2億円あったらどう使う?お金小説の著者ふたりが考えるお金の価値とは──原田ひ香×奥田亜希子対談
『三千円の使いかた』の著書・原田ひ香さんと、『ポップ・ラッキー・ポトラッチ』の感想や小説の書き方についてうかがいました。
このたび動物介在療法をテーマにした小説『臨床のスピカ』を発表した前川ほまれさんは、作家であると同時に現役看護師でもあります。医療小説にとどまらず、特殊清掃などさまざまなテーマを通して人が抱える孤独や痛みを描いており、ヤングケアラーを題材にした『藍色時刻の君たちは』では第14回山田風太郎賞を受賞しました。
一方、『ナースの卯月に視えるもの』でnote主催創作大賞2023を受賞し、デビューを飾った秋谷りんこさんは元看護師。10年以上、精神科に勤務し、現在は専業作家として活躍しています。
現役と元、立場は違えど“看護師作家”であるおふたりに、看護師あるあるから創作姿勢までじっくり語り合っていただきました。
──前川さんは現役の看護師、秋谷さんは元看護師だそうですね。
秋谷:前川さんはフルタイムで働いていらっしゃるんですよね。夜勤もあって、リーダー業務もある。そのうえ、小説も執筆されているというのが信じられなくて。どうやって生活されているんですか?
前川:シフトによっては夜勤明けの休みもあるので、そういった時間を有効に使っています。もちろん眠い時、疲れている時もありますけど、基本的に毎日書いていますね。ただ、『臨床のスピカ』の改稿時に、短編ふたつとエッセイが重なって意識を失うかと思いました(笑)。少し執筆本数を絞ろうかなとは思っています。
秋谷:私も以前はフルタイムで看護師の仕事をしていたので、勤務の実態がわかります。だからこそ、「あの激務でさらに小説を書くの?」と驚いてしまって。定時で帰れるわけはありませんし、医療は常に進化していくので勉強もしなければなりません。ただでさえ肉体的・精神的疲労が重いのに、帰宅してからあのクオリティの作品を書いていらっしゃるわけですよね。ちゃんと寝てらっしゃるのかな、お食事は摂っていらっしゃるかなと心配になります。
前川:自分の場合、1年に1作くらいですから。確かに大変ですけど、皆さんが想像するほどではないんです。通勤に1時間くらいかかるので、その間に資料も読めますし。
──前川さんの職場の方は、前川さんが作家であることをご存知なのでしょうか。締め切りが近い時は夜勤を減らすなど、融通はつけられますか?
前川:副業禁止なので、許可をいただいたうえで活動しています。でも、シフトの融通はきかないですね。秋谷さんはわかっていただけると思いますけど、勤務時間もバラバラじゃないですか。
秋谷:5連勤が終わったあとに続けて夜勤が入ると、「殺す気か!」と思いますよね(笑)。
前川:シフト次第では「詰んだ……」と思うことも。その恐怖があるので、比較的余裕のある時期にバーッと書いてしまうこともあります。秋谷さんは、現在は退職されているんですよね。どういうペースで書いていますか?
秋谷:私は仕事を辞めて、専業主婦になってから小説を書き始めました。受賞作はもともと短編で、文庫化するには10万字くらい増やしてほしいと言われて。編集者さんに支えていただきながら、2ヵ月くらいで10万字増やしました。
前川:え、大変でしたね!
秋谷:その間は、朝から晩までずっと書いていました。続編が11月に発売されるのですが、それも2ヵ月くらいで書きました。
前川:それはすごい。
秋谷:私の場合、他に仕事をしていないですから。主婦を名乗るのもおこがましいぐらいで、執筆中は食事も冷凍食品やUber Eatsに頼っていました。午前中からバーッと書いて、お昼ご飯を食べたら夕飯の準備までまた書いて、食後も寝るまで書き続ける。短期集中型です。
前川:自分の場合、看護師の仕事が入ってくるので、執筆に入る前にあらかじめ作っておいたプレイリストを聴いて気持ちを切り替えているんです。秋谷さんもそういうことをしていますか?
秋谷:デビュー時にお世話になった新川帆立さんもプレイリストを作っているそうで、私も執筆スイッチを入れる時に音楽を聴くようになりました。編集者さんから『千と千尋の神隠し』のテーマ曲「いつも何度でも」を聴くと、私のデビュー作の雰囲気が伝わってくると言われ、あの曲を聴いてから書くようにしています。
前川:自分は章ごとに曲を決めているんです。今までの作品もそうですが、『臨床のスピカ』の時はあえて暗い曲ばかり聴いていました。
秋谷:わかる気がします。私も気持ちを高めて書くというよりは、鎮めて書くっていう感覚なんです。
──秋谷さんの『ナースの卯月に視えるもの』には、勤務が終わる前に「今日は平和だね」と言うと病棟が荒れる、手術室勤務のナースは病棟勤務に比べて髪色やメイクが派手など、看護師あるあるが詰まっていました。作中には描き切れなかった看護師あるあるはありますか?
秋谷:怪談っぽい体験はありますよね。
前川:普通にあります。
秋谷:誰もいない部屋からナースコールが聴こえたり、お亡くなりになった方の声を複数の看護師が同時に聴いて「呼ばれたと思ったけど、あの方はもう亡くなっていたね」となったり。
前川:いつも特徴的な服を着ている方が亡くなったあと、次にその病床に入った方が部屋の隅でその方が座っているのを見た、とか。
──怖くはないんですか?
前川:少なからず関わりのあった患者さんなので、そこまで怖くないです。それに、「怖いから帰ります」とは言えませんから(笑)。
秋谷:幽霊よりも、生きている患者さんの急変のほうが怖いです(笑)。
前川:ほんと、そうです。
──看護師さんって動じないですよね。
秋谷:そうならざるを得ないんでしょうね。私の場合、白衣を着ている時だけシャキッとしてたいていのことに動じなくなります。東日本大震災の時に関東の病院に勤務していましたが、杖歩行の患者さんと車椅子の患者さんを必死に守って。でも、家に帰ってからすごく怖くなりました。白衣を着るとスイッチが入るんだと思います。
前川:確かにスイッチは入りますよね。でも、気が張る分、ストレスが溜まっている人も多くないですか?
秋谷:それはありますね。私が20代の頃なんか、周りの看護師はほとんど喫煙者でした。お酒を飲む方も多いですよね。
前川:多いです。新人の頃は翌日が日勤でも朝4時ぐらいまで飲んでいました。自分の健康は後回しになりますよね。
秋谷:わかります!
前川:自分で勝手にアセスメントして、都合のいいように解釈してました(笑)。
秋谷:心当たりしかないです。あと、弱音を吐くのが苦手な人も多い気がして。自分は患者さんの相談に乗るのに、自分の悩みは自分で解決しようとする。
前川:患者さんに言ってることが、そっくりそのまま自分に当てはまるんですよね。
秋谷:そう。患者さんに言ったことを自分で実行できればいいのに。なかなかできないんです。
前川:秋谷さんは、ずっと精神科に勤めていらしたそうですね。『ナースの卯月に視えるもの』には精神科疾患があまり出てきませんが、あえて避けたんですか?
秋谷:はい。精神科疾患はデリケートですし、書くのが難しくて。私の能力が未熟なので、まだ書けないという自覚があり、あまり触れませんでした。
前川:自分は、特殊清掃に関する小説でデビューしたのですが、当時は変に尖っていて「医療系のことは絶対書かないでおこう」と思っていました。秋谷さんはそういうわけではなかったんですね。
秋谷:そうですね。医療ものでデビューしましたが、実は他にもいろいろ書いていました。看護師の経験があるから絶対医療が書きたいというわけでもなかったですし、逆に避けるつもりもなかったです。
前川:卯月には、患者さんが心残りに関わる人物が「思い残し」として見えますよね。その人が、ただそこにいるだけというのがいいなと思ったんです。なにか喋ったり、卯月の行動に干渉したりするわけではないし、卯月が主体的に関わってもいいし関わらなくてもいい。それがキャラクターの葛藤をより深めているような気がしました。主人公の卯月は看護師ですが、秋谷さんご自身と重ねて書きましたか?
秋谷:私はあんなに優しくないので、私の中の優しいところだけを全部集めたら卯月になった、という感じです(笑)。というより、登場人物全員に私のいろいろな面を分担してもらい、代弁してもらったというほうが近いかな。ただ、私の看護観は卯月に反映されていると思います。
前川:なるほど。自分が共感したのは「まわりは助言し、サポートするだけ」「看護師は、ほんの少しだけ肩を貸す程度のサポートしかできない」という卯月の考え方でした。個人的には、患者さんに行動変容を押し付けるのも良くないと思っていて。もちろん助言はしますが、本人の回復の兆しを待つ。その姿勢に、看護師として共感しました。
秋谷:看護とは、患者さんがご自身で快復するお手伝いをすることだと思うんです。人を変えることはできませんし、看護の押し付けになるのも良くない気がして。大事なのは、患者さんご自身が何を思い、どう生きていきたいのか。それに対して、看護師はそっと手を貸してお手伝いするだけ。そういう看護観が表れているのだと思います。
──それは、秋谷さんが精神科勤務だったことも関係していますか?
秋谷:それはあるかもしれません。精神科以外の患者さんは「治りたい」「元気になりたい」と思って入院していらっしゃる方が大多数です。ですが、精神科の患者さんは自分がご病気だという自覚がない方も多く、ご自身が希望したわけではないのに入院される方もいらっしゃいます。そういった中で「いや、あなたは病気なんです。元気になるよう頑張りましょう」と患者さんを変えようとするのは違うのかなと思って。病気と向き合うのは、あくまでも患者さんご自身。中には、ずっと付き合わなければならない病気もあります。患者さんを変えるのではなく、「変わりたい」と思う患者さんに寄り添えるのが一番いいのかなと思います。
前川:自分も、秋谷さんの思いと似ています。臨床の現場では、サポートをしつつも待つこと、寄り添うことが重要です。その思いは、『臨床のスピカ』にも無意識のうちに込められているのではないかと思います。精神科では患者さんのお話を傾聴することが大事ですが、コロナ禍ではそれが難しくて。でも、ただ無言で傍にいることもケアのひとつなんだとあらためて実感したんです。スピカは犬なので採血などは当然できませんが、つらい時に寄り添ってくれるだけで救われることはある。コロナ禍を経て、そう思いました。
秋谷:『臨床のスピカ』に限らず、前川さんは光だけでなく闇にも真正面から向き合ってお書きになりますよね。きれいごとだけでなく、目を背けたくなるような現実もしっかり書いています。それなのに読後感はとても良くて、希望が感じられるんです。作家さんとしても人間としても、闇をも見据える目をお持ちなんだろうなと思って。やっぱり「きれいごとにはしたくない」という思いがあるのでしょうか。
前川:単純に、自分はつらいテーマから入ったほうが筆が進むんですよね。『臨床のスピカ』も、パッと見は犬と人間のハートフルな物語に映るかもしれませんが、それはどうしても避けたかった。しっかり現実を描きつつ、でも読者の方に少しでも希望が残ればいいなと思いました。ちなみに、秋谷さんは執筆前にきちんとプロットを書きますか?自分はまったく書かないんですけど。
秋谷:え、プロットなし派ですか!私はプロットがないと書けないタイプです。まずメインテーマを考え、「このテーマだったらどういう主人公に語らせるのが一番いいかな」と主人公を決め、そこから周りの人物を考えて登場人物表を書いていきます。外見や性格はもちろん、作中には出てこないような趣味や出身地まで細かく設定して、そこからプロットを書いていくんです。結末まで決まっていないと、心配で書き出せないんですよね。
前川:すごいですね。
秋谷:それに、人物表を横に置いて書くので、出身地が近い登場人物がいたら故郷の話題が出たり、お土産はこれかなと考えられたりします。行動に一貫性が出るんですよね。プロットを書かない方は、頭の中でこうした作業をしているかもしれない。
前川:確かに、取材や資料の下調べはしっかりするので、無の状態から書き始めることはないですね。ただ、各章のテーマは決めても、書く直前までそれ以上のことは考えていないんです。よく作家さんが「キャラクターが勝手に動き出す」と言いますけど、そういう感覚もなくて。秋谷さんはいかがですか?
秋谷:勝手に動き出すというほどではないですが、書いてる途中に「あ、この人はこういう人だったんだ」とわかったり、最初はそれほど登場しない予定だった人が活躍したりすることはあります。前川さんは、当初思い描いていたものから大きく変わることはありますか?
前川:自分が小説を書く時、メインテーマのほかに裏テーマを必ず入れるんです。『臨床のスピカ』だったら、表のテーマは“動物介在療法”ですが、裏テーマは“人と人との距離”。この裏テーマは、書きながら気づいたことでした。書いている途中で、「あ、このことを書きたかったのか」と腑に落ちました。
秋谷:表のテーマが実際に書いてあることだとしたら、裏テーマは読者に感じ取っていただくことなんですね。
前川:そうですね。あと、最近は主人公やキーパーソンの目線で物語を書いていきたいという思いが強くなっています。客観的に見れば不健全だと思われることでも、当人にとっては救いや光になることってありますよね。そういう目線で書きたくて。
秋谷:だからでしょうか、前川さんは人物や物事の描き方が多面的ですよね。どの作品も、「愛があれば大丈夫」みたいな終わり方をしないのが素晴らしいと思って。一般的には「愛があれば大丈夫」で収めたほうが健全かもしれませんが、当人にとってそれでいいのかと突き詰めて考えると、そうではないことも多いはず。今のお話を伺って、納得しました。
前川:それと同時に、読者のことも考えるようにしています。自分の小説は、マイノリティの人たちを描くことが多いので、顔も知らない多くの人よりも当事者に向けて救いになる話を書けたら、と。秋谷さんは、誰かに向けて書いているという意識はありますか?
秋谷:実を言えば、デビューするまでは、自分の書いたものの先に読者がいるという感覚が薄くて。私はWebメディア「note」で小説を発表していたので、フォロワーさんが喜んでくださればいいなと思って、狭い範囲で楽しんでいたんです。でも、デビューした時に、あらためて自分が書いたものがこんなにも多くの方々に読まれるのかと気づき、ある種の怖さも感じました。そこで初めて、読者を意識するようになりましたね。
とはいえ、誰ひとり不快にしない表現なんて絶対にあり得ません。それでも、読んでくださった方に少しでも「読んでよかったな」と思っていただける小説を書けたら、と。しかも、私のフォロワーさんでもお友達でもない方にも、「読んでよかった」と思っていただけたら。今になって、ようやくそう思えるようになりました。
──秋谷さんは、2024年11月6日に『ナースの卯月に視えるもの』の続編『ナースの卯月に視えるもの2 絆をつなぐ』を刊行するそうです。医療以外のジャンルに挑戦したいという気持ちはありますか?
秋谷:そうですね。ただ、医療ものでデビューしたので、しばらくはこのジャンルを書きたいと思います。『ナースの卯月に視えるもの』シリーズのほかに、自分の過去を振り返り、看護学生を主人公にした話なんかも書けたらいいなと思います。また、先ほど前川さんからご指摘があったように、私は精神科での勤務経験がありながら精神科に特化した小説を書いていません。しっかり向き合えるような力がついたら、ぜひ挑戦したいと思います。
新川帆立さんにも「医療ものではないジャンルに挑戦したくなった時はどうしたらいいでしょう」と相談したのですが、「急に違うジャンルのものを出すと読者さんもびっくりしちゃうから、少しずつずらしていくといいよ」とアドバイスをいただきました。例えば医療ものにミステリーを取り入れたり、看護師ではなく介護の話にしたりと“ちょいずらし”をしながら、作品の幅を広げられたらと思います。
──前川さんは、今後どんなテーマを書いてみたいですか?
前川:長編はすでにいくつか決まっています。近代と現代を交互に行き来する作品、KADOKAWAの『小説 野性時代』で不定期連載しているジェンダー外来に関する作品、ある事件に着想を得た作品などを予定しています。
自分の既刊を振り返ると、誰かの肉体的・精神的な痛みについて書いていることが多いんですよね。多分、看護師にならなければ、ここまで痛みに関するストーリーにはならなかったと思います。痛みを乗り越える、回復する過程を描きたいというよりは、折り合いをつけながら生きていく。その時に発せられる当事者の細やかかもしれないけれど、確かな煌めきを描きたいような気がします。
また、精神障害者の方々と関わっていると、その背景に社会的問題が透けて見えることがあります。例えばヤングケアラー、貧困、虐待、孤立、ある種の生きづらさ、マイノリティの置かれた境遇や立場。歴史的に見ても、精神障害者は差別や偏見に晒されてきました。もちろん自分の書いた小説を多くの人に読んでもらいたい気持ちはありますが、内容は今後もマイノリティな人々に向けた物語になると思います。
1986年生まれ、宮城県出身。看護師として働くかたわら、小説を書き始め、2017年『跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング』で、第7回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2019年刊行『シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎』は第22回大藪春彦賞の候補となる。2023年刊行『藍色時刻の君たちは』で第14回山田風太郎賞を受賞。その他の著書に『セゾン・サンカンシオン』がある。
医療現場において動物、特に犬が医療従事者として治療計画の一部(例えば、投薬の場面、終末期の患者のケアなど)を担う動物介在療法をテーマに、現役看護師の著者が描く希望の物語。
動物介在療法に携わる犬のスピカと、そのハンドラーの凪川遥が、横紋筋肉腫を患った5歳児、強迫性障害を抱える中学生、産後うつの患者や家族たちと向き合う。それは、凪川自身の内面にも変化を起こし、やがて大きな決断をすることに。
動物介在療法を知るきっかけとなった同期との出会いとその後、育児放棄をした母とのこれから。
犬と人との関係を通じ、人と人との心地よい距離と自分自身のありようを見つめ直していく。
命の現場を舞台に、現役看護師の著者が描く希望の物語。
1980年神奈川県生まれ。横浜市立大学看護短期大学部(現・医学部看護学科)卒業後、看護師として10年以上病棟勤務。退職後、メディアプラットフォーム「note」で小説やエッセイを発表。2023年、「ナースの卯月に視えるもの」がnote主催の「創作大賞2023」で「別冊文藝春秋賞」を受賞。本作がデビュー作となる。
創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作。「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」と、作家・新川帆立さんが絶賛。
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった──。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
『三千円の使いかた』の著書・原田ひ香さんと、『ポップ・ラッキー・ポトラッチ』の感想や小説の書き方についてうかがいました。
『左目に映る星』『求めよ、さらば』などの奥田亜希子さんに、執筆の背景などを伺いました。