ノーマン・リーダス直撃インタビュー『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』
『ウォーキング・デッド』スピンオフ『ダリル・ディクソン』ノーマン・リーダスが来日。キャロルとの共演についても語る
愛くるしい姿で毒舌を吐きまくるぬいぐるみ・テッドと、ダメ中年・ジョンとの日々を描いた痛快コメディ『テッド』。2012年に世界中で大ヒットした『テッド』の前日弾がドラマ『テッド ザ・シリーズ』です。1993年を舞台に、ジョンと一緒に高校入学を余儀なくされたテッドが、10代の山あり谷ありを経験する本作の吹替版で、テッド役を神谷浩史さん、ジョン役を河西健吾さんが担当。おふたりに、テッドの魅力、そして本作の見方を伺いました。
──今回吹替版を担当された『テッド ザ・シリーズ』は、映画『テッド』シリーズの前日譚です。お二人は『テッド』という作品にどのような印象を持っていますか?
河西:映画は観たことがなかったのですが、情報として“いい意味で”すごくひどい作品だというのは重々承知していました(笑)。その映画の過去の話が描かれるので、ジョンがどのようにテッドと友情を深めていくのか、すごく楽しみでした。
神谷:すばらしいアイデアを逆手にとった下品でバカで、非常識な作品ですよね(笑)。僕は大好きで映画も観ていますが、1より2が本当に酷すぎ。やりすぎだなと思いながらも、非常に楽しく観ていました。
──作品や演じているキャラクターの好きなところ、どうかしてるなと思うところなどを教えてください。
河西:ジョンとテッドを見ていると、実際に僕もあんなことやってたなと思う部分は正直あります。男の子としては「いいぞ、もっとやれ!」と思うのですが、ふと我に返ると「ホントどうかしてるな」という気持ちでいっぱいにもなって(笑)。そこが『テッド』という作品のひとつの魅力なのかなと感じます。
神谷:自分が大切にしていた人形に奇跡が起きて、命が宿って、友達になって、ずっとそばにいてくれる。『ドラえもん』『忍者ハットリくん』のような日常ギャグ作品は子どもの頃から親しんできましたが、『テッド』はその延長の話。こういう存在って、子どものときだから一緒にいて楽しいわけであって、ずっとそばにいられたらマジ迷惑だと思うんです(笑)。藤子・F・不二雄先生の「劇画・オバQ」は大人になった正太のもとにQちゃんがやってきて大原家が困るって話なのですが、本来、あの反応が本当だと思うんですよね。
河西:アハハハ!
神谷:だからこそ、ジョンはすごく純粋なんだなと思っています。本来だったら困るんだろうけれど、ジョンというキャラクターの特異性というのでしょうか。マジでテッド以外に友達がいないっていう(笑)。
──ジョン、すごくいい子なんですけどね。
神谷:そうなんです。本当にいいやつだし、だからテッドにはジョンがいてくれて良かったと思うし、ジョンにはテッドがいてくれてよかったという話ではあるんですけれど、ずーーーっと一緒にいられたら、本当は迷惑だよなと僕はちょっと思います。第三者的にはすごく面白いけれど、当事者としては絶対に嫌です(笑)。
──テッドのいる生活、嫌ですか?
神谷:嫌でしょ!嫌じゃない?
河西:まあ、何をするにも絶対いるし、プライベートの時間はほしいかな。
神谷:無理でしょ?プライベートなんて一切なくなるよ。
河西:ある程度の距離みたいなものは守ってほしいです。
──今回のテッドはジョンと一緒に学校に通うので、ずーっと一緒。プライベートもないですね(笑)。
河西:確かに(笑)。
──ですが、第1話からジョンがテッドに「一緒にいてくれて良かった」と感謝するシーンもあって、シリーズが好きな身としてはふたりの絆を感じうれしくなりました。もしお二人がジョンくらいの年齢だったら、テッドとやってみたいことはありますか?また、ずーっと一緒のふたりなので、大人になった今の自分がテッドとやってみたいことがあれば教えてください。
河西:ジョンと同じくらいの歳なら、自転車のカゴに乗せていろいろなところに遊びに行って、めちゃめちゃ楽しいことになるとは思います。でも、今テッドがいることを想像すると「ごめん、ちょっと黙ってて」と言ってもずっと喋りかけてくる姿がイメージできます。「空気読んでよ」って思う瞬間がたくさんありそうなので、空気を読んでくれるならいてもいいかなと思います。
神谷:子どもの頃なら、一緒に野球やサッカー、ファミコンやろうよってなるけれど、リアルに考えると「コントローラー握れるの?」とかいろいろ現実的なことも気になってくると思うんです。テッドって何でもできるじゃないですか。怖いくらいに何でもできる、超絶便利な存在です。だから常識で考えちゃいけない。たぶん何でも一緒に楽しめると思うけれど、ずっと一緒にいられたら、現実的には嫌だろうなって。それが劇場版で描かれているわけです。自分が夢見ていたヒーローに会えるからってデートをすっぽかしちゃうなんて、バカじゃないのって(笑)。30年来の友達だからいいじゃんっていう絆が描かれているのですが、そこから身の破滅を招く。そこまでの存在になれるってすごいなと思うんですよね。
──何でもできるけれど、階段をのぼるときにちょっとつまづくみたいなところもあって、かわいいですよね。
神谷:本当にずるいですよね(笑)。
──そういう部分もテッドの魅力かと。オリジナル版でのセス・マクファーレン演じるテッド、マックス・バークホルダー演じるジョンの印象や、ご自身が演じる際に参考にしたことなどを教えてください。
河西:吹替作品をやる際には、役者さんの表情やお芝居のトーンなどからセリフに込めた意味を想像し、重視するようにしています。『テッド』に関しては、日本語で聞いてどう面白いかというのも大事にしなきゃいけないと思うので、原音だとこうだけど日本語ではこうしたほうがいいんじゃないかなというチャレンジの仕方でアフレコしています。最終的には音響監督さんやディレクターさんの判断になりますが、日本語で聞いてどう感じるをかなり大事にしています。
神谷:ジョン、ぴったりでしょ?
──ジョンもテッドもぴったりでした!
神谷:そういう声はすごく嬉しいです。
──実はテッドに関しては、ちょっと予想していない声の高さでしたが、しっくりきました。
神谷:ですよね(笑)。でも、ありがとうございます。第1話は残念ながら河西くんと一緒にアフレコできなかったので、ジョンがどんなふうに喋るのかは分からなかったのですが、河西くんの声ってちょっと独特で、少年と青年の中間くらいの声なんですよね。かつ、独特の暗さを持っているんですよ。
──ジョンのキャラクターにぴったりですね。
神谷:そうなの。なんかね、明るい感じがしないんですよ。これは本当に河西くんの声の特徴で、絶対下品にならないっていう、すごくすばらしい声なので、ぴったりだなと思って。
河西:ありがとうございます!
神谷:対するテッドなんですけれど、セスってもう50歳くらいでおっさんなんです(笑)。映画では釘宮理恵(子どものテッド/おもちゃのテッドの声)がやっていた胸のボタンを押すと「だいちゅき」って喋るテッドの声が、なぜか歳を重ねたおっさんの声になっちゃったという設定があって。じゃあ、ジョンが高校生の頃のテッドの声がどうだったのか。劇場版から数年経っているので、ハッキリ言うと原音は完全に“より”おっさんになっています。
セスの声に合わせて見た目とのギャップの面白さを楽しむのもいいけれど、「神谷がやっているんだな」「神谷が1回触ったな」と分かる方が僕がやらせていただく意味がある。僕がやるテッドにしますという了承を得た上で、セスのしわがれた声やゲスな声でゲスっぽいことをいうニュアンスなどは拾いながら、収録しています。
──カメラが回っている場所や、公の場ではなかなか言いにくいセリフを思いっきり言えるので、アフレコ現場も楽しく盛り上がっているのでは?と想像しています。言っていて気持ちよかったセリフはありますか?
河西:ハロウィンでの卵を投げるシーンでのセリフです。
神谷:屋根の上から卵を投げて、ひどいこと言ってたよね(笑)。
河西:やってて気持ちよかったです(笑)。間違って当ててしまった相手が……という流れも、ただの事故なのにめちゃくちゃ面白かったです。
──河西さんは「笑いを抑えるのが大変」とコメントしていましたが、思わず笑ってしまったシーンはありますか?イチオシのテッドの好きなセリフ、仕草なども教えてください。
河西:全部です(笑)。テッドはセリフも絶対に面白いし、セリフがないところもちょっと顔で演技するんです。「いや、いらないけど?」って思いながらも面白いから観ちゃうし、観れば笑っちゃうし。本当にすごくいい作品だなって思います。
神谷:日常的には絶対言わないという点では第2話で退学したいテッドが、“あるもの”が大好きだと主張するシーン。胸のボタンを押して「だいちゅき」という声に“あるもの”を連呼して被せるところ。バカみてーだなーって、笑っちゃいました。
──あの“間”はサイコーでした!
神谷:ヒドイですよね。おもちゃとして元々自分が持っている機能を逆手にとってヒドイことをやるという(笑)。テッドにめちゃくちゃなことを言わせているところが面白かったです。
河西:テッドがバイクに乗っているときの半笑いの顔が好きです。“ちょっと”半笑いなところが本当に面白くて。あと、つい先ほど収録したシーンで、一瞬映像は止まるのに、よく見ると1回ちょっとだけテッドが動くんです。今のところ、その2つの表情が僕に刺さっています。
神谷:テッドってずるいんですよね。止まっていても、真面目なことを言っても、ふざけたことを言っても面白い。場が和むというか。ぬいぐるみがあるとき急に動き始める、みたいなことって誰もが考えたことだと思うけれど、それをCGでリアルにやるような技術力ができたからこそ、劇場版ができて、さらに進化した技術でこのクオリティのものが毎週テレビシリーズで観ることができる。これ自体が“異常”なわけですよね。
前日譚ではあるけれど、動きや表情や質感は進化している可能性はあります。すごい技術で作られたものを当たり前のように観ているから、違和感なく受け入れてしまうけれど、実際は違和感の塊。ものすごい技術がテッドに集まっていると思うと、目が離せないですよね。
──テレビシリーズの舞台は1993年。この時代の良さ、懐かしさを感じたポイントはありますか?
河西:メガドライブやスーパースコープが出てきて懐かしいなと思いました。作品に出てくるその年代の小物から、懐かしさを感じさせてくれるのは素敵だなって。
神谷:当時はすでにスーパーファミコンが発売されていたタイミングにも関わらず、ベネット家にはファミコンしかないのかというのがちょっと面白かったです。
──『テッド ザ・シリーズ』をご覧になる方に、メッセージをお願いします。
河西:これは吹替作品であって、我々個人ではないことをしっかり念頭に置いていただけるとありがたいかなと思います(笑)。ジョンとテッドの仲睦まじい物語を描いている作品なので、決して悪ノリが過ぎると思わず、キラキラした何かを感じ取っていただけたらうれしいです。
神谷:海外作品は字幕で観たいという方も当然いらっしゃると思います。けれども、僕個人としては、コメディは吹き替えで観た方が絶対に面白いと思っています。『テッド』は特に、吹き替えで観た方がより面白さが伝わる作品だという自負がありますので、日本語吹替版でお楽しみください。
『テッド』という作品を楽しむにあたって必要なのは、知識と教養と常識です。これを圧倒的に持ち合わせている方が「バカだな」「ヒドイな」と思いながらクスクス観るのが正しい楽しみ方です。そういう状況でこの作品を楽しんでくださる方、僕はとても大好きです。きっと友達になれると思います(笑)。アフレコも非常に楽しくやらせていただいております。全8話までお付き合いいただけたらうれしいです。
映画『テッド』の前日譚ドラマの舞台は1993年。テッドが一瞬だけ世界的な人気者となった時代は遠く過ぎ、16歳のジョン、その両親マティとスーザン、いとこのブレアと共にボストンで暮らす。テッドはジョンと一緒に高校に通うことになり、10代の人生の楽しさと辛苦を味わうことになるのだが…。
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