30代になってやっとわかったよ…!『セックス・アンド・ザ・シティ』でずしりと響いた言葉10選
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30代になってやっとわかったよ…!『セックス・アンド・ザ・シティ』でずしりと響いた言葉10選

2025.05.19 12:00

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  • セックス・アンド・ザ・シティ シーズン1
  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン5 エピソード6
  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード4
  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード8
  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード9

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筆者が大学生だった2008年、映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』(以下、SATC)が劇場公開された。それも影響してか、なぜか友人たちとの間でドラマ版「SATC」が大流行。サマンサのワイルドさを酒の肴にガハガハ馬鹿笑いしていたことをよく覚えている。

それから約15年後、数年間マイリストに入れっぱなしだった続編ドラマ『AND JUST LIKE THAT...』を観るために、「SATC」を再視聴。すると、若い頃に観た時とは全く異なる感情が溢れ出した。当時は「異国の女性たちの刺激的な♡性生活♡を明るく楽しく描いた作品」という印象だったのだが、こんなにも身近に感じる内容で、こんなにも哀愁漂う作品だったとは……。

20代には“自分ごと”ではなかったトピックスが、30代にとっては“あるある”のオンパレードで、各登場人物の感情をより深く理解できるようになった分、彼女たちの言動ひとつひとつがずしりと響く。特に、キャリーが綴る“心の声”はかなり鋭く、的を射ているものばかり。あの頃は右から左へと受け流していた描写の数々に、これまで経験した苦味が想起され、脳内共鳴起こしまくり。今回はそんな“心の声”を一部、紹介したいと思う。

人生には人の幸せを喜べない事がある。親しいほど喜べないのが特にこれ。臨月のお祝いだ。(シーズン1 エピソード10)

セックス・アンド・ザ・シティ シーズン1
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この回は、キャリー、ミランダ、シャーロット、サマンサの4人が、友人レイニーの臨月のお祝いに参加する、というもの。その招待状を受け取った際、キャリーは心の中でこう呟く。

「人生には人の幸せを喜べない事がある。宝クジに当たった事。27歳で大成功した事。親しいほど喜べないのが特にこれ。臨月のお祝い(ベビーシャワー)だ」

関係性の薄い知人が妊娠・出産したならば、まだ「へ〜」だけで済む。だが、身近な友人や家族などが出産を控えているとわかったら、祝福しつつも、その人物が一変してしまうことへの寂しさ、そして「自分はいつなのか」という焦り、「でも実際そうなったらどうするのか」という恐れが生じる。その複雑な感情が集約されているのがこの台詞だと思う。決して口にはできないけれど……。

迷うのは正しくないから?まだ早すぎるから?いつが正しいとどうすればわかる?(シーズン4 エピソード12)

エイダンがプロポーズを準備していると密かに知るキャリー。肉体的に拒絶反応が出てしまい、人生のタイミングについてこう考える。

「正しいかどうかはわかるもの?何か合図でもある?花火とか。心地よく感じると正しいの?それとも、その反対?迷うのは正しくないから?まだ早すぎるから?いつが正しいとどうすればわかる?」

誰といつ結婚するのが良いのか、そもそも自分は結婚を望んでいるのか、将来子供を作るのかどうするのか……。これらの問いは、正解も不正解もないと頭でわかっていても、心はなかなか諦めてくれない。その堂々巡りの思考に、共感を覚えてしまう。

人の欲望は尽きない。恋愛にも言える。相手を見つけた途端に独身生活が惜しくなる。(シーズン4 エピソード14)

エイダンとの同棲生活に慣れて少々物足りなさを感じるようになり、友人たちとゲイクラブへ繰り出したキャリー。そこで出会った同性愛者オリバーと仲良くなり、良き夜遊びバディに。そこで流れる“心の声”が、これ。

「人の欲望は尽きない。恋愛にも言える。相手を見つけた途端に独身生活が惜しくなる。友人たちと騒ぐ日々が終わるのかと思うと、また騒ぎたくなるのだ。男ができたら落ち着くべきか。1人にすべてを期待するなとオリバーは言った。複数の人から違う物を得るのだと。でも興味が違いすぎると寝室も別になる。恋人のために、独身時代の欲望を抑えるべきだろうか」

まさに、“隣の芝生は青い”。独り身だと愛する者のいない寂しさに絶望することもあるというのに、いざ身を固めると全てを放り出してまで自由気ままさを味わい尽くしたくなる。どのように折り合いをつけるのか、非常に難しい問題である。

資産と呼べる物は1つもない。豊富な人生経験は評価の対象にはならないのか。(シーズン4 エピソード16)

エイダンと婚約破棄し、彼の所有物となっていたマンションから立ち退かざるを得なくなったキャリー。自身を経済的な観点から見つめ直すシーンが、非常に切ない。

「35歳で独身。資産と呼べる物は1つもない。豊富な人生経験は評価の対象にはならないのか。失恋や別離ほどつらいものはない。必死にそれに耐えているのに、目に見える財産がない者は自分が無価値に思える。またもや失恋に終わった関係の跡には、心の傷と、ある疑問が残る。何か得られたか」

キャリーの金銭感覚が少々狂っているというのはさておき、彼女の意見には心の底から同意する。たくさん傷つき、乗り越え、人間力が上がったと自負していても、それらが可視されることはなく、あまりの報われなさで時に落ち込む。そろそろ、誰か経験値に比例したボーナスをくれても良いのでは、と叶わぬ望みが頭をよぎる。

保湿液で肌を潤すよう悲観主義で自分を守る。そうしないと現実に心を打ちのめされた時、立ち直れなくなる。(シーズン5 エピソード2)

キャリーはコラムの書籍化にあたり、楽観主義なのか悲観主義なのかを明らかにした上で、独身女性たちへのメッセージ文を綴ってほしいという要望を受ける。そこでこのように考えを巡らせる。

「私たちは痛みを糧にし始めていた。“信じる心”について考えた。30歳を過ぎても楽観主義は賢明ではないのか。保湿液で肌を潤すよう悲観主義で自分を守る。そうしないと現実に心を打ちのめされた時、立ち直れなくなる。希望は悪いドラッグか、生きる支えなのか。信じることは害なのか?」

様々な経験を重ねると、ある程度のことが予測立てられるようになる。「どうせ断られるはず」「きっと負けるだろう」とはなから期待せずにいれば、最小のダメージで済む。それでも、信じる気持ちを捨てたくない自分もどこかにいたりする。その揺らぐ気持ちは一生続くのだろうな、と思わされる言葉だ。

⑥いつだって、誰かに悪く言われてるかもしれない。大切なのは、自分の批評。(シーズン5 エピソード6)

『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン5 エピソード6
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キャリーは、コラム本の書評の辛辣さに落ち込んでいた矢先、エイダンの元恋人ニナから悪評を広められていると知り、ショックを受ける。しばらくの間、誰にどこで何を言われているのかと恐れるようになるが、ニナに直接モノ申した後、ふと気づく。

「私が最も恐れていたのは彼女の批評じゃなかった。自分自身のだ」「いつだって、誰かに悪く言われてるかもしれない。大切なのは、自分の批評」

気弱でいると周りのネガティブな意見に引っ張られがちだが、そもそも第三者に全てを理解してもらうことなんて不可能だ。自分が納得していれば、野次なんて何てことないはず。キャリーが見つけたこの真実は、当たり前かもしれないが、それでもなお勇気をもらえる。

“愛してる”と言うのは簡単。その次がエネルギーを要する。(シーズン6 エピソード4)

『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード4
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バーガーとの交際が順調で、愛の言葉も告げられてご機嫌のキャリー。しかし、バーガーの執筆本における違和感を指摘したことで喧嘩に。そこで、キャリーは内省する。

「メスのゴリラが恋するとオスのシラミを取り始めるそうだ。しかし人間がシラミを取ると、関係そのものがダメになる。女は口数が多いと言うが、建設的な批判が恋を壊すのはどういう時?黙ったほうがいい時はあるのか?」

後日、喧嘩の根本的な原因がバーガーの自己卑下だったと判明。そんな彼の側面をキャリーが受け入れ、2人は仲直りする。結びは、キャリーのこの言葉だ。

「“愛してる”と言うのは簡単。その次がエネルギーを要する」

素敵な人と出会い結ばれハイ終わり、ならどれだけ楽だろうか。互いにメッキが剥がれてからが本試合なんだよなぁ……、とあらゆる出来事を回想してしまう。

人生に安全ネットはない。いつ楽しむのをやめて怖がりになった?(シーズン6 エピソード8)

『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード8
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キャリーは仕事の体験取材で空中ブランコにハマるも、どうしても手を離す技に挑戦できない。ちょうどその頃、シャーロットの恋人ハリーから、2人の結婚式のために遠方からやってきたという親友のハウイーを紹介される。期限付きのカジュアル交際に尻込みするが、親友たちに背中を押され、一歩踏み出すことに決める。

「若い頃は、楽しいことだけ追いかけた。でも成長すると慎重に。ケガを恐れるから。受け止める人がいないと飛ぶのをやめる時もある。人生に安全ネットはない。いつ楽しむのをやめて怖がりになった?たまには恐怖を克服し思い切り楽しもう」

10代・20代を振り返ると、スケジュール帳は毎日予定でびっしり埋まっていた。でも30代後半の今、とにかく無理せず平穏に過ごすことに重きを置いてしまっている。だから筆者は、この言葉に非常にギクリとさせられた。今年は“守り”の姿勢から脱却したい。

認め合いは子供じみた行為?そもそも存在するのか?いつから互いの自由を認めなくなった?(シーズン6 エピソード9)

『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード9
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友人キラの出産祝いパーティーへ出かけたキャリー。玄関で靴を脱いでほしいと言われて従うが、帰宅時、他の出席者に靴を盗まれたことが発覚。大切にしていた靴だったため、キラに弁償してほしいとお願いする。だが彼女は、独身で経済的に自由を謳歌するキャリーに対し、“本物の人生”を生きておらず、“たかが靴のために私がお金を出す必要はない”と、浪費癖を指摘。当然、キャリーは悶々とする。

「マーロ・トーマスは、互いの違いを認め合おうと歌った。でも年を取るとそれぞれ違う歌を歌う。お互いの選択をたたえ合わず評価する。認め合いは子供じみた行為?そもそも存在するのか?いつから互いの自由を認めなくなった?」

古くからの友人であるほど、各々のライフステージが変わることで考え方のズレは顕著になる。多少カチンとくることがあっても、一息ついて相手の立場で考えてから行動に移すのがお互いに賢明。……そう理解はしていても、感情をコントロールするのはなかなか難しいものだ。

その日、愛について考えた。エキゾチックな世界への扉。懐かしいもの。問いかけを生むもの。思いがけない世界。想像もしなかった進展。自分を取り戻すもの。でも一番エキサイティングですばらしい愛は、自分への愛と、自分を愛してくれる人への愛。それこそが恋愛の醍醐味。(シーズン6 エピソード20)

『セックス・アンド・ザ・シティ』シーズン6 エピソード20
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この言葉は、共感云々というよりも、ドラマ版「SATC」のエンディングの美しさを皆さんと共有したいと思ったから選んだ。今回の原稿を書こうと決めてから複数回にわたって全エピソードを再視聴したのだが、そのたびに、シーズン6のエピソード16辺りから眼中水分量の増加で視界がぼやけ始め、エピソード19、20でボロッボロと大粒の涙が止まらなくなり、ティッシュの山を完成させていた。

シリーズを通して描かれ続けた4人の熱き友情と、自分を愛することの大切さ、そして彼女たちが山あり谷ありでパートナーたちと築き上げた強い絆が頭の中を駆け巡り、感情が溢れ出してしまう。「SATC」は、永遠に色褪せない。何度傷ついても、臆病になっても、真の愛を追い求め、全力で恋愛したキャリーの最後の言葉を、その前のあらすじから一緒にどうぞ。

すべてを捨ててパリに来たのに、アレクサンドルに放置され続け、遂に限界突破したキャリー。振り回されて心が擦り減っても互いの存在なしでは生きられないほどの愛が欲しい、と感情をぶちまけ、彼のもとを立ち去る。そこに、自身が本当に望んでいた愛=ビッグが姿を現し、泣き崩れる。約6年間の紆余曲折を経て、遂にビッグと結ばれたキャリー。パワフルで多幸感あふれるダンスナンバー「You Got the Love」をBGMに、キャリーのナレーションで物語は閉じる。

「その日、愛について考えた。エキゾチックな世界への扉。懐かしいもの。問いかけを生むもの。思いがけない世界。想像もしなかった進展。自分を取り戻すもの。でも一番エキサイティングですばらしい愛は、自分への愛と、自分を愛してくれる人への愛。それこそが恋愛の醍醐味」


「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズの視聴はこちらから

『AND JUST LIKE THAT... シーズン3 / セックス・アンド・ザ・シティ新章』

配信開始日:2025年5月30日(金)10:00~ ※以降、毎週金曜に週次配信

エピソード数:全12話

配信開始前、または配信終了しています。

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