アナタは「新原泰佑」をご存知ですか?
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アナタは「新原泰佑」をご存知ですか?

2025.02.13 19:00

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あのミステリアスな美青年は誰!?

「御上先生がときおり見る幻影として登場するあの美青年はいったい──!?」

25年1月クール注目のドラマ、TBS系日曜劇場『御上先生』の劇中に、たびたび映し出される学生服姿の謎めいた美青年。第1話のラストではじめて亡霊のように登場して以降、SNS上でも、また『御上先生』を楽しみにしている身近な知り合いの間でも、彼が何者なのかが話題になってきた。そんななか、まだ全貌は明らかになっていないものの、第4話放送後の現時点では、彼が「22年前に高校の放送室で自死を遂げた、松坂桃李演じる御上先生の実兄」であることまで、ようやくわかった。

しかし皆が知りたいのはそれだけではなかったのだ。

「じゃあ演じている俳優さんは?すごい美形なんだけど!」

何人かの知り合いにそう聞かれたとき、私は心のなかで呟いた。

「彼はね、“白崎由岐くん“だよ」と。

もちろん「白崎由岐」とは彼が過去に演じた役名であって、俳優名は「新原泰佑」。

ついつい当たり役の名前で呼んでしまうのは、その作品にハマったファンの悪い癖。しかし、後々まで役名で呼ばずにいられなくさせるということは、それほどまでに鮮烈な印象を、新原が、あの作品が、見る者の胸に刻んだ証拠。そんな、まだ夢のなかにいる者は、私以外にも全国に、いやアジア各地に、おそらくたくさんいるはずである。

25時、赤坂で』の白崎くん役で注目

新原泰佑が「白崎由岐」を演じた“あの作品”とは、24年4月クールのドラマ『25時、赤坂で』。人気の同名BL漫画をドラマ化したもので、もうひとりの主人公、羽山麻水を演じた駒木根葵汰とともにW主演を果たした、新原にとっては初主演作品だった。

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©「25時、赤坂で」製作委員会

役どころも、新原自身と重なるところがあり、「すでにスター俳優である羽山とのW主演のBLドラマ『昼のゆめ』に抜擢された、これが初主演作となる無名の若手俳優」が白崎由岐。

つまり、「BLドラマに出演中の俳優たちが織りなすBLドラマ」という入れ子構造のドラマとなるのだが、そのため新原も駒木根も2役の微妙な演じ分けを求められることに。さらには、地上波のドラマとしてはギリギリまで攻めたうえで、そのときどきの2人の状態や心理を投影させなければならないいくつかの性愛シーンにも挑む必要があった。

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©「25時、赤坂で」製作委員会

そんな、俳優としての力量が試されるともいえる作品のなか、『昼のゆめ』の撮影が進むに従い相手に惹かれていくことへの戸惑い、葛藤、激情を、駒木根とともにきわめて繊細に、ときに大胆に演じて秀逸だった新原。結果、見る者の心を鷲摑みにし、一気にファンを増やすことになるのだが、その熱狂は、韓国でもファンミーティングが敢行されるほどの勢いで、国境を超えてアジア各国にも伝播していったのだった。

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©「25時、赤坂で」製作委員会

なお、さきほど役と新原が重なるところがあると書いたが、それは「初主演作に挑む俳優」という部分であり、無名の若手俳優である白崎に対して、新原自身は芸能界入りのきっかけも華々しく(「男子高生ミスターコン2018」グランプリを受賞しアミューズ所属に)、数々のドラマのほかダンスを特技とすることからミュージカルなどの舞台経験も豊富な24歳。大河ドラマにも出演済みで、22年放送の『鎌倉殿の13人』の終盤、北条政村役で登場した際、今回のように「あの美形は誰?」と話題になったことを覚えている人もいるのではないか。そう、あの政村こそが、後の白崎くんであり、御上先生の兄なのである。

注目ミュージカルから哀川翔の息子役まで待機作多数

新原の実力を見せつけ、多くのファンを生んだ『25時、赤坂で』。この作品を経たからこそ今回の『御上先生』があると言っても過言ではないはずだが、今後控えている作品を挙げると、『25時、赤坂で』をきっかけにして急上昇していく様子がさらによくわかる。

たとえば、6月にはミュージカル「梨泰院クラス」への出演が決まっており、同じ時期に初主演映画『YOUNG & FINE』の公開も。すでにロケ地の鹿児島では公開済みだが、新原が主人公の息子役として出演する映画『オールドカー 〜てんとう虫のプロポーズ〜』も5月23日から池袋シネマ・ロサで上映される。ちなみに、その主人公とは哀川翔!新原が演じるのは、ある悩みから心を閉ざし気味の青年なのだが、そのためオヤジが話しかけても返事をしないし悪態もつく。あの哀川翔御大を前にしてと考えると、新原泰佑、よくがんばった!

また、W主演の駒木根も同様に、それ以前から主演作も人気もあった俳優ではあるが、『25時、赤坂で』でさらに多くの熱狂的なファンを獲得し、一気にハネた感がある。実際、その後、彼の顔をドラマで見ないクールはなく、正月の特別ドラマ(『新・暴れん坊将軍』での凛々しいちょんまげ姿が忘れがたい!)を経てのこれからも、2月、4月とドラマ出演が続いていく予定だ。

“BLドラマの後には大きくジャンプする”の法則

そんな2人の活躍ぶりを眺めながら、この感じ、いく度も見てきたなと改めて思う。

最近でいえば、24年7月クールで放送されたBLドラマ『ひだまりが聴こえる』の小林虎之介の大飛躍。これは、健聴の大学生と難聴の大学生がノートテイクを介して育む関係を繊細に描いた、もはやBLの枠を超えて万人に届くに違いない傑作人間ドラマだったのだが、その後、出演したドラマ『宙わたる教室』でも小林の力は作品のクオリティとともに高く評価され、今や最注目の若手実力派となっている。これも、小林の持つ俳優としてのポテンシャルを十二分に活かしきったといえる『ひだまりが聴こえる』を経たからこそだと、個人的には強く思う。

『ひだまりが聴こえる』第8話
(C)「ひだまりが聴こえる」製作委員会

さらに遡れば20年に放送された『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称『ちぇりまほ』)の町田啓太と赤楚衛二、21年『美しい彼』の萩原利久と八木勇征などは、明らかに全員が、これらBLドラマをきっかけに大きくジャンプ。また、コメディ色ある作風ながらとても大切なことを爽やかに描いた21年のBLドラマ『消えた初恋』で主演した目黒蓮も、この「BLもの通過俳優リスト」のなかにインしておこう。当時からアイドルとしてはすでに絶大な人気を誇っていたが、俳優としては、この『消えた初恋』出演の後に本格的な快進撃が始まったという意味で。

消えた初恋
『消えた初恋』より ©ひねくれ渡・アルコ/集英社・テレビ朝日・ジェイ・ストーム

以上はほんの一例とはいえ、これだけ並べても壮観である。ここには何かがあるとしか思えない。いってみればBLマジック?いやいや、適当にまとめずちゃんと分析しろという話なのだが、少なくとも“傑作BLドラマ出演の後に主演者たちは大きくジャンプする”という法則の存在を、主張せずにいられない状況なのは確かである。

それにしても、『御上先生』。

先生の兄(新原)が自ら逝った背景には何があり、御上先生をどう突き動かしているのだろうか。

第4話では、窪塚愛流演じる生徒が、22年前の2ちゃんねるのコメントを掘り起こしながらこう言っていた。

「御上、やべぇと思ったけど、兄ちゃん、それどころじゃない。ガチ勢すぎた」

今後、この言葉の意味が紐とかれていくに従って、新原泰佑の本領が、これまでとはまた別の形でたち現れてくる予感がしないでもない第5話を待つ現在。

「白崎くん」呼びを更新することになる日も近そうだ。

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