京都でアニメ劇伴音楽フェスが開催!「京伴祭」加藤達也さんインタビュー
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京都でアニメ劇伴音楽フェスが開催!「京伴祭」加藤達也さんインタビュー

アニメの劇伴のみで行われる音楽フェスティバル「京伴祭」が9月16日(土)に京都府・梅小路公園で開催されます。2度目となる今回は、待望の有観客での開催!ここではそんなフェス出演者である劇伴作曲家たちに、アニメ劇伴曲やフェスにかける想いを語っていただきました。第3回は『アイドリッシュセブン』などの劇伴を担当した加藤達也さんのインタビューをお届けします!

━京伴祭や東京伴祭にはどのようなイメージを持っていますか?

加藤:劇伴音楽の性質上、単体作品のオケコンや作家個人のコンピレーションコンサートはあったものの、いわゆる「音楽フェス」形式の劇伴コンサートというイベントはこれまでなかったので、イメージ的にも裏方としての色が強い劇伴作家の立場からしてもとても面白く、制作時に感じていた衝動や作品への想い、そして音楽家としての、情熱を発揮できる素晴らしい場だと感じています。

━━京伴祭初参加の心境をお聞かせください。

加藤:個人的に、ここ数年はステージに立って自分の曲を演奏する機会が増え、お客さんの前でパフォーマンスすることへのやりがいや、ライブという空間を共有する楽しさが高まっています。この京伴祭においては、林(ゆうき)くんをはじめとする尊敬する作家のみなさんと同じ場に立たせていただき、自分のことや、自分の担当する作品をまだ知らないお客さんの前でパフォーマンスすることができることへのワクワクを大きく感じています。そして会場も野外ということで、まさに夏フェスの雰囲気を劇伴業界で味わうことができるということもとても楽しみにしています。

━━加藤さんの劇伴との出会いや、好きな劇伴など、劇伴にまつわる個人的エピソードを教えてください。

加藤:幼少よりアニメや映画が大好きで、たくさん観てきた中で多くの人たちと同様に劇伴の存在には中々気づいてもいませんでした。世代的に『スター・ウォーズ』や『バック・トゥー・ザ・フューチャー』など80年代~90年代のハリウッド作品との出会いによって、サウンドトラックの存在感と素晴らしさに徐々に気づかされました。自分はディズニーパークやディズニー映画が大好きで、印象的な歌曲やそのメロディモチーフを効果的に使用したサウンドトラックなど、そこで出会った音楽たちも一つのきっかけとなっていると思います。

━━劇伴に感じている魅力を教えてください。

加藤:劇伴というものはいわゆる付随音楽で、何かしら音楽をつける対象のコンテンツが存在しています。色々な形で与えられるオーダーや制限、一緒にものづくりに向き合う仲間とのコラボレーションを経て、自分自身が生み出す音楽によってキャラクターたちの心情によりシンパシーを感じたり、その情景がより美しいものに見えたり、その対象のコンテンツが何倍にも輝いて感じられた時、一番の喜びを感じます。それこそが劇伴の魅力ではないかなと思います。

━━東京伴祭で林さんが「5年後、10年後も続くイベントにしたい」とコメントされてました。実現するために必要なこと、やるべきことはなんだと思われますか?

加藤:そもそも劇伴音楽という存在は、一般の視聴者にとって非常に分かりにくい、存在を認識しにくいものだと思っています。実際、僕たちが劇伴や劇伴作家というお仕事を説明する時も少し工夫が必要になるのが世の常です。僕たちの役目は、劇伴、つまりサウンドトラックの存在の認知をもっともっと広げ、その可能性と素晴らしさを伝えていくことだと思っています。そのためには、この京伴祭はとても素晴らしい機会だと思いますし、逆説的に言えば、この京伴祭の火種を絶やすことなく燃やし続け、盛り上げ続けていくことが劇伴音楽の世界を広げていくこととイコールになってくるのではないかと思っています。

━━東京伴祭で高梨康治さんが「誰もやっていないことを始めるのはすごくエネルギーがいること。これから先、いろいろな作家さんが参加して……と夢はどんどん大きくなっていきます」とコメントされていましたが、加藤さんが本イベントの初参加で叶えたい夢、今後やってみたいことはありますか?

加藤:初参加ではありますが、1回目の京伴祭、東京伴祭を拝見させていただき個人的に強く感じたのは、やはり各々の作家それぞれの個性が際立っていて、みなさん全く違った世界観を表現されていたということです。そして、自分の音楽の世界観というのも他の作家さんとはまた違ったカラーであると思うので、今回初めて参加させていただく上で、自分の担当作品の素晴らしさを伝えることはもちろんのこと、自分自身の音楽のテイストや情感を、少しでも多く聴いてくださるみなさんに伝えられたらと思っています。今後やりたいことは、共演する作家さんたちと一緒に何かコラボレーションできたらいいなぁと思っています

━━4月開催の東京伴祭では、このイベントや京伴祭を世界へというコメントも飛び出していました。京伴祭初参加のみなさんは、世界への進出や、世界での劇伴の人気などをどのように受け止めていますか?

加藤:世界における日本のアニメーション作品の力というのをとても大きく感じています。特に音楽は言葉を越えて伝わるもの、作品に宿るその素晴らしいメッセージ性と共に僕たちの作る音も世界の人々の耳に必ず伝わっているものと思います。昨今はSNSの発展などにより、より一層さまざまなフィールドの人々とコミュケーションが取れる時代になっているので、今後もより加速度的にその魅力を多くの国やたくさんの人たちに広がっていくことを期待しています。

━━京伴祭への意気込み、劇伴ファンへのメッセージをお願いします。

加藤:担当作品のことをまだ知らない人たちにも、いつも応援してくれている人たちにも、作品の魅力を、そして僕たちが作っている音楽に込めた想いを、一つでも多くみなさんの心に届けたいと思います。ぜひ、気楽な気持ちで楽しんで聴いてください!

(プロフィール)
加藤達也
7月28日生まれ、千葉県出身。劇伴作曲家として『Free!』『食戟のソーマ』『ラブライブ!サンシャイン!!』『アイドリッシュセブン』など、幅広い楽曲で人気を博す。2023年11月公開の映画『駒田蒸留所へようこそ』でも音楽を担当している。

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