12月、UFCデビュー戦でいきなりフライ級タイトルマッチに挑む朝倉海選手「UFCチャンピオンになって、来年UFCを日本に持ってきたい」
12月8日(日)開催、UFC 310のセミメインイベントでUFCデビューを飾る朝倉海選手にインタビュー
2016年8月に開催された「UFCファイトナイト・ソルトレイクシティ」で、当時UFCフェザー級ランキング5位のカブ・スワンソン選手と、14位の川尻達也選手が激突。序盤は川尻選手がテイクダウンからのパウンドでポイントを取るも、徐々にスタンドでスワンソン選手が優位に立ち、フルラウンドの死闘の末に2-1のスプリット判定でスワンソン選手が勝利しました。
試合後には「残っているのは格闘技が大好きってことだけでした」という言葉を残していた川尻さん。一方、川尻戦後も勝ち負けを繰り返しつつそのファイトスタイルでファンを熱狂させ続けているスワンソン選手は、22年にUFC殿堂入り(vs.チェ・ドゥホ戦)も果たしています。現役生活の幕を閉じ、現在は解説者という形でUFCに触れている川尻さんが、40歳を迎えてなおMMA世界最高峰の舞台で戦い続けるスワンソン選手が格闘技にかけるモチベーションを、探ります。
川尻達也(以下、川尻):カブ、久しぶり!8年ぶりに会えて嬉しいです!今週末に試合が迫ったカブですが、40歳になりましたね。僕は46歳で既に引退したのですが、40歳の頃は練習するたびに小さな怪我をしてはその怪我がなかなか治らず、すぐまた新しい怪我をするという繰り返しで、コンディション作りに一番苦労しました。カブは40歳になってみて今コンディションはどうでしょうか?
カブ・スワンソン(以下スワンソン):こちらこそ嬉しいです!実は今、すごく調子が良くて。というのも、去年背中の手術をしたことがすごく功を奏しています。手術前の数年はかなり痛みに悩まされていたのが、手術で救われました。自分のトレーニングパートナーもここ何年かで一番いいって言ってくれていて。ケージでいかに本来の自分の実力を見せられるかにワクワクしてるんです。だから40歳にはなりましたけど、年齢は感じてないですね。
川尻:おお、いいですね!楽しみです。
スワンソン:ありがとうございます。
川尻:今回の対戦相手アンドレ・フィリはリーチが長くてパンチの得意なストライカーだと思いますが、いつものカブのように激闘型で激しく打ち合うのか、それとも組みを混ぜて賢く戦うのか。どういう展開になると思いますか?
スワンソン:相手の顔面を殴ってアグレッシブに行ければ、自分にとって最善の筋書きと言えますね。そして過酷な試合に持ち込みたい。だから自分としては相手に距離で優位に立たせないようにする。ただ、この5年間で自分がやってきた一番の進歩っていうのが柔術の技術の向上なんです。オレンジカウンティのグレイシーバッハ本部に来て柔術が本当にすごく上達しています。だからそれも見せられたらいいなって。まずは相手の顔を打ち抜いてノックアウトできればいいし、もし向こうがテイクダウンしようとするなら寝技で極めに行きますよ。
川尻:なるほど、やっぱり殴るんですね(笑)。でも新しいね!一本を取るカブ・スワンソン。何より勝つ姿に期待しています。
スワンソン:最高です、ありがとうございます。自分はずっと川尻さん、あなたのファンなんですよ。
川尻:アハハ、本当?ありがとうございます。僕もあなたの大ファンですから、戦えて本当に光栄でした。
スワンソン:ありがとう。試合後にお互いにお辞儀をして撮った写真は大切なお気に入りの1枚なんですよ。バックステージに来てくれて、あの写真を撮らせてもらったことはすごく光栄でとても感謝しています。
川尻:(合掌して)こういうポーズのやつですね、僕も大事に残しています。
川尻:ところで、カブは2007年から17年間、WECを経て世界最高峰のUFCという舞台でたくさんの強豪と戦い続けてきて、そして結果も残し、殿堂入りも果たしました。Instagramでいつも見ていますが、奥さまと、かわいいお子さんが3人いらっしゃいますね。それからご自身のジムも経営しています。そんなカブが現役で戦い続ける理由が知りたいです。僕はもう引退してしまったので。
スワンソン:まだ今でも完璧さを追求していますし、まだ自分が良くなっていっていると実感ていますし、自分にとって、目標というのは決してベルトを勝ち取ることにはなくて、自分がなりうる限り最高の格闘家になることであり、そのうえで、いまだもって成長し続けていると感じています。いつか衰えを感じた時には絶対すぐやめますし、その瞬間はもうじきやってくるというのも自分では分かっているんです。ただ、今のところはまだすばらしい試合ができると思っています。
川尻:なるほど。もうすでに最高の選手ではあると思いますが、より高みを目指してもっと強くなっていくカブを、僕はUFCのいち解説者として楽しみにしています。
スワンソン:ありがとうございます。詳細に話すと、自分はコーチであり選手のマネージメントもしていますが、その点で今回のキャンプは特にすばらしかったんです、自分の選手たちに期待していることを言葉で伝えるだけではなく、実際に自分の姿を通して、つまり彼らはトレーニングキャンプの中で僕が何をしているかを見ることで、やるべきことは何かを伝えることができたんです。だから今回のキャンプは彼らにとっても非常に特別なものになったはずです。自分がどう準備しているかを知ることによって、彼らはより良い準備ができるようになりますからね。
川尻:選手で、コーチで、マネージャーであり、忙しいですね。
スワンソン:はい、そして3人の子どもと妻がいるから、確かに忙しい。ただ、幸い自分は選手みんなが自分でキャンプを組み立てるように教えているから、つねに自分がつきっきりで面倒を見るというよりも、メンターのような存在なんです。幸い、彼らにちゃんと自己責任を持つっていうことを学んでもらえているからそれは非常に助かっています。
川尻:なるほど。Instagramを見ていると、お子さんたちはサッカーをやっているようだったけれど、MMAなのか、格闘技もやっているのですか?
スワンソン:ええ。子どもたちは柔術と、レスリングを少し習っています。ただプレッシャーはかけたくなくて。子どもに何かを押しつけるような父親にはなりたくないんです。いつも楽しくて、オーガニックで、無理やりではない形で格闘技と寄り添って成長していってほしいと思っています。だから子どもたちは柔術も習っているけど、サッカーもやってほしいって思うし、できるだけ多くのものやことに触れてもらって、自分で自分の道を選ばせてあげたいんです。父の背中を見て育つ、みたいのはなかなか難しいと思うから、自分らしい道に進んで、学んでいってほしいです。
川尻:もしかしたらいつかカブJr.がMMAの世界を選んでUFCのケージに上がってくる可能性もありますね?
スワンソン:まあもし自分たちがその道を選ぶのならもちろん可能性はありますよね。それなら支えになるし助けはするのですけれど、あんまり応援したくはないなあ(笑)。
川尻:うちの13歳の娘は格闘技にまったく興味がなくてテニスに夢中になっていますよ。
スワンソン:いいと思います。テニスは自分も高校の頃やってましたけど、自分の子にはできれば顔を殴られるような競技以外をやってほしいものです(笑)。
川尻:最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
スワンソン:日本には2回行った事があって、大好きで、また行きたいと思っています。ご存じのとおり友人のフアン・アーチュレッタが日本で戦っていますね、だから一緒に来るように誘われるのですが、家族がいるからそれはなかなか大変です。日本の文化も、日本の格闘技文化も大好きだから本当にまた行きたい。日本のファンの皆さんからの愛も常に感じています。だから、必ずまた来日すると約束します。今週末の試合はU-NEXTで見てくださいね。
ライブ配信:2024年6月30日(日)7:00~ライブ終了まで
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