ソロ活動をスタートさせる、稲場愛香の心境。流れに身をまかせ、楽しみながら進む道のり
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ソロ活動をスタートさせる、稲場愛香の心境。流れに身をまかせ、楽しみながら進む道のり

ハロー!プロジェクトの人気グループ「Juice=Juice」と「カントリー・ガールズ」のメンバーとして活躍し、2022年5月をもってハロー!プロジェクトを卒業した稲場愛香さん。それから約2年を経て、2024年4月17日に1stシングル『圧倒的LØVE/Pink Temperature』のリリースが決定しました。

ソロでのアーティスト活動を本格的にスタートさせる稲場さんは、いまどんな心境で今後を見据えているのでしょうか。グループ在籍時の印象的なエピソードから、卒業してから生まれた自身の変化、新曲制作で力を入れたこと、大好きなドラマや映画作品とその理由まで、じっくりとお話を伺いました。

前よりも、自分を大切にしてあげられるようになった

──稲場さんがJuice=Juice、ならびにハロー!プロジェクトを卒業されたのが2022年5月。まもなく2年が経ちますが、在籍当時を振り返って改めて感じることはありますか?

稲場:卒業公演は「きっと私が人生で一番輝いていた日だった」と、今でも強く感じています。当時は卒業に向けていろいろなことをバタバタとこなしていて、気がついたら卒業公演が来ていたという感じでした。思い出に浸る時間もなかったのですが、あとから本番の映像を見返して振り返ってみると、「自分はよくやったな」と素直に思えたんです。

私は基本的に自己肯定感が低いタイプで、自分に対して「まだまだだな」とか「全然ダメだな」とか、否定しがちなところがあって。ただ、卒業公演の日だけは、完璧だったと褒めてあげたくなりました。アイドルとしてやってきた集大成を出そうと気合いも入っていましたし、いつも以上にキリッとした表情をしていたと思います。それだけ覚悟を持って、挑んでいたんだなと実感します。

自分で決めた卒業なので、いろんな感情から涙が出てきてしまうかもしれないとも思っていました。ただ、そうすると歌が歌えなくなってしまったり、伝えたいことが伝えられなくなってしまったりするかもしれない……そんなことを考えて、最後まで涙をこらえて笑顔で歌いきることができたのも、自分としては良かったと思っています。

──卒業前の活動のなかで、特に印象に残っていることはありますか?

稲場:自分にとって初めてのメジャーデビューがカントリー・ガールズだったのですが、その発表を地元・北海道のコンサートでさせてもらったことが、すごく印象深いです。その時はうれしさのあまり、震えながら大泣きしたことを覚えています。4歳からダンスを習い、音楽に触れてきて、ずっと芸能界で活動したいと夢を持ってきて……メジャーデビューまでにもいろいろなことがあったので、「ようやくスタート地点に立てたんだな」という想いがあふれて、とにかくうれしかったんです。

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稲場愛香:1997年12月27日生まれ、北海道出身。Juice=Juiceおよびカントリー・ガールズの元メンバーで、Juice=Juiceでは3代目サブリーダーを務めた。2022年5月の卒業公演をもってグループおよびハロー!プロジェクトを卒業。2024年4月17日に1stシングル『圧倒的LØVE/Pink Temperature』がリリース。

もうひとつ印象深いのが、Juice=Juiceのメンバーとして、初めて日本武道館のステージに立った時のことです。ほかのグループのオープニングアクトでは立った経験のある場所だったのですが、その時とはまったく違った景色が見えました。応援してくださるファンの方のペンライトの色も鮮明に見えて、そこから一気に「日本武道館のステージに立っている」という実感が湧いてきて。鳥肌が立つような、言葉にできないあの興奮が忘れられないです。

──卒業されてからこれまでは、どのような想いで過ごされてきたのでしょうか。

稲場:卒業公演の次の日から、ガラリと日常が変わりました。2022年5月の末に卒業して、6月はすごくまったり過ごさせてもらって。家族との時間も増えて、こういう時間を久しぶりに過ごせることに、ありがたさを感じていました。映画やドラマを時間を気にせず、ゆっくり観れたのも良かったです。

とはいえ、1ヶ月くらいは全然慣れなくて、メンバーのみんなに会わないこともすごく不思議な感覚で。どこかで、まだグループに所属しているような気持ちもありましたね。7月からはお仕事も少しずつ復帰していったのですが、それでもソロとして動き出したという実感はまだ湧いてきませんでした。

徐々に実感が出てきたのは年末頃です。ライブに復帰するようになり、歌って踊ることの楽しさをまた感じるようになったのがきっかけでした。

──卒業する前後で、ご自身に何か変化はあったと感じますか?

稲場:心にゆとりを持つことができるようになったのは、大きな変化だと思います。卒業する前は、自分のことだけでなく、グループ全体のことを考えながら過ごす時間も、大きな割合を占めていました。卒業後は、自分のことを考える時間がより増えたことで、自然と余裕ができてきて。自分のことを、前よりも大切にしてあげられるようになった感覚があります。

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余裕が生まれたおかげで、視野が広がったり、自分に対してルールを決めすぎなくなったりといった変化が起きている気がします。「こうあるべきだ」、「こうじゃないと失敗だ」みたいな気持ちで、自分を追い詰めながらがんばることがなくなったというか。自分のことも認めてあげながら、「意外とこういうこともできるじゃん」、「人から見たらこういうが部分が自分のいいところなのかもしれないな」と考えられるようになりました。より多くのことに挑戦したいと思えるようになり、自分で自分を制限しなくなったと思います。

「声の使い分け」に注目してほしい

──ソロデビューが決まった時の心境について教えてください。まずどんな想いが浮かびましたか?

稲場:正直ソロデビューできる日が来るとは思っていなかったので、お話を聞いた時はすごく驚きました。なんだかふわふわした感じというか……。ソロでやっていく大変さや難しさは、先輩方を見ていてすごく感じていたので。相当な覚悟がないと厳しいだろうと思っていたんです。

でも「やってみないか」とお話をもらって、いざ挑戦できる可能性が目の前に来たとき、まず最初に思い浮かんだのは「やってみたい」という気持ちでした。やるからには楽しむことを忘れず、私らしくチャレンジしたい!と思っています。

──1stシングル『圧倒的LØVE/Pink Temperature』をつくり上げていくにあたり、特に力を注いだことはありますか?

稲場:制作に関わってくださる方とのコミュニケーションを、すごく大切にしました。ソロの制作を初めて経験してわかったことは、グループの時以上に、自分自身がちゃんと曲を理解しないといけないということです。そのうえで、何か思うことがあったら、それを言葉にして伝えていかなければならない。わがままとこだわりは紙一重ですが、「わがままになってしまうかな……」と遠慮ばかりしていたら、結局何も伝わりません。

たとえば音ひとつとっても、「ここはもうちょっとこうしたい」と思ったことがあれば、まずはディレクターさんに伝えてみる。すると、ディレクターさんが意図を教えてくれて、それによって曲に対する自分の理解がまた深まっていく。たくさんコミュニケーションをとることも自分の仕事のひとつであり、より良い曲が生まれることにつながるんだと、今回の制作を通して改めて実感しました。

──新曲について、稲場さんご自身が特に気に入ってるポイントを教えてください。

稲場:『圧倒的LØVE』は、衣装も含めてキラキラしていてかわいらしさもありつつ、ちょっとロックのテイストも含まれていることが特徴です。最初に歌詞をいただいた時は、すごくかわいい楽曲だなと思ったのですが、実際に聴いてみるとかなりロックな感じで。レコーディングではかわいらしさも残しつつ、かっこよさも出したいと思いながら歌いました。

恋する女の子のかわいさと強さ、両方が感じられる曲になっていると思います。曲調もすごく疾走感があって、ライブで盛り上がりそうだと思っていて。少しでも多くステージで披露したいです!

もうひとつの『Pink Temperature』は、一言で表すとすごく大人っぽい曲です。レコーディングでは、少し年齢が上の女性になったつもりで歌いました。『圧倒的LØVE』と全然違う声の出し方をしているので、声質や雰囲気の違いを感じていただけたらうれしいです。

あとは、ダンスもすごくかっこいいんです。ソロになってもバキバキ踊れるのはすごくうれしくて、好きなポイントのひとつですね。

それぞれの曲でトラックダウンにも携わらせていただき、それもまた、グループ時代はなかなか経験できなかったことのひとつでした。楽器の音に一つひとつこだわって、制作メンバーのみなさんと相談しながら、細かい調整を重ねていって。マスタリングの現場にも立ち会わせていただきました。文字通り、一緒になってつくらせていただいた曲なので、ぜひひとりでも多くの方に聴いてほしいと思っています。

夢を追う自分と重ね合わせた『ドリームハイ』

──ここからは稲場さんが好きな作品についてお話を伺っていきます。映画やドラマ、アニメ、マンガなど、ジャンルを問わず好きな作品について聞かせてください。

稲場:韓国ドラマが大好きで、特にお気に入りの作品もたくさんあります!たとえば『花より男子』シリーズとか、『美男<イケメン>ですね』とか。中学生の頃にその2作品を見たことが、「韓国ドラマって面白い!」とハマるきっかけになりました。少女漫画を読むような感覚でキュンキュンしながら観ていて、思い入れが深いです。

あとは『ドリームハイ』という韓国ドラマもすごく好きで。歌手を目指す人たちが夢を追いかける物語なので、自分自身とすごく重ね合わせながら観ていた思い出があります。ダンスも歌も必死に練習して、それでも挫折に直面して、その度に「夢を叶えよう」とがんばる登場人物たちの姿が、すごく刺激になっていました。

『ドリームハイ』は、出演している女優さんたちが全員すごくかわいくて、そこへの憧れもありましたね。特にペ・スジさんとIUさんが大好きで。IUさんは歌もすごくうまくて、「演技だけでなく、歌もこんなにうまいなんてすごい!」と衝撃を受けた記憶があります。

作中でIUさんが歌う「Good Day」という曲のジャパニーズバージョンを、何度もカラオケで歌っていました。高音をロングトーンで出しながらどんどん音階を上げていく、すごく複雑で難しい曲なのですが、IUさんの真似をしながら、一所懸命練習していましたね。「高音をきらびやかに歌える歌手になりたい」と思うようになったのは、少なからずその影響があると思います。

映画だと、王道にはなるのですが『タイタニック』がすごく好きです。子どもの頃はテレビでやっているのをなんとなく観ているだけで、ストーリーをよく理解できていなかったのですが、大人になって改めて観たらもう涙が止まらなくて。月並みな表現ですが、「なんてすごい映画なんだろう」と思いました。

登場人物たちの本性が露わになるシーンがあるのですが、観る度に「自分だったらどうするだろう」と、自分を見つめ直す機会にもなっています。映像もとても綺麗ですし、音楽もすごく好きで、サントラを聴きながら世界観に浸ることもあります。公開が1997年で私が生まれた年と同じなのも、なんだか運命を感じていて。いろいろな面で、すごく影響を与えてくれた映画です。

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あとは『ハリーポッター』シリーズも大好きな作品の一つです。ファンタジーの要素がたくさん込められている、あの世界観がとにかく好きで。シリーズ全作を観ただけでなく、スタジオツアーにも行ったり、関連グッズを集めたりもしています。最近はスマホゲームの『ハリー・ポッター:ホグワーツの謎』でも遊んでいて、めちゃくちゃハマっています(笑)。

いつ観ても「魔法使いになれたらいいな」と純粋に思わせてくれるところが、この作品のことがずっと好きな理由です。『ハリー・ポッター』だけでなく、たくさんのワクワク感を与えてくれる作品は、基本的にすべてお気に入りですね。

流れに身をまかせ、楽しみながら歩んでいきたい

──今日ここまでのお話を踏まえつつ、稲場さんがいま目指していることや目標について聞かせてください。

稲場:これから自分の活動がどうなっていくのか、良い意味で自分でも想像できていません。ソロでの曲づくりも、リリースイベントも、活動のすべてが初めてなことばかりなので。とにかく、今年は流れに身をまかせながら、自分らしくやっていくのを一番の目標にしています。

いろいろな刺激を受けることが多い1年になると思うので、すべてを真正面から受け止めすぎないように、気合いを入れすぎないように、というのを意識しています。自分の性格も踏まえると、それができないと空回りしたり、すごく落ち込んだりしてしまうだろうと思うからです。「これくらいでもいいんじゃない?」と自分自身に言い聞かせながら、自分の様子をよく見ながらやっていきたいと思っています。

もちろん、具体的にチャレンジしたいこともたくさんあります。たとえば、演技のお仕事は特に挑戦していきたいことのひとつです。グループにいた時に、舞台のお仕事を何度か経験させてもらったのですが、それがきっかけでもっとやってみたいと思うようになって。子どもの頃からドラマや映画が大好きで、なかでも役者さんたちの演技を見るのが好きだったことも影響していると思います。

でも今はまず、目の前にある活動に全力で集中したいと思っています。ソロ活動に加えて、M-line clubのファンクラブのライブもあるので、それぞれでベストなパフォーマンスを見せられるように、準備や工夫を重ねていきたいです。

──目指すことの実現のために、これから特に大切にしていきたいと考えていることはありますか?

稲場:いろいろありますが、やっぱり一番は「楽しむこと!」です。楽しくなくなってしまったら、もうすべてが嫌になってしまうこともあるじゃないですか。だから何をやるにしても、「大変ななかでもいかに楽しみを見つけるか」は、いつもすごく大切にしていることのひとつです。

なかには辛いこともあるけれど、ファンの皆さんのうれしそうな反応を見た時に、すべて報われたような気持ちになって、いつも救われるんです。だからこそ、ファンの方がどんな私を見たいのか、求めてくださっていることに応えたいという気持ちが強くあって。それに応えられたと実感する時に、私自身も喜びを感じたり、楽しいなと思えたりする。なので、これからも自分だけでなく、ファンの皆さんと一緒に楽しんでいくような感覚で、自分らしく進んでいけたらと思っています。 

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稲場愛香さんが自ら出題!「【激ムズ】まなかんファンにしか解けない! #稲場愛香クイズ」実施中!

稲場愛香さんが所属していた「Juice=Juice」「カントリー・ガールズ」の作品はこちらから

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