2024年に観た「最も記憶に残るコンテンツ」は?各界で活躍する56組が厳選した「2024年の1本」サイトがオープン
朝倉海さん、新しい学校のリーダーズさん、佐久間宣行さん、菅田将暉さん、ヒグチアイさんら56組が参加
“The more invisible we are the better we are doing our job.”
「私たちの存在が観客に見えなければ見えないほど、それはつまり良い仕事をしている、ということだ。」
『The Cutting Edge : The Magic of Movie Editing(邦題:編集技術の魔法)』の中で、映画編集技師 Craig McKay が語ったこの言葉を、胸に抱き続けた一年間でした(そしてこの一年、何度も観返しました)。
本作は、1900年代初頭の映画の発明から現代に至るまでに、映像編集の知見がいかに発見・蓄積され、今も使われているかを、スピルバーグ、スコセッシ、タランティーノを始めとする監督たちと、彼らを支えた編集技術者たちが語るドキュメンタリーです。
ジョーズのサメの模型が36フレーム(1.5秒)以上画面で見せてしまうと作り物であることが露見してしまった、という話など、かつてただ楽しんだ名作たちの背景に、編集でのさまざまな工夫や悪戦苦闘や失敗が存在していたことを、携わった本人たちの口から聞くことのできたり、編集者 ウォルター・マーチが、その時何を考えているかを口に出しながら映画を編集していく様が見られます。
最初期に発見された重要な編集技術として紹介されるのが、D・W・グリフィス監督 『嵐の孤児』のワンシーンです。遠くから撮影された画面中央の紳士が、お辞儀をする。そのお辞儀の途中で、カットでカメラの画角が変わり、男性がアップになります。動作の中でショットが変わるため、画角が変わったことに気づかないくらい、自然な映像です。実際の撮影は、遠くからと近くで2回お辞儀を撮影して、動作の途中で繋げているのですが、もちろんそうは見えません。特に最初期の映画編集は、カットの継ぎ目をいかに観客に気づかせないか、その上で、自然と映像に没入させることが重要視されました。そこで生まれたのが、一連なりのアクションの中でカットつなぎをする「アクションつなぎ」でした。そして今も使われている、重要なテクニックです。
このドキュメンタリーを初めて見た時、映像が編集したくてたまらなくなったことを覚えています。映像制作は、撮影準備がとにかく大事ですが、しっかり準備した撮影の後には、目と指の先で発見し、映像を編み上げていく、極上の時間が存在することを、知ったためです(時には撮影のミスも、発見でカバーします)。
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2024年10月より、配信が始まった U-NEXT Kids初のオリジナルコンテンツ『ねむるま えほん』は、このアクションつなぎをはじめとする、編集技術のオンパレードです。おやすみ前の絵本読み聞かせ番組として、可能な限り絵本そのものを読んでいるような映像にしたい。でも、ただ絵本を真上から撮っただけでは、本を見やすい位置に移動させる動作ががノイズになったり、字や絵が時に小さすぎたりする。そこで、ページをめくるアクションの途中で寄ったり、引いたり。冒頭の、Craig McKay の言葉を指針に、ただ絵本を楽しく読んだだけ、に思えるよう 、ウォルター・マーチのように、スタッフの前でなぜこう編集するのかを口に出しながら、試し、時にはやり直し、絵本ごとにその本ならではの編集方法を見つけながら、透明人間になるつもりで編集していきました。ぜひ、ご覧ください。もしよかったら、どれくらい編集が透明になれているか、にも注目して。
2019年までクリエイティブグループ「ユーフラテス」に所属。2020 年独立。視覚表現と視覚認知の研究を基点に、グラフィックデザイン、映像、メディアアート、科学玩具とそれを用いたワークショップの開発など、さまざまな活動をしている。U-NEXT Kidsオリジナル『ねむるま えほん』監督。
朝倉海さん、新しい学校のリーダーズさん、佐久間宣行さん、菅田将暉さん、ヒグチアイさんら56組が参加
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