『ハリー・ポッター』の世界をさらに深く楽しむトリビア5選
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『ハリー・ポッター』の世界をさらに深く楽しむトリビア5選

2025.01.22 18:00

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金曜ロードショーで先週より連続で放送されている『ハリー・ポッター』シリーズ。2001年に第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開されてから、早四半世紀を迎えようとしている。2011年、来週放送される第8作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2』で幕を閉じてからもその人気は継続中で、2023年にとしまえん跡地にオープンした体験型エンタテインメント施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ ハリー・ポッター」も相変わらずの人気ぶりだ。

そこで改めて、『ハリー・ポッター』シリーズのトリビア5選をご紹介。意外なシリーズの舞台裏を知ることで、ますます魔法世界の深みにハマるはず!?

ハリー・ポッター

①著書J・K・ローリング、実は壮絶な半生を送っていた?

小説『ハリー・ポッター』シリーズ第1作の出版が決まるまで、原作者のローリングは生活保護と住宅手当を受けるほど生活が困窮していたことは広く知られる。25歳までに小説を2冊書いたものの全く売れず、母親は10年の闘病生活を経て45歳の若さで死去。父親との関係も悪かったため、死に目にも会えなかった。

27歳で結婚したものの家庭内暴力を受け、長女を出産後すぐに離婚。その時、執筆途中の『~賢者の石』の原稿を元夫に人質(物質?)に奪われたという。警察を介して取り戻したものの、貧困と精神的に追い詰められて深刻なうつ病になり、自殺を考えたことも。この時の辛い経験が、ハリーが苦手とする吸魂鬼ディメンターの原型となっているという。

 ハリー・ポッターと賢者の石_本

30歳になってようやく書き上げた『~賢者の石』の原稿を12の出版社に送るも、長すぎるとの理由で受け付けてもらえず。なんとか新人による児童書籍に取り組んでいた出版社と契約し出版されたが、ハードカバーの初版はわずか500部。派手な宣伝など望めず、アメリカの出版権の入札もできなかった。だが、その後の爆発的な大ヒットとなったのは周知のとおり。数々の文学賞を受賞、多数の言語に翻訳される世界的ベストセラーとなった。

②候補にあがった監督たちは50人以上?!

映画化が決まり、ワーナー・ブラザースとの契約が完了したのは1999年末。第1作『~賢者の石』、第2作『~秘密の部屋』の監督は『グレムリン』(94)『グーニーズ』(95)などの脚本を手掛け、『ホーム・アローン』(90)『ミセス・ダウト』(94)などを監督したクリス・コロンバスに決まった。だが、それまでに興味を示した監督はサイモン・ウェスト、ブラッド・シルバーリング、ロバート・ゼメキス、ヤン・デ・ボン、ジョエル・シュマッカーなど、なんと50人にも及ぶ。

コロンバスは本を読むのが苦手だったが、娘に監督するべきだと何度も頼まれ『~賢者の石』を2日間で読み終え、2冊目『~秘密の部屋』にも夢中となり脚本化に着手。その熱意が製作陣を動かした。

監督候補にあがっていたのはスティーヴン・スピルバーグはじめ、M・ナイト・シャマラン、テリー・ギリアム、ジョナサン・デミ、マイク・ニューウェル、アラン・パーカー、ヴォルフガング・ペーターゼン、ロブ・ライナー、アイヴァン・ライトマン、ティム・ロビンス、ブラッド・シルバーリング、ピーター・ウィアー(マイク・ニューウェルは第4作『~炎のゴブレット』(05)の監督を務めた)。ローリングの第一候補はギリアムだったが、ワーナーは最終的に子役が活躍する作品の監督経験があるコロンバスを選んだ。

ちなみに監督オファーを断ったスピルバーグは、ハリー・ポッターの声をハーレイ・ジョエル・オスメントが担当するアニメ映画、またはその後のシリーズの要素も取り入れた映画を希望していたと伝えられる。また、スピルバーグはアメリカの高校を舞台にしたかったため、原作者のローリングから拒否されたという説もある。

③英国俳優でないと出演できない?こだわり抜いたキャスティング

映画化に際して、原作者のローリングは脚本などに意見を言える発言権などを持つことができ、主要キャストはイギリス人であるべきと主張した(のちにアイルランド人俳優も認めた)。そのため、『ミセス・ダウト』でコロンバス監督と組んだロビン・ウィリアムズは、ホグワーツの森番ハグリッド役を熱心に希望していたが叶わず。『Dearフレンズ』(95)などのラブコメ作品の脇役で知られるロージー・オドネルも、後にハリーと結婚するモリー・ウィーズリー役を希望していた。

また、当初ハリー役には『グッドナイト・ムーン』(98)『スウィート・ノベンバー』(01)などの名子役リーアム・エイケンが決まっていたが、イギリス人でないことが判明、翌日オファーを取り消されている。

ローリングが推薦したのは、最初にキャスティングが決まったハグリッド役のロビー・コルトレーン、変身術の教師で校長代理や副校長も務めたマクゴナガル役のマギー・スミス、スリザリンの寮監で魔法薬学、闇の魔術に対抗する防衛術の教師、『~死の秘宝』では闇に落ちたホグワーツの校長となったスネイプ役のアラン・リックマン。特にリックマンに対してローリングは、最終作まで誰にも明かさなかったスネイプのバックストーリーなど詳細な内容を伝え、特別な指示を与えた。また、スネイプ役には『猿の惑星』(01)に出演したティム・ロスも有力候補だった。

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HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights © J. K. Rowling. © 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『~賢者の石』『~秘密の部屋』でダンブルドア校長役を務めたリチャード・ハリスだが、11歳の孫娘に役を引き受けなかったら口をきかないと脅され(笑)出演。だが『~秘密の部屋』公開直前にホジキンリンパ腫で死去、本作が遺作となった。

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ちなみにダンブルドア役には当初、『戦場にかける橋』(57)『スター・ウォーズ エピソード4』のオビ=ワン・ケノービ役で知られるアレック・ギネスが演じる予定だったが撮影直前に死去。『アルカトラズからの脱出』(79)の冷徹な刑務所長役で有名なパトリック・マクグーハンにもオファーされたが健康上の理由で断っている。

④子役の3人がメインキャストを勝ち得た驚きの経緯とは?

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HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights © J. K. Rowling. © 2001 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『ハリー・ポッター』シリーズの醍醐味は、何といっても主要キャストの子役たちが最後まで演じたこと。彼らの成長も見ることができ、類稀な特別なシリーズ作品となった。特に主要キャスト3人組のハリー・ポッター、ロン・ウィズリー、ハーマイオニー・グレンジャーのキャスティングは難航を極めた。

ハリー役を演じたダニエル・ラドクリフは、コロンバス監督がダニエルのデビュー作となったTVドラマ『デビッド・コパーフィールド』を見て抜擢。キャスティング・ディレクターに推薦したが、両親が学業に集中してほしいと思っていること、注目を集めることを望んでいないからと採用を反対された。が、世界中の何人もの候補者と面談したもののダニエル以上の人材が見つからず、プロデューサーのデイヴィッド・ヘイマンと脚本家のスティーヴ・クローヴスがロンドンの舞台でダニエルと彼の両親に会い、マスコミの介入から守ると説得に成功した。

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ロン役のルパート・グリントとハーマイオニー役のエマ・ワトソンはオーディションに参加。ルパートはロン役を希望する理由を説明しながらラップする自身のビデオを送ったという。一方エマは、1998年に児童書シリーズを映画化した『マデリーン』で主役を務めたハティ・ジョーンズと最終選考に残った。演技力もあり可能性を感じさせるハティではあったが、年齢が高すぎるとエマに白羽の矢が立った。

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3人が見事役に同化していることを証明するエピソードがある。『~アズカバンの囚人』でアルフォンソ・キュアロン監督はそれぞれに一人称視点で自分のキャラクターについてのエッセイを書かせた。エマはやりすぎともいえる16ページのエッセイを、ダニエルは簡単な1ページの要約を書き、ルパートはロンと同じく提出すらしなかった。

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もうひとつ余談を。エマは2011年のティーン誌のインタビューに対し、9歳で映画撮影に入った時、ドラコ・マルコフォイを演じたトム・フェルトンに初めて恋をしたと語っている。トム・フェルトンもまたドラコ役を獲得する前に、ハリーとロンのオーディションを受けている。

⑤最初の設定は原作どおり緑の目のハリー、出っ歯のハーマイオニーだった!?

原作の登場人物に似せるため、ダニエル・ラドクリフが緑のコンタクトレンズを着けていたことはよく知られる。ただ目に合わず、最初に撮影されたシーン──『~賢者の石』のラスト、ホグワーツ特急が学校を出るシーンだった。実際、この撮影の舞台裏の写真すべてでダニエルはサングラスをかけている。気の毒に、コンタクトが不快だと誰にも言えなかったからという。コロンバスが現場でダニエルにサングラスを外すかどうかと聞くと、ダニエルはためらいながら、撮影が始まるまではつけたままにしたいと答えたそう。

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また、ハーマイオニーも原作同様、映画でも出っ歯にする予定だった。原作シリーズの初期、ハーマイオニーの出っ歯は同級たちの嘲笑の的だった。製作陣はエマ・ワトソンに義歯を装着しようとしたものの、会話が困難になることがわかり、このアイデアを断念した。

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HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights © J. K. Rowling. © 2003 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ほかにも、メイクアップアーティストがダニエルと彼のスタントの額に象徴的なハリーの額の傷跡を5000回以上描いたとか、ダニエルが撮影中に160本の眼鏡を使い切ったとか、面白エピソードは山ほどある。

また、原作ファンは著名人にも多く、シリーズの大ファンだったマイケル・ジャクソンは本シリーズをミュージカル化したいと考えていた。しかし、ローリングは拒否。だが、2016年に『ハリー・ポッターと呪いの子』が舞台化されている。また、当初、シリーズファンと自称するドリュー・バリモアが『~賢者の石』にカメオ出演する予定だった……などなど、エピソードは枚挙にいとまない。それらの話はいつかまたどこかで。

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