どん底からの戴冠 激動の1年を駆け抜けたクリスタル・パレス
最悪の事態も頭をよぎるほどの開幕序盤の絶不調。FAカップ決勝でマンチェスター・Cを下して手にした初の主要タイトル。クリスタル・パレスの24-25シーズンは話題に事欠かないイベントフルな1年だった。
エヴァートンのスタイルは明快だ。堅守を一番の強みに失点を抑え、引き分けや1点差での勝利で勝ち点を積み上げる。決して華があるとは言えないフットボールだが、それでも強豪ひしめくプレミアリーグにおいて、自分たちのできることを徹底する割り切ったスタイルは一定の成果を挙げてきた。
スタッツにもその特徴が色濃く表れている。今季エヴァートンが喫した失点数は「44」。これはアーセナル、リヴァプール、チェルシーに次いで、マンチェスター・Cと並ぶリーグ4位の数字だ。ビッグクラブと比較すると予算も限られた中堅クラブの成績としては、これ以上を望むのは酷とも言える。キャプテンのジェイムズ・タルコフスキを中心にイングランド代表の守護神ジョーダン・ピックフォード、期待の若手ジャラッド・ブランスウェイトらが形成する鉄壁の守備がほころぶ瞬間は1年を通して少なかった。
強固な守備を披露した一方で、エヴァートンの上位進出を阻んだのは間違いなくその得点力の低さだ。今季プレミアリーグで挙げた42ゴールという成績は、降格したレスター、イプスウィッチ、サウサンプトンに次ぐワースト4位の記録となった。シーズンを通してのゴール期待値も42.38と、まさに期待値通りの数字は古豪の得点力不足を強調するスタッツとなった。
チームトップスコアラーはマルセイユからやってきた9ゴールのイリマン・エンディアイエ。次いで8ゴールを挙げたベトが続く。しかしながら次点のドワイト・マクニールはわずか4ゴールと、チーム3位の選手の得点数としては物足りない。活躍が期待されたエースのドミニック・カルヴァート=ルーインもケガの影響もあり3ゴールに終わるなど、守備陣の奮闘に攻撃陣が応えられている印象は薄い。
数字を見れば得点力不足が課題として浮かび上がるが、それは自慢の守備にリソースを割いていることの裏返しとも考えられる。来季に向けて、長所を維持しつつ弱点にどれだけの改善を試みることができるか。そのバランスを保つことが古豪復活への第一歩かもしれない。
最悪の事態も頭をよぎるほどの開幕序盤の絶不調。FAカップ決勝でマンチェスター・Cを下して手にした初の主要タイトル。クリスタル・パレスの24-25シーズンは話題に事欠かないイベントフルな1年だった。
22-23シーズンの昇格以来、プレミアリーグに定着し中堅クラブの代表格となったフラム。今季も15勝9分14敗、54得点54失点の得失点差「0」という成績で、11位でシーズンを終えた。
戦術や数字を見れば、監督を含めた絶対的な個の存在に依存してきたブレントフォード。夏の移籍期間の間にチームを再編成し、万全の状態で新シーズンに臨むことができるか。
中堅クラブとしての躍進を魅せたブライトンだが、いまだ欧州の舞台には一歩及ばなかった。成熟した戦術と若手の台頭によって過去最高を目指した今季は、期待と現実の間で揺れ動く旅となった。