プロデューサーが振り返る2023年、『カンブリア宮殿』。変革の時代を勝ち抜くヒントを届けるベスト5 
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プロデューサーが振り返る2023年、『カンブリア宮殿』。変革の時代を勝ち抜くヒントを届けるベスト5 

時代が移り変わる中でも、18年にわたり根強い人気を誇る経済番組『カンブリア宮殿』。その時々の最先端のビジネスを企業のリーダーに取材することで紐解いてきました。

数年続いたコロナ禍が落ち着きを見せる一方、戦争などで世界情勢は大きく変わる昨今。経済を取り巻く状況も大きな変化点にあります。

本記事では、番組のチーフプロデューサーの大野智さんに、2023年に放送された中から今年を代表する放送回をインタビュー。「この変革の時代、いかに成功を掴むか」という視点で、5つの回をご紹介いただきました。

1. 独自の世界観でファンの心を掴むECサイト。現代に合った販売戦略は成功のヒントに!

クラシコム
©テレビ東京

「クラシコム」4月13日放送
「この5年で年商が3倍に急拡大しているECサイト『北欧、暮らしの道具店』。このサイトを運営するのが、商品の質や値段で勝負していたこれまでの小売りとは、一線を画したモノの売り方で成功する『クラシコム』です。商品を使っている生活スタイルをドラマにしたり、読み物にしたりと新しい価値を自社メディアで表現することで、その世界観にコアなファンが付き、彼らが熱狂的に買うというビジネスなんです。

大量生産、大量消費ではなく、商品数は多くなくてもその価値に共感した人は必ず欲しくなる、という演出の戦略でモノを売っている。SNSやYouTubeなど、多種のチャンネルから情報を得られるようになった現代にフィットした、新しいモノの売り方を徹底的に考えて行った結果がこの会社の成功。新たな時代のモノの売り方のヒントになる放送回だと思います」(大野チーフプロデューサー)

配信開始前、または配信終了しています。

2. 赤字の第三セクターが大幅に売り上げアップ。地方の山間で成功したノウハウとは?

岩泉ホールディングス」
©テレビ東京

「岩泉ホールディングス」 8月10日放送 
「過疎の町、岩手県岩泉町にある第三セクター『岩泉ホールディングス』。全国には第三セクターが6000社以上あるといいますが、赤字の会社も少なくないんです。この『岩泉ホールディングス』もご多分に漏れず赤字でしたが、今の山下欽也社長になってからメジャーリーガーの大谷選手が『世界一うまい』と表現するヨーグルトをはじめ大ヒットを連発。今は売り上げが30億円ぐらいで黒字になったんです。

この企業の何がすごいかというと『自分たちにあるのは牛乳と牛乳を作る技術だけ』という中で、社長自ら全国行脚してそれ以外のヒントを集め、いろいろなコラボレーションをすることで全国から欲しがられる商品を生み出しているということ。お金もない、技術もそれほどない、自分たちに武器がない時にどう闘って消費者の心をつかむのか?そのヒントが得られるはずです」(大野チーフプロデューサー)

3. 大きなイノベーションが望めない炊飯器で、視点を変えて大ヒットを

象印マホービン
©テレビ東京

「象印マホービン」 9月14日放送
「炊飯器の国内シェアの約3割を占める『象印マホービン』の4代目社長・市川典男さんに取材した回です。この放送回のテーマは、成熟産業。米離れと言われて久しい状況下で、『象印マホービン』は高級炊飯器路線の『炎舞炊き』という商品を大ヒットさせています。消費者から『そんな機能いらないよ』と思われてしまうような機能追加を繰り返すことでしか商品の価値を上げられず、もはやヒット商品を生むのは難しいと思われていた業界で、大ヒットをちゃんと生み出した。

それは、『美味しいごはんを炊く』という 消費者にとって本当に必要なニーズを追求し、それを進化させる方向に舵を切ったからです。ここに至るまでに何があったのか。この放送ではその舞台裏をつまびらかにしています。成熟した商品を扱う企業が新しい商品をどうやって開発するべきか、そのための大きな示唆を与えてくれる内容だと思います」(大野チーフプロデューサー)

4. 差別化しづらい業種・病院で患者のニーズに寄り添うことで改革を果たした新しさ

おおこうち内科クリニック
©テレビ東京

「おおこうち内科クリニック」 9月21日放送
「愛知県と岐阜県の県境にある、医師は一人のみの小さな地域のクリニック『おおこうち内科クリニック』を扱った回です。病院の差別化と言えば、“豪華な食事が出る個室の産婦人科”のようにハード面での差別化を想像しがちです。でも、このクリニックはそうではなく、患者が本当に求めているものを原点から考え直して、患者のための医療サービスを独自のやり方で生み出しています。

例えば、診断書の即日発行。通常は外注に出すので1週間はかかるところ、血液検査のための高価な機械を導入し自前で検査することでそれを可能にしました。ほかにも患者と家族の不安解消のために手術に家族が同席することを許可したり、診察で医師が患者の話を聞くことに専念できるよう診察以外の作業をスタッフに任せ、診察の効率化を実現。待ち時間の短縮を実現しました。

医療という差別化しにくい業種で、しっかり患者のニーズを掴んで病院経営を成立させているところが新しい。古い業界の中でほかと差別化する方法のお手本になるはずです」(大野チーフプロデューサー)

5. 斜陽の農業、既存のルートに乗らない方法で成功を手にするまでの紆余曲折に注目!

くしまアオイファーム
©テレビ東京

「くしまアオイファーム」 10月12日放送
「宮崎県の最南端の町・串間市にある、サツマイモだけを扱う農業法人『くしまアオイファーム』を扱った回です。儲からないから、なり手も人手もなく高齢化が進む農業。そんな中、会社の設立から10年で売り上げを40倍に成長させたのが『くしまアオイファーム』です。作っているのはサツマイモだけ。それでどうやって?という点がこの放送回の最大の魅力です。成功の発端はJAと決別したこと。会長の池田誠さんは『どんなにいいサツマイモを作っても十把一絡げで自分の商品の価値が目に見えない。子供に誇れる仕事なのか?』と疑問を抱き、そこから国内販売だけでなく海外への輸出にも手を広げていきます。

その過程の紆余曲折はもちろん、若い人をうまく使って運営する会社の仕組みも面白い。農家は収穫という結果を出すことが全て。地に足が着いた人の話は参考になるところがたくさんあります。社会環境の著しい変化にさらされている僕らテレビの業界にとっても新しい可能性へのヒントをもらえる放送回でした」(大野チーフプロデューサー)

「テレ東経済WEEK」カンブリア宮殿のみどころは?

テレ東経済WEEK
©テレビ東京

そんな『カンブリア宮殿』も参加する、テレ東の経済番組横断で実施される「テレ東経済WEEK」。今年で3回目を迎える本企画は、全経済番組が同じテーマのもと企画を展開します。今年のテーマは「ミライへ挑む!〜ニッポンの闘い方〜」。「『カンブリア宮殿』では、変革の時代にいかに成長を掴むのか、問題が顕在化する未来に対してどう挑戦しているのかという視点で「セブン-イレブン・ジャパン」「ANAホールディングス」を取り上げます。こちらの見どころも大野チーフプロデューサーにコメントを頂きました。

●『セブン-イレブン・ジャパン』永松文彦社長 
2023年12月7日(木)夜11時06分〜放送(30分拡大)

「最強のコンビニと言われるセブン-イレブン。でも、実は環境問題や労働力不足、価値観の多様化などを見据え、次の50年を生き残る戦略を打ち出し始めているんです。本部主導で商品も在庫数もレイアウトも全てを画一的にしてきた成功体験を見直し、地産地消やエコ対応などにも取り組んでいました。最近、セブン‐イレブンの弁当容器が透明になったのも、リサイクルしやすくする改革の一環です。業界最強のコンビニが変革の時代に生き残るための戦略を90分スペシャルでお届けします」(大野チーフプロデューサー)

●『ANAホールディングス』芝田浩二社長 
2023年12月14日(木)夜11時16分〜放送

「新型コロナで赤字続きだったところから復調し始めているANAホールディングス。数年前までの同社は業績も好調でしたが、新型コロナの影響で、この2年は、かつてない 程の苦戦を強いられてきました。そんなANAホールディングスが、今『1円でも多く儲けるためには何をすべきなのか』ということに全社員で挑んでいます。こんなに大きい会社でも『お金を稼ぐことに一生懸命にならないと明日はない』と改革に臨んでいる——そんな姿を取材しました。大きい会社だからこそ保守的かと思いきや、そうではない、攻めた仕掛けも行っているので、ぜひ見てほしいいですね」(大野チーフプロデューサー)

●テレ東経済WEEK 公式ホームページ


●「カンブリア宮殿」公式ホームページ

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