「生き様そのものが芸」の稀代のエンターテイナー江頭2:50に惹かれてやまない理由とは
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「生き様そのものが芸」の稀代のエンターテイナー江頭2:50に惹かれてやまない理由とは

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(画像:YouTube「エガちゃんねる EGA-CHANNEL」TOPページより)

今も昔も、芸に命を懸ける魂の男

お笑いの仕事は崖の上から身を投げるのに似ている。芸人が人を笑わせるためにパフォーマンスをするのは、生きるか死ぬかの勝負に挑むことを意味する。

狙い通りに笑いが起これば達成感が得られるが、スベってしまえば激しい精神的ダメージを負うことになる。それでも、芸人たちはそれが自分の使命であると信じて、当たり前のように決死のダイビングを行っている。

そんな芸人の生き様を誰よりもまっとうしているのが、江頭2:50である。上半身裸に黒のスパッツ姿で跳ね回る破天荒なキャラクターで知られる彼は、一昔前まではただのキワモノだと思われていた。

その芸風は、ひたすら大胆で過激で下品。トルコで全裸になって捕まったり、生放送で脚本家の橋田壽賀子にキスをしたり、数々の伝説を残してきた。

あまりに品がなくて暴走行為ばかりが目立つことから、特に女性からの評判は悪かった。雑誌の「嫌いな芸人」「抱かれたくない芸人」のアンケート調査でも常に上位を独走していた。過去には、北朝鮮に潜入したこともあるし、トルコで下ネタ全開のライブをやって暴動が起こったこともある。彼は文字通り命を懸けてお笑いをやっている。

そんな江頭は、いかなるときでも全力投球をする。求められたら期待には必ず応えるという覚悟を持っている。どこでも手を抜かない。どの瞬間を見られているかわからないから、いつでも本気で笑いを取ろうとする。彼の破天荒な芸風の根底には、そんな強い信念がある。

ここ数年、そんな彼がYouTubeの世界で熱狂的な支持を得ている。2020年にYouTubeチャンネルを開設すると、わずか数日で登録者数100万人を突破した。そこから勢いは衰えることがなく、現在の登録者数は440万人を超えている。芸人YouTuberの中でもトップクラスの人気を獲得している。

下ネタ満載の過激な芸風で知られ、テレビの世界でも放送コードギリギリのパフォーマンスを繰り返してきた彼が、なぜYouTubeの世界でブレークすることができたのか。その最大の理由は、江頭がYouTube向きの芸人だったからだ。

もちろん、YouTubeの世界にもテレビの世界と同じような厳しいルールがある。局部を露出したりするような過激なパフォーマンスは許されないし、男性の乳首すら出さない方がいいとされているため、YouTubeでは江頭は胸にテープを貼って上半身裸の状態で出ている。

ただ、YouTubeはテレビと違って、江頭自身が主役になれるメディアだった。自分のチャンネルを持って、自分を主体にして好きなように発信をすることができる。これが彼の芸風に見事にマッチしていた。

YouTubeでこそ表現できた江頭2:50の人となり

テレビの世界では、江頭はいざというときに出てくるワンポイントリリーフとして重宝されていた。出演する時間は短いが、視聴者に与えるインパクトは大きい。登場してすぐに派手に暴れ回り、自分の空気を作ってすぐに退散する、というのが彼に求められた役割だった。

だが、YouTubeの世界では、江頭自身にスポットが当たる。彼はカメラ目線で視聴者に向かって熱く語りかける。どんなときにも手を抜かず全力投球する彼のスタイルは、視聴者と一対一で向き合うYouTubeの世界と親和性が高いものだった。

実は江頭は、下ネタや体を張った芸でしか笑いが取れない芸人ではない。しゃべるのも得意としていて、これまでにもライブやインターネット番組ではフリートークで笑いを取ったりもしてきた。

しかし、これまでのテレビでは江頭のそういう一面がなかなか見られなかった。私が過去の取材時に本人に直接それを問いただしたところ、「それは求められてないみたいなんだよね」という答えが返ってきた。

かつてのテレビでは、過激な暴れん坊としての江頭のキャラクターだけが求められていた。バラエティ番組は出演者同士の集団芸で成り立っているので、与えられた役割をまっとうするしかなかった。それ以外の部分にはなかなかスポットが当たる機会がなかった。

でも、YouTubeでは、自分の役割に縛られることなく、自由にしゃべることができる。そこで笑いが取れるのはもちろん、自然な感じで話をすることで、彼自身の飾らない性格や人柄の良さがにじみ出てくる。笑いを求めてYouTube動画を続けて見ているうちに、人々はどんどん江頭自身の人間性に魅力を感じるようになる。

実際、江頭のYouTube動画で話題になるのは、笑いの部分だけではない。ときどき彼が見せる熱くてまっすぐな部分に惹かれる視聴者も多い。

いつも全力。だから目を離せない

初期に公開されたブルーハーツの「人にやさしく」を本気で歌うだけの動画も話題になっていたし、最近では代々木アニメーション学院の入学式で、新入生に向けて披露した真面目な内容のスピーチ動画が大反響を巻き起こしていた。

「何があってもあきらめるな」「つらいこと、嫌なことがあったら俺を見ろ、そして笑え」と、夢を追う若者に向けて情熱的に語りかけていた。この動画はTBSの『ラヴィット!』でも紹介されていた。

江頭はかつて「ワンクールのレギュラーより1回の伝説」という名言を残した。テレビでワンクールのレギュラー番組を持つことよりも、1回でいいから語り継がれるような伝説を作っていくんだ、という彼なりの決意を示したものだ。

彼がこれを言った時代には、テレビこそが芸人の主戦場であり、そこでレギュラー番組を持っていることが成功の証であると考えられていた。

しかし、今ではメディアをめぐる状況が大きく変わっている。テレビの影響力は衰える一方で、一世を風靡するような人気のお笑い番組がなかなか生まれにくくなってきた。

テレビと同じくらいYouTubeに力を入れていたり、テレビを離れてYouTubeを中心にして活動するような芸人も続々と出てくるようになった。いまやテレビというものは、芸人にとって数ある選択肢の1つでしかない。テレビに出て広く浅く知られるよりも、YouTubeで自分を支持する人に向けて深く刺さるような発信をすることの方が価値があると考えられるようにもなってきた。

そもそも、テレビでもYouTubeでもライブでも営業でも、江頭のやることは何も変わらない。彼はいつでも全力で本気の芸を見せてくれるだけだ。そんな彼の動画に寄せられるコメントは、ほぼすべてが好意的なものだ。しかも、熱狂的な称賛コメントも多数含まれている。

彼はYouTubeという新興メディアを舞台にして、1本1本の動画に魂を込めて、日々伝説を更新し続けている。江頭2:50は生き様そのものを芸にする稀代のエンターテイナーなのだ。


2年ぶりに開催が決定!8月17日、18日に開催される江頭2:50主宰の音楽と笑いの祭典『エガフェス2024』が、U-NEXTでも配信決定!チケットは2024年7月20日(土)10:00〜2024年8月31日(土)20:00まで販売。

『エガフェス2024』

エガフェス_KV

エガフェス前夜祭 2024年8月17日(土)18:30開場/19:00開演、終演21:00(仮)
エガフェス大本番 2024年8月18日(日)17:30開場/18:00開演、終演20:30(仮)

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