『SHOGUN 将軍』で熱視線!国際俳優・真田広之の厳選10作品
シェア

『SHOGUN 将軍』で熱視線!国際俳優・真田広之の厳選10作品

2024.08.29 19:00

Edited by

真田広之がプロデュースし主演を務めた『SHOGUN 将軍』が第76回エミー賞で作品賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞など最多22部門25ノミネート(!)。ハリウッド制作のドラマでありながら、ほぼ英語以外で語られる本作が作品賞にノミネートされるのは、2022年の韓国発『イカゲーム』以来2作目となる。

そんな歴史的快挙を達成した本作は、日本に漂着した英国人航海士ジョン・ブラックソーンの視点から見た、1600年の天下分け目の関ケ原の戦い前夜を描いたドラマ。原作はジェームズ・クラベルが1975年に発表したベストセラー小説『将軍』で、1980年にもハリウッドで実写ドラマ化され、三船敏郎、島田陽子、フランキー堺らが出演、驚異的な視聴率を誇った。

そして2024年、ハリウッドは新たなアプローチで原作を再び映像化。2018年の制作発表から約4年、紆余曲折を経て完成したドラマは第1話が配信されるやいなや6日間で900万回再生と、世界配信されたドラマシリーズとしては歴代1位の記録を打ち出した。しかも映画・ドラマ批評サイト「Rotten Tomatoes」では批評家99%、一般視聴者91%の超高評価を得ている。

その貢献者の筆頭はやはり、『ラスト サムライ』(03)以降、ロサンゼルスを拠点に活躍する真田広之だろう。20年間、数多くのハリウッド作品に出演してきた真田はこれまでも現場で日本に関する描写へのアドバイスや、殺陣の指導などを影ながら行ってきたが、今回製作に正式初参加、「本格的な日本の時代劇」の世界配信に大きく寄与した。

子役として1966年『浪曲子守唄』で俳優デビュー以来、日本映画史、TVドラマ史に残る数々の作品に確かな爪痕を残してきた真田広之。世界のスタントマンからリスペクトされる初期のエンタテインメント作品、社会現象になったTVドラマ、世界に波及したJホラー、存在感を発揮した海外作品など出演作10本をセレクト。エミー賞受賞への期待が膨らむ中、俳優・真田広之の忘れがたい名シーンをぜひご覧いただきたい。


①『魔界転生』(1981年)

魔界転生
©東映

山田風太郎原作の奇想天外な忍法時代劇。島原の乱に敗れ、さらし首になった天草四郎時貞が悪魔の力によって甦り、自分と同じく現世に恨みを持ち、夢を果たせなかった細川ガラシャ夫人、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、伊賀の霧丸らを“魔界衆”に引き入れ徳川幕府転覆を図る。

天草四郎には当時『TOKIO』『ス・ト・リ・ッ・パ・ー』などが大ヒットしていたジュリーこと沢田研二、魔界衆との死闘を繰り広げる柳生十兵衛には『柳生一族の陰謀』(78)以来のハマリ役となった千葉真一、十兵衛との壮絶な一騎打ちで魅せた柳生但馬守宗矩役の若山富三郎、宮本武蔵役の緒形拳、ほか室田日出男、丹波哲郎など錚々たる顔ぶれが揃う。

真田が演じたのは、甲賀衆に奇襲攻撃され一族もろとも殺されてしまった伊賀の霧丸。黄泉の国から甦ったものの、悪に染まり切れず苦悩する姿が初々しかった。千葉真一主宰のジャパンアクションクラブ(JAC)仕込みの軽快な身のこなし、日本舞踊で培った所作の美しさは既にこの時から見受けられる。

何よりも話題になったのはジュリーとのキスシーン。このシーン見たさに劇場に足を運び「キュン死」する女性ファンが後を絶たなかった。弱冠20歳ながら、ジュリーにも劣らない、ただならぬ色気。自然すぎるそのキスシーンは今も語り草となっている。本作で真田は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。

②『里見八犬伝』(1983年)

里見八犬伝
©1983KADOKAWA

江戸後期に書かれた滝沢馬琴の傑作『南総里見八犬伝』に新解釈を加えた鎌田敏夫の小説『新・里見八犬伝』を基に、伝奇あり、SFあり、青春あり、ロマンスありと、これまでの時代劇とは一線を画した超娯楽大作として当時、大きな話題となった。

しかも主演は『翔んだカップル』(80)『セーラー服と機関銃』(81)などの大ヒットで角川映画の顔となった薬師丸ひろ子、その相手役としてW主演を務めた真田も『吼えろ鉄拳』(81)『道頓堀川』(82)『伊賀忍法帖』(82)など主演作が続き、アイドルとしての人気を確立していた。製作を手掛けた角川春樹は「この時代の最高の人気を二分する2人のスターのアイドル映画として企画した」と語っている。

暴虐の限りを尽くし、里見義実に討たれた蟇田定包の毒婦・玉梓は里見家に復讐するため、息子の素藤と共に妖怪となって甦る。生き残った里見家の静姫は玉梓の追っ手から逃れながらも、運命に導かれ現れた8人の犬士と共に戦いを決意する……。ここでも真田の軽快なアクション、善と悪を往還する役どころを縦横無尽に演じる活躍ぶりに目を見張る。洞窟から脱出するシーンはスケールこそ違えど、参考にしたという『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)に負けていない。

そして最大の見せ場となった2人のラブシーン。長すぎる!と突っ込みたくもなるが、アイドル映画とは思えない、濃い描写にたじろぐ。撮影現場でも薬師丸の乗馬のコーチをしたり、殺陣のアドバイスをしたりする姿もたびたび目撃された。主役ながらスタッフの一員として撮影に臨む姿は、『SHOGUN 将軍』の撮影現場に通じるものがあると言えるだろう。

③『麻雀放浪記』(1984年)

麻雀放浪記
©1984KADOKAWA

無類の映画好きで、その造詣の深さから映画関係の著書も多いイラストレーターの和田誠が、終戦直後のドヤ街を舞台に麻雀博徒の世界に生きる個性的な人間群像を描いた阿佐田哲也のベストセラー小説を脚本化、初監督を務めた話題作。これまでアクション映画や時代劇が多かった真田だが、『道頓堀川』(82)『彩り河』(84)に続く本作で、本格的なシリアスドラマに新境地を見出した。

真田が演じたのはドサ健と出会い、賭博の世界に足を踏み入れ、麻雀にのめりこんでいく坊や哲。さまざまな勝負師と出会い、人生を学んで成長していく役どころだが、主人公であると同時に語り部でもある重要な役割を担い、真田の視点から博打に命をかける彼らの崖っぷち人生が描かれる。

これまで数々の作品に主演している真田だが、冒頭の学ラン姿が瑞々しく、新人の青春スターにも見まごう、さわやかでナイーブな印象を受ける。その透明感はまさに坊や哲というキャラクターにハマっていた。

圧巻は麻雀のプレイシーン。麻雀の経験はほとんどなかったというが、高度なイカサマ技を吹き替えなしでキメている。天性の身体能力がなせる技なのか、練習を重ね努力した結果なのか。「あまりに自然で、何をやっているか全然わからなかった」と和田監督を唸らせた。その名シーンはストップモーションで再現されている。和田監督とはその後、『快盗ルビイ』(88)でもタッグを組み、キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞を受賞した。

④『必殺4 恨みはらします』(1987年)

必殺4 恨みはらします
©1987 松竹株式会社・朝日放送株式会社

池波正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』『殺しの掟』などを原作とした「必殺仕掛人」がTVドラマ時代劇として放送されたのは50年以上前の1972年に遡る。以降、「必殺」シリーズとして絶大な人気を誇り、主演を務めた中村主水役の藤田まこと亡き後も続編が待たれる。昨年は豊川悦司主演の『仕掛人・藤枝梅安』2部作が公開され、そのポテンシャルの高さが実証された。

そんな人気シリーズの劇場版第1作が1984年に公開、第4作となる『必殺4 恨みはらします』はTV放送15周年を記念して製作された。監督は第1作「必殺仕掛人」の第1話、第2話、第24話を手掛けた深作欣二が登板。しかも深作組常連の千葉真一、室田日出男、真田広之が出演、JACのメンバーを総動員したこともあり、キレキレのアクションシーンの満足度は高かった。

真田は初の悪役に挑戦。主水の上司にあたる奉行の後任として着任した、若く美しい奥田右京亮を妖しくミステリアスに演じる。ド派手な衣裳、奇抜な髪型に薄化粧、自身の出世のために邪魔者を冷徹非情に潰す極悪ぶりにぞくっとする。

圧巻はラストの振り切った立ち回り。薙刀を華麗に振り回し、舞を踊るかのごとく斬りつけていく。首魁は瞬殺で主水に斬られるのが常だが、逆に主水が追い詰められる。その瞬間、かとうかずこ扮するお玉が銃を放つ。「そんなのありかよ!」と毒づくのもわかる。すかさず主水が斬り捨てるが、そのままでは終わらない。絶命したかと思いきや、すくっと立ち上がり、唄の一節を口ずさんだ後、再び倒れ伏す。その異様な光景は必殺シリーズの中でも衝撃シーンとして強い印象を残した。

⑤『高校教師』(1993年)

高校教師
©TBS

教師と生徒の禁断の恋、強姦、同性愛、近親相姦、不倫、いじめ、暴力、パワハラ、モラハラ、中絶、自殺などなど、社会のタブーに真っ向から挑んだ、昭和を代表するTVドラマ。当時、そのショッキングな内容から大きな反響を呼び、最終回には33%の高視聴率を打ち出した。脚本を手掛けたのは『101回目のプロポーズ』(91)『愛という名のもとに』(92)などのトレンディドラマで一世を風靡した野島伸司。

それまで映画を中心に活動していた真田は、テレビに出演することはあっても現代ドラマは数えるほどしかなかった。それだけに、真田が演じた高校教師・羽村は新鮮に映った。そもそも羽村は大学院助手で、女子高には3カ月の契約で赴任。教師然としておらず、どこか危なげで、桜井幸子演じる女子高生・繭の積極的なアプローチにたじろぐ姿に、母性本能をくすぐられたファンも多い。

真田がこれまで演じてきた、身体能力の高い熱血漢のヒーロー的側面は完全に封印。逆に、運動音痴なのにバスケット部の顧問になる設定で、それに反発する女子高生からいじめられる情けなさ。精神的な弱さもある。だが、その繊細で物静かな抑えた演技によって、決してマイナスに転じない。回を重ねるごとに深刻さ、緊張感は増していき、先の見えない展開にハマる人が続出。内容最終話のラストシーンをどう解釈するかで、大いに盛り上がった。

衝撃的なおぞましいシーンも多々あるが直接的な性描写はなく、透明感あふれる桜井の好演も相まって、痛く切ない恋愛ドラマに昇華、真田の魅力あふれる名作ドラマとなった。

⑥『リング』(1998年)

リング
©1998「リング」「らせん」製作委員会

世界的なJホラーブームの火付け役となった、鈴木光司原作のホラー。そのビデオを見たら1週間以内に死ぬ──噂の呪いのビデオの真相を探っているうちに、偶然そのビデオを見てしまったTVディレクターの玲子。呪いを解く方法はないのかと大学講師の元夫・竜司に助けを求めるが、彼もまたそのビデオを見てしまう……。

今や日本を代表するスター“幽霊”となり、その後もたびたび復活、四半世紀経った今も関連作が続々製作される貞子の初登場作品でもある。松嶋菜々子とともにW主演を務めた真田は、その犠牲者として強烈な印象を残す。ビデオの中の貞子が井戸から這い上がり、迫ってくる不気味さはホラー映画史上に残る名シーン。恐怖にすくんだ真田の強烈な表情がいつまでも頭から離れなかった。

それにしても真田はTVドラマ『高校教師』の教師といい、本作の大学講師といい、知的な役が似合う。人や物から記憶を読み取る特殊能力から得た情報から冷静に分析、判断しながら差し迫った謎の呪いの真相を突き止めていく。シリアスに考えを巡らせ推測する思慮深い真田の表情も、強い印象を残す。最後まで緊張感が持続するのは、主演の2人の好演によるところ。本作はハリウッドでもリメイクされているが、真田の存在は既にこの作品から広く知られていたかもしれない。

⑦『たそがれ清兵衛』(2002年)

たそがれ清兵衛
©2002 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂DYメディアパートナーズ/日販/衛星劇場

藤原周平の短編時代小説『たそがれ清兵衛』『祝い人助八』『竹光始末』を山田洋次監督が映画化。妻を亡くし、2人の娘と老母を抱える平侍の井口清兵衛を真田が演じる。城での仕事が終わると家路を急ぎ、虫かごを作れば農作業もする。そんな下級武士の慎ましい生活ぶりや、城内での勤務の様子、舞台となった庄内の風景までを丁寧に描写した、これまでにない時代劇としても話題となった。

同僚たちから“たそがれ清兵衛”と陰口をたたかれているが、実は凄腕の剣士。幼なじみの朋江を酒乱の夫から救ったことから藩内で噂となり、上意討ちの討手に選ばれてしまう。その凄みのある立ち回りは鳥肌もの。山田監督は薄暗い屋内の照明にこだわったほか、刀が当たらないよう斬り付ける通常の殺陣ではなく、相手の居所に本当に斬り付けかわす“本物の斬り合い”を要求した。本作で俳優デビューを飾った田中泯演じる一刀流の遣い手、余吾善右衛門との迫力ある対決にただただ圧倒される。このシーンにはなんと10日もかけられたという。

これまで多くの時代劇に出演してきた真田だが、型を求められ、それを継承する意義を感じながらも、時代劇の決め事を壊し、その時代に生きた人間の姿をリアルに表現したいと感じていたそう。時代考証に1年以上かけてリアリズムにこだわった山田監督に抜擢されたのは幸運だったと言えるだろう。清兵衛のシンプルな生き方と佇まい、宮沢りえ演じる朋江とのストイックな絡みも本作の見どころ。日本アカデミー賞を総なめにするなど多数の映画賞を受賞したほか、米アカデミー賞外国語映画賞候補になるなど海外でも高評価を受けた。

⑧『ラスト サムライ』(2003年)

ラスト サムライ
© Warner Bros. Entertainment Inc.

真田をはじめ、渡辺謙、小雪ら日本の俳優がハリウッドに本格進出するきっかけとなった時代劇アクション巨編。「サムライの優雅さと美しさ、武士道の精神、強さと情と忠誠、約束を貴ぶ心。正しいことに命を投げ出す尊さにも惹かれた」──トム・クルーズが、『グローリー』(89)『戦火の勇気』(96)などのエドワード・ズウィック監督とタッグを組んで製作した。

1870年代、西洋式戦術を日本政府軍に教示するため召喚された、トム演じるネイサン・オールグレン大尉。戦いに敗れ勝元盛次らに捕らえられたネイサンだったが、村で生活していくうちに彼らとの絆が深まり、共に最後の戦いに挑む。真田が演じたのは外国文化を嫌い、ネイサンを敵視する氏尾。最初の手合わせでボコボコにするも、やがて引き分けるまでに腕を上げたネイサンを認める。

これまでアメリカが描く日本や武士道にはおかしなところが多々あったが、本作はほとんど違和感がない。これは日本人キャストがスタッフととことん話し抜いた結果。特に真田は「干されてもいい」覚悟で臨み、細かな部分までチェックし立ち会ったことから「Mr.スーパーバイザー」と呼ばれるようになったという。画面からもそんな真田の気迫が感じ取れる。

最後の合戦シーンはさすがのハリウッド大作、壮観のひと言。その中でも際立つのは真田の動き。あの世界的アクションスター、トムも真田の前ではかすんでしまう。実際、鎧を華麗に着こなした真田の姿がトムより目立つと、真田のシーンが大幅に削られたという。「精神的な武士道の描写やリアリティの追求、技術も含めて、時代劇を本家としてどう改革してくか」という真田の真摯な想いが、後の『SHOGUN 将軍』に結実していく。

⑨『ラッシュアワー3』(2007年)

ラッシュアワー3
TM and © MMVII New Line Productions, Inc. © MMVII Unlike Film Productions © MMVII New Line Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ジャッキー・チェンとクリス・タッカーが共演するバディ・ムービー第3弾。アクションあり、笑いありのエンタテインメント作品で、ジャッキーが出演したアメリカ映画で初めて北米興収1億ドルを突破した大ヒットシリーズでもある。そんなアジアを代表するアクションスター、ジャッキーと当時20年来の友人にして初共演。真田はジャッキー演じるリー刑事と同じ孤児院で育ったケンジを演じる。

それまでも真田は1998年、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー公演の舞台「リア王」に史上初、唯一の日本人キャストとして出演、2002年に名誉大英帝国勲章第五位を受章している。そして『ラスト サムライ』(03)の時にロサンゼルスに拠点を移し、以降、イギリス製作『上海の伯爵夫人』(05)、日本・中国・韓国・香港合作『PROMISE』(05)、日米合作『サンシャイン2057』(07)とボーダレスに活動しながらも日本では『亡国のイージス』(05)で主演を務めた。

このころから完全に世界へシフト。ハリウッドだけでなく、欧州、アジア作品にも目くばせし、真田は着実に実績を残していく。本作では、パリ五輪でもフィーチャーされたエッフェル塔での一騎打ちアクションが白眉。スピード感が半端ない。バリエーション豊かな圧倒的アクションで世界を魅了するジャッキーと互角に戦うすごさ。本作で武術指導も務めるジャッキーも、「いろんな動きに対する意見もいただいたがどれも的確。今までいろんな人を相手に闘ってきたが、誰よりも動きが素晴らしくきれい」と称賛する。

兄弟のように育った2人が敵と味方に分かれて再会。闘わざるを得なくなるシチュエーションが切ない。同じ時代にアジアで活動し、アクションで魅せながら今は海外を拠点に活動する2人の想いが交錯。超絶アクション、頂上での駆け引きからのラストに胸が篤くなる。

⑩『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023年)

ジョン・ウィック:コンセクエンス
®, TM & © 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

キアヌ・リーヴスが伝説の殺し屋を演じる人気シリーズ第4弾。回を重ねるごとにアクションはよりハードに、ダイナミックになっていくが、今回は真田と共に、アジアが誇る大スター、ドニー・イェンが参戦する。キアヌとは「忠臣蔵」をモチーフにしたファンタジー時代劇『47RONIN』(13)でも共演。そのときキアヌは四十七士の一人、真田は大石内蔵助を演じた。

10年ぶりのキアヌとの共演。キアヌ59歳、真田63歳と(ドニー60歳)アラカンながら、アクションの切れは衰え知らず、逆に磨きがかかり、気品と色気を放つ男っぷりで魅せる。真田が演じたのはジョンの旧友で、大阪コンチネンタル・ホテルの支配人、シマヅ・コウジ。追手から逃れてきたジョンを匿い、日本刀や銃で果敢に闘う。自らの命よりもジョンとの友情を重んじる役どころに痺れる。前半最大の見せ場はドニーとの一騎打ち。濃度の高い、いつまでも見ていたいシーンとなった。

『47RONIN』『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)そして本作はいずれも日本が舞台。真田はことあるごとに制作スタッフに呼ばれ、意見を聞かれたという。『ウルヴァリン:SAMURAI』撮影時には、真田が出演した昔のビデオを見たアクションスタッフが、どうやって撮影したのかを熱心に聞いてきたりと、スタッフの中での真田の存在感は確実に大きくなっていった。


『ラスト サムライ』から20年。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)のヤクザ、『モータルコンバット』(21)のスコーピオン、『ブレット・トレイン』(22)のエルダー、そして本作のシマヅと、真田の演じる役どころは渋くかっこいい。活動の場はTVにも広がり、『SHOGUN 将軍』へとつながる。真田のさらなる活躍、エミー賞受賞への期待がかかる。


真田広之さんの出演作はこちらから。

この記事をシェア

この記事に関する写真(10枚)

  • 魔界転生
  • 里見八犬伝
  • 麻雀放浪記
  • 必殺4 恨みはらします
  • 高校教師

Edited by

映画 特集の記事一覧

もっと見る