「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.31」対戦カード発表! KOアーティスト、波田 大和の初防衛戦!
4月5日開催のボクシング「第31回DYNAMIC GLOVE」、波田 大和ほか全試合の見どころをレポート
4月5日開催のボクシング「第31回DYNAMIC GLOVE」は、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者、波田大和の初防衛戦がメインイベントに行われた。KO率84%を誇る波田大和が、現役最多試合数56戦、現役最多勝利数2位の41勝を誇る渡邉卓也と対決!
また、アンダーカードには、元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一も登場し、後楽園ホールを沸かせた!
本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者、波田大和は、現在WBA11位、WBC19位、WBOアジアパシフィック2位にランク。左の強打でKOの山を築いてきたサウスポーで、実に16勝のうち15勝がKOというハードパンチャー。高いKO率からパワーで押し込むファイトスタイルを想像するが、実際はスピードとタイミングで急所を打ち抜くKOアーティスト。その爆発力たるやダイナマイトそのもの。昨年6月、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者の坂晃典に挑戦し、3回TKOで王座奪取。ノンタイトル戦を挟み、今回が初防衛戦となる。
挑戦者の渡邉卓也は、OPBFスーパーフェザー級3位。元WBCユース世界ライト級王者、元IBFアジア・フェザー級王者、元WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級王者。実に50戦を超えるプロキャリアを誇るボクサーファイター。その中には伊藤雅雪、坂晃典、力石政法、ジョニー・ゴンサレス、ミゲル・ローマンなど錚々たる顔ぶれが並ぶ。これまで13敗しているが、KO負けは1度だけ。クリーンヒットを許さない卓越した防御技術と、上下を打ち分ける多彩な攻撃力で名勝負を生み出す。
圧倒的KO率を誇る波田大和が、経験豊富な試合巧者、渡邉卓也を捉えることができるのか注目!
1回、とてつもない緊張感の中で試合開始。お互いにほとんど手を出さず、様子見に徹したラウンド。サウスポーの波田がジリジリとプレッシャーをかけ、渡邉が待ち受ける。
2回、突然試合が動く!波田は、ダブルジャブの後に間髪入れずに伸ばした左ストレートで渡邉のバランスを崩すと、右フックが渡邉の頭を巻き込み引き倒してしまう。これはスリップ。だが、先に当たった左ストレートのダメージが影響しているようにも見える。波田は、さらに左ストレートで追撃、渡邉をロープに弾き飛ばす!そして、渡邉の動きが止まるや否や、波田の左ボディからの左フックに流れるコンビネーションで先制のダウンを奪う!再開後、波田は、渡邉をコーナーに釘付けにし連打!ここでも波田の右フックがヒットし、渡邉は足をバタつかせる!渡邉は大きな左フックで反撃するが、波田の右フックと絡まり、再びスリップ!ダウン1つ、スリップ2つで、このラウンドを終えた。
3回、渡邉は、積極的に前に出て、懐に入り込み連打を放つが、波田の左ストレート1発ではじき返されてしまう。
4回、渡邉は、接近戦での打ち合いに挑む。すると波田は、それを楽しむかのように応じる。波田は、渡邉の左フックに右フックのクロスカウンターを狙う。まるで「あしたのジョー」のよう!また、波田の左ストレートの上下の打ち分けは的確にヒットし、渡邉は苦しい試合展開が続く。4回終了時の公開採点は、3名のジャッジ全員が40-35で波田を支持。
そして5回、ゴングと同時に激しい打ち合いに!もう後がない渡邉の決死の攻撃!やや外側から飛んでくる渡邉の連打に対し、波田はインサイドからコンパクトに、かつ的確に左右コンビネーションでパンチをまとめる!渡邉が、こらえきれずにフラフラとロープにもたれかかったところでレフェリーストップ!波田が5回TKO勝利で、OPBF東洋太平洋タイトルの初防衛に成功した!
波田大和選手、これで戦績を19戦17勝(16KO)2敗とし、5連続KO勝利を飾った。終わってみれば、キャリア豊富な試合巧者を終始圧倒した勝利。これはもう、日本王者の奈良井翼選手との頂上決戦を期待するしかない!
渡邉卓也選手、持ち前のリカバリー能力の高さを以てしても、2回のダウンから試合を立て直すことが出来なかった。まずは心身ともに回復に努めてもらいたい。
尾川堅一は、WBOスーパーフェザー級5位、WBC13位、WBOアジアパシフィック3位。右の強打、“クラッシュライト”で世界の頂点を極めた元IBF世界スーパーフェザー級チャンピオン。これまでに3度世界戦を経験しているが、そのすべてが、アウェイの海外リングという猛者。長年不調だった右肩を手術し不安を払拭、ボクシングの幅を広げ、最年長世界王座奪取記録更新を目標に、後楽園ホールのリングに立つ。
メルチョル・ロダは、小柄だが、分厚い体格で突進してくるファイター。叩きつけるような左右フックで、前に出るボクシングが特徴的。2024年は5戦全勝と勢いに乗る。攻撃を最大の防御としているので、下がる展開になると持ち味を発揮できない一面もある。
世界再挑戦を目指す尾川堅一が、伝家の宝刀である“クラッシュライト”を炸裂させ、存在感をアピールできるか!
試合は1回、尾川のスピードが際立つ。体格、リーチで勝る尾川が、シャープなジャブでロダを突き放す。ロダも右クロスを強振するが、全く届かない。尾川は、そのうち終わりに右ストレート、右ボディと上下を打ち分け、巧みな攻撃を見せる。
2回、ロダはプレッシャーを強め左右フックで飛び込むが、尾川はステップワークで自分の距離をキープ。続けざまにジャブでガードの間を突き破ると、右ボディストレートで削る。
3回、尾川はリズミカルにジャブを出し続け、右ボディをクリーンヒット。一発逆転を狙うロダは、豪快な空振りで転倒するほど力んでいる。尾川のディフェンスが光ったラウンド。
4回、尾川がロダをコーナーに詰める時間が増える。尾川はロダのフックを空振り、もしくはブロッキングで完璧に封じ込め、右ボディでスタミナを更に削ってゆく。
5回、尾川は、前後の出入りのスピードを活かして、すれ違いざまに左ボディ!半歩ステップバックして右ストレート!ロダの反撃は、スウェイバックで空振りを誘う。到底、流れている時間が同じだとは思えない、次元の違うパフォーマンスを見せる。
そして5回終了時のインターバル、なんと、ロダ陣営が試合放棄!尾川の5回終了TKO勝利となった。
尾川堅一選手、対戦相手の戦意を喪失させる、貫禄の“ロマチェンコ”勝ち!ほとんどパンチを貰わずにコツコツとボディを攻め、相手の心をへし折った。とにかくジャブが素晴らしかったのと、あらためてディフェンス技術の高さを証明した。
嶋田淳也は、WBOアジアパシフィックフェザー級5位、OPBF13位、日本5位。アマ戦績81戦58勝23敗で、2年連続で国体3位の実績を持つアマチュア・エリート。ボクシングの教科書から飛び出してきたかのような美しいフォームが特徴的な技巧派ボクサー。精密機械のような正確無比なボクシング技術で、これまで対戦相手につけ入る隙を与えてこなかったが、昨年6月の廣瀬祐也戦でドローとなり、デビューからの連勝を逃す。しかし未だ無敗、フェザー級プロスペクトとして落とせない一戦。
向山太尊は、変則的な左右フックを叩き込み、倒すか、倒されるかの豪快なファイトスタイルが魅力的なサウスポー。極端な攻撃姿勢が諸刃の剣となり、敗れた5敗は全てKO負け。しかし、当たれば倒せる重たいパンチは本物。肉を切らせて骨を断ち、技巧派の嶋田選手に強打を打ち込みたい。いざゴングが鳴ったら、“ろくでなし”タイソンから目を離せない。
技巧派ボクサーと変則ファイターの激突!判定なら嶋田淳也、KOなら向山太尊か!
試合は1回、オーソドックスの嶋田とサウスポーの向山のジャブの差し合い。さぐり合いの中で、嶋田が右ストレートでカウンターを合わせる。2回、嶋田は大きなパンチはないが、ジャブから左フックをつなげ、打たせずに打った印象。
3回、向山は、いきなりの左ストレートを打ち込み、パワーを使って強引に攻め込む!その攻撃が功を奏し、左ストレートをヒットさせるも、嶋田も右ストレートを返す!
4回、嶋田は、持ち前のジャブで向山をコントロール。5回、向山はプレッシャーを強め揺さぶりをかけるも、逆に嶋田の右ストレートをカウンターでもらってしまう。ただ、嶋田の顔にも小さな傷が見て取れる。
6回、ここまでポイントで有利に試合を進めてきた嶋田が、より攻撃を強め打ち合いを仕掛ける!自ずと被弾が増えるが、リスク覚悟で倒しにきた!そんな中で、接近した両者がバッティング!だが、そこでカットしたのは向山。どうも流れに乗り切れない。
7回、嶋田を中心に向山が回る展開。それによってアングルが変わり、向山のパンチが嶋田のガードの間を貫く。だが、嶋田もそのタイミングを狙っており、右ストレートで向山のバランスを崩す。
そして最終8回、お互いに倒してやろうという気迫のこもった打ち合いに!向山は、左右フックを体のしなりを使って連打!嶋田はインサイドから、右ストレート、左フックで反撃!しかし被弾も多い!両者の打ち合いが止まらないなか、試合終了のゴングが鳴った!判定は、3-0、明確な差がつき、嶋田の腕が上がった!
嶋田淳也選手、テクニックには定評があるが、ただ勝つだけでは満足できない、打ち倒して勝利を掴みたい!そんな気合いに満ちた試合ぶりだった。上手さだけではなく、強さも兼ね備えた選手への進化の過程を目撃したのかもしれない!
向山太尊選手、リスクをかけてでも打ち合う、そんな本来のスタイルを逆にやられてしまった。もっと荒々しく攻め込むことが必要だったが、そうすると倒されていたかもしれない。
内構拳斗は、ボクシングの名門、拓殖大学で主将を務め、アマ戦績39勝22敗の成績を残し、横浜光ジムの秘密兵器としてプロ転向。ジャブで組み立てる堅実なボクシングと、チャンスで畳みかける連打が特徴的なボクサーファイター。昨年8月の西岡伶英との試合では、激しいシーソーゲームの末にスプリットの判定負け。この試合が再起戦となる。
チャン・ドンフンは、現WBO世界バンタム級王者の武居由樹が、東洋太平洋スーパーバンタム級王者だった2023年に、韓国でのエキシビジョンマッチの相手を務めたコリアン・ファイター。三迫ジムに移籍した初陣で全勝を守れるか。
日韓ファイター対決!打撃戦必至の試合の行方は!
1回、内構の左リードジャブが伸びる!上背の割にリーチが長く感じる内構が、シャープなジャブと左フックで優勢に試合を進める。2回、中間距離でのジャブの差し合い。ここでも内構の左ジャブからの左ボディが有効で、右ストレートまでつなげた。
3回、ここまで優勢に試合を進めてきた内構が、至近距離での打ち合いに応じる。スピードに分がある内構だが、チャンの右ストレートからのコンビネーションを不用意に浴びてしまい、右目上をカットし鼻血を流す。
4回、両者、頭を付けた接近戦での打ち合い。内構はワンツーで、チャンはアッパーで応戦し拮抗したラウンド。5回も接近戦は続くが、チャンのボディ攻撃から突き上げる顔面へのアッパーが印象に残る。
6回、内構はジャブからの右ストレートで試合を立て直す。しかし、チャンのボディ攻撃もコツンコツンとヒットしている。7回、内構は中間距離をキープしつつ、ワンツーでチャンの顔面を捉え、このラウンドを支配したかに思えた。しかしラスト10秒!チャンの右ストレートがカウンターになり、一瞬、内構の動きが止まったところでゴング!ダメージの深さを感じさせるシーンだった。
そして最終8回、両者、残る力を振り絞っての打ち合いに!内構は右ストレート、チャンは右アッパーで、お互いに一歩も引かないノンストップの打撃戦が続く!激しい打撃戦は、決着がつかずに判定へ。結果はジャッジ3者ともに、76-76のドロー!後楽園ホールが溜息に包まれた。
内構拳斗選手、序盤のリズムが3回以降に崩されてしまった。左リードジャブからの右ストレートが良かっただけに、悔しくも苦しい試合になってしまった。
チャン・ドンフン選手、序盤の段階では、スピード負けしているように感じたが、パンチの強さで流れを手繰り寄せた。日本での躍進に期待がかかる。
小林優樹は、今年2月のデビュー戦では、右ストレートでダウンを奪い判定勝利。ジャブで組み立て、右のカウンターを合わせるボクサーファイター。
當山楓真は、神奈川県出身。今年1月にプロテストに合格した18歳。
試合は1回、サウスポーの當山がプレッシャーをかけ距離を詰めるが、小林が右フックを引っ掛けるようにサイドに回り込む。アマ経験のある小林の右ストレートがカウンターでヒット。
2回、今度は當山がさらにプレスを強め、左ストレートをヒットさせる。当たりは浅いが、小林の自由にはさせない。
3回、小林は、當山の執拗な突進をクリンチではなく、フットワークで防御。右ストレートのカウンターも当てた。
そして最終4回、小林は得意の右ストレートでカウンターを狙うが、當山もラストスパートをかけて、左ストレートからの連打で攻め込む。お互いに決定打がないまま試合終了。
そして判定の結果はドロー。優勢点で當山がトーナメント2回戦にコマを進めた。
小林優樹選手、突進してくるファイターに対し、右ストレートを当てサイドに回るボクシングが機能していただけに惜しい引分け。
當山楓真選手、最終ラウンドの頑張りが評価された!少々カウンターをもらっても、引かずに手数を出し続けたアグレッシブさが、優勢点を引き寄せた!
今大会に出場した、帝拳ジム所属の波田大和選手と尾川堅一選手は、同じスーパーフェザー級ということもあってか、大の仲良し。お互いのSNSに登場することもしばしば。今回、同じ興行でリングに上がり、とても刺激になったのでは。これから世界を目指す波田選手にとって、尾川選手は目標とすべき存在であり、先に世界を掴んだ先輩。そんな尾川選手も最年長世界王座奪取記録更新を狙う。この良い関係性が、強さの秘密なのかも知れない。
次回5月3日の『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.32』は、飯村樹輝弥が唯一敗戦した相手、エスネス・ドミンゴを迎えての初防衛戦となる、OPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチを中心に配信!お楽しみに!
U-NEXTでは、今回レポートした『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.31』を2025年5月4日まで配信中!
4月5日開催のボクシング「第31回DYNAMIC GLOVE」、波田 大和ほか全試合の見どころをレポート
3月1日開催のボクシング「第30回WHO'S NEXT」。李健太、増田陸ほか全5試合をレポート
3月1日開催のボクシング「第30回WHO'S NEXT」、李 健太ほか全試合の見どころをレポート
1月18日開催のボクシング「第29回WHO'S NEXT」、村田昴ほか全試合の見どころをレポート
1月18日開催のボクシング「第28回WHO'S NEXT」。中野 幹士vs英 洸貴ほか全5試合をレポート
4月5日開催のボクシング「第31回DYNAMIC GLOVE」、波田 大和ほか全試合の見どころをレポート
3月1日開催のボクシング「第30回WHO'S NEXT」。李健太、増田陸ほか全5試合をレポート
3月1日開催のボクシング「第30回WHO'S NEXT」、李 健太ほか全試合の見どころをレポート
1月18日開催のボクシング「第29回WHO'S NEXT」、村田昴ほか全試合の見どころをレポート
1月18日開催のボクシング「第28回WHO'S NEXT」。中野 幹士vs英 洸貴ほか全5試合をレポート