12月、UFCデビュー戦でいきなりフライ級タイトルマッチに挑む朝倉海選手「UFCチャンピオンになって、来年UFCを日本に持ってきたい」
シェア

12月、UFCデビュー戦でいきなりフライ級タイトルマッチに挑む朝倉海選手「UFCチャンピオンになって、来年UFCを日本に持ってきたい」

Edited by

日本時間12月8日(日)に開催が予定されているUFC 310のセミメインイベントでUFCデビューを飾る朝倉海選手を迎え、UFC 310 : 朝倉海 アルティメットメディアデーが開催されました。UFCデビュー戦でいきなりUFCフライ級王者アレシャンドレ・パントージャ選手とのタイトルマッチという歴史的な一戦に挑む朝倉選手が、UFC参戦にあたっての心境や、UFC王者になる決意、そして日本でUFCイベント開催の実現に至るまで、現在の胸中を語った模様をレポート!

当日の様子はYouTubeでもアーカイブ配信中

この日の進行役で、UFCの中継をご覧の方には実況でお馴染みの宮本賢一さんに呼ばれ、朝倉海選手が登場!冒頭の挨拶では「ようやくデビュー戦が決まり、対戦相手は決まっていたのですけれど、やっと発表できて嬉しいですし、改めて気合いが入っています。SNSでも「本当にUFCと契約したのか?」とか「大丈夫か?」みたいな心配の声が多かったのですけれど(笑)、正式に発表されて、信じてもらえたのではないかと思います」と、ようやくデビュー戦が発表されたことに安堵している様子の第一声。そして、UFCファイターとしては初の公の場を迎えたことについては「あ、そうか。今日が初めてなんですね。自分のYouTubeとかでは発信しているのですけれど。メディアの前で話すのは初めて。本当にこの瞬間を待っていました、僕も。あと2週間くらい遅れたら言いそうになっていたので(笑)。ギリギリでしたもん。(喉をおさえて)この辺まで出てましたけど。でもこうやって発表することができて、SNSの反響もすごくて。日本人がタイトルに挑戦するっていうのはひさしぶりだと思うし、あとは日本人で今までチャンピオンになった人がいないので、僕に懸けてくれている人も多いと思うから、その期待に応えられるように結果も残したいし、パフォーマンスでも世界中に衝撃を与えられるような戦いを見せたいなって思っています」と、意気込みを語りました。

UFCに期待してもらっているので、それに応えられるようなインパクトを初戦から残したい

 その後、会場のモニターでは、UFCシニアバイスプレジデント兼アジア太平洋地域統括責任者を務めるケビン・チャン氏のコメントが紹介されました。まずは朝倉選手へのメッセージから。

 「朝倉選手、ようこそUFCへ。初戦でタイトルに挑む新人ファイターというのは今まで見たことがありません。それは朝倉選手が総合格闘技というスポーツにもたらすものの大きさ、そして与えた影響の大きさを物語っています。これから素晴らしい冒険へとこぎ出す朝倉選手は必ずや日本最大のスタートして新たな高みに到達し世界に認められるに違いありません。朝倉選手のUFC参戦にこれ以上ないほどワクワクしています。(日本語で)頑張ってね!」

 そして、近年の日本人選手たちの活躍も受けて、日本のUFCファンが長らく待ち望んできた日本でのイベント開催の可能性についても語られました。また、数々の若手の日本人選手たちがUFCとの契約を勝ち取ってきた、ROAD TO UFCのシーズン4も25年に開催される模様です。チャン氏のコメントは以下のとおり。

 「今年、UFCはアジアに戻ってきます。11月23日(土)に開催するUFCファイトナイト・マカオはもちろん、引き続き2025年以降についてもアジア圏でイベント開催の機会を模索しています。もちろんそこには日本も含まれています。朝倉選手のような地元のスーパースターがいることで、どの国であっても究極的にその国のスポーツ人気を押し上げるのは言うまでもなく、そうした選手たちの登竜門として私たちはROAD TO UFCトーナメントを設立しました。来年には4回目のシーズンを迎えます。そこからすでに中村倫也選手や鶴屋怜選手、風間敏臣選手といった有望株が誕生し、デビューして本物の可能性を見せています。先週末には惜しくも敗れてしまったものの、平良達郎選手が記憶に残る激闘を披露し、ファイト・オブ・ザ・イヤー候補との声が上がるほど、フライ級1位のコンテンダー(ブランドン・ロイバル)を相手に本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。10年以上の時を経て、日本は再びこのスポーツの世界的リーダーとして、その地位を確立しようとしています。日本に2度目のMMA黄金期が到来しようとしています。それを率いるのは世界クラスの次世代日本人ファイターたちです」

朝倉海選手_003

チャン氏からのアツいメッセージに対し、朝倉選手は「びっくりしました」とコメント。「本当に、デイナ・ホワイト代表も言ってくれているけど、UFCに期待してもらっているので、その期待に応えられるようなインパクトを初戦から残したいなと思っています」と応答。また、日本でのUFC開催の可能性についても触れられていたことに対しては、「すでにUFCで活躍している日本人選手も結構いますが、僕がチャンピオンになることでUFCを日本に持ってくる可能性もすごくあると思いますので、絶対に勝ってUFCを日本に持ってくるチャンス、持ってきたいと思っています」と、自身の活躍によって日本での盛り上がりを高めていくことを宣言してくれました。

いかにこのUFCで僕が有名になっていけるかを考えたなかで、先にフライ級でタイトルを獲りに行くのが一番いい

ここからは朝倉選手と会場のメディアとの質疑応答を一問一答で紹介します。

 ──初めて契約をオファーされた時の気持ちは?

朝倉:契約の件も本当にいろいろあったので、決まった瞬間とかその辺ははっきり覚えていないのですけれどいろんな人の協力のおかげでこの契約を取ることができたので、まずはみんなへの感謝が大きかったですね。

──6月に日本で参戦を発表してからカード発表は10月に。この期間はどのように感じていましたか?

朝倉:この4カ月のなかでも対戦相手が決まりそうで決まらなかったり、戦う予定のイベントも2、3回変わったりして、常に試合をするつもりで準備していたので気持ちを保つのが難しかったりもしたけれど、その分追い込めたので、いい準備ができました。

──年内最後のPPVイベントという、この大きなイベントに出る思いはいかがですか?

朝倉:嬉しいですね。結果的に年内最後のイベントであり、みんなが注目するイベントでタイトルマッチができるっていうことで。こんなチャンスはなかなかないなっていうことで、勝つのはもちろん試合内容にもこだわって、めちゃくちゃインパクトを与えるつもりです。

──そもそもUFCに出たい、戦いたいと思ったきっかけは?

朝倉:もう数年前から僕の中でUFCのチャンピオンになることが格闘家としての目標であって、それもずっと言い続けていたと思うのですけど、UFCが世界トップの団体だというところはやっぱりみんな認めていると思うので、そこでやるからには世界一になりたいと思っていたので。その場所で僕はトップを獲りたいと思っています。

──これまでUFCファイターたちの戦いは朝倉選手の目にどう映っていましたか。

朝倉:一番強い選手たちが集まる場所なのでレベルが高いなって思いますよね。

──日本ではバンタム級で戦ってきましたが、今回フライ級でのタイトル挑戦となります。現在の仕上がり具合やコンディションはいかがですか?

朝倉:フライ級でやるって決めてから何ヶ月か経っているのでしっかり体重の調整もできています。まあでも、ひさしぶりの階級なのでちょっと不安もありますけど、格闘技に詳しい栄養士の方にも協力してもらったり、そのプラン通りに進んでいるので問題ないかと思っています。

──フライ級への減量に向けて、現在の体重は?

朝倉:今は64キロです。(これまでのバンタム級での通常体重は)68キロくらいでした。

──どんな感じで体重を落としているのですか?

朝倉:練習量を増やすのと、食事も少しずつ抑えているという感じです。

──10月に試合をする可能性もあったそうですが、1度それに向けて体重を落としたりしたのでしょうか?

朝倉:そうですね、でも最大64キロを切るくらいまでしか落としていなかったですね。タイ修行に行ったのですが、その前に「もしかしたら10月になるか、12月か、どっちかかもしれない」ということで準備を始めました。そしてタイにいる途中から「12月で決まりそうだ」という話だったので、減量して最大で63キロちょっとまでは落としましたが、12月に決まった瞬間また戻した感じです。

──“フライ級仕様の朝倉海”はどんな感じになりそうですか?

朝倉:普段あんまり減量していなくて。減量はいつも2週間くらいで最後に水抜きするくらいだったので、実際に試合当日の体重はそこまで変わらないのかなと思います。若干筋肉量は落ちると思いますが、体重はそんなに変わらないので、近いコンディションでできると思います。

──5分5Rの試合で、スタミナ面での不安はありませんか?

朝倉:ずっとその予定で準備しているので大丈夫です。毎日5分7Rやったり、5分のなかで相手が途中でフレッシュな状態で入ってくるという練習もしているので、そこは全然大丈夫です。

──バンタム級なのかフライ級なのか、ご自身からはどちらで戦いたいか、希望を伝えていたのですか?

朝倉:「どっちでもいいです」と。「いい条件がもらえるほうで戦いたい」と伝えていました。それで「最初はフライ級で」とお願いされたので。ゆくゆくはバンタム級に行くと思いますし、どちらの階級でもトップを獲るつもりでいます。

──その “いい条件” というのは、たとえば対戦相手のことなのか、あるいは金銭面のことなのか、どちらの意味での条件なのでしょうか。

朝倉:どっちもですかね。あとは、いかにこのUFCで僕が有名になっていけるかを考えたなかで、先にフライ級でタイトルを獲りに行くのが一番いいのかなと思いました。

朝倉海選手_001

──ラスベガスで行われる12月の試合に向けて、これからどういうところで、どのような調整をしていく予定ですか?

朝倉:11月末ごろ日本を出発して、たぶんUFC PIで調整する予定です。

──日本からはどのようなメンバーで行くのでしょうか。また、現地でもスパーリングパートナーを見つけるのでしょうか。

朝倉:すでに呼んでいるトレーニングパートナーもいるのですけれど、日本にトータル3人くらい呼ぶ予定で、そのメンバーにも来てもらうのと、アメリカで手伝ってもらう予定の人もいます。

──今、日本ではどのような練習をしていますか?

朝倉:海外からも数人練習に来ているのと、あとは神龍(誠)君が来てくれています。

──パントージャ選手のどこに警戒をしていますか?

朝倉:全部うまいですよね、打撃も寝技もレスリングも。とにかく寝技の極めが強いですね。1Rだとしてもどの局面だとしても全力で極めにくるタイプなので、そこでのフィニッシュも多いですし、あとは、競(せ)った試合になったときでも勝ち切る精神力というか、彼の一番の強さはハートの部分だと思います。でも、技術が飛び抜けてすごいとは思わないですし、打ち合ってくれるし、僕にとってはすごい都合のいい相手だと思っていますけどね。

──では1R、2Rでの早期決着の可能性も?

朝倉:全然あると思います。何パターンかKOできるイメージがあるので、多分倒せると思います。

──相手のフィニッシュ能力についてはいかがですか?

朝倉:フィニッシュ能力、高いですね。とくにバックキープやバックチョークがうまいですよね。このパントージャ選手とは3、4ヶ月前くらいから決まっていたのでずっと対策はしていて、似ている選手とも練習していますし、ずっと石黒翔也さんともグラップリング対策してきて、彼の技術もすごいのでそこでいろいろなエスケープの仕方や対応の仕方を学んでいるので、めちゃくちゃ自信あります。

──パントージャ選手のATTのチームメイトに、かつて朝倉選手と対戦した堀口恭司選手がいます。朝倉選手の情報は堀口選手から絶対に入ると思いますが、ご自身としてあの頃とは違うと言えるのは、どういうところですか?

朝倉:変わりすぎて比べられないですね。打撃にしてもレスリングにしても、寝技にしても別人だというくらい強くなっているので。やっぱり、海外のコーチが日本に来てくれたことがすごく僕のなかで大きくて。怪我をして1年半離脱してから、ひさしぶりに元谷(友貴)さんと試合をしました。その試合から全然違っていたと思うのですけれど、あの頃とは全然違うくらい成長しているので、その分析には意味がないのかなと思います。

兄貴(朝倉未来)がセコンドにいることには安心感があるので、来てほしい

──ケビン・チャン氏のメッセージにもありましたが、10月13日(日本時間)に行われたブランドン・ロイバルvs.平良達郎は年間ベストバウトとも称されています。この試合はご覧になりましたか?

朝倉:ちょうどその日オーディション(の審査)に参加していて、めちゃくちゃ見たかったのに見られなくて。オーディション中に下にスマホを置いて見ようかなと思うくらい見たかったけど我慢して。21:30くらいに終わって、帰ってからすぐU-NEXTで見たのですけど、すごい戦いでしたね。やっぱりロイバルはさすが経験値もあるし、ゲームの作り方だったり、本当にすばらしいと思いましたし、達郎くんもすごいなっていうふうに思いました。若いのにめちゃめちゃ強いなと。

──平良選手がこつこつと勝ってきて世界王者をめざしていたなか、一発でタイトルマッチに臨むことを歓迎していないファンの声もあることに対しては、どう思っていますか?

朝倉:そういう声も出てくるだろうなともちろん想像はしていましたけど、結局UFC側が決めたことでUFCが評価することなので、僕がUFC以外の、RIZINで今までやってきたことであったりYouTubeで活動してきたことのすべてがUFCの社長に届いたわけなので、それは僕のやってきたことは間違いなかったのだなと思っています。

──UFCの同階級にいるもうひとりの日本人選手である鶴屋怜選手が、SNSで朝倉選手の参戦について発信していました。ゆくゆくは日本人選手の挑戦を受ける可能性もありますか。

朝倉:そうですね。知名度を上げるのに必死なんだろうなと思いましたし、彼もポテンシャルはすごいあると思うので、がんばればタイトル挑戦する位置に行けるんじゃないですかね。

──ラスベガスで、満員の会場(T-Mobile アリーナ)でデビュー戦を迎えます。どんな戦いをするイメージを持っていますか?

朝倉:KOで勝つことしか考えてないですね。どれだけインパクトを残せるかだと思うので。UFCでも今までの衝撃的な記憶に残るKOシーンってあると思うのですけれど、必ずそこに入るような衝撃的KOを見せたいなと思っています。

──相手への歓声や、会場の雰囲気などラスベガスで試合をするにあたっての心境は?

朝倉:ケージに入ったらそんなに気にしないですね。倒すことしか考えていないので、あまり関係ないというか。僕からすると、今までは日本でメインイベントをやることが多かったけど、僕がたくさんのお客さんを呼んで試合をしていたから、そっちの方がはるかにプレッシャーがかかるので、気持ちとしては楽に臨めるかなと思っています。

朝倉海選手_004

──今回、パントージャ選手とのタイトルマッチが決まった際に兄の朝倉未来さんからは何か言葉をかけられましたか?

朝倉:だいぶ前なので覚えていないですけど、「まあ、行けるっしょ」みたいな感じでしたね。でも最初は驚いていましたね。「マジ?いきなりタイトルなの?」と、めずらしく驚いていました。なかなか驚かない兄貴を、ひさしぶりに驚かすことができたなと。

──UFC参戦にあたっては未来さんも尽力されたそうですが、それに対しての気持ちは?

朝倉:表で自分では言わない性格だと思いますけど、陰で契約について説得してくれたりしたことに、すごく感謝していますね

──『兄の夢も背負って戦う』というような気持ちですか?

朝倉:まあ、それもありますし。……っていうよりは、僕はまた復帰してほしいなと思っている派なので。僕の活躍によってまた兄貴のやる気の火がついてくれたらいいと思っているという、そっちですかね。

──セコンドに未来さんが着く、あるいはチームに帯同される可能性はあるのですか?

朝倉:今話しているところです。来てくれるような気はしていますが。同じ日にイベントがあるので、まあ厳しい戦いになるとは思いますが、説得して連れてきたいと思っています。

──ご自身としては、来てほしいと思っているのですか。

朝倉:もちろんですね。兄貴のセコンドの指示っていうのはすごいですし、やっぱり、いてくれることでの安心感がすごいあるので、来てほしいですね。

──日本でのイベントは来年できたらいいと思っていますか?

朝倉:まだ決まっていないことですけれど、僕がチャンピオンになればそういう交渉をする力が出てくるかと思いますし、僕がUFCチャンピオンなら日本でやっても本当に盛り上がると思うので。今回しっかり勝って、僕の目標は来年UFCを日本に持ってきたいと思っています。


UFC 310:ムハマッド vs. ラフモノフは、日本時間12月8日(日)開催予定(U-NEXTで全試合完全生配信)。新たなUFCスター誕生の瞬間をお見逃しなく!


朝倉海選手の過去の激闘の数々もU-NEXTで!

この記事をシェア

この記事に関する写真(3枚)

  • 朝倉海選手_003
  • 朝倉海選手_001
  • 朝倉海選手_004

Edited by

同じ連載の記事一覧

もっと見る

格闘技 インタビューの記事一覧

もっと見る