バンタム級の伊藤空也、井村塁がUFC契約を目指すトーナメント初戦を前にその心境を語る!──5月23日(金)ROAD TO UFC シーズン4 エピソード3&4
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バンタム級の伊藤空也、井村塁がUFC契約を目指すトーナメント初戦を前にその心境を語る!──5月23日(金)ROAD TO UFC シーズン4 エピソード3&4

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今回で4回目の開催となる、アジアの有望なMMA選手にUFCと契約するための道を切り開くROAD TO UFC。いよいよ今週末、そのオープニングラウンドを迎えます。2日間に渡り、4階級32名の選手が参戦するトーナメント1回戦に、日本からは8名の実力派ファイターたちが出場。日本時間2025年5月23日(金)20時より開演予定のエピソード3、22時開演予定のエピソード4に登場するバンタム級の伊藤空也選手、井村塁選手が、試合に向けての心境やUFCを観ていた若かりし頃にファイターを目指したきっかけまで振り返り、その思いをたっぷりと語ってくれました。

伊藤空也「UFCは出たくて出られるもんじゃない。RTU出場が決まったことには、意味がある」

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──RTUトーナメント出場が決まった時の心境は?

伊藤空也(以下、伊藤):正直、今回のRTUに選ばれることには全然期待はしていなくて、オーストラリアのEternal MMAのベルトを獲ったから、今年はその王座を防衛するのかなって感じでいました。そういうなかで決まったので、自分でも正直びっくりしたんですよね。だから決まった以上はもうやるしかない。本当にこんなチャンスは僕のこれからのキャリアで考えたらもう二度とないかもしれないなというのがあったので、僕にそういう巡り合わせが来たんだなと思って。決まったからには意味があると思いました。だから、「やるしかない!」って感じですね。

──UFCというのは、伊藤選手のなかでどのような位置付けでしたか?

伊藤:UFCって、出たくて出られるもんじゃない。まずもう、本当にまず弱いやつって。絶対いないから、全員が超人だと思っているので。本当にそういう意味では夢の舞台というか、そこに出られるだけですごいと思っているんです。

──バックボーンである空手の経験について教えてください。

伊藤:実は保育園の頃から、空手を無理やりやらされてたんです。そこを休会して何もやってなかったんですけど、小学6年、中学上がる頃にもう1回やってみようとなって、今に至るって感じですね。最初は、今振り返ってみても運動がそんなに好きじゃない子だったんですけど、運動一家だったので、親の方針で近所の空手道場に連れて行かれていた感じだったのだと思います。再開した頃というのは周りがみんなスポーツをやっているなかで自分は何もなかったから、もともと空手をやっていたからといのと、プロレスや格闘技を見るのは好きだったので、縁があったというか、自分もやってみてもいいかなと思って、休会していた空手道場にもう1回通い始めた感じですね。

──MMAの世界に入りプロになった経緯は?

伊藤:当時通っていた空手は、禅道会空手という、どちらかというとMMA寄りの空手の流派だったんですよね。今はいろいろあると思いますが昔は顔面ありの空手があまりなかったというのもあって、顔に当てることに抵抗なくやっていたのはMMAでは活きてきたと思います。

だから、先輩たちがDEEPやZSTに出ているような選手ばかりで、自分もそれを見て影響を受けて、そういう舞台に出て試合してみたいなと憧れるようになり、仕事をしながらプロになったというきっかけですね。

──そこからBRAVEへ移籍することになった経緯というのは?

伊藤:自分の弱点でもあり、今後MMAでやっていくうえで必要なものとしては絶対にレスリングであり、グラップリングであると、そこは自分にとっての穴だったので、僕がこれから先ベルトを狙っていくにしても、上へ行くためには絶対的な穴であるから、だったらそこが強いジムに行ったほうが早いなということで、移籍を決め、宮田会長に連絡しました。宮田さんにとっては多分、移籍が入ったのが僕が初めてだったと思うので、そういう戸惑いはあったでしょうね。あと、僕は弟子入りという形で入ったので、今はもうジムの若い選手たち、地方から来るような子たちは寮とかあるんですけど、当時は寮がなくて、僕、ジムに住んでたんですよ(笑)。そういう意味で、生活そのものが格闘技、という意味で整っていたので、いろいろ面倒を見てくれました。

──BRAVE勢にはレスリングのイメージを抱きがちですが、今さまざまな団体で打撃ベースの選手たちが活躍していますよね。伊藤選手ご自身も2団体のベルトを持っています。

伊藤:僕自身はやっとこうやって形になってきたというか、レスリングの強みがやっと出てきましたよね。結局レスリングやグラップリングつまり寝かされる状況になってもそこで自分には自信があるわけだから、思い切って打撃で行けるというのはあるかもしれないですよね。僕と、たとえば野村駿太や木村柊也のような選手たちはスタイルが違うかもしれないですけど、僕の場合あまりKOパンチのようなものはなくて、削って削って、そこで最後凌ぎ勝つっていうスタイルだから。そういう面ではもう彼らはモロに伝統派空手育ちですから、今、形になって花咲いてるんじゃないかなって感じがしていますよね。

──UFCファイターで好きな選手は?

伊藤:昔から好きでかぶりついて見ていたのはジョゼ・アルドで、世代は全然違うんですけど。GSP(ジョルジュ・サン=ピエール)も好きです。自分の理想系か、あるいは自分にないものという感じですね。

──現在のご自身の階級で気になる選手はいますか?

伊藤:ピョートル・ヤン選手ですかね。

──対戦相手であるシンガポールのシン・カイ・シオン選手はフリーニンジャ・スタイルと言われていますよね。この『フリーニンジャ』についてはどう解釈していますか?

伊藤:『フリーニンジャ』って多分、僕もそれを試合見ていて思ったんですけど、結構何でもできる選手ですよね、とにかく動くんで、そういう面じゃないかと思います。打撃だけじゃなくて、そこからテイクダウン来て、テイクダウン来たかなと思ったら、今度は寝技行って、また打撃に戻って、みたいな。結構トータル的に何でもできるというか、止まることがなかったから、そういう部分を称したのかなって思います。すごい噛み合うんじゃないかなって思いました。何でもできるし、全然何で勝負しても大丈夫っていうか。そういう練習を僕はしてきてるので、やってみたら面白いかなと思いました。

──どんな試合をしたいと思っていますか?

伊藤::結構キツい試合になると思うので。で、見てもらう人たちには、気持ちの強さとか、最後に粘り勝つような部分、そしてエキサイティングな試合が見せられればいいと思います。

──応援しているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

伊藤:日本代表として試合が決まりました。アツい試合を届けますので、画面越しになるとは思いますが、当日は日本から応援よろしくお願いします!

井村塁「全試合、僕が相手の首を絞めてるか、殴って勝ってるかのどちらかの試合になる」

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──RTUトーナメント出場が決まった時の心境は?

井村塁(以下、井村):最初は、3月の試合が終わって2日後くらいで、ほぼノーダメージだったので練習しようと思ったんですよね。それでジムに向かっていたら、マネージャーから連絡があって、「RTUどう?」って。「PANCRASEでタイトルを獲るのもいいけれど」と。それに対して「1回挑戦してみたいです」と答えたんですけど、その3〜4日後に「RTUの出場が決まったよ」という連絡を受けたので、「ホントか……?」とは思いました。本音を言うと、年内にチャンピオンになってから挑戦したかったんですよね。でも、それを待っていたら、1回あるかないかのチャンスを、自分から手放すことはできないし。もうやるしかないなと思って「出ます」と即答しました。

──王者になってからのほうがいいという考えは、ベルトという、ファイターとしての明確な強さの証明を必要だと感じていたのでしょうか。

井村:UFCですからね。海外の強いチャンピオンがいっぱいいるので、日本国内でチャンピオンになれない奴は世界で一番になれるはずがないと僕は思っているので。まずは一番にならなきゃ意味がないかなと思ってたんですけど。そんな中にこの話が来たので、それならやろうという気持ちにはなりました。

──MMAを始めたいと思った理由は?

井村:昔から地上波放送で格闘技を観ていて、そこで柔術の強い選手が下からパンパン極めるのはかっこいいなと思ったし、格闘技には魅力があるなと思って、やりたいなと思ったところからですね。それで最終的にMMAをやろうと思っていて、そのバックボーンを何にしようかなと考えた時に、柔術がかっこいいなと思って始めたというところです。もちろん打ち合いのなかでバコンって倒すのも魅力としてあると思うんですけど、制圧して、完全に力の差を分からせたうえでフィニッシュするのはいいなと。

──UFCも観ていたのですか?

井村:はい、観ていました。

──現役で好きな選手はいますか?

井村:チャールズ・オリベイラとか、ブライアン・オルデガも結構好きですね。

──やはり、しっかりと柔術のバックボーンがあって極めのある選手たちですね。

井村:そうですね。まあ基本的に柔術というか。グラウンドの強い選手を自分でも見て参考にしてるんで。

──具体的にUFCに行きたいと思い始めたタイミングというのはあるのですか?

井村:いつ頃かはちょっと定かではないのですが、僕は一番最初にアマチュアで負けてしまって。そこからは、ちゃんとやらなきゃダメだと思って、しっかり練習をしていたんですけど、もともとアマチュアの時からプロになりたいという思いはあったから、「ああ、だったら大きい舞台を目指そう」と。アマチュアでやっていた最後の時期には、プロデビューをしたら必ず目指そうとは思っていた感じです。

──プロデビュー後は6勝無敗、全フィニッシュで中島太一選手との暫定王座戦まで駆け上がり、そこからは連敗を経験しました。

井村:その連勝後、現在のコーチである石渡(伸太郎)さんと出会って、石渡さんの練習環境を見て「ああ、自分はこのままではダメだ」と思ったのもそうですし、その後、そのタイトルマッチで無惨に負けて。その次の再起戦でも負けてしまって。もう、何かを変えなきゃダメだなと思って、石渡さんにコーチをお願いしたという経緯があります。PANCRASEは実力主義な団体だから確実に力のある選手が残っていくというのが魅力だと思っていますけど、最初がすごくうまく行きすぎていたというのがあるんですよね、僕の場合。石渡さんとはすごく大きい出会いでしたね。石渡さんにコーチしてもらえなかったら、こんなRTUに出られる機会も得られてなかったと思いますし、格闘技をやめてはいないと思いますけど、結構、下の選手になってたのかなと思っています。

──1回戦の対戦相手であるベトナムのギエム・ヴァン・Y選手の印象について教えてください。また、どんな展開にしたいでしょうか。

井村:試合映像を何本か見て、完全にストライカーだなと思うんすけど。あと1階級上のチャンピオンですよね。戦績を見ると5勝1敗で、僕からすれば、そんなに経験はないのかなと思うんですけど。一発一発、危ない打撃を持っているので、それを被弾しなければ大丈夫かなと思うのですけれど。僕も前戦、見てくれていた通りちゃんと進化してるんで、打撃でも倒せるから、逆に僕が当ててやろうかなと思っているので。とにかくまずは1回戦を突破することが大事かなと思っています。

──相手がご自身の寝技に重点を置いて警戒してくることは好都合という感じなのですか。

井村:思うツボですよ。いいっすよ、いいっすよと。別に対策してきたところで勝てる自信がありますからね。

──どんな試合をしたいと思っていますか。

井村:まずはRTUの3試合を勝ち切ることが大事だと思っていますし、勝ち切るのもそうですけど、どういう選手かをアピールするのも大事かなと思うんで、そういった上で、しっかり自分の良さを世界に見せていきたいなと思います。

──3試合しっかり勝ち切ってトーナメントを優勝することが第一だとは思いますが、フィニッシュは貪欲に狙っていますか。

井村:当然3試合全部フィニッシュする気ではいるし、自分の良さを、試合を通して世界に見せていきたいなと思っているので、それでUFCと契約したいですよね。

──ご自身の良さについて、現時点でどういうものだと考えていて、それをどう見せたいと思っていますか?

井村:僕の場合、ねちっこい、本当にしつこいグラップリングだけだと思われていると思いますけど、って、まあ今もそんな変わんないですけどね(笑)、それにプラスして、打撃も最近やっと形になってきたので、デイナ・ホワイト社長が見ているかは、分からないですけど、でも「見ててください!」と言いたいです。

──応援しているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

井村:いつも応援してくれている皆さん、ありがとうございます。今回RTUが決まって、市のトーナメントだと思いますが、僕が全試合、首絞めてるか、殴って勝ってるかのどちらかの試合になると思うので、U-NEXTを通して応援よろしくお願いします。

RTU4 Bantamweight

【エピソード3:試合順(1=1試合目)】

  1. 非トーナメント戦 ウェルター級マッチ:佐藤生虎(6勝0敗、日本) vs. キット・キャンベル(14勝7敗、オーストラリア)

  2. ライト級マッチ:ジャック・ベッカー(13勝5敗、オーストラリア) vs. パク・ジェヒョン(7勝3敗、韓国)

  3. バンタム級マッチ:伊藤空也(17勝8敗1分、日本) vs. シン・カイ・シオン(6勝1敗、シンガポール)

  4. ライト級マッチ: レン・ヤーウェイ(8勝3敗、中国) vs. デニ・ダファ(6勝1敗、インドネシア)

  5. バンタム級マッチ:スーラン・ランボ(8勝3敗、中国) vs. ピーター・ダナソー(8勝3敗、タイ)

【エピソード4:試合順(1=1試合目)】

  1. バンタム級マッチ:井村塁(12勝4敗、日本) vs. ギエム・ヴァン・Y(5勝1敗、ベトナム)

  2. ライト級マッチ:キム・サンウク(11勝3敗、韓国) vs. 神谷大智(6勝0敗、日本)

  3. バンタム級マッチ:ジャン・チンハ(8勝3敗、中国) vs. ローレンス・ルイ(5勝1敗、ニュージーランド)

  4. ライト級マッチ:エフェヴィガヤニック雄志(11勝0敗、日本) vs. ドム・マー・ファン(6勝2敗、オーストラリア)

  5. ROAD TO UFCシーズン3フェザー級決勝:ズー・カンジエ(20勝4敗、中国) vs. シエ・ビン(13勝4敗、中国)

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