迷走続くマンチェスター・U ピッチ内外で一貫性皆無の今季はワースト記録満載のシーズンに
名門の没落はいつまで続くのか。マンチェスター・Uはまたしても暗く寒いトンネルの出口にたどり着くことはできなかった。
最終節終了後のピッチには歓喜の輪が広がった。名門にとって本来目指すべき場所にはまだ及ばない。それでも今季のチェルシーには来季に向けた期待が高まるような復活の兆しが確かにあった。
22-23シーズンからの悪夢はようやく終わりを迎えるのかもしれない。12位に落ち込んだチームは翌年には6位、そして今シーズンは4位で見事チャンピオンズリーグ圏内まで戻ってきた。開幕前には一定の成績を残したマウリシオ・ポチェッティーノに別れを告げ、レスターを昇格に導いたエンツォ・マレスカにシーズンを託すという大胆な人事を敢行した。
就任当時、新監督には課題が山積みの状態だった。迷走期とも言える近年、新オーナーの意向で大量の選手を獲得し続けた結果、スカッドは一時期40人以上の大所帯に膨れ上がった。人員過多の影響で全体練習に参加できない選手もいたという報道が出た際には、世間からは冷ややかな目線を浴びたことも事実だった。
さらに、マレスカの控えめにも映る目標設定は、クラブに対する懐疑的な声を一層強めた。特に「マンチェスター・Cやアーセナルと競争できるとは思えない」という記者会見でのコメントは世界中の注目を集めた。あくまでも長期的なプロジェクトであることを強調する文脈ではあったものの、名門の栄光を知るサポーターからの支持を得るのが難しい発言だったことは確かだ。
それでもシーズンが深まるにつれて、チームには確かな一体感が芽生え始めた。もとより個々の選手のクオリティに関しては疑いの余地もなく、粒ぞろいのチームはそれを正しい方向へと導く舵取り役が現れるのを待っていた。
特にマレスカが強調していた「時間」を経た終盤のフォームには目を見張るものがあった。シーズン終了までの残り12試合は8勝2分2敗の好成績で完走。最終節ではチャンピオンズリーグ出場権争いのライバルであるノッティンガム・フォレストとの緊迫した直接対決を制し、シーズンの評価を左右する最重要の一戦で見事な完封勝利を収めた。
その後のヨーロッパカンファレンスリーグ決勝でも難敵ベティス相手に4得点の大勝を記録し優勝。復活前夜のシーズンはこれ以上ない爽快な余韻とともに幕を下ろした。
来季に向けて明るい材料は満載だ。チームは降格となったイプスウィッチで孤軍奮闘の活躍を見せたFWリアム・デラップを新たに加え、今夏の移籍市場で上々のスタートを切った。さらにシーズン後半戦で調子を落としていた大エース、コール・パーマーもヨーロッパカンファレンスリーグ決勝で最優秀選手に選ばれるなど復調の兆しを見せている。
有終の美に広がった歓喜の輪は、ただのフィナーレではない。名門完全復活の物語は、今まさに新章へと突入する。
名門の没落はいつまで続くのか。マンチェスター・Uはまたしても暗く寒いトンネルの出口にたどり着くことはできなかった。
誰も予想だにしない失意のシーズンとなった。前年度王者が陥った極度の不振は、例年以上に波乱の多かった今季の中でも特に大きなサプライズのひとつに数えていいだろう。
悲願のタイトルにはまた一歩届かなかった。プレミアリーグを3シーズン連続の2位で終えたアーセナルの成績は決して非難の対象となるものではない。しかしながらノースロンドンの名門にとって、過去3シーズンの中で優勝から最も遠い2位だった事実は否定できない。
競争力の高いプレミアリーグにおいて、シーズンを通して高いレベルで一貫性をキープすることは容易ではない。その意味で今季のリヴァプールのパフォーマンスは過去数シーズンの中でも傑出したものだったことがわかる。