パク・チャヌク×ロバート・ダウニー・Jrがタッグの『シンパサイザー』
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パク・チャヌク×ロバート・ダウニー・Jrがタッグの『シンパサイザー』

2024.06.21 10:00

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あらすじ

ロバート・ダウニー・Jrが4役に挑戦!ベトナム戦争後が舞台の新感覚スパイヒューマンドラマ

ベトナム系アメリカ人作家ヴィエト・タン・ウェンが2015年に発表し、ピューリッツァー賞を受賞した同名のスパイ小説をドラマ化。ベトナム戦争末期を舞台に、ベトナム人とフランス人の間に生まれた共産主義のスパイである“大尉”がアメリカへ亡命。敵として戦争を行っていたアメリカと生まれ育ったベトナムという2つの国をルーツに持つ彼が、様々な葛藤を抱えたまま、アメリカで両国に対する思いを抱えながら人生を送る姿を描いた新感覚のスパイヒューマンドラマだ。

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©2024Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

3つの見どころ

1. 韓国の巨匠、カンヌ監督賞受賞のパク・チャヌク作品

韓国出身で、国内外で活躍するパク・チャヌク監督は、ニコール・キッドマンらを迎えた2013年の映画『イノセント・ガーデン』でハリウッドに進出。同年の映画『スノーピアサー』では、監督ポン・ジュノとタッグを組み、製作を務めた。2022年の『別れる決心』でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞。本作でクリエイター・監督・脚本家・プロデューサーを兼任し、名優ロバート・ダウニー・Jrに4人の主要キャラクターを演じ分けてもらうなどキャスティングにもこだわったパク監督は、アメリカ人でもなくベトナム人でもない。そんな中立の立場だからこそ描ける視点が本作をユニークなものにしている。

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2.オスカー俳優ロバート・ダウニー・Jrだからこそできる一人4役

なんといっても注目なのは、『オッペンハイマー』で初のアカデミー賞を手にしたロバート・ダウニー・Jrが超個性的なアメリカ人男性4人を演じていること。これら4人のキャラクターはキャリアも外見も性格も異なるが、「“アメリカ人の典型”という共通点があるため根底にある部分は同じ、だからこそ一人の俳優が演じることに意味がある」とパク監督は説明する。そんな監督のお眼鏡にかなったのがロバートで、監督が自ら連絡をしてオファーを出したという。演技派俳優の代表と言っても過言ではないロバートが、どのようにそれぞれの役柄を演じ分けているのか。これは絶対に見逃せないだろう。

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3. 風刺たっぷり!異色のスパイヒューマンドラマが新鮮

本作はスパイドラマとしても十分に楽しめるが、その立場で葛藤を覚える人間を描いている点が非常に面白い。そもそも主人公は2つの国をバックグラウンドに持つ人間で、どちらにも属しているはずなのに、実はどちらにも自分の居場所がない。昨今ではそのような環境で育った人も増えており、今ならこの主人公に共感できる人も少なくないだろう。また、ロバートが演じる4人のアメリカ人男性や、サンドラ・オーが演じるアジア系アメリカ人も、現代のアメリカを色濃く映し出している。表面的には友好的で近しいものを感じる場合でも、根底では必ずしもそうではない。むしろ埋められない溝があるという皮肉な人間関係をも垣間見ることができる。サスペンス、風刺、そしてコメディ要素も入っており、今の時代だからこそ見るべき作品だ。

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キャラクター・キャスト紹介

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大尉(ザ・キャプテン)
フランス人司祭とベトナム人少女の間に生まれた私生児。“将軍”と呼ばれる秘密警察長官の右腕として働き、サイゴン陥落後は将軍の家族とともにアメリカへ亡命。将軍の忠実な部下として祖国のために尽力しているかに見えたが、実は将軍の動向を監視する北ベトナムのスパイ。

キャスト:ホア・スアンデ

 

ベトナム系オーストラリア人。ヒュー・ジャックマンも卒業生の一人である西オーストラリア・パフォーミング・アート・アカデミーで演劇を学ぶ。2021年、Netflixオリジナルシリーズ『カウボーイビバップ』のリン役で注目を集める。現在36歳のホアの両親は、1975年のサイゴン陥落をベトナムのTVで見ていたという。

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クロード
CIA工作員で、事実上の“大尉”のメンター。二枚舌で調子が良く、大尉にも親のように接するが、それほど愛情があるわけでもない。自分の利益を中心に考え、人をうまく操る工作員にぴったりなタイプ。

ロバート・ハマー教授
主人公が通った大学院で教鞭を執る東洋主義の教授。オフィスの脇のホールで着物に着替えたりするような変わり者。主人公が助手のソフィア・モリと知り合うきっかけになる。

ネッド・ゴッドウィン
“ナパーム(ナパーム弾)・ネッド”のニックネームで知られるカリフォルニア州選出の国会議員。典型的な右翼で退役軍人。戦争で傷を負った手を誇示しながら、カリフォルニア在住のベトナム人にアピールしようとする。

ニコ・ダミアノス
『The Hamlet』というベトナム戦争を扱った映画を撮ろうとしているアメリカ人映画監督。1970年代の混沌としたベトナム戦争映画の指揮を執る際には、サングラスをかけ、いかにも大物監督ぶっている。

キャスト:ロバート・ダウニー・Jr
 

ニューヨーク出身。映画監督の父と女優の母を持つ。5歳の時、父ロバート・ダウニーの映画『Pound(原題)』でデビュー。1992年の『チャップリン』で喜劇王チャーリー・チャップリンを演じてアカデミー賞にノミネートされる。その後、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』『キスキス,バンバン』など数多くの映画に出演。2000年からレギュラー出演したドラマ『アリー・myラブ』のラリー・ポール役でゴールデン・グローヴ賞を受賞。その後マーベル映画のトニー・スターク/アイアンマン役に起用され、世界中でその名を轟かせる。アカデミー賞を総ナメにした映画『オッペンハイマー』のルイス・ストローズ役ではアカデミー賞をはじめ数々の賞を獲得した。

  

代表作:『アイアンマン』『シャーロック・ホームズ』

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ソフィア・モリ
ハマー教授のアシスタント。日系アメリカ人でカリフォルニア州出身。主人公とは、アジア系でありながらアメリカ人でもあるという共通のバックグラウンドから親密になっていく。

キャスト:サンドラ・オー

 

韓国系カナダ人/アメリカ人。学生時代に演劇を学び、数々の舞台に立つ。『トスカーナの休日』『サイドウェイ』といった映画やドラマ『シックス・フィート・アンダー』への出演で徐々に注目を集め、2005年より参加した『グレイズ・アナトミー』のクリスティーナ・ヤン役でブレイクを果たす。『グレイズ・アナトミー』と主演ドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』でアジア系女優として初めて2つのゴールデン・グローヴ賞を手にした。2019年にはゴールデン・グローヴ賞授賞式の共同司会も務めた。ハリウッドで躍進を続けるアジア系女優の一人で、英国女王エリザベス2世の国葬にも参列した。

 

代表作:『キリング・イヴ』『グレイズ・アナトミー』

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ライアン・グレン
メソッド演技法で知られるベテラン俳優。役に入り込むことで知られ、気性が荒い。

キャスト:デヴィッド・ドゥカヴニー

 

ニューヨーク出身。高校ではジョン・F・ケネディ・Jrと同級生だった。プリンストン大学とイエール大学で学び教師になるつもりだったが、俳優に転向し、1988年の『ワーキング・ガール』で映画デビュー。人気ドラマ『ツイン・ピークス』の女装好きなデニス捜査官役でインパクトを残すと、1993年から始まった大ヒットドラマ『X-ファイル』のフォックス・モルダー捜査官役でブレイク。以降も『カリフォルニケーション』『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』といったドラマに主演。監督としての顔も持ち、自身の出演作だけでなく『BONES』や『最高のともだち』でメガホンを取った。環境問題に熱心に取り組んでいることでも知られる。

 

代表作:『ツイン・ピークス』『X-ファイル』

予告編

作品概要

シンパサイザー
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作品名:『シンパサイザー』
原題:The Sympathizer
制作年/制作国:2024年/アメリカ/カナダ
ジャンル:ドラマ/サスペンス/コメディ
U-NEXTにて独占配信中

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