「なにもしないより、ダメでも行ったほうがいい」腰痛に苦しむ中島啓太に松山英樹が“直電”で伝えたこと<独占インタビュー後編>
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「なにもしないより、ダメでも行ったほうがいい」腰痛に苦しむ中島啓太に松山英樹が“直電”で伝えたこと<独占インタビュー後編>

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2024年にDPワールドツアーに戦いの場を移し、ツアー1勝、オリンピック出場と飛躍を遂げた中島啓太。しかし、その裏では腰痛に苦しめられ、心が折れる経験も。独占インタビュー後編では、腰痛で苦しんだシーズン後半戦について語ってもらいました。

ーー参戦初年度のDPワールドツアーで3月に初優勝。オリンピック出場も決まったなか、腰痛を発症されて、オリンピックは49位。その後は、どう過ごされていましたか?

中島啓太(以下、中島):オリンピックが終わって3週間ほどオフをいただいて、そこから(DPワールドツアーで)5連戦を組んでいて。3週間休んでちょっと(腰痛も)マシになったので、(ベットフレッド・)ブリティッシュマスターズというイギリスの試合に行って、練習ラウンドでまた腰が痛くなって……。

その時に完全に心が折れて、5連戦組んでたんですけど全部キャンセルして。マネジメント会社の方とミーティングして、痛みがあっても戦うのは当たり前だけど戦えるような体と心じゃなかったら休んでもいいよ、戦いたくなったら戻ればいいよって感じだったので、(ブリティッシュマスターズ以降の)4つを全部辞退して、日本に戻って。良くなるまで休もうと。

ーーゴルフから離れる時間、どんなことを考えていましたか?

中島:そのときは、来年もDPは出られるし、今年はもう終わってもいいんじゃないかと思って。日本オープンが地元(注:中島の地元・埼玉県の東京GCで開催)だったので日本オープンだけプレーして、後は休んでもいいかなって自分としては思ってたんですけど、キャディをしてくれていた(岡崎)錬さんがずっと僕の実家に残ってくれてて、一緒にパター戦で遊んだりとか、一緒に体を動かしたりとか、ずっとポジティブな存在でいてくれて。

栖原(弘和)トレーナーさんも週に1、2回は自宅に来てくれるので、リハビリしたり、いろいろ、栖原さん自身も勉強して治療法を考えてくれたりとかしてくれたので、僕も自然とポジティブになっていきましたし、そのタイミングで、栖原さんと錬さんから、(出るはずだった)5連戦の最後はスペインだったんですけど、行ってみてやめてもいいし、ダメでもいいからスペインに行ってみない?っていう言葉をいただいて。

すごい迷って、松山(英樹)さんにも連絡させてもらって。今こういう状況で日本に戻ってきて、スペインに出るか、迷ってるんですっていうふうに連絡したら、電話がかかってきて、行くのは行ったほうがいいと思うって。行って痛かったらやめればいいし、行かずに何もしないよりは行った方がいいんだって言われたので、エントリーして、行きました。

ーー松山選手の言葉でツアー復帰を決めたわけですね。

中島:1試合だけ、行って予選も通らずに終わったんですけど、そこでいろいろまた感じることができて。

ーー具体的に、体のことや技術面での気づきはありましたか?

中島:手応えはかなり得られました。まずはティショットで、自分が振れる範囲の痛くない力感で振っていたのが、実はスウィングスピードも落ちていなくて、意外と速かったっていう(ことに気づいた)のがいちばんの収穫でした。やっぱり周りがすごい振って飛ばすので、それに流されつつあったので。そこからバランスよく自分の振れる範囲で振ってやれることだけやろうと。すごいシンプルになりました。

ーーその後、腰の痛み自体は?

中島:完全に消えたことはないですけど、体幹のトレーニングをたくさんするようにしたら、腰痛もある程度治まってきて。痛みが出ても夕方ケア受けたら治るっていうような程度になってきました。

ーーそれが成績にも現れて、最終戦のDPワールドツアー選手権も7位タイと好フィニッシュでした。もうちょっと早くツアーに戻れていたら……と思ったりはしませんでしたか?

中島:結果で見たらもうちょっと早く出られたらいいな、試合にもっとたくさん出られれたらいいなっていう感じですけど、自分としては自分のできる2024年のDPツアーのベストを出せたかなと思いますし、もちろん(DPワールドツアーでランキング上位に入ることで資格を得て)PGAツアーに行くことが最大の目標ではあるんですけど、DPワールドツアーを戦ってみて、ここにいることが別に悪いことじゃないなっていう風に思って。別に数年DPにいても決して悪いことではなくて、レベルが低いことではないので。そして、川村昌弘さんの6年シード(6年間シードを維持)っていうのも、かなりすごいことなのかなって感じています。

ーー2025年シーズンに向けて、実は生成AIに中島プロの成績を予想してもらったんです。すると、1勝か2勝を挙げて、世界ランキングは50位以内で安定、メジャーでも1回トップ10入りと出ました。ご自身ではどんな青写真を描いていますか?

中島:2025年は試合数をたくさんプレーすることを目標にしています。30試合だと多いので、25から27くらいの試合数をプレーすることを目標に、あとはチームでいつも通りしっかり準備して妥協せずやっていけば、いいパフォーマンスというかベストは尽くせると思うので。試合数をプレーすることを目標にしています。

ーーU-NEXTでDPワールドツアーも配信します!

中島:めちゃくちゃ嬉しいです。2024年は(星野)陸也さんもすごい活躍されましたし、僕も自分なりに頑張っていたなかで、それを日本の方に見てもらえないというのは悔しかったですし、本音で言うと、スコアが伸ばせなくて順位が下がったときに、「中島は何位に後退」と書かれるのが本当に悔しくて。

やっぱり現地に来てもらって大会の雰囲気とかコースとかっていうのを見た上でそういうのは書いてほしかったという悔しさはかなりあったので、U-NEXTさんに配信していただいて日本の方にヨーロッパのレベルの高さっていうのを見てもらえたら本当に嬉しいなと思います。

ーーDPワールドツアーのこういったところを見てほしい、という点はありますか?

中島:コースが面白いです。セッティングで難しくするというより、コース自体が難しいので、そこは回っていて楽しいですし、色々な攻め方をする選手が多いです。キレイなコースはほんとに整備されていて、グリーンも素晴らしいんですけど、悪く言ったら本当に汚いコースもあったりとか。芝が生えていなくて、これ、このまま打つの?ということも。そこが楽しいですね。

ーーここからどう打つのか?と想像しながら観戦するのは楽しそうです。

中島:DPワールドツアーがやっている時間は日本の夜だと思うので、みなさん見やすいと思いますし、AIの予想によると優勝できるらしいので(笑)、見てもらえたら嬉しいと思います。

ーーありがとうございました!


インタビュー前編はこちら

インタビュアー:塩畑大輔
撮影:野村知也

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