「お兄ちゃんたち人気やねん」と誇らしげな表情も!「うんぴょこ注入式」レポ
11月16日には、うんぴょこのロゴが描かれた巨大バルーンをふくらませる「うんぴょこ注入式」が行われ、重岡大毅さんと中間淳太さんが参加しました。
「カッッっけーーーーーーー!!!」
『劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」』上映中、私は思わず座席を立ち上がってそう叫びそうになった。しかも1回ではない。4回は固い。いや、もっとかも。もう正直後半は数えられていない。上映後、スタジオKAIの方に「すごく真剣に観てくださってましたよね!ありがとうございます!」と声をかけてもらったが、スカルやWが活躍する度に飛び上がりそうになる自分の心臓と身体を座席に押さえつけておくので必死だった私の顔はどっちかというと般若フェイス寄りだったと思うが、その顔を「真剣」と表現してくださったスタジオKAIさんのお心遣いが滲みる。
2009年に平成仮面ライダー第11作目として放送され、今なおファンから熱烈な支持を集めている『仮面ライダーW』。
その正統続編として2017年に連載が開始した漫画『風都探偵』は、2022年に仮面ライダーシリーズ初のシリーズアニメ化がなされ、また同年末には『風都探偵 The STAGE』として演劇公演も行われた。そんなますます広がりを見せて行く「Wワールド」の次なる舞台こそ、 本日11月8日から期間限定上映される劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」というわけだ。タイトルからもお分かりいただけるとおり、コミックス第6巻に収録されたエピソード「sの肖像」の映像化となるのだが、その一報を受け取った時は「やっぱ映画だったらそこをやるしかないよなあ!」という納得と、「ほんとにアレをやるの!?」という驚きと、2つの感情が入り混じったものだ。
というのも「sの肖像」は、2009年末に公開された劇場映画「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」内の「仮面ライダーW ビギンズナイト」が元になっており、仮面ライダーW誕生秘話であるこの「ビギンズナイト」は、歴代ライダー映画の中でも最も人気の高い作品のひとつであることはこれを読んでいるライダーファンの読者貴兄ならご存じの通りだろう。
筆者も復習を兼ねて最近見返したが、仮面ライダーディケイドのエピソードと合流するクライマックスを除くと約40分しかないとは思えない内容の濃さに改めて感銘を受けた。Wやスカルのスーツアクターを担当する高岩成二さんや永徳さんのひとつひとつの洗練された動き、鳴海荘吉役 吉川晃司さんの重厚感のあるお芝居、そして「2人で1人の探偵で仮面ライダー」となる左翔太郎とフィリップを体当たりで演じる桐山漣さんと菅田将暉さんのフレッシュな熱演……。その全てが『W』という唯一無二の世界観の中で「相乗り」した紛うことなき名作だった。
そんな既に作品として完成された「ビギンズナイト」を元に、制作当時、予算や時間的な制限で表現できなかったセリフやシチュエーションを加え、ストーリーの面でもブラッシュアップが行われた漫画版「sの肖像」を映像化するというのは、実写版、漫画版それぞれのファンの期待も大きい分、オリジナルのエピソードを映像化するよりも遥かにハードルが高いことなのでは?と危惧していたのだが、「スカルの肖像」を観終わった今、それは全くの杞憂であったと自信を持って言える。
基本的には「sの肖像」のエピソードを丁寧になぞりつつ、中盤では『ビギンズナイト』を何度も観たファンでも……いや、むしろ何度も観たファンだからこそ大歓喜間違いなしのアクションシーンが繰り広げられ、クライマックスには誰もが予想だにしていなかっただろうサプライズ的な展開もあり、塚田エグゼクティブプロデューサーや脚本監修の三条 陸先生をはじめ、『ビギンズナイト』を愛する製作チームが一丸となって『ビギンズナイト』を超える驚きと感動をファンに届けようとする熱意が迸るほどに伝わってくる。
シリーズアニメから続役となった左 翔太郎役・細谷佳正さん、フィリップ役・内山昂輝さんなどレギュラー声優陣による、それぞれのキャラクターの個性を完璧に掴んだ安定感のある芝居はもちろん、今回の劇場版でご登板となった鳴海荘吉役・津田健次郎さん、少年時代の翔太郎役・村瀬 歩さんのハートウォーミングな掛け合いも印象的だ。
津田さんの鳴海荘吉は渋さやクールさだけでなく、情熱的で深い優しさに満ち、ファンの記憶に残る吉川晃司さんの存在感を彷彿とさせつつも、「おやっさんにはこんな一面もあったんだ……」と私たちに更なる気付きを与えてくれる「鳴海荘吉」だ。また、劇場版ならではの作画の美しさも格別で、本作のヒロインときめの吸い込まれそうになる透明感、困難な状況にあっても自分たちの決断で道を切り拓いていこうとするフィリップや翔太郎の凛々しい眼差しには何度も息を呑んだ。劇中、翔太郎はとにかくよく泣く。その涙に込められた意味や色合いはシーンごとに全く異なるものではあるのだが、その一目を憚らず号泣する姿にこそ、ハードボイルドになり切れない、半熟(ハーフボイルド)な翔太郎の愛おしさが詰まっている気がして、ついこちらもボロボロに貰い泣きさせられてしまうので、読者貴兄は上映前には鞄からハンカチを取り出しておくのを忘れないでいてほしい。
また、仮面ライダーやドーパント(怪人)たちの気合の入ったアニメーションにもド肝を抜かれる。彼らのみなぎる力強さや哀愁、時にはクラクラするような色香が「これでもか!」というほど画面から放たれ、「仮面ライダーを愛する人が作る仮面ライダー作品」ならではの熱量を感じられること請け合いだ。
今年でTV放送から15年という記念の年を迎える『仮面ライダーW』。「スカルの肖像」を観ていても強く思うのは『W』がいかにタイムレスな作品であるかということだ。特撮テレビドラマ、漫画、舞台、そして劇場アニメとメディアを横断しても決して揺るがない世界観、演者が増えるごとに新しく開花していくキャラクターたちの魅力。ガイアメモリやダブルドライバーなど各種アイテムのワクワク感。独創的かつ、いつ見ても新鮮にカッコいい仮面ライダーやドーパントたち。15年という時を経てもそれらが全く古臭くならないのは、元々作品が持っている強度にプラスして、「もっと『W』の世界を知りたい。翔太郎やフィリップたちともっと一緒にいたい」という観客や制作陣の願いや愛情が、次の作品に懸ける挑戦心や勇気として発揮されているからではないだろうか。
劇場版だけでエピソードが完結している『スカルの肖像』はこれまで『仮面ライダーW』や『風都探偵』を知らなかった人たちにも見やすい作りになっており、むしろこの映画から「Wワールド」に飛び込んでみるのもオススメだ。シリーズのファンはもちろん、この映画を入り口により多くの人が愛すべき風都の探偵たちに出会えるきっかけになることを願っている。劇場公開はまさに今日から。さあ、いい風が吹いてきた。
11月8日(金)より期間限定上映
ガイアメモリがどうして生まれたのか。
Wの戦いがどうして始まったのか。
ときめからの問いに答えるため、翔太郎は静かに語り始める。
彼が憧れ、“おやっさん”と慕った師匠・鳴海荘吉との出会いと別れについて…
風の街・風都でガイアメモリの力を使う怪人・ドーパントが暗躍し始めた頃。
若き翔太郎は荘吉の探偵助手となり、半熟と呼ばれながらもその背中を追っていた。
探偵稼業の傍らでスカルとして秘密裏に活動する荘吉に、何も知らない翔太郎は焦燥感を募らせる。
そんな中、鳴海探偵事務所に一本の電話が… それは翔太郎たちを運命の夜へと誘う、地獄からの依頼だった!!
謎の依頼人からもたらされた“切り札”を届けるべく、荘吉の行方を追った翔太郎が見たものとは?
翔太郎&フィリップ。
二人で一人の探偵で、仮面ライダーWの始まりの夜。
その物語の全貌が、いよいよ明かされるーー
11月16日には、うんぴょこのロゴが描かれた巨大バルーンをふくらませる「うんぴょこ注入式」が行われ、重岡大毅さんと中間淳太さんが参加しました。
note「ニチアサの話がしたい。」の桐沢たえさんによる愛情たっぷりの特撮コラム。第4回では『仮面ライダーゼロワン』を紹介します。
『水曜日のダウンタウン』や「さらば青春の光」のYouTubeチャンネルでお馴染みのひょうろくさんを考察します