『セックス・アンド・ザ・シティ』の新シリーズ『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』のシーズン2が、大反響のうちに幕を閉じました。U-NEXT SQUAREでは、オフィシャルインタビューを特別公開。
第4弾の最終回ではついに、主演3人がそれぞれ感謝と尊敬を込めて言及した脚本家のマイケル・パトリック・キングが登場。マイケルが語る、作品に込めた意図とキャラクターそれぞれに込めた想いとは。ぜひ、作品を振り返りながらお楽しみください。
──シーズン2開始にあたり、前シーズンからどのように続くのか教えてください。
マイケル:シーズン1でキャリー・ブラッドショーは最愛の人を失い、彼なしでこれからの人生をどうするのか、シーズンを通してその答えを探し続けました。終盤では、彼女はビッグの遺灰を手放し彼に別れを告げた後、ポッドキャストのプロデューサーであるフランクリンとエレベーターの中で自然にキスをする、というところでシーズン1が終わりました。
そこからシーズン2が始まります。そしてこんな風に…いま彼女はフランクリンとベッドにいます。私たちにとって、キャリーの人生の流れをできるだけ細かく描くのはとても重要なことなのです。シーズン1では「死」が多く語られていたので、暗く、冬のようだったとも言えます。でも今シーズンでは春が訪れ、今までの生活に戻り、新たな成長と人間関係が始まります。そして新しいキャラクターたちの活躍の場も増え、彼女たちへの理解も深まります。シーズン2は「成長」についての物語。そして、作品を通して訴えたいメッセージは「人生は短い。だから生きよう」です。
──それは私たちみんなが心に留めておくべきメッセージですね。
マイケル:ドラマで「死」を描くときの唯一の希望は、その後に続く「生」を描けること。現実だとそううまく切り替えられませんが。ドラマの中のキャリー・ブラッドショーは、視聴者の25年来の友人とも言えます。視聴者はこれまでキャリーがつまづきながらも進む姿を見守ってきました。そうやってドラマや本などを通して他の誰かの生き方を知ることで、私たちは自分自身の生き方を見つめることができるのです。
──シーズン2の序盤、ミランダはロサンゼルスにいます。でも、ミランダはロサンゼルスという柄ではないですよね。
マイケル:その通り、ミランダがロサンゼルスにいるというのは本当に場違いなんです。脚本会議をしている時もその事は分かっていました。ミランダ・ホッブスは新しい性的指向を持って、新しい環境で、ドラマに主演するような人と共に、LAで最高の人生を築こうと奮闘しています。彼女は弁護士だったのに!ミランダはそういうタイプではなかったので、生き生きとしたミランダを描くのはとても楽しい作業でした。
シーズン1を振り返るとミランダは精神的に大きな問題を抱えたシーズンでした。結婚が破綻し、もがきながら出口を探していたところでチェと出会った。運命的に出会ったとはいえ、仕事について行くのはまた別の話ですけど。これまでずっと、かなりの皮肉屋でバカげたことがあると指摘するのがミランダでした。だからこそ彼女を巨大な“感覚遮断タンク”に入れてみたのです※!変化を求めてLAに移り、“感覚遮断タンク”を試す。一方で「こんなのバカげてる。一体私は何をしてるの?」とも感じている。そのどちらもミランダです。ミランダというキャラクターは、葛藤があればあるほど輝く性質を持っています。NYとLAは本当に全く違う性質を持つ場所なので、彼女をLAに置くというアイデアはとても面白いものでした。視覚的にも全然違いますから。ミランダがスケートボーダーを横目にタトゥーを入れている一方で、キャリーはクローゼットの中にこもっている。私たちは常にこのシリーズに変化を求めているので、愛するキャラクターたちの環境を少し変化させることにしました。
※シーズン2 第1話「メットガラで会いましょう」
──女性の多くは、人生を変えたいという想いを抱く時期があると思います。ミランダはそんな感情を体現していますね!
マイケル:ミランダは基本的に少し型破りなところがあり、本当の自分が出せない環境に置かれると、停滞気味になり、結婚生活に終止符を打つ…あまり良い形ではありませんが。“自分自身を幸せにする”というのは『セックス・アンド・ザ・シティ』の大きなテーマでもありました。それは“自分を幸せにする結婚相手を探す”というのとは違います。自分自身の人生に満足するということです。社会が何と言おうが、自分の幸せは自分で決める。ミランダはその選択をシーズン1で行いました。そしてシーズン2では、自分自身の在り方を追求していきます。シャーロットも『セックス・アンド・ザ・シティ』の頃と比べて随分変わりました。元々シャーロットは閉鎖的で、完璧主義者でした。でもシーズン2の彼女は「妻になり母になった私は、いま一体何者なの?」と自問自答します。一緒に脚本を書いてる女性たちから同じような話を聞いてたので、そういった彼女の感情は多くの人の共感を呼ぶと思います。皆ある時期を過ぎると、妻や母となった自分自身に気づき「でも“私”も存在するよね?」という思いを抱くからです。
──ライターズルーム(脚本会議)はどんな雰囲気ですか?
マイケル:ライターズルームはとても私的な空間です。というのも、参加している脚本家はみんな思慮深いけど陽気で、自分自身のことや、社会のこと、そしてお互いのことをいつも面白おかしく話しています。浮かんだアイデアは全て審議にかけられるので、ライターズルームは陪審員室のようにも感じます。例えば、エイダンの再登場については審議にかけられ、みんなの意見を出し合い、そのアイデアや、やるべきでないことなどについて話し合いました。つまり、あるキャラクターについて、1人の視点だけでなく脚本家6人すべての視点が加味されます。性別も、人種も、境遇も違う6人の意見が尊重され、その根底にある人間性を紐解いていくのです。また、セックスのどういった部分が笑えるのか?といった問いかけもみんなで話し合います。その問いはこのドラマにとって常に重要な要素となっています。
──シーマとリサは魅力的で、まるでずっと昔からいるキャラクターのようですね。
マイケル:それは嬉しいです。僕も、彼女たちはこのドラマの世界観にピッタリなキャラクターだと感じています。シーズン2ではますます2人から目が離せなくなると思います。とにかく役者の才能が素晴らしいからです。サリタ、カレン、ニコール、そしてサラ(ラミレス)は、本当に才能あふれる役者です。彼女たちのような役者が、時にコミカルに、時にシリアスに、身近に感じ勇気をくれる存在として、キャラクターの魅力を最大限に引き出してくれています。彼女たちは皆仕事熱心で住まいや洋服にもこだわるから7人のキャラクター作りはとても楽しいです。
──ニューヨークの街角での撮影はいかがでしたか?
マイケル:サラ・ジェシカ、シンシア、クリスティン、そして僕は25年間も一緒に仕事をしてきたから、とても楽しめました。そこに加わったニコール、サリタ、サラ、カレンたちはまだ1年しか経ってないなかで、この列車に追いつこうと必死で走ってくれています。僕たちの列車はもう25年も線路の上を走っているけどいつだって予測不能です。ニューヨークという魅力的なロケーションで撮影できるなんてとても贅沢で、その上、役者たちが着こなすファッションも素晴らしいです。特に新しい役者たちはファッションの素晴らしさに興奮しているようです。例えば、ニコール・アリ・パーカーがメットガラで着用したヴァレンティノの真っ赤なドレスは、このドラマのために特別にデザインしてもらいました。撮影の日、ニコールはドレスのラベルに『Valentino, Nicole Ari Parker, for And Just Like That...』と書いてあるのを見て自分のためにデザインされたのだと知りました。それから私たちはパークアベニューを横切るシーンでそのドレスをうまく風になびかせ、いかに美しくみせるか、エキストラにいたるまで熟考しました。あれは私たちにとって贅沢で素晴らしいひとときだったし、願わくば視聴者にとってもそうであってほしいと思っています。
──ディテールにこだわった撮影なんですね!
マイケル:とてもエキサイティングでした。だけど、撮影チームの規模が巨大なので簡単ではありませんでした。チームの中には製作総指揮のジョン・メルフィのような長年一緒に働いているメンバーもいます。その一方で、シーズン2から初めて一緒に働くメンバーもいて、撮影チームは常に変化がある環境で新鮮です。
──エイダンについても教えてください。エイダンはこのシリーズに復帰する予定だったんですか?
マイケル:シーズン2の制作が決まった時、何が良いかを考え始めました。最初に浮かんだ言葉はエイダンでした。このドラマの長年のファンにとって、エイダンは話題になると思ったから。そしてキャリーとエイダンはとても複雑な過去があるので、いまどうなっているかが分かったら興奮するだろうと思ったのです。14年会ってなくて、23年も関係を持っていなかった。そういった過去を踏まえて、今の年齢に達した彼らはどうなっているのか?どのような関係なのか?過去は今の関係性にどのような影響をもたらすのか?2人に未来はあるのか?と。キャリーはこれまで2つの素晴らしい愛に恵まれました。その1つを失ったとき、頭に浮かぶのはもう1つの愛だと思います。彼は今までどうしていたのか、そして再会した2人はどうなるのかを描くのは、脚本家としてはとてもやり甲斐があるし、役者にとっても演じ甲斐があると思っています。
──ドラマに出てくる秘密を放送まで外部に漏らさない秘訣はありますか?
マイケル:“ビッグの死”を秘密にできたのは奇跡だと思っています。だからこそ、視聴者に大きな衝撃を与えたけど、今では隠すことはとても難しくなりました。シーズン2でもいくつかサプライズを用意していましたが、いくつかはもう世に出てしまいました。それがエイダンとサマンサです。シーズン2ではキャリーがサマンサからのメールを見るのではなく、実際のサマンサと会うシーンを届けたいと思っています。でもそれ以上の詳しいこと、彼女がどうやって出演するのか、なぜ出演するのか、いつ登場するのか、といったことはまだ秘密です。中身は内緒ですが、ファンへのちょっとしたプレゼントです。だけど、サマンサの登場は起こるべくして起こったとも言えます。『セックス・アンド・ザ・シティ』が25周年だし、僕としては『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』を製作中も、サマンサはドラマのパーツのひとつとしてずっと頭に浮かんでいました。僕の個人的なイメージでは、ドラマに出てこないところでもサマンサ、キャリー、ミランダ、シャーロットの4人は会話したりメールでやり取りをし合っている。だから、今回それを実現できてとても嬉しいです。
──シーズン3制作の可能性はありますか?
マイケル:シーズン2の素晴らしいところは、視聴者が新しいキャラクターたちを気に入ってくれていることだと思います。そしてもちろんオリジナルキャラクターたちも同様に。熱心なファンもたくさんついてくれています。そんなファンたちもキャリーが34歳の時、実際に34歳で、キャリーが56歳になった今、56歳になっています。そういった連帯感がある作品というのは貴重だと思っています。僕たちも今回のシーズンをとても気に入っています。活気のあるシーズンでした。シーズン3でもそれが続けられることを願っています。
U-NEXTにて全話配信中!
キャリーの親友・ミランダ・ホップスを演じるシンシア・ニクソンに、ミランダの変化や人生で学んだことについて聞きました。
キャリーの親友・シャーロット・ヨークを演じるクリスティン・デイヴィスに、シャーロットの変化と成長から全作品の中でのお気に入りのシーンまで振り返っていただきました。
キャリーと共に年を重ねてきたサラにとって、キャリーという存在とは?サラにこれまでの歩みと、新シリーズについて聞きました。
AND JUST LIKE THAT... シーズン2 / セックス・アンド・ザ・シティ新章の第11話「最後の晩餐 Part2」のあらすじや感想・レビューを紹介します。
『ウォーキング・デッド』スピンオフ『ダリル・ディクソン』ノーマン・リーダスが来日。キャロルとの共演についても語る
大ヒット映画『テッド』の前日弾を描く『テッド ザ・シリーズ』の吹き替えを担当した神谷浩史さん、河西健吾さんにテッドの魅力を伺いました。
主要キャストのマックス・バークホルダー、スコット・グライムズ、アラナ・ユーバック、ジョルジア・ウィッガムの4人にスペシャルインタビュー
キャリーの親友・ミランダ・ホップスを演じるシンシア・ニクソンに、ミランダの変化や人生で学んだことについて聞きました。
キャリーの親友・シャーロット・ヨークを演じるクリスティン・デイヴィスに、シャーロットの変化と成長から全作品の中でのお気に入りのシーンまで振り返っていただきました。