大人気映画からドラマへ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』髙石あかり「ちさととして、ただそこにいればいい」
映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』も9月27日公開。ちさとを演じる髙石あかりさんに聞いた作品の魅力とは。
大人気につき、依然としてチケット入手が困難な「劇団☆新感線」の舞台を、映画館に特化した極上の映像と音響で体験することができる「ゲキ×シネ」。そのスタートから20周年を記念して、「ゲキ×シネ」人気の演目をU-NEXTで15週連続ライブ配信することが決定しました。そもそも「ゲキ×シネ」とは、どんな背景や思いのもとに始まったのか。そして、それが演劇ファンのみならず、幅広い層から支持されている理由とは。その始まりから現状、そして今回のライブ配信の見どころまで、「ゲキ×シネ」のプロデューサーである金沢尚信さんに語っていただきました。
──そもそも「ゲキ×シネ」は、どのような背景や思いのもとに始まった企画なのでしょう?
金沢:「ゲキ×シネ」を立ち上げてから、今年でちょうど20年になるのですが、当時は、過去の演劇のアーカイブスを観ることがほぼできない状態だったんです。その一方で映画の世界に目を向けると、たとえば20年前に映画ファンになったとして、その当時の映画はもちろん、そのさらに20年前の映画だって観ることができる。ところが演劇の場合は、過去のアーカイブスに全然アクセスできない。これはやはり問題だなと思ったのが、そもそもの始まりでした。
──演劇の場合、「その場でしか観ることができないからいい」という意見もありますよね。
金沢:そうですね。「ゲキ×シネ」を始めた頃も、「映像として残すなんてとんでもない!」「舞台はナマモノだから劇場で観るべきだ!」という意見の方も結構いらっしゃって。その考え方ももちろんわかります。実際にその舞台をライブで観ることができた人はハッピーですよ。ただ、ライブで観たくても観られなかった方や、あとから興味を持った方はどうすればいいのかと。演劇の裾野を広げるという意味でも、これは絶対やるべきだと思ったんです。
──それで、劇団☆新感線の公演を撮影して「ゲキ×シネ」という名のもと、映画館で上映することを始めたと。
金沢:そうですね。先ほど「演劇のアーカイブスを観ることが、ほぼできない状態だった」と言いましたが、まったくなかったわけではないんです。ただ、固定カメラ1台で撮っていたり、もしくは複数台のカメラでも、あくまでも演出に差しさわりがないような形で撮影したりしていて。そういうものは、あくまでも「記録」であって、あとから観ても世界に入り込めないんですよね(笑)。そういうものではない、もっと主体的に楽しめるようなものを作りたいと思っていて。
当時は、ちょうどDVDが一般的になり始めた頃で、劇団☆新感線もDVDを作ったりはしていたのですが、やっぱりライブエンターテイメントとしての臨場感は味わえなかったんです。その臨場感に近いものを味わえる場所は「どこだろう?」と探したら、もう映画館しかないのかなと。それで映画館の方々と交渉して「ゲキ×シネ」の上映がスタートしました。
──実際に映画館で上映するようになって、どんなリアクションがありましたか?
金沢:最初は数館で、上映回数も限られた状態でのスタートしたので、その回が埋まる程度のお客さんは観にきてくださいました。それはそれで良かったのですが、上映を拡大していく中で、やっぱり何もないところに演劇を映像で観るというマーケットを作っていくことが難しかったです。今でこそ、映画館では演劇はもちろん、音楽やスポーツなど、いろいろなライブエンターテイメントを上映する場所になっていますが、その当時は「映画館で上映するのは、映画以外まかりならん」みたいなカテゴリーの壁があったんですよね。その壁を打破することが、まずは大変でした。
──なるほど。20年前は、確かにそういう感じでしたね。
金沢:あとはやっぱり、テクニカルな部分の問題が山積みだったんです(笑)。試行錯誤の連続で、映像や音響のクオリティはもちろん、「撮り方」もそう。カット割りを意識して、ここで誰が登場するからちゃんと撮っておいて、そのカットを挟み込むとか。映像として誰もが楽しめるように仕上げるには、まず作品そのものを理解することが大事なので、「ゲキ×シネ」のスタッフは誰よりも公演を観ているのではないでしょうか。撮影前には限られた中で本番を確認し、資料用に撮影した本編映像を何度も繰り返し観て、どこで誰が出てくるとか、どういう演出なのかを把握しなくてはならないので。実は毎回、その“理解”に相当時間を掛けているんです。
──舞台を理解していることが、何よりも大事であると。ちなみに「ゲキ×シネ」の観客は、どんな方が多いのでしょう?
金沢:一概には言えないのですが、東京や大阪では舞台の本公演が行われていることもあり、やはりゲキ×シネでも、実際に舞台を観ている人であったり、ある程度情報を持っている方々が多い印象があります。ただ、地方で上映したときは全然違っていて、興味はあったけど、実際の公演は観たことがないという人や、ほとんど情報を持ってない方々も観にきてくださっています。それこそ、下は高校生から上は年配の方々まで、全年齢層の人たちが。演劇の裾野を広げるという意味でも、「ゲキ×シネ」をやって良かったなと思うことのひとつです。
──公演をやらない都市にも、映画館はありますもんね。
金沢:そうですね。2003年の『阿修羅城の瞳』を10年後の2013年に、「ゲキ×シネ」として上映したんですけど、10年以上前の役者さんたちの芝居を、あたかも舞台で観ているかのように体験することができたんです。それは、すごく貴重なことだし、やっている価値があると思いました。だから「ゲキ×シネ」は、時間が経てば経つほど、その価値が出てくるものなのかもしれないです。
──その後、放送や配信という形で観る機会も増えてきましたが、そのあたりはどのように考えているのでしょう?
金沢:「ゲキ×シネ」は、映画館という音響設備が整った密閉空間で観ていただくことを前提に作ってきたので、できれば映画館で観てほしいというのはあります(笑)。ただ、最初に言ったようにそもそもの原点に立ち返ると、過去のアーカイブスにたくさんの人がアクセスしてほしい。やっぱり、もっと演劇の裾野を広げなくてはいけないというのは、いまだにすごく感じていることなんです。なので、今回のように配信として作品を提供して行く意味は大きいと思います。
──劇団☆新感線の舞台は、テレビや映画などで活躍している方々をメインキャストに招くことも多いので、そういう意味では、入りやすいところがありますよね。
金沢:そうなんです。それは「ゲキ×シネ」を映画館で上映したときにも、お客様からよく言われることです。テレビや映画で知っている役者さんでも、舞台となると、パワーが桁違いなんですよ。「そのことにいちばん驚いた」ということを、みなさん、口をそろえて言われます。そういう意味では、配信はテレビという同じプラットフォームで観ることができますから、その「違い」を感じることができて面白いんじゃないかと思います。
──今回の「ゲキ×シネmeets U-NEXT」では、15週連続ライブ配信されます。この企画の意図を教えてください。
金沢:やはり舞台はライブエンターテインメントなので、みんなでその時間を共有するというか、同じタイミングで観てみようじゃないかということで、今回は15週連続ライブ配信という形を取らせていただきました。まずは、『五右衛門ロック』、『メタルマクベス』、『蛮幽鬼』という劇団☆新感線の作品の中でも根強い人気がある、ある意味代表的な演目を見放題で配信して……劇団☆新感線の舞台は、キャストの幅がすごく広いので、どこを切り取っても楽しめるものになっているんじゃないかと思います。
──配信で初めて劇団☆新感線や「ゲキ×シネ」に触れる方もいるかもしれません。
金沢:最初に話したように、「ゲキ×シネ」を始めた頃は、カテゴリーを打破することが大変だったので、こうして映画やドラマ、音楽、演劇など、あらゆる映像コンテンツがそろっているところに加わることができるのは感慨深いというか、時代の変化を感じますよね。そういう意味で、「ゲキ×シネ」を始めた頃に比べたら、すごくフラットな状況でみなさんに観ていただけるんじゃないかと思っています。毎月同じ料金を払っているなら、自分が好きなジャンルだけではなく、やっぱりいろんなものを観てみたくなるじゃないですか(笑)。
──そうですね(笑)。
金沢:我々としては、最終的には「舞台」というライブエンターテイメントの場に、ひとりでも多くの人たちが足を運んでくれることを願っているのですが、今回の企画が、ひとつのきっかけになればいいと思っています。今回のライブ配信で興味を持ってくださった方は、ぜひU-NEXTポイントを使って映画館で「ゲキ×シネ」を体験していただいて、最終的に「舞台」というライブエンターテインメントの場に足を運んでいただけたらと思っています。
映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』も9月27日公開。ちさとを演じる髙石あかりさんに聞いた作品の魅力とは。
『帰ってきたあぶない刑事』も手がけた原廣利監督に、『朽ちないサクラ』の制作過程や演出の狙いを伺いました。
第1弾作品『若武者』が5月25日より全国公開と同時にU-NEXTで配信開始
ライブ『GACKT LAST SONGS 2024 feat. K』、映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』の配信にあわせ、GACKTさんの貴重なインタビューをお届けする。