古豪再建の鍵は攻撃力 エヴァートン再浮上への分岐点
エヴァートンのスタイルは明快だ。堅守を一番の強みに失点を抑え、引き分けや1点差での勝利で勝ち点を積み上げる。決して華があるとは言えないフットボールだが、それでも強豪ひしめくプレミアリーグにおいて、自分たちのできることを徹底する割り切ったスタイルは一定の成果を挙げてきた。
最悪の事態も頭をよぎるほどの開幕序盤の絶不調。FAカップ決勝でマンチェスター・Cを下して手にした初の主要タイトル。クリスタル・パレスの24-25シーズンは話題に事欠かないイベントフルな1年だった。
未勝利で終えた開幕8節、稼いだ勝ち点はわずかに「3」。近年中堅クラブとしての立ち位置を確立した印象のあったチームは、スタートで躓いたまましばらく起き上がることができなかった。開幕から2か月以上経った10月の終わり、トッテナム・ホットスパーを破ってようやく今シーズン初白星を挙げた後も状況は改善されなかった。
11月の4試合も3分1敗の勝ちなしで終え、その時点での降格候補として名前が挙がる低調なパフォーマンスに終始。誰もがクリスタル・パレスに寒い冬が訪れることを疑わなかった。
しかしここからチームは勝ち点を積み上げ始める。12月の過密日程6試合を3勝2分1敗で勝ち越すと、年明けから4月までの15試合で7勝4分3敗を記録。沈没直前だった船は見事にコントロールを取り戻した。
日本代表MF鎌田大地が語ったように、チームは何かを大きく変えたわけではない。彼が強調した、調子が良いチームに自然と向いてくる運は確かに存在する。事実、今季も複数のチームが長いシーズンの中で浮き沈みを経験したが、FAカップ優勝という結末で幕を閉じたクリスタル・パレスの好調期間はその中でも最も長く印象的だった。
12位という順位ながら来季ヨーロッパリーグ出場の可能性を掴んだクリスタル・パレス。フランスのリヨンとのマルチオーナーシップ問題により不透明な状況は続いているが、仮に出場が決まればリーグ戦とカップ戦の二足の草鞋を上手く履きこなせるかにも注目が集まる。
エヴァートンのスタイルは明快だ。堅守を一番の強みに失点を抑え、引き分けや1点差での勝利で勝ち点を積み上げる。決して華があるとは言えないフットボールだが、それでも強豪ひしめくプレミアリーグにおいて、自分たちのできることを徹底する割り切ったスタイルは一定の成果を挙げてきた。
22-23シーズンの昇格以来、プレミアリーグに定着し中堅クラブの代表格となったフラム。今季も15勝9分14敗、54得点54失点の得失点差「0」という成績で、11位でシーズンを終えた。
戦術や数字を見れば、監督を含めた絶対的な個の存在に依存してきたブレントフォード。夏の移籍期間の間にチームを再編成し、万全の状態で新シーズンに臨むことができるか。
中堅クラブとしての躍進を魅せたブライトンだが、いまだ欧州の舞台には一歩及ばなかった。成熟した戦術と若手の台頭によって過去最高を目指した今季は、期待と現実の間で揺れ動く旅となった。