陽の演技も陰の演技もお手のもの!芸歴30周年を迎える、俳優・神木隆之介の魅力が詰まった映画&ドラマ厳選10作
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陽の演技も陰の演技もお手のもの!芸歴30周年を迎える、俳優・神木隆之介の魅力が詰まった映画&ドラマ厳選10作

2024.10.11 17:00

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  • QUIZ
  • 脳内ポイズンベリー
  • 君の名は。
  • 3月のライオン
  • 神木隆之介の撮休

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10月20日より放送がスタートする日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』。

本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島(軍艦島)と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大な物語を通して、過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメントだ。

主人公を演じるのは、常に第一線で活躍し続ける俳優・神木隆之介。来年、芸歴30周年を迎える彼は、日曜劇場では初主演となる。満を持して臨む今回の作品で、神木さんはなんと1人2役に挑戦する。1人は明るくまっすぐな青年・鉄平。そして、もう1役は夢や希望もやる気もない、ホストの玲央だ。

この相反する2役に挑戦するとあり、放送前から期待大!これまで陽のパワーに溢れる役も、陰りのある役も演じてきた彼なら、どちらもきっと納得感を持たせられるはずだ。

そんな神木さんの演技力にフィーチャーし、映画・ドラマを10本セレクト。ぜひ、これらの作品を通じて、彼の多彩な演技をじっくりと堪能してほしい。

①『QUIZ』(2000年) 

QUIZ
(C)TBS

※ネタバレを含みます。

近年の作品を紹介する前に、まずは24年前の作品を紹介させていただきたい。やはり俳優・神木隆之介を語る上で、子役時代のことに触れずにはいられないからだ。子役時代の神木さんと言われると初主演を務めた映画『妖怪大戦争』やドラマ『ムコ殿』などのかわいらしい姿を思い浮かべる人も多いことだろう。

しかし、筆者が推したいのは、2000年にTBS系で放送された『QUIZ』である。

本作は東京都多摩市の閑静な住宅街で発生した誘拐事件において、愉快犯的な誘拐犯と心を読む能力を持つSIT捜査官の攻防を描いた本格サスペンスドラマ。正体不明の誘拐犯は、両親や警察をあざ笑うかのように、次々とクイズを出題しては関係者を振り回していくといった内容だ。

このドラマで神木さんは、1学期の始業式終了後、飼育係の活動を終え、下校中に誘拐される7歳の高野生を好演。この高野という役柄、一筋縄ではいかない。というのも、この誘拐事件の真犯人だったというのが最終的にわかるからだ。それまでは、被害者に見えていた神木さんが、加害者であるとわかった時の薄気味悪さ。

これぞ、俳優・神木隆之介の原点と言っても過言ではない。ややショッキングなシーンも多くあるため、心して見ていただきたい。

②『学校のカイダン』(2015年)


一気に時は飛んで、2015年。世の中の“神木くん”イメージをキレイに覆した作品が登場した。それが『学校のカイダン』だ。

この作品は、筆者が神木隆之介という沼に落ちるきっかけとなった作品である。これまでどうしても正統派な演技、深々とお辞儀をする礼儀正しい青年、かわいらしいというイメージがあった神木さん。(今でももちろん、そうではあるのだが)そんな彼が髪色を茶髪に染め挑んだのが車椅子に乗った謎の青年・雫井彗という役柄であった。

雫井は、天才・スピーチライターという設定なのだが、驚くほど口が悪い。たびたび主人公のツバメ(広瀬すず)と言い合いになる時には「よくもまあ、こんなに弁がたつな」と感心するほど。これまでの神木隆之介像を一気に覆す破天荒な役どころだ。

そんな雫井だが、実はある過去に囚われていることが物語の中盤に判明。一見、ツバメの成長物語のようだが、実は雫井自身の成長と変化の物語でもあるので、ぜひ注目してほしい。

なお、生徒役には広瀬すずのほか、間宮祥太朗や伊藤健太郎、杉咲花と豪華なメンツが勢揃いしているのも魅力的だ。

③『脳内ポイズンベリー』(2015年)

脳内ポイズンベリー
©水城せとな/集英社©2015 フジテレビジョン 集英社 東宝

同じく2015年に公開された映画『脳内ポイズンベリー』。本作はふたりの男性の間で揺れ動く、アラサー女子の5つの思考を擬人化して描き出した作品だ。

30歳を目前にした携帯小説家の主人公・櫻井いちこ(真木よう子)は、飲み会で出会った年下男子の早乙女と再会。声をかけるか、かけないかで悩む彼女の脳内では、ポジティブ、ネガティブ、衝動、記憶、理性という5つの思考でパニックに。さらに編集担当の越智から突然キスされ、三角関係に陥ってしまい……?

5つの思考を擬人化したキャラクターたちが、いちこの脳内で議論を繰り広げる様子が描かれていく。

この作品で、神木さんはとにかく陽気なポジティブな感情・石橋を好演。この石橋というキャラクター、とにかく叫ぶ(盛り上げる)。先述した雫井もかなり叫ぶキャラクターなので、2015年の神木さんはかなり叫んでいるイメージが勝手についている。

そして、例えばいちこが二股をかけられた疑惑が生じた時も、必死に「ちょっとした行き違いなんじゃないかな?」とポジティブに解釈。その役割の通り、とにもかくにも前向きオーラしか放っていないキャラクターのため、見ていて元気が出ること間違いなし。

④『君の名は。』(2016年)

君の名は。
©2016「君の名は。」製作委員会

新海誠監督による大ヒット映画『君の名は。』。

時は、1000年ぶりの彗星の来訪を1カ月後に控えた日本。田舎町に暮らす女子高校生・三葉(上白石萌音)は、ある日自分が男の子になる夢を見る。一方、東京で暮らす男子高校生の瀧(神木隆之介)も奇妙な夢を見た。次第に、お互いが入れ替わっていることに気づき……?

この映画で注目してほしいのは、なんといっても瀧の体の中に三葉が入るシーン。本編の中では、三葉と瀧は当然入れ替わっているが、声という意味では瀧の声はずっと神木さんである。それゆえ彼は当時、瀧・そして三葉2人の役づくりに勤しんだことだろう。

当時のインタビューを見返すと、実際に神木さんは「違和感が出てしまわないように」「声の高さが自然になるように」調整したと語っている。

また、個人的には「片割れどき」のシーンでの瀧と三葉の掛け合いは何度見ても心を揺さぶり、涙を誘う。ストーリーはもちろん、神木さんの声の良さを改めて堪能したい時にはぜひとも『君の名は。』をご覧いただきたい。

⑤『3月のライオン』(2017年)

3月のライオン
©2017映画「3月のライオン」製作委員会

羽海野チカの同名コミックを実写化した映画『3月のライオン』。

主人公の桐山零は、幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士・幸田に引き取られ、中学生にしてプロ棋士に。だが、それによりいろいろな軋轢が生まれ、中学生にして1人暮らしを始める。深い孤独を抱えた日々を過ごしていたのだが、川本家の三姉妹と出会い、居場所を見出していく。

『3月のライオン』での桐山零は内にアツい思いを秘めた“陰”のオーラに包まれた人物である。孤独と向き合い、時として抜け出せなくなるのではないかと思わせるほど沈んでいく零の姿は、見ているだけで苦しくなることも。その吸引力に注目してほしい。

⑥『神木隆之介の撮休』(2021年)

神木隆之介の撮休
©︎WOWOW「神木隆之介の撮休」

「明日、突然休みになったら?」をテーマに、人気俳優の休日を描く異色ドラマ『撮休』シリーズ。『神木隆之介の撮休』では瀬々敬久、森ガキ侑大、三宅唱、天野千尋、枝優花が各話ごとに監督を務めている。

もちろん、このシリーズフィクションではあるのだが「あー確かに!」と思わせるものもあれば、ファンタジーよりのものもあっておもしろい。なにしろ、監督・脚本家が抱いている“神木像”が多様なのも、またよい。

特に推したいのは、第8話。何年も会っていない子役時代からの友人・吉田健一(仲野太賀)のことを思い出し、ふらりと彼の故郷を訪れる。しかし、期待に反してそこには吉田の姿はなく、彼の母親・吉田房子(坂井真紀)がいたといった内容だ。

ここで神木さんは吉田の幻影とともに、子役時代からの葛藤と対峙するような演技を見せるのだが、それが非常に心を振るわせる。その相手が『コントが始まる』で距離を縮めた仲野太賀であるというのもまたよい。

もちろん他の7話では、また違った顔を見れるため、きっと好きな神木さんが見つかるはず。彼のなんにでもなれるカメレオンぶりを、ぜひ見てほしい。

⑦『らんまん』(2023年)

らんまん
(C)NHK

NHK連続テレビ小説『らんまん』は、明治の世を舞台に、植物学者・槙野万太郎の大冒険と、喜びと発見に満ちた生命力あふれる人生を感動的に描いていた作品だ。

この作品で驚くべきは、神木さんが13歳から50歳すぎまで演じていること。

何度も何度も葛藤しながら、それでも希望を捨てずに周りを巻き込んでいく姿や、妻・寿恵子(浜辺美波)と支え合っている姿は当時朝8時から約15分間、多くの視聴者に前向きなパワーを与えたことだろう。

万太郎のまっすぐさ、そして愚直に“好き”に突き進んでいく姿は爽快。自分のことを「おめでたい人」と称している、朗らかでポジティブなオーラを放っている神木さんだからこそのハマり役だったようにも思える。

⑧『すずめの戸締まり』(2022年)

すずめの戸締まり
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

九州のとある静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(原菜乃華)は、“扉”を探している旅の青年・草太(松村北斗)と出会う。彼を追う鈴芽は山中の廃墟にぽつんと佇む古ぼけた扉を見つけ、開けてしまったのだが、その扉とは開くと向こう側から災いが訪れる不吉なもので……?

神木さん自身、2度目の新海誠作品となる『すずめの戸締まり』では、草太の大学の同級生・芹澤朋也を熱演している。この芹澤という役、耳にはピアスやイヤーカフを複数つけ、柄シャツを着ているちょっとやんちゃな印象のキャラクターだ。

『君の名は。』の瀧くんとは真逆のキャラクターと言っても過言ではないのだが、映画を見終わった後には、この芹澤というキャラクターの虜になってしまうくらいにイイ。

実は、この芹澤役をオファーされた際に、神木さんは「立花瀧のイメージを壊すかもしれないし、芹澤を演じる自信もない」と新海誠に伝えたという話もあるのだが、結果として芹澤を演じたのが神木さんで本当に良かった!と私は声を大にして言いたい。

キザな言い回しをしたり、陽気に鼻歌を歌ったり、ちょっぴりアングラな雰囲気から抜け出せなかったり……。今後の神木さんの役幅を広げるであろう役になったはずだ。

⑨『大名倒産』(2023年)

大名倒産
©2023 映画「大名倒産」製作委員会

とにかく“おめでたく”て、明るい神木さんが見たいという人におすすめしたいのは2023年公開の映画『大名倒産』だ。

本作は、越後・丹生山藩の鮭売り・小四郎がある日突然、自分が徳川家康の血を引く大名の跡継ぎだと知るところからスタート。庶民から一国の殿様に華麗なる転身……かと思いきや、丹生山藩は借金100億円を抱える貧乏藩だったという物語だ。

とにかく笑いあり、涙ありの痛快時代劇コメディ。神木さんが演じている小四郎は同情するレベルで次から次へとトラブルに巻き込まれていくのだが、それがまた良い。

⑩『ゴジラ-1.0』(2023年)


第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞し、世界的に話題となったゴジラ70周年記念作品『ゴジラ-1.0』。

太平洋戦争で焦土と化した日本で、人々が懸命に生きていこうとする中、突然現れたゴジラが復興途中の街を容赦なく破壊していく様子を描いている。

この作品での神木さんは元・海軍航空隊の少尉で日本に戻ってきた帰還兵・敷島浩一を演じる。模擬戦ではトップクラスの実力者だが、呉爾羅と大戸島で遭遇した際には、恐怖で撃つことができず、多くの死者を出してしまい、それに対して後ろめたい気持ちが拭えないという難しいキャラクターを繊細に表現している。

先述した『らんまん』コンビ、浜辺との再タッグではあるが、その作品の色としてはまるで違う。果たして神木さんは戦後という難しい時代の主人公と、どのように向き合ったのか。他の作品では見られない、葛藤が垣間見える姿に注目してほしい。


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