一進一退、スリリングな名勝負が続出!「WHO'S NEXT 特別編」観戦レポート!
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一進一退、スリリングな名勝負が続出!「WHO'S NEXT 特別編」観戦レポート!

2023.12.07 00:00

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まるで映画のような劇的なクライマックスも飛び出した今大会。実力が拮抗した選手同士が、一進一退のスリリングな激闘、死闘を見せる!

また、ボクシング界注目の全勝ホープたちが、ここに集結!未来の世界チャンピオンの呼び声高い彼らの試合は、1試合も1ラウンドも見逃せない!

本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!

配信開始前、または配信終了しています。

メインイベント 第6試合:10R/日本ウェルター級タイトルマッチ

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©NAOKI FUKUDA

〇坂井祥紀(横浜光)vs ×シーサー皆川(平仲)3-0判定

チャンピオン坂井祥紀は、メキシコでプロデビュー後、北米で10年近いプロキャリアを築き日本に戻ってきた逆輸入ボクサー。メキシカンのような激闘スタイルが持ち味。

そして挑戦者シーサー皆川は、沖縄に移住し29歳と遅めのプロデビュー。しかし日大時代には、国体優勝経験もあるボクサータイプのサウスポー。

試合は、オーソドックス対サウスポーということで、お互いの前手であるジャブが出しにくい状態から始まる。そこで先手を取ったのは皆川。右ジャブではなく、左ボディストレートをリードパンチにし攻勢を強める。皆川を自由に動かせまいとプレッシャーを強める坂井は、コツコツと左ジャブを出しタイミングを掴むと、ボディで皆川の足を止めさせる。

3回、足の揃った皆川に、坂井のスナップの効いたジャブがヒット!皆川はバランスを崩し尻もち。ダメージはないとはいえ、皆川にとってはアンラッキーなダウンだった。

続く4回、皆川に更なるアンラッキーが続く。皆川は、強烈な左アッパーで坂井の膝を折り明確にダメージを与えるも、ラウンド終盤に偶然のバッティング!坂井は右目上、皆川は右額を深くカットする。右目上をカットした坂井の方が視界に影響が出て不利に思われたが、皆川の額の傷は止血の難しい箇所。出血がひどくなれば、いつ試合が止められるかわからない。

そして5回終了時の公開採点は、2-1で坂井が有利であるが、皆川を支持したジャッジもいる割れた採点。もし、ここで試合がストップするなら坂井の負傷判定勝利となる。

波乱含みの試合は後半戦へ。尻上がりに調子を上げる坂井は、ステップインしての右ストレートを狙い打ち、ここに来て再び主導権を握り始めるが、皆川も左アッパーで応戦。得意パンチのぶつかり合いが続く。

一進一退、スリリングな攻防は最終回までもつれ込む。フィジカルの強さでプレッシャーを強めた坂井は、最終ラウンドのゴングがなるまで手数を出し続け、皆川に攻撃の隙を与えなかった。判定は、3-0僅差の判定で坂井の勝利!日本タイトル2度目の防衛に成功した。

坂井祥紀選手の接戦、苦戦なんて当たり前、最後までパンチを出し続けて攻め続ける!そんな姿勢が手繰り寄せた勝利だった!

最後まで額からの出血が止まらなかったシーサー皆川選手、アンラッキーも重なったが、驚異の左アッパーに磨きをかけての再起を期待!


セミファイナル 第5試合:8R/スーパーフライ級

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©NAOKI FUKUDA

〇梶颯(帝拳)vs ×篠田将人(山木)7回TKO

2015年全日本新人王の梶颯は、デビューから15連勝し、期待の無敗挑戦者として、日本、WBO‐AP、OPBFのベルトがかかった、アジア3冠タイトル戦に挑むも惜敗。再起戦では日本タイトルに挑戦するも敗れ、まさかの連敗。これが、1年3カ月ぶりの再起戦となる。

対する篠田将人は、今年7月に行われた「フルトンVS井上」戦のアンダーカードに出場、怒涛の連打でTKO勝利し、強烈なインパクトを残した新進のサウスポー。

強打者同士の一戦は、勢いに乗る篠田のプレッシャーで始まる。篠田は、何度も強烈な左ストレートを放ち、威力を印象付ける。一方、梶は実戦感覚を確かめている様子で、篠田の先制攻撃にも冷静だ。

2回以降、梶の手数も増え始め、カウンターにカウンターを合わせるような危険な打ち合いを展開する。これまで、篠田の突進力に押され気味だった梶は、一段ギアを上げ強打で攻勢をかけ完全にペースを奪うと、コーナーに押し込みダウン寸前まで連打を打ち込む。

試合が決まったのは7回。開始早々、梶の左フックがクリーンヒット、顔面を跳ね上げられた篠田は、コーナーでめった打ちにされるが、反撃の手は止めない!今度は逆に篠田の左ストレートが梶の顔面を打ち抜き形勢逆転!なんと、梶も立っているのがやっとのグロッキー状態に!両者、ここが最後の勝負と決断し、全エネルギーを使い果たすかのように、フラフラになりながらパンチを打ち込みあう!もう序盤のスピードもない!スタミナもない!あるのはハートだけ!勝利への執念だけ!

フィニッシュは、梶、渾身の左フック!一発目は耐えた篠田だったが、続けざまの二発目で前のめりに崩れ落ちた。レフェリーは即座に試合をストップ、梶が激闘を制し再起を飾った!

まるで「ロッキー」のような劇的な試合に、ボクシングファンの血がたぎった!これぞ、ボクシングの醍醐味。素晴らしい試合をやってのけた、梶颯選手と篠田将人選手に拍手は鳴りやまなかった!まずは、“強い”梶颯選手の復活に、そして篠田将人選手のファイティングスピリットに感謝!


第4試合:8R/109ポンド契約(ライトフライ級超)

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©NAOKI FUKUDA

〇高見享介(帝拳)vs ×リト・ダンテ(比)3-0判定

高見享介は、元高校総体王者で、アマ戦績47戦43勝4敗という驚異のレコードを残しプロデビューしたボクサーファイター。しかもデビューから4戦全KO勝利のパーフェクトレコード継続中。5戦目の対戦者リト・ダンテは、ミニマム級ではWBC世界ランク15位につける経験も実績も豊富な実力者で、フィリピン選手らしい好戦的なファイター。

新鋭とベテランが激突する一戦は、キレのあるパンチが交錯するスリリングな試合となった。ダンテが、鋭い左フックを振りながら踏み込んでくると、高見はステップワーク、ボディワークでことごとく攻撃を防ぐ。顔面へのパンチはスリッピングアウェイでかわし、ディフェンス技術の高さを見せつける。攻めては、右ボディフック、右ストレートを狙いすましたかのように打ち込み突き放す。中盤以降、ボディを効かされたダンテは、L字ガードでディフェンスするも、高見はスイッチも織り交ぜながら攻撃の手を休めなかった。

高見はコーナーに詰めて連打を浴びせる場面もあったが、驚異的なダンテのタフネスもあり、勝敗の行方は判定へ。結果は、フルマークが2人いる大差の判定勝利で高見が全勝をキープした!

高見享介選手、5戦目にして初めてKO勝利を逃したが、実力者相手に圧倒的な勝利!益々、自信を深めたに違いない!タレント揃いのライトフライ級戦線だが、来年はタイトル挑戦を掴み取りたい!


第3試合:8R/117ポンド契約(バンタム級超)

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©NAOKI FUKUDA

×小川寛樹(帝拳)vs 〇ヤン・チェンチェン(中国)3回TKO

小川寛樹は、国体優勝などアマチュア48勝の実績を携えて2022年プロデビュー。デビューから2戦連続KO勝利し、3戦目は大橋ジムのサウスポー、田中湧也との技術戦を制し判定勝利した元トップアマ。対するヤン・チェンチェンは、デビューから5連勝も、ここ最近は3連敗中。ガードを固め接近して、強打を振るうファイター。

典型的なテクニック対パワーの戦いは、ヤンの突進から始まる。頭から飛び込んでくるような強引な攻め方に、バッティングしないかヒヤヒヤする立ち上がり。すかさずレフェリーがヤンに対し、“頭”をぶつけないよう強めに注意する。とはいえ、そんな事はお構いなしにヤンは距離を詰めてくるが、小川は多彩な手数で応戦する。両者、お互いの持ち味を活かし、互角に打ち合うスリリングな展開。しかし3回、至近距離の打ち合いの中で、ヤンの左フックがヒット!不覚をとった小川は、すぐさま立ち上がるが、足元がふらつきレフェリーストップ!プロ初黒星を喫した。

小川寛樹選手、ダウン慣れしていないせいか、慌てて立ち上がってしまったのでは。じっくり8カウントまで時間を使い、平衡感覚を取り戻してから立ち上がればストップはなかったように思う。今回はヤン・チェンチェン選手の荒々しさが上回ったが、この敗戦を糧に再起してくる日を待つ!


第2試合:8R/62.3㎏契約(ライト級超)

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©NAOKI FUKUDA

〇宮田彪我(帝拳)vs ×加藤亜礼史(折尾)3-0判定

宮田彪我は、アマ通算34勝の実績を積み上げ今年2月にプロデビュー、2連勝で迎える3戦目。中間距離での打ち合いが得意なテクニックのあるボクサーファイター。一方、加藤亜礼史は2013年西部日本ライト級新人王で、一度引退したが復帰。気性の激しさを前面に押し出した試合ぶりが魅力的なサウスポー。一見対照的な“クール”と“ホット”の対戦。

試合は、宮田が持ち前のテクニックとスピードで支配する展開となった。全くサウスポーを苦にしていないのか、細かなフェイントを入れながら、長身サウスポーの加藤に左ジャブがよくヒットする。次第に右ストレートがクリーンヒットするようになると、コンビネーションの回転数も増す!ただし、一方的な宮田のペースになりつつも、強い一発の相打ちを狙う加藤の不気味さは消えない。4回、加藤が強く鋭い左ストレートを返すと、会場に大きなどよめきが起こった。

しかし、中盤以降も宮田は手数、クリーンヒットで上回り、確実に加藤にダメージを与え、ポイントを積み重ね、試合終了のゴング。ジャッジ3者ともにフルマークでの宮田の勝利となった。

宮田彪我選手の緩急、強弱を織り交ぜた攻撃力はもちろん、ほとんど打たせない防御技術も証明してみせた試合。難敵相手に、順調にステップアップしていることが確認できた!

また、敗れた加藤亜礼史選手の最後まで逆転の一発を狙う姿勢に、気合いの入ったプロ魂を感じた!


第1試合:6R/スーパーバンタム級

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©NAOKI FUKUDA

〇眞下公翔(横浜光)vs ×中本豊(結花)2回TKO

眞下公翔は、デビューから6戦全勝5KO。しかもKOした試合は全て2ラウンド以内での決着というハードパンチャー。対する中本豊は、勝っても負けてもスリリングな試合で粘り強さを見せるボクサーファイター。このサウスポー同士の一戦は、眞下がスピードとパワーの違いを見せつける展開となった。試合開始早々からパワーの乗った左右フックを顔面、ボディに打ち込み確実にダメージを与える。ラウンド終盤、眞下が突き上げた右アッパーの連打に、中本は思わずキャンバスに手をつきダウン。続くラウンドも眞下は、前に出てくる中本のガードもろとも吹き飛ばすような強打でグラつかせると、最後は、ステップバックしながらの右フックで2度目のダウンを奪い、ノーカウントでTKO勝利となった。

当たる!と感じたパンチを集中して連打する、眞下選手の嗅覚、キラー・インスティクトが冴えわたった一戦!期待にたがわぬ豪快な倒しっぷりで、更に上のレベルでの活躍が待ち遠しい!



今回は、アンダーカードにこれからのボクシング界を担う全勝ホープたちの試合が多数組み込まれた。彼らが、国内、アジア、世界へ挑戦していく姿を見守っていきたい。

また、日本ウェルター級タイトルを防衛した坂井祥紀選手は、次戦で“最強挑戦者”豊嶋亮太選手と激突することが濃厚。実力者同士の一戦に期待が膨らむ。

村田昴(帝拳)vs カルロ・デメシーリョ(比)※村田昴、棄権のため試合中止

西屋香佑(横浜光)vs 岡田悠平(本望)※ 岡田悠平、棄権のため試合中止

U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT 特別編』を2024年1月1日まで配信中!

配信開始前、または配信終了しています。

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