どんな役でも演じこなせる松坂桃李、七変化の7選
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どんな役でも演じこなせる松坂桃李、七変化の7選

2024.08.19 17:00

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2009年から俳優としての活動をスタートし、今年で役者歴15年となる松坂桃李。デビュー作であり主演作の『侍戦隊シンケンジャー』は、特撮ファンから高い人気を誇り、今でも語り継がれる伝説的な「スーパー戦隊シリーズ」だ。以降、数々の作品に出演してきた松坂は、演技力をどんどん高めていき、どんな役でも演じこなせる俳優へと上り詰めた。今回は、作品ごとに違う顔を見せる松坂の“七変化”を楽しめる映画を7本紹介しよう。

『ゆとりですがなにか インターナショナル』

ゆとりですがなにか インターナショナル
© 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

女性経験ゼロの、こじらせ小学校教師・山路一豊役。宮藤官九郎脚本の大人気ドラマ『ゆとりですがなにか』から繋がるストーリーの映画化作品。

野心がない、競争意識がない、協調性がないと揶揄される“ゆとり世代”だと括られた、アラサー男性3人が、様々なことにあがきながら生きていく物語で、映画版でも山路は相変わらず童貞のまま。奥手だとか女性が苦手というわけではなく、セックスによって相手との関係が変わることについてグダグダと考えて踏み出せない、こじらせタイプだ。デートしようものなら、相手をイライラさせるかムッとさせてしまう、そんな山路を松坂はドラマ時代から演じ続けており、この役で本格的なコメディも演じこなせる俳優だと知らしめた。

『あの頃。』

あの頃。
©2020『あの頃。』製作委員会

「ハロー!プロジェクト」に青春を捧げるアイドルオタク・劔樹人役。劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」の映画化。

大学院受験に失敗し、好きで始めたはずのバンド活動もうまくいかず、バイトに明け暮れるだけの日々を送る劔。元気のない彼を心配した友人が励ますためにくれたDVDを、何気なく再生した劔は、「♡桃色片想い♡」を歌って踊るアイドル・松浦亜弥に釘付けになる。“あやや”のMVを観て、涙を流す主人公を演じる松坂は、どっぷり沼にハマる“ドルオタ”の姿を見事に体現していて最高だ。将来を考えて不安になり、アパートの狭い部屋でショボくれていたり、白ブリーフ1枚になったりなど、「こんな松坂桃李は見たことない!」というシーン満載の傑作。

③『孤狼の血 LEVEL2』

孤狼の血 LEVEL2
©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

目的のためには手段を選ばない一匹狼のマル暴の刑事・日岡秀一役。柚月裕子の小説「孤狼の血」シリーズを原作とした映画の1作目『孤狼の血』の続編で、完全オリジナルストーリーとなっている。

暴力班捜査係の刑事・大上(役所広司)と組んだ、新人刑事だった日岡。広島大卒のエリートで、実は大上の違法捜査を内偵するために送り込まれた広島県警の監察官だったが、大上にマル暴の刑事として育てられ、大上亡き後、彼の後を継いで、広島の裏社会を治める一匹狼の刑事に。1作目とは全く別人のように成長した日岡を熱演する松坂。短髪にし、狂気的な上林組組長・上林成浩役の鈴木亮平と対峙する松坂は、ハードなアクションにも挑み、凄みを見せ観客を圧倒した。

『不能犯』

不能犯
©宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会

マインドコントロールを駆使して、人の心を操り死に追いやるが、直接手を下していないため、犯行を罪に問われない“不能犯”宇相吹正役。宮月新原作、神崎裕也作画による同名漫画の映画化作品。

とある電話ボックスに殺人を依頼する紙を貼ると、犯行を引き受けてくれて、殺したい相手を完璧に始末してくれる宇相吹。唯一と思われる、彼にマインドコントロールされない刑事の多田(沢尻エリカ)は、宇相吹の犯行を阻止するため奔走する。スラリとした長身で、黒いスーツを身にまとう、スタイリッシュなダークヒーローの宇相吹を妖しくセクシーに演じている松坂。宇相吹のトレードマークの1つである、不気味な笑みを表現するため、松坂は「人生でここまで口角をあげたことはないです」とコメント。恐ろしい悪役演技を披露した。

『日本のいちばん長い日』

日本のいちばん長い日
©2015「日本のいちばん長い日」製作委員会 監督・脚本:原田眞人

敗戦を決するポツダム宣言の受諾と、国民への敗戦を告げる昭和天皇による玉音放送をやめさせ、徹底抗戦と本土決戦を主張すべく、クーデターを決起する終戦反対派の青年将校たちの中心的人物・畑中健二陸軍少佐役。半藤一利によるノンフィクション書籍「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」の映画化作品。

1945年7月、連合国は日本に無条件降伏を求めるポツダム宣言の受諾を要求。降伏か、本土決戦かの結論が出ないまま、同年8月、広島と長崎に相次いで原爆が投下される。坊主頭になって畑中を熱演した松坂は、純粋であるがゆえに決死の行動を起こす畑中の人間らしさを秀逸に表現しており、役所広司、本木雅弘、堤真一ら豪華キャストの中でもひと際光っている。

『居眠り磐音』(2019年)

居眠り磐音
©2019映画「居眠り磐音」製作委員会

昼はうなぎ屋で働き、夜は用心棒を務める、剣の腕が立つ浪人・坂崎磐音役。佐伯泰英の同名時代小説シリーズを映画化した時代劇エンターテイメント。

優しく穏やかな人物だが、実は剣の達人である坂崎磐音。彼には辛い過去があった。故郷の豊後関前藩で起きたある哀しい事件により幼馴染みを失い、祝言を間近に控えた許嫁・奈緒(芳根京子)を残して脱藩した磐音。全てを失い、浪人の身となった磐音は、江戸で長屋暮らしを始め、昼間はうなぎ屋、夜は両替屋・今津屋の用心棒として働き始める。磐音の剣を構えた姿が、縁側で日向ぼっこをして居眠りしている年寄り猫のようで、そこから「居眠り剣法」と呼ばれている。ニコニコ笑って、朗らかに近所の子どもたちと楽しそうに話す姿は、松坂そのもののようで、筆者のお気に入りの松坂出演作だ。剣の達人としての格好良さ、奈緒との切ない愛を演じる悲しい表情なども必見。

『エイプリルフールズ』

エイプリルフールズ_場面
©2015 フジテレビジョン

虚言癖のあるセックス依存症で、自称・天才外科医だが、それすらも怪しい女たらしの牧野亘役。古沢良太脚本による、エイプリルフールの日が舞台の、総勢27人の人生が交錯する群像劇。

対人恐怖症の清掃員・新田あゆみ(戸田恵梨香)は、1度だけ関係を持った亘の子を妊娠。亘に告げるが、エイプリルフールの嘘だと思われ、信じてもらえずに驚きの行動に出る。松坂は冒頭から全裸で登場し、ベッドを共にした女性からお金をせびり、タクシーに乗って別の女性に会いに行くという、ゲスなキャラクターに扮している。終盤に向かう内に、あゆみと亘の過去の出来事が明かされていき、亘は悪いヤツではないことが分かってくるが、後に結婚する戸田と松坂が共演し、2人の子供が誕生する物語を演じていることが感慨深い。ちなみに、戸田は『日本のいちばん長い日』でも松坂と共演している。


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