「センスのある俳優」「まるでカメレオン」。信頼関係で結ばれた、ムン・ガヨンとチェ・ヒョヌクが語る『あいつは黒炎竜』撮影秘話
高校時代の“黒歴史”から始まるラブコメディ『あいつは黒炎竜』に出演する、俳優のムン・ガヨンとチェ・ヒョヌク。互いを「ムードメーカー」と表現する二人は、どんな想いで役に臨んだのだろうか。笑いが絶えなかったという撮影現場の裏側から、俳優としてのリスペクト、作品を通して深まった絆まで、自身の言葉で語ってくれた。
関わった人々は不幸に見舞われるという噂のために、「魔女」と呼ばれてきたミジョン。孤独な彼女を救うため、不幸を統計で解明しようと試みるデータアナリストのドンジン。データだけでは説明できない不可思議な出来事に、2人はどう立ち向かっていくのか?
ミステリーラブロマンス『魔女-君を救うメソッド-』でドンジンを演じたパク・ジニョンと、ミジョンを演じたノ・ジョンウィの2人に特別インタビュー。撮影を通して2人自身が感じた「救い」とは何だったのか。撮影の裏側はもちろん、2人が背中を押されたという先輩俳優からの言葉について訊いた。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
──まず、お互いの第一印象について教えてください。
ジニョン:本当に妖精みたいだと思いました。小柄で細くてとても綺麗だったので。ああ、だから劇中の男の子たちが、彼女が魔女だと分かっていても惹かれてしまうんだなと、一瞬で納得できる感じでしたね(笑)。
ジョンウィ:私はもう、お会いした瞬間に「あ、ジニョンさんだ」という感覚でした。久しぶりにお会いするというのもありましたし、その間にジニョンさんが出演されていた作品も拝見していたので、「芸能人だ」という印象が強かったです。
──俳優として、共演した感想を教えてください。
ジニョン:「小さな巨人」のようでした。僕より年齢はかなり下にもかかわらず、彼女の演技や、ジョンウィだけが持っている独特の雰囲気は、相手役として演じるこちらに、ものすごい安心感を与えてくれるんです。だから、「ああ、僕はもうこの子だけを見て、素直にリアクションをすればいいんだ」と強く感じました。
ジョンウィ:私も、実はジニョンさんにすごく頼っていました。それは役のミジョンとして、という部分もありますが、ノ・ジョンウィという1人の人間として、俳優の先輩を本当に頼りにしていました。だから、現場で姿を見るだけで、遠くから見えるだけでも、心の中にあった不安がすっと消えていくような、そんな存在だったと思います。
──撮影現場のムードメーカーは誰でしたか?
ジニョン:ジョンウィさんたちのチームのムードメーカーは誰でしたか? やはり、アン・ネサンさん?(笑)
ジョンウィ:チャン・ヘジンさんですね。でも、強いて言えば私だったかもしれません(笑)。
ジニョン:いや、そうかもしれませんね。考えてみると。
ジョンウィ:ええ、そうだったと思います。
ジニョン:僕たちのチームは…ジェヒョクさんか、ジョンヒョクさんですね。
ジョンウィ:ああ、ジョンヒョクさん! そうです、彼がムードメーカーでした。
ジニョン:出番は多くはなかったのですが、彼が登場すると場の雰囲気を本当に明るく盛り上げてくれました。
ジョンウィ:私の高校の先輩役で出演されたチュ・ジョンヒョクさんが、間違いなくムードメーカーの役割を果たしてくれました。
──本当に雰囲気が良かったのですね。
ジョンウィ:はい。とても明るくて、みんなが本当に仲良く過ごしていました。だからこそ、こんなに素敵な方々とご一緒できたことが、この作品をより一層記憶に残るものにしてくれたのだと思います。
ジニョン:そうですね。人が記憶に残るというのは、この仕事をする上で一番の贈り物だと感じます。本作は、僕たち2人ともそう思える作品でした。だからきっと、ずっと心の片隅にあり続ける、大切な作品になったのだと思います。
──撮影中の裏話があれば、教えてください。
ジョンウィ:アン・ネサンさんと共演したシーンで、私が泣く場面があったんです。その時「上手だ」と一言声をかけてくださって。その言葉で、過去の努力がすべて報われた気がしました。今でも忘れられない、大切な一言です。
ジニョン:母親役を演じてくださったチャン・ヘジンさんとの、心を通わせて対話するシーンでのことです。僕のアップを撮影する番になった時、本来なら相手役の俳優さんは休んでも構わない場面なのですが…。ヘジンさんはカメラが回る直前まで、僕が感情を作りやすいようにと、セリフにはない温かい言葉を母親としてずっとかけ続けてくださったんです。その数分間のおかげで、僕は「もう(役に)入れそうです」と自然に言えるほど、そのシーンの感情のすべてをヘジンさんが引き出してくれました。感謝していますし、心から尊敬している先輩です。
ジョンウィ:私もチャン・ヘジンさんに感謝しています。まだ経験したことのない世界がたくさんあるのですが、そういったことで悩んだ時、ヘジンさんにご連絡してアドバイスを求めると、いつも的確なアドバイスをくれます。そして、私が道に迷わないように、温かい言葉で後押ししてくれるんです。
ジニョン:僕も全く同じです。時々ヘジンさんと電話でお話しすると、「あなたは本当に良い人よ。良い俳優よ」と言ってくださるのですが、その言葉が少しも嘘に聞こえないんです。何気ない一言だったのかもしれません。ですが、その言葉が僕に、自分自身をしっかりと肯定させてくれる、力を与えてくれます。本当に感謝しています。
──ご自身が最も感情移入したと感じるシーンはありますか?
ジョンウィ:お父さんが亡くなるシーンです。畑で撮影したのですが、その時は本当に喉が枯れるほど泣き叫んだのを覚えています。いま思うと、あの時はネサンさんが私を導いてくれたと感じます。目を合わせて、手を一度握ってくれる。ただそれだけで、感情的にものすごく深く没入できたシーンでした。
ジニョン:僕も少し似ているのですが、病院でお母さんと2人で会話するシーンです。先ほどお話しした、チャン・ヘジンさんが僕の感情を引き出して、助けてくださったあの場面でした。特別なことを考えなくても、「ああ、自分は今、このドンジンという役で、この場所にいるんだな。この瞬間に、僕は確かに存在していたんだ」と、自分自身で強く感じることができた。その感覚が、今でも鮮明に思い浮かびます。
──監督の演技指導はどのようにおこなわれましたか?
ジニョン:監督の演出方法は、本当に素晴らしかったです。まず、僕たち俳優を完全に信じて、一度任せてくださるんです。その上で、僕たちの解釈が本来の意図と少しずれた時に、すっと現れて明確な答えを与えてくれる。そのタイミングが絶妙で、僕たちの集中力を一切途切れさせないんです。その姿を見るたびに、感銘を受けていました。
ジョンウィ:私も全く同じ気持ちです。監督はいつも、私たちが理解できるまで、とても丁寧に落ち着いて説明してくださいました。それと同時に信頼が伝わってくるので、こちらも監督の言葉をすんなりと受け入れて、一緒にキャラクターを創り上げていくことができました。
──改めて本作の魅力を伝えるとしたら、どんな言葉で紹介しますか?
ジニョン:「ミステリーラブロマンス」という言葉が一番しっくりきます。このドラマの本当の魅力、そしてアイデンティティは、“魔女”であるミジョンそのものにあるんです。僕が演じるドンジンがどれだけ物語を追っても、ミジョンが登場した瞬間から、ドラマのジャンルそのものがガラッと変わる。その変化こそが、この作品の最大の魅力として楽しんでいただける部分だと思います。ですから、紹介する時は必ず「ミステリーラブロマンス」であり、「魔女の物語だ」と紹介すると思います。
ジョンウィ:「ミステリーラブロマンス」という言葉自体に、ミジョンとドンジンの物語のすべてが含まれているように感じます。なので、私も同じように紹介すると思います。本当に多様な感情の揺れ動きを感じていただけますし、ドンジン側とミジョン側、両方の視点から見ることで面白さが増すはずです。
──役作りで特に力を入れた点はありますか?
ジョンウィ:私は歌を聞きました。ミジョンが持つ独特の雰囲気や、彼女の考え方、テンションといったものを表現するために、監督と何度も話し合いながら、様々な歌からインスピレーションを受けて役作りを進めていきました。
ジニョン:僕は動画を見ました。毎回演じるキャラクターの声と話し方を探す作業が好きで、一番楽しんでいるポイントなんです。まず、僕の頭の中でイメージするドンジンの声や話し方を監督に提案して、「これでいってもいいですか?」と確認しました。最初の撮影では、僕が考えたドンジンのトーンと、僕自身の普段の声のトーンの2バージョンを撮ったんです。その結果、監督は前者を選んでくださったので、その方向性で最後まで楽しく演じきることができました。
──『魔女』の撮影が終わってから、最近までの近況を教えてください。
ジニョン:僕はまず、軍隊に行ってきました。怪我もなく無事に兵役を終えて、今はまた別のドラマの撮影を進めています。
ジョンウィ:私はこの作品が終わってから、3本くらいドラマを撮りました。様々な方とご一緒しながら、たくさん学んでいる最中です。そして今も、新しいドラマの撮影をしています。
──お忙しいと思いますが、休みの日は何をしていますか?
ジョンウィ:私はひたすら寝ています(笑)。寝て、運動して、美味しいものを食べて、やりたいことをやる、という感じです。
ジニョン:僕も全く同じです!
ジョンウィ:私たち気質が似ているんです(笑)。
ジニョン:ただ寝て、運動して、食べて、そして空を眺める。
ジョンウィ:それが最高の癒やしですよね。
──最後に、日本のファンへメッセージをお願いします!
ジニョン:皆さんこんにちは!ドラマ『魔女-君を救うメソッド-』は、1人の男性と1人の女性が、お互いにとっての“救い”となっていく物語を描いた、ミステリーラブロマンスです。
ジョンウィ:本当にチーム一丸となって一生懸命撮影しました。ぜひ楽しんでご覧いただけたら嬉しいです!
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