私も『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』に出てくる人間では1番デイモンが好きなのですが、あまり好きという言葉で表現したくないキャラクターです。なんか嫌、手放しに好きと言えないこの人物像……。でも好きではあるんだよ、悔しい。
他の登場人物も、まぁ大体ヤバいです。登場人物紹介があったら全員にヤバいって書けます。
あと『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の世界では煽り耐性がゼロじゃないといけません。煽られたらすぐ殺す。煽られても我慢してはいけません。殺害は最大の防御の世界なのです。そのおかげでしょうか、作中の人間同士のバトルシーンも流石の迫力があります。グロいですが。
前提で私は、とあるホラーアニメのグロ部分が見たくて配信サービスで見たらグロ規制されていて咽び泣いたことがあるほどグロも好きなので『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のグロいシーンではそれはもう喜んでおりました。とは言え、ゲースロよりエロもグロもおとなしめだったような気がします。
そしてレビュー漫画のネームを提出したら「真っ先に出た感想がグロい、というにはマイナスイメージなのでは」というご指摘を頂きました。グロがあるよ!を好意的に捉えている人間である私の認識がいけなかったのだとその時深く反省いたしました。
なので真顔で「グロいな」というのではなく、笑顔で「グロいな」ということで「グロはプラスイメージ」ということを最大限表現したらOKをいただきました。ありがとうございます。
少々グロくても、それを凌駕するアクションシーンなどの迫力。ガチで戦った時、本当に人間はこういうふうに破壊されるのではないかと思わせるようなリアリティでした。
それもさることながら、やはり見どころはドラゴンでの戦闘でしょうね。本当にかっこいい。急に語彙力がなくなりますが、ドラゴンが本当かっこいいです。触りたくなるようなあの肌感、出来ることなら乗りたいです。もっとドラゴン出して欲しい。私の中の少年の心がドラゴンを求めている。
シーズン1では出てこなかったドラゴンたちがまだまだいるので6月に始まるシーズン2ではそちらも楽しみですね。
これを読んで気になった方が『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』を観たいなと思ってくれたら嬉しい限りです。
でもゲースロより控えめとは言え、エッチなシーンもまぁまぁあるので年齢制限がR15ですが、家族で契約していた場合お茶の間での視聴は向きません。それについて考えた結果は「真夜中みんなが寝静まってから部屋を暗く観る」という方法でしたが、昔の父親が AV見る時に似たシチュエーションだなと思いました。今はみんなスマホとかタブレットを持っていますし、各々好きな時に『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』もAVも観てもらえたらなと思っております。
では、ここまで読んでくださりありがとうございました。
島袋全優でした。
エミー賞史上最多59賞受賞と前人未踏の記録を誇り、米テレビ業界の歴史を塗り替え続けたHBOの大人気TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の200年前を舞台にした新シリーズ。ジョージ・R・R・マーティンの小説『炎と血』をベースに、七王国に複数の王家が台頭する以前、絶大な権力を保持していたドラゴン使い「ターガリエン家」の物語が描かれる。
代表作:闘病ギャグエッセイ漫画『腸よ鼻よ』(GANMA!)、『蛙のおっさん』(講談社)、現在連載中『腸はなくとも食欲はある!』(e-bookjapan)
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