アルカラスが“シンシナティ”初優勝 次なる舞台・全米OPへ向けて「ラドゥカヌと組むのは楽しみ」|マスターズ1000 シンシナティ
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アルカラスが“シンシナティ”初優勝 次なる舞台・全米OPへ向けて「ラドゥカヌと組むのは楽しみ」|マスターズ1000 シンシナティ

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ATPツアーの中で、グランドスラムやNitto ATP Finalsに次いで大会ランクが高いとされるマスターズ1000。年間を通して9大会行われ、その成績は年間ATP世界ランキングにも大きく影響しうる。

その注目のマスターズ1000、今年7大会目となるシンシナティ・オープンが2025年8月7日〜18日(現地時間)にかけて開催された。男子シングルス決勝では、第1シードのヤニック・シナー(イタリア)と第2シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が対戦。「二強」と呼ばれるプレーヤー同士の一戦は期待を集めたが、シナーが第1セットを0-5とされたところで体調不良により途中棄権。これにより、アルカラスが大会初優勝となった。

チャンピオンに輝いたアルカラスは試合後、無念の幕切れとなったシナーの気持ちを推し量りつつ、次の舞台である全米オープンに向けて「最高のテニスを見せたい」と意欲を口にした。

試合後会見

──チャンピオン、おめでとうございます。望んでいた形での勝利ではなかったかもしれませんが、今のお気持ちはいかがですか?

アルカラス:もちろん、このような形で勝ちたかったわけではありません。まず何よりも、ヤニックの一日も早い回復を願っています。数日後には回復して、全米オープンに向けて良い練習と準備ができることを願っています。彼は素晴らしいテニスをしていますから。

ただ私自身としては、このトロフィーを掲げることができて本当にうれしいです。2023年の決勝で敗れて以来、このトロフィーがすごく欲しかったんです。だから、これを手にできたことを誇りに思いますし、幸せです。

カルロス・アルカラス

──試合としては少し気まずい終わり方になってしまいました。対戦相手のシナー選手のボディランゲージが良くない、あるいは最後までプレーできないかもしれないと気づいたのはいつ頃でしたか?

アルカラス:第3ゲームが終わった後だったと思います。彼が全くもって良い状態ではないことに気づきました。彼のことはよく知っています。ここ2年間、素晴らしい試合、素晴らしい戦いを繰り広げてきましたから。彼のスタイルも、彼のゲームも理解しています。

そして第3ゲームの後、彼がいつもよりアグレッシブになっていることに気づきました。ミスも普段より多く、彼にしては珍しく3打目前にミスが出ていました。ボディランゲージもベストな状態ではありませんでしたね。第3ゲームあたりで、彼の調子が良くないことには気づいていました。

──もし昨日シナー選手が棄権を申し出て決勝が不戦勝になったケースを想定して、予選敗退者などの中から繰り上がりで決勝を戦う「ラッキールーザー」のようなルールを導入することについて、どうお考えですか?

アルカラス:うーん、考えたこともありませんでした。それが良いアイデアかどうかは分かりませんね。私たちはほぼ毎週トーナメントでプレーしていますが、決勝が行われないというのは非常に稀なことです。敗退した選手のために別のドローを用意するというのは…たとえば1回戦や予選で負けた選手にとっては、次のトーナメントへの良い準備になるかもしれません。でも、正直に言って、今まで考えたことがなかったので、良いことなのかどうかは分かりません。

──全米オープンでのミックスダブルスについてお聞きします。ドローはご覧になりましたか? この新しい試みについて、どれくらい楽しみにしていますか?

アルカラス:良い試みだと思います。正直に言うと、明日すぐ試合というのはスケジュール的にベストではありませんが。でも、ミックスダブルスというコンセプト自体は大好きです。自分にとっては新しい経験になるでしょうし、それがまた楽しみです。エマ(・ラドゥカヌ)と組んでプレーするのは、とても楽しい時間になると思います。

対戦相手はドレイパーとペグラなので、タフな試合になるでしょう。それでも、できる限り楽しみたいです。コートやボールの感触など、すべてを確かめる良い機会だと捉えています。自分にとっては本当に重要で、良い準備になりますから。

ニューヨークへの移動後で、おそらく寝るのも遅くなるでしょうが、明日は自分のベストを尽くして勝利に貢献したいです。どうなるかは分かりませんが、きっと楽しくて素晴らしい試合になると思います。

カルロス・アルカラス

──多くの選手がここ(リンドナー・ファミリー・テニス・センター)のコートは速く、ボールは重いと話しています。ここからニューヨーク(USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター)へ移動するにあたって、そのコンディションの違いにどう適応していきますか?

アルカラス:ええ、少し違いますね。ニューヨークの方が遅いです。(同じボールでも)こちらでは小さく、ニューヨークでは大きく感じられる。ここでは何もかもが、ニューヨークよりずっと速く感じられますね。

幸い、僕たちには慣れるための時間があります。選手たちは、大会ごとのコートやボールなどのコンディションの差をできるだけなくすよう、できるだけ条件差を減らしたいと働きかけています。ですが、現状はできるだけ早くその環境に適応し、準備を整えるしかありません。ニューヨークでどうなるか、見てみましょう。

──まもなくニューヨークでの戦いが始まります。ウィンブルドンや全仏オープン、全豪オープンの前と比べて、気持ちに何か違いはありますか?

アルカラス:少し違いますね。これまでのグランドスラムの前は、多くの試合をこなして臨んできました。今回は、いつもとは違うアプローチで全米オープンに臨むことになると思います。今の自分の感覚が違いますから。自信に満ちあふれていますし、サーフェスも異なります。

ニューヨークはプレーするのが大好きな場所です。私が初めてグランドスラムを制した場所であり、毎年あの場所で受ける愛情とサポートに心から感謝しています。

去年は自分のプレーレベルにがっかりさせられました。だからこそ、今年は自分の本当に良いテニス、最高のテニスを見せたいです。できるだけ勝ち進んで、現地の声援を楽しみながら、どうなるか見てみたいと思います。

カルロス・アルカラス

──今夜の予定は?

アルカラス:あまり時間はありません。今夜シンシナティを発ちます。今夜中にニューヨークに入って、明日の試合に備えてできるだけ睡眠をとりたいと思っています。なので、シンシナティでの最後のディナーをチームと一緒に楽しむつもりです。ここの本当においしいバーガーを食べてね。そして、気持ちはもう明日の試合に向かっています。

──ここの暑いコンディションに非常によく対応していたように見えます。水分補給以外に、このような暑さに備えるために何か特別な準備はしていますか?

アルカラス:正直に言うと、オフコートではこの暑さ対策として何か特別なことはしていません。ただ、練習を日差しが最も強くなる時間帯、例えば12時から14時、16時から18時に行うようにしていました。そうすることで、できるだけ早くコンディションに慣れようとしたんです。

私はムルシアの出身で、あそこも本当に暑いんです。今の時期は43℃か44℃くらいになります。だから、こうした極端なコンディションでプレーすることにも慣れています。もちろん、いくつかの試合ではかなり苦しみました。それは認めなければなりません。でもすべてにうまく対処し、乗り越えられたことを本当にうれしく思います。試合に向けて集中して練習に取り組んできた結果です。

優勝スピーチ

(シナーが)言った通り、これは僕が望む試合の勝ち方、トロフィーの勝ち方ではありません。ただ、申し訳ないと言わせてください。あなた(シナー)が今どんな気持ちか、分かっているし、理解しています。あなたが自分で分かっていること以外、僕に言えることはありません。ですが、何度も言ってきたように、あなたは本当に、本当にチャンピオンです。この状況から、あなたはいつもそうであるように、より良く、さらに強くなって戻ってくると確信しています。そして、それこそが真のチャンピオンがすることであり、あなたはまさにその一人です。だから、すごく残念です。もっと強くなって、戻ってきてください。

カルロス・アルカラス

そして、僕のチームの話を続けたいと思います。ご存知の通り、テニスは一つの大会において1週間、いや2週間弱という長い期間プレーします。この大会までに僕たちチームはコートの外で、とても良い雰囲気を作り上げてきました。そのことを本当に誇りに思います。毎日僕のそばでサポートし、一生懸命働き、僕を限界まで追い込んでくれるあなたたちがいてくれることに、心から感謝しています。この大会期間中だけでなく、僕のために注いでくれているすべての努力に感謝します。ありがとう。

この大会を可能にしてくれたすべての方々へ。この大会は僕にとって常に素晴らしい大会です。今年はさらに良かったと思います。わずか1年での刷新は、選手にとって、そして会場の皆さんにとっても、素晴らしかったと思います。僕たちは試合の合間の時間も、より快適に過ごすことができました。コートの外でも本当に素晴らしい気分でした。そしてエリー、毎日いろいろ整えてくれてありがとう。今年のこの大会に参加できたことを、嬉しく思います。

そしてもちろん、ここの観客の皆さんは、テニスに対して常に素晴らしいです。僕自身にとっても毎回の練習、毎回の試合で、皆さんからの愛を感じました。とても感謝しています。皆さんの前でプレーできることは、本当に喜びです。僕はただ、この大会で勝ちたかった。2023年には、この大会の決勝で負けました。その瞬間から、今大会の初日から受けたサポートに応えるためにも、どうしてもここでこのトロフィーを掲げたかったのです。ですから、この勝利は皆さんのためのものでもあります。本当にありがとうございました。また来年お会いしましょう。

カルロス・アルカラス

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