怒涛の全試合KO決着! 「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.33」観戦レポート!
シェア

怒涛の全試合KO決着! 「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.33」観戦レポート!

2025.06.13 13:00

この記事に関する写真(7枚)

  • 01-6 (1)
  • 01-18 (1)
  • 02-5 (1)
  • 04-3-1 (1)
  • 05-3 (2) (1)

Edited by

6月7日開催のボクシング「第33回DYNAMIC GLOVE」は、主要4団体で世界ランク入りしている、日本ミニマム級王者・松本流星の世界前哨戦をメインイベントに全6試合がセットアップ!

フェザー級からスーパーバンタム級にクラスを変えた金子虎旦、デビューから4連勝で勢いに乗る高優一郎らの拳が炸裂し、KOラッシュのド派手な大会となった!

本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!

メインイベント 第6試合:10R/106ポンド契約 

01-6 (1)
©NAOKI FUKUDA

〇松本 流星(帝拳)vs ×ジョン ケビン ヒメネス(比)4回KO

現・日本王者の松本流星は、WBA2位、WBC6位、WBO9位、IBF14位、OPBF1位、WBOアジアパシフィック15位にランクイン。アマ戦績97戦77勝15敗。2021年全日本選手権、国体フライ級制覇など4冠を獲得しているアマチュアエリート。アマチュアで磨いたスピードとフットワークに、プロ仕様の力強さが加わり、2024年9月、わずか4戦目で日本王座を獲得した。冷静沈着でクレバーな試合運びに加えて、一瞬の爆発力はミニマム級とは思えない破壊力を持つ。世界ランクも上昇し、もはや国内に敵なし。対戦相手が見つからず、ノンタイトル戦が組まれた。

対するジョン・ケビン・ヒメネスは、OPBFミニマム級9位、WBOアジアパシフィック14位。2024年9月、全勝のまま空位のOPBF東洋太平洋ミニマム級王座を石井武志と争い判定負け。11月の試合でも2回KOで敗れ連敗を喫する。今年4月、フィリピン国内で2回TKOで再起し、これが2度目の来日となる。KO率は高くはないが、上体を柔らかく使い、パンチを上下に打ち分ける総合力の高いボクサーファイター。

もはや日本国内に敵はいない。世界を見据えた松本の圧巻のパフォーマンスに期待が高まる!

試合は1回、サウスポーの松本とオーソドックスのヒメネスのポジションの奪い合いとなる。松本は、自慢の左ストレートを当てたいのでヒメネスを右回りでプレスをかけるが、ヒメネスはそれを察知してステップバックで距離をコントロールする。

2回、松本のプレスに押されるまいと、ヒメネスもステップインしながらワンツー攻撃。パンチの交換が増えるが、お互いに決定打は生まれない。そんなアクションが増えた中で、両者の頭が偶然のバッティング!痛烈に激突したので、ヒメネスは顔をしかめているが、松本は表情一つ変えないポーカーフェイスぶり!これは凄まじい集中力だ。

3回、バッティングの影響で松本の右目上の腫れが目立つ。しかし松本は、慌てることなくワンツーでヒメネスをロープに詰めるが、ここでまたしてもバッティング!再開後はボディへの連打をまとめた。

そして4回、遂に松本の左ボディが炸裂!ヒメネスから最初のダウンを奪う!キャンバスに両手を付き、うずくまるヒメネスを上から見下ろす松本が、頼もしくも恐ろしく見える。なんとか立ち上がったヒメネスは、最後の力を振り絞り、相打ち覚悟で左右フックを振り回す。しかし、再び松本の左ボディが突き刺さり2度目のダウン!テンカウントを聞いても立ち上がることは出来なかった。そして、いつもクールな松本が吠えた!

01-18 (1)
©NAOKI FUKUDA

松本流星選手、これで戦績は6戦6勝(4KO)。世界前哨戦と銘打たれた一戦を完勝でクリア!まだ6戦のキャリアとは思えない、完成されたボクシングに驚きを隠せない!

ジョン・ケビン・ヒメネス選手、これで戦績は12戦9勝(4KO)3敗。今回は、相手が悪かった。2度のバッティングで火をつけてしまった。

セミファイナル 第5試合:8R/122ポンド契約

02-5 (1)
©NAOKI FUKUDA

〇金子 虎旦(帝拳)vs ×ジェイ フランシス ブライ(比)2回KO

金子虎旦は、WBOアジアパシフィックフェザー級10位、日本14位。アマ戦績56勝13敗と充分な実績を積み、大きな期待を受けて2022年プロデビュー。シェーン・モズリーやティモシー・ブラッドリーを思い起こさせる、日本人離れしたテクニックのあるスピードスター。デビューから5連勝を飾るも、2024年7月にマイケル・カサマのワンパンチの前に1回TKOで初黒星。同11月の再起戦では、タフな中国選手相手に7回TKO勝利、今年2月の再起第2戦も2回TKO勝利で復活を印象付けた。これまで通りの“KO”を狙う強い気持ちと、試合の中ですら進化と成長を続けるボクシング・センスに注目したい。

ジェイ・フランシス・ブライは、ハードパンチを振り回す豪快なファイターが多いフィリピンボクシング界では珍しく、下がりながらでもシャープなカウンターを狙うテクニカルなボクサーファイター。これが初の日本リングとなる。

フェザー級からスーパーバンタム級に階級を変えての初陣に挑む金子のスピード、コンディションに注目!

試合は1回、金子は速く長い左ジャブで牽制。ブライは、前評判通りジャブにカウンターを狙う。金子は、ブライの右クロスをかいくぐるように右ボディを叩くと、スッと距離を取り、パンチのスピード、ステップのスピードで翻弄する。顔面に左ジャブかと思わせて、裏をかいて左ボディなど、スピード、キレともに申し分ない。

つづく2回、金子は右ストレートから、返しの左ボディでダウンを奪うと、ブライはそのまま立ち上がることなくカウントアウトした。金子が、スーパーバンタム級初戦を見事なKO勝利で飾った。

金子虎旦選手、これで戦績は9戦8勝(7KO)1敗。階級をスーパーバンタム級に下げて、より一層スピードとキレが増したのでは。ジムメイトの村田昴と切磋琢磨し、井上尚弥の後継者としてスーパーバンタム級を盛り上げていくことを期待する。

ジェイ・フランシス・ブライ選手、これで戦績は18戦13勝(3KO)4敗1分。スピードの差が明らかだった。

第4試合:8R/58.0㎏契約

04-3-1 (1)
©NAOKI FUKUDA

×マイケル カサマ(比)vs 〇高 優一郎(横浜光)5回TKO

マイケル・カサマは、左右フックを強引に振り回す荒っぽいファイター。勝った試合は全てKOという剛腕で、早いラウンドでの決着が多い。2023年9月には、帝拳フェザー級“花の4人組”の1人、嶋田淳也に5回TKO負け。しかし2024年7月、同じ“花の4人組”金子虎旦を1回TKOで沈めアップセットを演じたが、今年1月、藤田健児の持つWBOアジアパシフィック王座に挑戦するも9回終了TKO負け。

高優一郎は、日本フェザー級12位。拓殖大学ボクシング部で活躍し、全日本選手権3位の実績を携えてB級デビュー。昨年は、帰省中に能登半島地震に遭遇し、救援物資の募集や仕分け作業で被災地を支えた。回転力の高い連打でグイグイ攻め込むファイターだが、デビューから4戦全ての試合で、完璧なポイントアウトで技術の高さを披露し全勝をキープ。プロのリングで、倒し切るボクシングに期待がかかる。

日本ランキング入りした全勝の高が、タイトル挑戦経験者で強打のカサマをいかに攻略するか見逃せない!

1回、まずはジャブの差し合いでお互いの距離感を探るなか、高の左ジャブの引き際にカサマが右クロスを狙う!静から動へ一瞬で変化するスリリングな立ち上がり。高の反応も素晴らしく、この右クロスは警戒している様子。しかし!高の右ストレートのすれ違いざまに、カサマのコンパクトな右ストレートがカウンターでヒット!高がダウンを奪われる。カサマ恐るべし!再開後、高は冷静に立て直し、ダメージは感じさせなかった。

2回、高は左ボディストレートに突破口を見出すと、下から上へのコンビネーションでカサマの強打を封じ込める。3回も高の左ボディが有効。カサマはロープ伝いに下がる展開が多くなる。どうやら強打のカサマを下から崩す戦法のよう。

4回、高のパンチにウェイトが乗ってくる!左右ボディは、抉り込むようにカサマの腹に突き刺さり、顔面へのワンツーは、カサマの額を弾き飛ばす。カサマはダメージを回復させたいが、高の連打に息つく間もない。

そして5回、高は、狙いすました右ボディをザックリ突き刺すと、カサマは苦悶の表情を浮かべて座り込み、痛恨のダウン!キャンバスに脂汗を滴り落とす。高は、なんとか立ち上がったカサマに、徹底した、そして非情なボディ連打攻撃!ロープで防戦一方になったところで、レフェリーが試合を止めた。高が初回のダウンを挽回し、5回TKOで逆転勝利した!

マイケル・カサマ選手、これで戦績は15戦10勝(10KO)4敗1分。1回にダウンを奪うなど、つくづく序盤の強さを印象付けた。

高優一郎選手、これで戦績は5戦5勝(1KO)。初回にダウンを奪われた時はヒヤッとしたが、そのシーン以外は高選手の独壇場だった。そして念願の初KO勝利!大きなステップになった試合だった!

第3試合:6R/バンタム級

05-3 (2) (1)
©NAOKI FUKUDA

×永里 翔(レパード玉熊)vs 〇西屋 香佑(横浜光)4回TKO

永里翔は、接近戦を得意とし、ボディから左右フックにつなげるボクサーファイター。ここのところ3連敗と勝ち星から遠ざかっているが、積極果敢な攻撃とハートの強さは、戦績では測れないものがある。

西屋香佑は、日本バンタム級12位。2024年度全日本新人王。プレッシャーをかけ、接近戦に持ち込み強打を打ち込むファイター。敗れた2戦は、2023年度東日本新人王トーナメント決勝に進んだ佐藤祐と吉成亮人のみ。再起後は3連続KO、かつ4連勝で、一昨年のリベンジを果たし、2024年度の全日本新人王を獲得した。一発の破壊力は折り紙付き。

全日本新人王を獲得し、日本ランキング入りも果たした西屋の勢いに対し、永里がどれだけ食い下がれるか注目!

1回、西屋がプレッシャーをかけ、左ボディからの右ストレートで永里をコーナーに追い詰める。顔面だけではなくボディも織り交ぜるコンビネーションが冴える。

2回、西屋の強烈なプレッシャーは加速する。左右ボディでガードを下げさせると、右ストレートを顔面に返し、いつの間にか永里をコーナーに釘付けにする。永里もキレのあるアッパーやボディを返すが、西屋は固いガードでクリーンヒットを許さず動じない。3回も西屋の連打は止まらない!永里の顔にダメージと疲労が浮かんでくるが、ロープ際やコーナーでも果敢にパンチを返す。

迎えた4回、両者ともに豊富な手数で打撃戦を演じるなか、再び永里がコーナーに押し込まれたところでレフェリーストップ!西屋が圧巻のTKOで勝利をもぎ取った!

永里翔選手、これで戦績は13戦4勝(2KO)9敗。敗れはしたが、決して諦めない勇猛果敢なファイトスタイルは、多くのボクシングファンを魅了した。

西屋香佑選手、これで戦績は9戦7勝(5KO)2敗。ファイター同士の対戦では、全く負けるイメージが付かない!怒涛の連打が、上下、内外を打ち分ける多彩なパンチで構成されているのが素晴らしかった!

第2試合:6R/ライト級

06-5 (1)
©NAOKI FUKUDA

×伊藤 祐太(マナベ)vs 〇西野入 稜央(横浜光)1回TKO

伊藤祐太は、ライト級にしては164cmと小柄だが、ガードを固めながら懐に入り込み、左右フックを叩きつける、獰猛な“ピットブル”タイプのファイター。好戦的かつ攻撃的スタイルで、これまで無敗。1ラウンドから目が離せない。

西野入稜央は、ガッチリとした体格から見て取れる、フィジカルの強さが特徴的なボクサーファイター。昨年の東日本新人王決勝では、本多俊介との全勝対決となり、持ち味である接近戦に持ち込み豊富な手数で押し切る、激闘スタイルのボクシングで苦しめたが判定負け。再起戦でもアグレッシブなパフォーマンスを期待される。

接近戦でのバチバチの打撃戦必至!上背のある西野入が手数で押し切るのか、伊藤がパワーでなぎ倒すのか注目!

試合は1回から動く!想定通り伊藤はガードを固めて突進!ジャブからの重そうな右ストレートで西野入の懐に飛び込む。西野入はバックステップしながらも回転力のあるワンツーで応戦。伊藤の1発の重みに対して、手数と的中力で迎え撃つ。試合開始から1分が経過したころ、両者が足を止めて打ち合う中で、西野入の右ストレートがカウンターでヒット!一瞬、伊藤の腰が落ちかけたが、両者の暴風雨のようなパンチの交換は止まらない!長身の西野入が打ち落とすような連打を浴びせるが、伊藤もロープを背にしながらも反撃の手は止まっていない。しかし、ここでレフェリーが両者の間に割って入り試合終了!伊藤が、“なぜ?”とジェスチャーするなか、西野入がTKO勝利で乱打戦を制した。

伊藤祐太選手、これで戦績は6戦3勝(2KO)1敗2分。残念ながら初黒星となってしまったが、決して評価を下げる内容ではなかった。

西野入稜央選手、これで戦績は6戦5勝(2KO)1敗。再起戦を見事にTKO勝利でクリアした。突貫ファイター相手に勇敢に戦うハートの強さと、回転力のある連打を見せた。

第1試合:4R/東日本新人王予選フェザー級

07-11 (1)
©NAOKI FUKUDA

×池森 天力(帝拳)vs 〇江田 葵一(KG大和)4回KO

池森天力は、アマ戦績27戦17勝10敗。天力と書いて、“アリ”と読む。元日本バンタム級1位の池森久貴を父に持ち、目黒日大高時代には、先輩の高見亨介と共に日本ボクシング連盟より「令和2年度日本ボクシング連盟次世代強化指定選手」に選出された。憧れのボクサーは、やはりモハメド・アリ。今年2月のデビュー戦では、試合開始のゴング間もなくダウンを喫し、なんとか巻き返すも判定負け。プロの洗礼を受けた。

江田葵一は、アマ戦績30戦19勝11敗。アマチュア仕込みのテクニックと、思いっきりの良い攻撃力が特徴的なサウスポースタイルのボクサーファイター。昨年は東日本新人王決勝で、全日本新人王を制した北本慶伍に敗れたが、スリリングな試合展開でインパクトを残した。今年の優勝候補筆頭として、絶対に落とせない一戦。

事実上の決勝戦!昨年決勝まで勝ち進んだ江田が本領を発揮するのか、または池森が逸材ぶりを披露するのか、拳を合わせるまでわからない!

試合は1回、池森が低い姿勢から積極的に右ボディストレートを伸ばす。対するサウスポーの江田は、突き上げるような左アッパーで迎撃する。2回、受けに回っていた江田がプレッシャーをかけて前に出る。右リードジャブからの左ストレートを上下に打ち分ける。

3回、先ほど後手に回った池森が、体力を使って左フックを振るが空振りが目立つ。一方で江田は、サウスポーの左ストレートを合わせるタイミングが合ってくる。

そして最終4回、ワンツーで前に出る池森に、江田の左ストレートがカウンターとなりヒット!池森は後ずさりながら座り込みダウン!カウント途中で陣営がギブアップした。

池森天力選手、これで戦績は2戦2敗。期待が大きかった分、空回りしてしまった印象。1つの勝利がなかなか遠い。

江田葵一選手、これで戦績は4戦3勝(2KO)1敗。新人王獲得に向けて幸先の良いスタートをきれた。上下に打ち分ける的中率の高い左ストレートは、冷静なマインドがあってこそ。



今大会は、第1試合からメインイベントまで、全試合KO決着というエキサイティングな大会となった。実力が拮抗しつつ、ボクシングスタイルが噛み合うという絶妙なマッチメイクが素晴らしかった!タイトルマッチこそなかったものの、ボクシングファンのハートを熱くする好ファイトの連続で大満足。選手の皆さん、お疲れ様でした!そして、ありがとう!

次回7月5日の『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.34』は、日本スーパーライト級チャンピオン李健太の試合を中心に配信!お楽しみに!

U-NEXTでは、今回レポートした『DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.33』を2025年7月6日まで配信中!










この記事をシェア

この記事に関する写真(7枚)

  • 01-6 (1)
  • 01-18 (1)
  • 02-5 (1)
  • 04-3-1 (1)
  • 05-3 (2) (1)

Edited by

同じ連載の記事一覧

もっと見る

格闘技 特集の記事一覧

もっと見る