松山英樹インタビュー【前編】あのトップ選手でも勝てていない! PGAツアーのレベルアップを語る
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松山英樹インタビュー【前編】あのトップ選手でも勝てていない! PGAツアーのレベルアップを語る

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PGAツアー2025年シーズンは開幕戦でいきなり勝利を挙げるなど、好調な出足を切った松山英樹。タイガー・ウッズが主催する注目の新リーグ「TGL」にも参戦する松山に、プロキャディ・杉澤伸章がインタビュー。前編は2024年の振り返りと、TGLへの思いをたっぷりと聞きました。

──2024年は、ご自身では100点満点中何点の評価でしたか?

松山英樹(以下、松山):85点くらいですかね。

──なかなかの高評価ですね。どのあたりが要因となりますか?

松山:リビエラで勝った(2月のジェネシス招待で、アジア勢最多勝利を更新するPGAツアー9勝目を挙げた)のと、プレーオフ(フェデックス・セントジュード選手権で自身初のプレーオフでの勝利を挙げた)、オリンピック(パリ五輪で銅メダルを獲得)。やっぱりこの3つが大きいですね。

丸山(茂樹)さんの記録(PGAツアー3勝)を抜いたときから、早くKJさん(崔京周、K.J.choiの略称で知られる韓国のトッププロで、PGAツアー8勝は松山に抜かれるまでアジア勢最多だった)を抜いてくれって言われてたので。それを、丸山さんもよく知っているコース(リビエラCC)で、当日丸山さんも現地で優勝した後にお会いしたので、それがなにより嬉しくて。

松山英樹_フェデックス優勝のとき

──KJさんに並んでからは2年の月日がありましたが、この2年は松山プロにとってどういう期間でしたか?

松山:去年(2023年)は苦しかったですし、(2022年の首の)怪我からは長かったですけど、今思えば早かったかなっていうのはありますね。

──その間取り組みにも変化がありましたか?

松山:取り組みは変わってないんですけど、首の怪我からはじまって、なかなか練習ができない状況が2シーズン続いたので、やっぱりうまくいかないことが多くて、しんどかったですね。

──オリンピックとかプレジデンツカップ(米国と世界選抜が戦うチーム戦)、自分ではなくなにかを背負っての戦いも1年のうちに2度経験されましたが、その経験はいかがでしたか?

松山:オリンピックは個人競技なのでチーム感っていうのはあんまりないですけど、練習ラウンドから啓太(ともに日本代表として戦った中島啓太)と一緒に回って、(代表監督の)丸山さんがずっとついてくれて、というところで日本を代表してやってるっていう(気持ちがした)。

試合中はそういう感じじゃなくて、個人、こいつらに勝ちたいっていう、メダル獲りたいっていう思いしかなかったんで、背負ってるっていうのはあんまりなかったですけど。でもやっぱりどうしても、女子はもう(メダルを)獲っているので、男子は獲っていないので獲りたいという気持ちもありましたし、その葛藤はすごくありましたね。

──銅メダルを獲得されて、その反響はいかがでしたか?

松山:やっぱり全然今までとは違う反響というか、ゴルフしたことないだろうという人からも声をかけられましたし、オリンピックってすごいなと(笑)。

──2025年シーズンは、PGAツアーに日本人選手が増えます。この環境の変化を松山選手はどうとらえていますか?

松山:僕はあんまり変わらないかなと思っています。試合で(他の日本人選手と)会うことがどれくらいあるかはわからないですけど、各々が勝手にやる4人(久常亮、星野陸也、大西魁斗、金谷拓実)じゃないですかね。ずっとアメリカでやってるんで、日本人が来たから上には行かれたくないですし、けど毎試合毎試合そんな気持ちでやってたらもたないんで、今まで通り僕はやりたいと思ってます。

──PGAツアーのレベル自体は、上がっているのでしょうか?

松山:上がっていると思いますね。(強い選手が)本当に増えていますし、それこそジョーダン(・スピース)とかJT(ジャスティン・トーマス)とかはここ2年くらい勝ててないっていう。コリン(・モリカワ)もそんなに勝ててないですし。それが今のレベルなんじゃないかなっていう感じですよね。

──1月からはTGL(タイガー・ウッズが主催するリアルとバーチャルが融合した新リーグで、松山も参戦)がはじまります。現実ではありえないようなコースで戦っていく感じですよね。

松山:楽しみですし、面白い仕組みだと思います。現実でやるとしたら超莫大な費用がかかりますよね。ペブル(ペブルビーチGL)の断崖絶壁(名物の8番ホール)をずっとやってるみたいな感じですよね。

──バーチャルで好きなコースを作っていいよと言われたら、松山プロならどうされますか?

松山:自分の好きなコースを18ホール選ぶと思います。(それをアレンジして)ここにバンカーあったら嫌だよな、みたいな、自分の嫌いなコースばっかり作ると思います。ちゃんと調子良かったら大好きなコースで、調子悪かったら平気で85くらい打つようなコースを作っちゃうと思う。

──たとえばどんなホールですか?

松山:メモリアル(メモリアルトーナメントの開催コース、ミュアフィールドビレッジGC)の18番です。左のラフを全部刈って池に入るようにして……。

──打つところないですね(笑)。

松山:ミュアフィールドビレッジなら12番も。

──ジャック・ニクラウス系がお好きなんですね。

松山:ロバート・トレント・ジョーンズも好きですね。

──TGLはデータが出るのも楽しみのひとつです。松山選手も普段の練習で弾道測定器をお使いだと思いますが、普段はどのあたりを気にしていますか?

松山:基本的にはクラブスピードとボールスピード、あとキャリー。それくらいですかね。

──クラブ入射角などは?

松山:多少は気にしますけど、あまり重要視していなくて、僕はスピード。調子悪いとスピードが落ちてきますし、スピードが落ちてきたらトレーニング増やしたりとか、逆に休まなきゃいけないのかな、とかいろいろ考えることはあるんで。それによって、軌道が変わってきたりもするんで。

──TGLのコンセプトに賛同された、その理由は?

松山:アダム・スコットに誘われたっていうのは大きいですし、(松山がTGLで所属するチーム『ボストン・コモン・ゴルフ』を所有する)フェンウェイスポーツ(グループカンパニー)に誘われたのも大きかったですね。そういうのもあって、実際にコンセプトを聞いた時に、なんていうんですかね、時間短縮できて、今のゴルフって最低でも4時間かかって、4日間っていう長いスポーツだと思うんですけど、短縮して楽しめるというところで、本当に近未来的な感じなので。そこは面白いなと思って、日本にも入ってくれば面白いなと思いながら、はい。

──TGLはマイクパフォーマンスもあると思うんですが……。

松山:どうなんですかね、喋らなくていいって言われてるんです、僕。

──日本語で喋ってもらって、面白い日本語を広めてもらいたいなと。

松山:それ、募集してください(笑)。

インタビュー後編はこちら。

インタビュー動画は以下でご覧いただけます。

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