風間敏臣に1R快勝を収めたエライジャ・スミス「最高の出来だった」 アリーナでの戦いを望む「オファーがあればいつでも戦う」|UFCファイトナイト・ラスベガス109:ドリッゼ vs. ヘルナンデス
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風間敏臣に1R快勝を収めたエライジャ・スミス「最高の出来だった」 アリーナでの戦いを望む「オファーがあればいつでも戦う」|UFCファイトナイト・ラスベガス109:ドリッゼ vs. ヘルナンデス

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世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体として、世界最高のMMAアスリートが名を連ねるUFC。U-NEXTがライブ配信した2025年8月10日(日本時間)開催の『UFCファイトナイト・ラスベガス109:ドリッゼ vs. ヘルナンデス』(UFC APEX)では、日本の風間敏臣がエライジャ・スミス(アメリカ)とバンタム級マッチで対戦した。

試合は「1R 4:10 KO(スラム)」でスミスが勝利。強烈な投げ技で、風間をねじ伏せた。この記事では、試合後会見でスミスが自らの言葉で語った心境や想いをお届けする。

(トップ写真:Jeff Bottari/Zuffa LLC)


「もうAPEXで3回も戦ったから。次はデカい所でやりたいんだよ」

──試合を終えた今の率直な気持ちを聞かせてください。

スミス:最高の気分だよ。本当に気分がいいし、神に祝福されてるって感じだね。

──試合前のインタビューでは、KO勝利でボーナスを手にすると宣言していました。有言実行となりましたが、どれくらい嬉しいですか?

スミス:ああ、めちゃくちゃハッピーさ。自分のパフォーマンスには本当に満足してるよ。みんな、風間のグラップリングがどうだとか、俺がそれに対応できるのかとか、色々言ってたよな。でも、俺は昔から自分がレスリングもグラップリングもイケてるって分かってたし、グラウンドの展開になっても何も怖くないって信じてたんだ。

だから、あいつが仕掛けてきたレッグロックやヒールフックも、全然極まる気はしなかったね。とにかく冷静でいること、そしてチャンスが来たら絶対モノにするってことだけを考えてた。そして、その通りにやったのさ。

──具体的なゲームプランはありましたか?相手はグラップラー、あなたはストライカーです。彼がひたすらタックルに来る展開を予想していましたか?

スミス:もちろん。だから試合開始数秒で、飛び膝蹴りを見舞ってやったんだ。あいつがすぐにタックルに来ることは分かってたから、完璧なタイミングで合わせようと狙ってた。まあ、惜しくも当たらなかったけど、もし当たってたらもっと早く試合は終わってたかもな。

ゲームプランとしては、とにかくジャブを顔面に突き刺して、打撃でクリーンに戦うことだった。でも、テイクダウンされたっけな?もしテイクダウンを取られてたとしても、結局俺が上になったはずだ。どっちにしろ、グラウンドに行っても冷静に、基本に忠実にやれば問題ないって分かってた。アンダーフックを掘って、トップを取り返す。トップを取ったら、あとはパウンドを打ち込むだけだ。

トップから叩き込むパンチは、かなりヘビーなのが入ってたと思うぜ。一発一発、あいつが壊れていくのが感じられたんだ。それで焦ったあいつが三角絞めを仕掛けてきて……残りは、みんなが見た通りさ。

──あの衝撃的なスラムについて教えてください。三角絞めを仕掛けられた時、スラムで叩きつけることは頭にありましたか?それとも咄嗟の判断だったのでしょうか?

スミス:いや、正直に言うと、あいつの三角絞めが極まるなんてこれっぽっちも思ってなかった。だからまあ、あの体勢に持ち込もうとしたこと自体は褒めてやるよ。次は絶対にこんなチャンスはやらないって約束するけどな。

実は、昔柔術のトーナメントに出た時に、全く同じように三角絞めに入られたことがあるんだ。その試合の後、親父にこう言われたのを覚えてるよ。「なあ、もしこれが本当のファイトだったら、お前はあいつをマットに叩きられたのにな」ってね。そして今回、ついにそれを実行するチャンスが巡ってきたってわけさ。

──壮絶なスラムでした。UFCのレジェンド、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンを彷彿とさせます。相手がしばらく動けませんでしたが、その光景をどう見ていましたか?

スミス:「やったぜ!最高だ!」って踊り回ってた。アドレナリン全開だったからな。でも、ふと右を見たら、あいつがぐったりしてるのが見えて、「やべ、ちょっと落ち着いた方がいいかもな」って我に返ったよ。

でもな、これは俺たちが必死に努力してきたすべてなんだ。ファンを、そして自分自身を驚かせるような試合をするって決めてた。俺たちのジム、Victory MMAがどんなもんか見せてやりたかったんだ。コロラドスプリングスにある小さなジムだけど、親父が2009年に立ち上げたんだ。これから才能あるヤツらがどんどん出てくる。これは、その始まりに過ぎない。

──この勝利は、あなたにとって大きな「証明」になったのではないでしょうか?

スミス:ああ、間違いなくそうさ。これは、俺が自分自身に証明するための戦いだった。「エライジャ、お前は試合をフィニッシュできる。ハイライトに残るようなKOだってできるんだ」って。

「脚光を浴びる時が来たら、やるべきことをやれ。お前らしくいろ。"スウィフト"(電光石火)のエライジャ・スミスでいろ」って自分に言い聞かせてたんだ。すべてがこうして上手くいったのは、本当にクレイジーだよ。

──このKOでUFC APEXから脱出して、観客のいるアリーナで戦えると思いますか?

スミス:そう願うよ。もうAPEXで3回も戦ったからな。T-Mobileアリーナとか、MSG(マディソン・スクエア・ガーデン)とか、そういうデカい所でやりたいんだよ。ファンの前で戦いたい。もし今日の試合が2万人の観客の前で行われてたらって想像すると…ヤバいよな。アリーナは大騒ぎだっただろうよ。

だから、これでAPEXから出られることを願ってる。まあ、もしダメでも、給料が上がるなら文句はないさ(笑)。

──次戦はいつ頃を考えていますか?

スミス:いつでもいいぜ。グラウンド&パウンドでついた打撲くらいで、怪我はないからな。減量も、試合も、見ての通り最高の出来だった。だから、オファーがあればいつでも戦うよ。

「次のアリーナでの試合では、間違いなく俺の曲で入場する」

──所属ジム「Victory MMA」はあなたにとってどんな場所ですか?

スミス:特別なのは、UFCランカーが何人もいるようなデカいジムじゃないってことさ。俺はUFCファイターだけど、ジムに来たばかりの初心者と同じクラスで、同じ基礎練習をやってるんだ。だから、誰にでも成功するチャンスがある。「ハードワークと献身」、それがうちのモットーだ。

スポーツに身を捧げ、必死に努力する覚悟があるか? もしそれができないなら、このジムには向いてないだろうな。親父のコーチングスタイルは厳しいから、嫌がるヤツもいるよ。ケツを叩かれ続けるからな。でも、そういうコーチが必要なんだ。

──娘さんはこのKOを見て、何と言うと思いますか?

スミス:たぶん、「あの人、大丈夫?」って言うだろうな(笑)。すごく優しい子なんだ。娘は俺が何をしてるか知ってるとは思うけど、まだ完全には理解してないと思う。ただの遊びだと思ってるんじゃないかな。俺はそれでいいんだ。試合から帰ってきた時に、アザや切り傷がないようにして、親父は大丈夫だって思わせてやりたい。娘にはただの子どもらしく、普通の6歳児でいてほしいんだよ。

──改めて、あのスラムのテクニックについて。なぜあれほど効果的だったのでしょう?

スミス:テクニックなんてなかったと思うぜ。とにかく、あいつのケツをできるだけ高く持ち上げて、頭からマットに叩きつけてやるってことしか考えてなかった。それだけさ。

──一部では頭突きがあったのではないかという声もありますが、覚えていますか?

スミス:いや、覚えてないな。マットに叩きつけたって感覚だけだ。映像を見返さないと何とも言えないけど、もしそうなってたとしても、あいつがサブミッションを離すべきだったんだよ。それか、足をフックすべきだった。アングルが大事なんだ。「アングルが絞め技を生む」って親父がいつも言ってる。ハイレベルな柔術家にしては、痛いミスだったな。そのミスがあいつの敗因さ。

──次こそは、ご自身が歌う入場曲でアリーナに登場したいですか?

スミス:もちろん! UFCと契約した時からの目標だからな。でも、APEXで戦い続けるなら、自分の曲は使わないって決めてるんだ。使うなら、ファンが大勢いるアリーナで、「おい、誰だこの曲?…ああ、あいつ自身の曲かよ、ヤベえな!」って言わせたいんだよ。次のアリーナでの試合では、間違いなく俺の曲で入場するから楽しみにしててくれ。ロイ・ジョーンズ・ジュニアみたいにな。

──その入場曲のタイトルは?

スミス:「Risk」さ。もう完成してて、来週あたりにリリースする予定だ。サビの歌詞が「I just took a risk(俺はリスクを取った)」って言うんだけど、まさにMMAの世界に飛び込んだ俺自身のことなんだ。この曲以上に今の俺にふさわしいタイトルはないだろ?

──格闘技を始めたのはいつ頃だったのですか?

スミス:俺が最初に戦ったのは2021年。2020年に高校を卒業して、コロナ禍に親父とトレーニングを始めたんだ。18歳で初めてアマチュアの試合に出て、そん時についたニックネームが「スウィフト」さ。

1ラウンド15秒で相手をKOしたんだよ。で、「こりゃクールだ、次もやろう」ってなって、1ヶ月後くらいにまた試合をした。周りからは「もっと早く倒せよ」なんて言われてさ、「できるかよ」って思ってたんだけど、リングに上がったら7秒で相手を倒しちまった。その時からだよ。「よし、行けるところまで行ってやろう」って思ったのは。

みんな俺が小さい頃から「親父さんみたいにファイターになるのか?」って聞いてきたけど、いつも「ノー」って答えてたんだ。でも、人生は面白いもので、本当にやるべきことへと導いてくれるんだよな。この道は、俺のためにあったのさ。


試合の見逃し配信はこちら(視聴可能期間:9月8日 23:59まで)
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000009774

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