リアリスティックな猫猫の言葉が突き刺さる!『薬屋のひとりごと』名言3選
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リアリスティックな猫猫の言葉が突き刺さる!『薬屋のひとりごと』名言3選

2024.01.29 19:00

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  • 『薬屋のひとりごと』EP04
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2023年10月より放送を開始し、この1月から第2クールがスタートしたアニメ『薬屋のひとりごと』。

原作はWeb小説の投稿プラットフォーム「小説家になろう」発の、同名のライトノベルです。漫画化やドラマCD化など、様々なメディアミックスが行われるなかでアニメ化され、人気を博しています。

毒に対する偏愛を持つ毒マニアの薬師・猫猫(マオマオ)が、皇帝の妃たちが生活する後宮で活躍する姿を描く本作。

今回はリアリスティックな猫猫の、心に刺さる3つの名言をその背景と共にご紹介します。

①「誰が自分のガキ殺した毒を喜ぶんだよ!」

これは初めて猫猫が怒りを露わにすると同時に、その人間性が垣間見えた第4話「恫喝」の名場面での台詞です。

人買いにさらわれて後宮にくるまでは薬師だった猫猫。自らの素性を隠して大人しく生きていたかったものの、好奇心旺盛でちょっとだけ正義感も持ち合わせていたことから正体が露見。薬と毒への知識を買われ、不本意ながら後宮で重宝されるようになります。

今回も帝の命で、病に伏せる妃の1人を看病することに。明らかに思わしくない様子の妃・梨花(リファ)をどうにか回復させなければ、自分の立場が危ういことを理解しているため必死です。

その上、立場的には下女でしかない猫猫のことを疎ましく思う侍女たちに邪魔され、看病もままなりません。日に日に弱っていく梨花の病状を前に手をこまぬいていました。

『薬屋のひとりごと』EP04
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

しかし、ある時その意外な原因が発覚します。第1話「猫猫」で、梨花の赤子が死んだ要因だった白粉(おしろい)を、後宮で禁止されたにも関わらず侍女が梨花に使い続けていたことが判明します。白粉には鉛が混じっているため人体には有害なのですが、侍女は「梨花様には美しくあってほしい、本人もそう望んでいるはず」だと言い訳します。

侍女の身勝手で愚かな行動にブチギレた猫猫が、ビンタをかましその侍女にも同じように白粉をぶちまけながら言い放ったのが今回の台詞です。「毒だっつってんだろ。何も考えていない、自分が一番正しいと思ってる。誰が自分のガキ殺した毒を喜ぶんだよ!」。

『薬屋のひとりごと』ep04
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

このやりとりは、梨花を助けなければ自分が困るという保身のためのものではないことは明らかです。猫猫の怒りは、ちょっとでも頭を使えば助けられる命が、見当違いな心遣いから無残にも毒されていく理不尽への純粋な怒りです。

毒をこよなく愛する猫猫だからこそ、その毒で考え無しに他人を害する行為が許せなかったのでしょう。素っ気なさそうでいて、自分の手で救える命はなるべく救おうとする猫猫の生き様と哲学が詰まった“名”罵詈雑言でした。

②「みんな、閉じこもった空気に毒されていく」


第7話「里帰り」で、自らの故郷に一時帰省する権利を掴んだ猫猫。この台詞には、続く第8話「麦稈」で、一息ついていたところに娼館での毒にまつわる事件に巻き込まれた猫猫の、偽らざる思いが詰まっています。

心中を図ろうとしたらしい男女を助けるために駆けつけた猫猫は、師匠の助けも借りて、実は心中ではなく、妓女が素行の悪い金持ちの道楽息子を殺そうとしていたという真相を見抜きます。

『薬屋のひとりごと』ep08
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

人さらいに売り飛ばされた猫猫が、ようやく自らの活躍が認められて帰省することができた花街。ですが、薄皮を一枚剥ぎ取れば、後宮と変わらない現実が広がっていました。

『薬屋のひとりごと』ep08
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

華やかに見える花街も、帝の後継ぎを成すための国家の母胎たる後宮も、どちらも「花園であり、鳥籠」だと猫猫は気付きます。同じ場所に閉じ込められるうちに自家中毒を起こし、人もまた毒そのものになってしまうことへの諦観を覗かせます。

「毒性学の父」として知られる科学者・パラケルススが残した有名な金言があります。「すべての物質は毒であり、その服用量によって『薬』か『毒』かに分類される」。

人間にとっては毒でも他の生物にとっては薬になるものもあり、逆もまた然り。そしてあらゆる物質は、結局のところ容量や用法によって毒にも薬にもなります。

人も一箇所に閉じ込められていては、次第に澱が溜まって毒性を帯びていく。閉塞した社会がいかに人々を蝕むものなのか──リアリスティックな視座から問いかける、猫猫の述懐が印象的でした。

③「もし私を処刑する場合、毒殺にしていただけませんか」

最後は、猫猫の人生観と、後宮という特殊な場所、そして中世を思わせる時代の儚さが凝縮された名言をご紹介します。

第9話「自殺か他殺か」では、猫猫を取り立ててくれた張本人である高官・壬氏がよく知る武官の死、そして後宮の城壁から堀に落ちて溺死した下女の話が描かれます。

『薬屋のひとりごと』ep09
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

下女が自殺なのか他殺なのかを調査する中で、猫猫もまた自身が後宮で命を落とす可能性にも思いを馳せます。物思いにふける猫猫の様子に「なにを考えている?」と声をかけた壬氏に、猫猫は「死ぬならどんな毒にしようかと」とこぼします。

美形で権力もあり周囲にチヤホヤされることに慣れきっている壬氏は、むしろ自分を蔑む態度を隠さない猫猫を逆に悪からず思っています。そのため、彼女の言葉に「死ぬ気か!?」と驚くのですが、本意は逆です。

猫猫は心の中で思います。「死ぬなんてまっぴらだ、死んだら毒も薬も試せない。しかし、運命には抗えない。人はいつ死ぬかわからない。望まなくても、人の悪意が加わればいつ命を落とすか」。

『薬屋のひとりごと』ep09
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

猫猫は様々な事情からあっけなく散っていった命を振り返って、いつそうなるかもしれない自分の行く末を受け入れ、壬氏に「もし私を処刑する場合、毒殺にしていただけませんか」と頼んだのでした。

悲観的すぎると思われるでしょうか。しかし一介の下女にすぎない猫猫の命など、ささいな失敗でいとも簡単に吹き飛びます。猫猫が死刑に処されるとしたら、立場的には壬氏の手によるものとなるでしょう。「そんなことはしない」と憤る壬氏に、「するしないではなく、できるできないですから」と冷徹に現実を言い当てます。自分は平民で下女にすぎず、貴人で高官の壬氏には、実際にそれができるのです。

猫猫を大事に思っている壬氏ですが、有事の際には猫猫を半ば強制的に駆り出すなど、歴とした命令を下しているのもまた事実。権力を持つ人間の思惑の前では、下賤の命は儚く散っていきます。皇帝の後継ぎを残すことを至上命題にした後宮という場所ではなおのことです。

どんなに便宜を図られたところで、そもそも後宮に幽閉されている猫猫にとっては不本意な状況です。そこで命を落とすなら、せめても自分が研究に心血を注いできた毒でこの世を去りたいという、リアリスティックな猫猫らしい願いと言えるでしょう。

2人の立場の違い、権力構造と傾斜、そこで働く力学について、壬氏と視聴者に改めて冷静に突きつける名場面です。だからこそ、このあと大きな運命のうねりに巻き込まれていくことになる猫猫と壬氏の選択が鮮明に浮かび上がっていくことになります。

知恵と機転を武器に懸命に生きながらも、儚い現実とありのままに向き合う猫猫。彼女が運命にどう抗うのか、この先も楽しみです。


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『薬屋のひとりごと』

『薬屋のひとりごと』
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

放送:毎週土曜24:55より日本テレビ系にて全国放送中
U-NEXT配信:放送終了後、順次配信中

【あらすじ】
大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。名前は、猫猫(マオマオ)。花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。

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