難しい挑戦に挑んだ人間ドキュメンタリー——『Uncle Bomb お笑い単独ライブへの道』浪川大輔さん&吉野裕行さんインタビュー
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難しい挑戦に挑んだ人間ドキュメンタリー——『Uncle Bomb お笑い単独ライブへの道』浪川大輔さん&吉野裕行さんインタビュー

Kiramuneレーベルに所属する声優、浪川大輔と吉野裕行の2名で結成されたエンターテインメントユニット「Uncle Bomb」。『Uncle Bomb お笑い単独ライブへの道』は、彼らが芸人先生・おおかわら(鬼ヶ島)にレクチャーを受けながら、声優初の「お笑い単独ライブ」を成功(?)させるまでを追った人間ドキュメント番組です。2022年12月24日に配信がスタート。お笑いライブも無事終わった2023年5月、改めてすべてを披露し終えた感想を伺いました。

普通なら怒る?まったくの予想外で始まった「お笑いライブ」

——2023年3月20日に最終話の配信が始まりました。全9話が配信中の現在の心境をお聞かせ下さい。

浪川:改めて振り返ると、すごく挑戦的な企画だったことを含めて、なんとか形になってよかったというのが率直な気持ちです。どうなるのか分からなかったし、無事配信が終わってホッとしています。

吉野:収録は結構前だから、忘れちゃった部分もあるけれど(笑)。でも、できあがったものはチェックして大丈夫だと思ったし、自分がやったことに関しては「見たまんま、この通りです!」って感じだよね?

浪川:本当に「番組の通りです」という感じです。あるがままが流れていた番組なので(笑)。

吉野:ご覧になっていただいたあの内容がすべてです(笑)。

浪川:映っていたものがすべて、あれはドキュメンタリーだよね?

吉野:ドキュメンタリーだし、番組の中での反応で企画をどう受け止めたとか分かってもらえると思います。バラエティ的なコンテンツ作りをしたいと話していたことが、なぜかお笑いをやることになったっていう…。なんでこうなったのかな、本当に(笑)。

浪川:普通の人だったら怒ると思うんですよね。

吉野:そうだと思う。でも、浪川さんは割とテレビ的なことに慣れているし、バラエティ対応がすごいできるから成立するけれど。普通だったらみんなやらないと思う。

浪川:いや、吉野さんもちょっといい意味でネジが外れている部分があって「面白いならやるよ!」っていうタイプだからできたのかと。僕のことをバラエティ対応ができるとかよく言ってくれるけど、僕の中には「吉野さんと一緒ならできるだろう」という自信のようなものもあって。もちろん「やるしかない」というのもあったけど(笑)。性格は真逆な部分も多いのに、お互いに練習好きだったり、心配性だったりという共通点があって乗り越えられるというのはあるかなって思っています。

吉野:でも、何かやりたいとは話したけれど、まさかお笑いをやるとは思ってなかったです。2人とも大人なので「お笑いライブをやってもらいます」と言われたら「やります」とはなるけれど…。

浪川:確かに面白いことをやりたいとは伝えたけれど、レーベルがこの話を持ってくるってちょっとバカなのかなって思ったよね(笑)。

吉野:思うよ、普通は。

浪川:言いたい放題だけど、大丈夫かな?

吉野:ちゃんと受け入れたから大丈夫でしょ。そう思ったんだから仕方ない(笑)。

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——お笑いライブに向けて真剣に取り組むおふたりの姿に、SNSには「生で観たかった」「見応えがあった」というコメントもありました。番組への反応をどのように受け止めていらっしゃいますか?

浪川:今回はお笑いの先生・おおかわらさんがいらっしゃったので、プロの力をお借りして、信じて、お笑いに関しては素人の僕たちができる面白いものを目指してやるだけでした。真剣に向き合わなければ面白いものにはならないと思ったので。ライブ会場を芸人さんたちの聖地とも言われる小劇場にしたのも、我々としてはちゃんと筋が通ってると思いましたし、いつも僕たちUncle Bombを応援してくれる方を招待できて良かったです。

「なんか面白いことをやってるな」とか「もっと観たい」という声はありがたいですし、もし、お見せするチャンスがあるなら、もっとクオリティをあげたいという話は吉野さんともすでにしています。

吉野:ライブはUncle Bombのファンの方を招待しているし、番組を観てくださったのも基本的にはUncle Bombを観たい方たちがほとんどだと思うんです。たまたま番組を知って観てくださった方がいたとするならば、ラッキーくらいの気持ちでいます。だから「もっと観たい」という声に対して「次はこんなお笑いを見せたい!」という考えにはならないです。その理由はまだそのクオリティには達していないから。日頃から応援してくれる方、いわば身内のような方たちだから許されるものであって、まっとうなお笑いとしては通用しないものなので。もちろん、今回はおおかわらさんの指導もあって、ちゃんとした台本を作り、しっかり練習もして披露したものですが、芸人さんのやっているものとは到底、レベルが違います。最低でも10倍は稽古をしないとダメかなと思っています。

浪川:プロの力も借りてしっかり作ったし、練習もかなりやったけれど、芸人さんのやっているお笑いとは別物。でも、せっかく経験したのだからキラフェスの途中でやるなど、見せ方を考えながら、Uncle Bombのひとつの武器になればいいなとは思っています。

吉野:そういうのはありだよね。僕たちがやっているのは少し生っぽすぎる部分が残っていて、当たり前だけど芸人さんのお笑いとは違うなって実感しました。(お笑いって)限りなく段取りが大事だから、最終的には反復練習で体に叩き込む必要があって、声優の仕事よりも舞台に近いと思いました。

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実体験に勝るものはない。挑戦して改めて知ったお笑いの難しさ

——お笑いライブに挑戦する前と後では、「お笑い」に対するイメージの変化はありましたか?

吉野:実体験に勝ることはないということを改めて知りました。頭では「お笑いは難しい」って分かっているけれど、それは頭で分かっている「つもり」なだけ。実は最近、お笑い以外にも挑戦をしたことがあって、そこでも経験に勝るものはないと実感しました。頭で分かっているが1だとすると、経験すると10は分かるはず。それくらいの違いはあると思っています。

浪川:お笑いの難しさは、果てしないものだと思いました。でも難しいことに挑戦したからこそ言えるのは、やっぱり何事も真剣にやることが大事。お笑いに限らず、どんなことでも本気の姿だからこそ、楽しいと感じてくれたり、面白いと笑ってもらえると思うんです。そこは最後までブレずにできたと思っています。吉野さんが言ったように、難しいことは分かっていたつもりだけど、思っていた以上に大変だったというのは実感としてあります。まさに、やってみないと分からないと思いました。

——お笑いの難しさに触れる中で、お互いのお笑いのセンスについてはどのように感じましたか?

浪川:吉野さんのお笑いのセンスは、いつも感じています。動きひとつをとっても、全然台本通りじゃないから想像がつきません。番組ではツッコミとボケの話し合いの回もありましたが、僕がツッコミで本当に良かったです。吉野さんのボケは頭がイカれている人じゃないとできないと思っています(笑)。でも、あのボケにすごく助けられました。

吉野:浪川さんは、ちゃんと拾ってくれるんです。見逃さないから、何をやっても問題ないから安心して何でもやれる(笑)。本番で多少違うことが起きても、心配する必要がないんです。浪川さんはボケもツッコミもとんでもなくできる人。ちゃんと見ているし、見たことを活かせるから本当にすごいと思います。それができる人ってなかなかいないかな。

浪川:褒めてくれるのはうれしいけれど、吉野さんはLINEのやりとりでも、普通の会話でも、ボケまくってくるからツッコミが追いつかなくて。僕が気づかないと逆にツッコまれることもよくあります。つまりダメ出し(笑)。どんなときも気が抜けないことを番組を通じて学びました。

吉野:油断するなって感じでね。特に番組制作中はLINEも普段の会話もボケ多めだったかも(笑)。

浪川:吉野さんはお客さんにもツッコミますから。油断できません。

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——ちなみに普段、お笑い番組は観ますか?また、好きなお笑いのタイプはありますか?

吉野:浪川さんは結構好みとかあるよね?

浪川:僕は毎年元旦に「ぐるナイ!おもしろ荘」で気になる人をメモるくらいには好きです。

吉野:そんなこと普通はしないよ(笑)。

浪川:一発芸も好きだけど、ちょっとドラマ仕立てのお笑いが好きかもしれないです。ダチョウ倶楽部さんと共演させていただいた際に「アツアツおでん」や「ゴムパッチン」を生で見た時には本当に感動しました。セリフも動きもちゃんと計算されていて、本当に凄かったです。

吉野:そうそう。勢いでやったらいけないのを知ったよね。醤油飲んだらちゃんと怒られたし(笑)。

浪川:当たり前だよ(笑)。

吉野:僕は一時的にハマるものもあるけれど、好きなお笑いにはジャンルに一貫性はありません。お笑いの好きか嫌いかって、自分に合うか合わないかだから本当に難しいし、気分でも受け止め方は変わってくるものだから、何が好きなのか正直分かりません。上手だなって思う瞬間が楽しかったり、積み重ねたものが面白く見えたりするから、本当にそれぞれだなと思います。

挑戦する楽しさと、次に挑戦したいものとは

——「この歳になって新しいことを学ぶとは!」などと新しいことに挑戦する楽しさを実感しているようでした。芸人さんから「お笑い」を学び、単独ライブを経験した今、個人的に次に挑戦してみたいことはありますか?

浪川:これまでやってきた芝居も歌も繰り返しって思われるかもしれないけれど、僕にとっては毎回挑戦のようなもの。新たなことではないけれど、常にトライアル精神を持って一所懸命やっています。その積み重ねがあっての今なのかなって。

実際、今すでに歌も番組もお笑いもやらせてもらっているので、何か新しく挑戦したいことはもうサクサク出てこない気もします。いろいろとやらせてもらっているけれど、全部100点満点ではない。100点を取るために挑戦し続けているので、この繰り返しこそが僕にとって次の新たな挑戦だと思っています。

吉野:僕も何か特別なものはないです。ただ、何か新しいコンテンツを作るヒントになればいいなって、いろいろと気になることをメモするようにはしています。例えば、今、観ている昔のアニメでエンドロールのクレジットが違っているのを発見して。9話のクレジットは実は13話のものだったと分かった時に、なぜそうなったのかを考察するのにハマっていて。

浪川:質問は「挑戦したいこと」だけど、大丈夫?今、楽しんでいることじゃないけれど…。

吉野:この事象をヒントに、Uncle Bombのコンテンツができないかって考えてるって話だから大丈夫(笑)。実際に今回のお笑いも、与えられるチャンスというか、きっかけとかご縁があるわけでしょ?やるかやらないかは別として、「こんなのあったんだよね」みたいな話から次の何かに繋がることってあるし、思わぬところからやってくることもあるから、面白いと思うことはメモするようにしています。

——メモはUncle Bombの活動に活かすためというお話も出たところで。ユニットだからできること、ユニットだからできたと感じていることはありますか?

吉野:Uncle Bombの活動はすべて1人じゃないから成り立っていると思っています。

浪川:2人だからこの曲という発想もあるし、お笑いも「吉野さんとやるなら」という気持ちでできています。

吉野:本当にそう。2人なら一緒に頑張ってみようかなって思えるし、ちょっと負けてられないなという気持ちにもなるし。2人だからこそいろいろな感情のおかげで立っていられるのだと思います。今回のお笑いでは全く台本を覚えられなくて迷惑かけたけれど(笑)。

浪川:自然と2人でできるものを選択している気もするし、2人だからできたと後から気づくこともよくあります。1人だったら絶対無理だったなって。今回もそれは強く感じました。

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——番組エンディングテーマはお笑いライブ終了後にレコーディングした新曲「ひとつまみ」です。曲の印象やレコーディング裏話をお願いします!

浪川:Uncle Bomb史上、もっとも難しい歌になっています。ハモリとリズムが難しかったです。我々はシャッフルというリズムがあまり得意なほうではないので。言葉の持っていき方が非常に難しい曲でした。

吉野:喋りに近い感じの歌い方もなかなか難しく感じました。普段は上は浪川さん、下が僕と決めてハモるけれど、今回は上下が入れ替わり続けるパートがあってクロスしながら歌っていくのがややこしくて。歌うのが難しいと感じながらのレコーディングでした。

——現在Kiramune作品も多数配信されています。この番組で「Uncle Bomb」や「Kiramune」を知った方へオススメしたいKiramune作品はありますか?

浪川:吉野さんのライブ「HIROYUKI YOSHINO LIVE TOUR 2016 “DRAMATIC SURF COASTER”LIVE」とかいいんじゃないですか?

吉野:浪川さんが出ている「浪川大輔×柿原徹也×吉野裕行 Joint Live 2018 “VERSUS”」とか「READING LIVE「作るカノジョと僕らのテ」」もあるよ。

浪川:やっぱり「Kiramune Music Festival」とかが入りやすいと思います。

吉野:この番組を観て面白いと思ってくださったのなら、浪川さんや僕が出ている作品から入れば多少面白い可能性はあります。キラフェスだと浪川さんの謎のMCが見られるかもしれないって感じかな。

浪川:キラフェスとかだと歌ったり、トークしたり、朗読したり。声優ってこんなことをやっているんだなって思ってもらえるようなコンテンツにはなっています。

吉野:ただ、お笑いをやっているヤツはいません(笑)。

浪川:この番組を観てKiramune作品をチェックしたのに「お笑いやってないじゃん!」ってなる可能性はあるね(笑)。

Kiramuneロゴ
© Kiramune Project

※Kiramune作品はこちらからご確認いただけます。


<作品紹介>

Uncle Bomb お笑い単独ライブへの道
©U-NEXT

Uncle Bomb お笑い単独ライブへの道

Uncle Bombのもとに突然「お笑い単独ライブ開催決定」の知らせが舞い込む。戸惑う浪川大輔と吉野裕行が、お笑い単独ライブ開催に向け、芸人先生・おおかわらを迎えてコントのネタを練習開始。“声優あるある”をもとにネタ会議をするなど、成功を目指して奮闘していく。



<プロフィール>

Uncle Bomb_02
© Kiramune Project

浪川大輔
https://video.unext.jp/browse/credit/PER0073496/PRN0076987

4月2日生まれ。東京都出身。B型。子役時代から声優として活躍し、アニメから洋画の吹替えまで様々な役を演じる実力派声優。代表作は「スター・ウォーズ」シリーズのアナキン・スカイウォーカー役、「ルパン三世」シリーズの石川五ヱ門役等、多数。


吉野裕行
https://video.unext.jp/browse/credit/PER0084736/PRN0088739

2月6日生まれ。千葉県出身。B型。ハスキーがかった特徴的な声で、元気な少年役からクールな青年役まで幅広いキャラクターを演じ分ける確かな演技力で数多くの人気作に出演。 2013年8月、満を持してKiramuneよりCDデビューを果たす。


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