ライト級・フライ級Wタイトルマッチ!「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.21」観戦レポート!
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ライト級・フライ級Wタイトルマッチ!「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.21」観戦レポート!

2024.08.21 12:00

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8月16日開催のボクシング「第21回WHO'S NEXT」は、第1試合から目が離せないスリリングなKOシーンが連続!台風すらノックアウトする、KO祭りに後楽園ホールは大興奮!

今回はメインに日本ライト級、セミに日本フライ級のダブルタイトルマッチを開催!

ライト級ウォーズの大本命「三代大訓」、フライ級の沈まぬ太陽「飯村樹輝弥」が、それぞれ防衛戦のリングに立つ!本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線での観戦レポートと対戦結果をお届け!

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メインイベント 第6試合:10R/日本ライト級タイトルマッチ

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©Naoki Fukuda

〇三代 大訓(横浜光)vs ×宮本 知彰(一力)6回TKO

日本ライト級王者、三代大訓の初防衛戦。WBC29位、IBF11位、WBOアジアパシフィック6位、OPBF1位にランクされる元OPBFスーパーフェザー級王者。スムーズに出るジャブでリズムを作り、的中率の高いコンビネーションで攻めたてる。そして相手の攻撃はフットワーク、クリンチでかわしてポイントアウトするのが必勝パターン。どんなタイプの選手を前にしても、相手の長所を消し、自分のボクシングを遂行する戦略家。現OPBF王者の宇津木秀とのライト級頂上決戦に向けて、勝利はもとより内容が問われる一戦。

対する挑戦者、宮本知彰は、アマチュア時代には関西学院大学ボクシング部に所属し、全日本選手権ベスト8進出。打ちつ打たれつのスリリングなボクシングで、勝っても負けてもKO決着というサウスポーのボクサーファイター。3連続KO負けの後、3連勝2KOでタイトルマッチのチャンスを掴み取った。左の強打で、難攻不落のチャンピオンを苦しめたい。

オーソドックス対サウスポーの一戦は1回、ジャブの差し合い、探り合いで始まる。三代はジャブを打ちながら前後の出入りで牽制すると、宮本は踏み込んでの左ストレートを放つ。しかし、三代の懐が深く、宮本の左ストレートは空を切るが、三代の右ストレートはコツンコツンとヒットする。

2回、細かく頭の位置を変え、的を絞らせない三代は、宮本の空振りを誘うとノーモーションの右ストレートを連続ヒット!コンビネーションをまとめる。

3回、三代はジャブでコントロールする。流れを変えたい宮本の強振をことごとくステップ、ブロッキングでかわし、ディフェンス技術の高さをアピール。

4回、三代のジャブは止まらない。ジャブからのコンビネーションも増え、ペースも上がっていく。宮本も左ストレートを打ち込むが、いかんせん単発。

試合が大きく動いた5回、三代のジャブにも力がこもり、ヒットするたびに宮本の顔面が弾かれる。宮本が接近するのか、離れるのか、中途半端な距離になった瞬間、三代の右ストレートがクリーンヒット!決して強振していない、ノーモーションのストレートだったが、宮本は堪らず尻もちをつきダウン!タイミングのいいパンチだったので、大きなダメージはないのか、宮本は苦笑いを見せた。

しかし、ここから三代のキラーモードが発動!再開後、明らかにパワーの増したワンツーを連打し、宮本をロープまで弾き飛ばす。さらに、宮本の必至のクリンチを振りほどくと、ワンツーを突き刺し続け、宮本の顔面は、みるみるうちに腫れあがった。ここで、ドクターチェックが入ったが試合は再開。三代の猛攻が続き、宮本はダウン寸前まで追い込まれたが、ゴングに救われた。5回を終えた途中採点は、50-44、50-44、49-45と全て三代がリード。

そして6回、再び三代の右ストレートがクリーンヒット!宮本はダウンこそしなかったが、まったく防御姿勢を取ることができず、レフェリーはこのタイミングで試合をストップした。

三代大訓選手、勝利はもちろん、内容が問われる一戦で、これ以上ない圧倒的勝利。端正なマスクは、試合をした後とは思えないほどキレイなままだった。完成された防御技術の土台があってこその攻撃力で、負ける姿が想像できない数少ない選手と言える。これで、OPBF王者の宇津木秀選手とのライト級ウォーズ頂上決戦のお膳立ては出来た。ハイレベルな技術戦とKO決着が期待されるドリームマッチの実現が待たれる!

宮本知彰選手、試合前のインタビューで、“かませ犬として、嚙みついてやる”と意気込んでいたが、日本タイトルの壁は厚かった。

セミファイナル 第5試合:10R/日本フライ級タイトルマッチ

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©Naoki Fukuda

〇飯村 樹輝弥(角海老宝石)vs ×見村 徹弥(千里馬神戸)3-0判定

日本フライ級王者、飯村樹輝弥の3度目の防衛戦。現在、WBA11位、WBC38位、OPBF7位、WBOアジアパシフィック3位にランクされている。打ち合いを好むアグレッシブなファイトスタイルで会場を沸かせる人気者。スピードとテクニックを駆使したポイントアウトするボクシングで勝利を積み重ねてきたが、今年4月のV2戦ではTKO勝利で力強さも見せた。防衛戦ごとに成長と進化を遂げてきた飯村樹輝弥、再びKOでの防衛が期待される。

挑戦者、見村徹弥は、WBOアジアパシフィックバンタム級9位、日本フライ級4位。長身から繰り出す長いストレートパンチと前後のステップワークで、巧みに距離をコントロールするボクサーファイター。リードジャブで突き放し、得意の左フックを打ち込みたい。

1回、試合は静かに立ち上がる。 これまでは豊富な手数と運動量で圧倒してきた飯村だが、どっしりと構えている印象。軽めの早いパンチの連打を控え、ためのある重くて強い左フックを狙っているように見えた。2回も飯村のプレス、右ストレートが支配する。

3回、ようやく見村本来の持ち味である、左リードジャブが出始める。ダブル、トリプルでジャブを当て、ステップワークで被弾しない距離をとる。このラウンドは見村のポイントか。4回も見村のジャブがよく出たが、飯村の右ストレートもヒットし互角のラウンド。

5回、今度は飯村が、見村のお株を奪うようなジャブの嵐を見せ、手数で上回る。そして途中採点が発表され、49-46が1名、50-45のフルマークが2名で飯村を指示した。

6回、飯村はリズムが出てきて、いつものようにスピードに乗った攻撃でペースアップ!7回には、さらにアクションが大きく大胆になり、見村のパンチをスリッピンアウェイでかわすテクニックを見せつける。これはもはや、“飯村劇場”!

8回、飯村のキレのある右ストレートが、見村の左目上をカット、9回には、打たせずに打つボクシングで支配した。

最終10回、尻上がりに調子を上げてきた飯村は、見村を軸に周りながら、ワンツー、右ストレートと手数が止まらない。見村は、動く標的となった飯村をとらえることができずに試合は終了した。判定は、99-91、99-91、100-90と大差の判定で、飯村が日本タイトル3度目の防衛に成功した。

飯村樹輝弥選手、KO勝利こそ逃したが、圧巻の完封勝利!序盤は、パワーパンチを意識したのか少し動きが固い印象だったが、回が進むにつれて、いつものスピードを取り戻した。やはり、飯村選手の武器は回転力のある連打。更なる進化に期待が膨らむ。

見村徹弥選手、得意の左リードジャブを付くまでは良かったが、動きを止めることは出来なかった。後楽園ホールでの初勝利は、次回以降の目標として大切にして欲しい。

第4試合:8R/バンタム級

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©Naoki Fukuda

×内構 拳斗(横浜光)vs 〇西岡 伶英(川崎新田)1-2判定

内構拳斗は、ボクシングの名門、拓殖大学で主将を務め、アマ戦績39勝22敗の成績を残し、横浜光ジムの秘密兵器としてプロ転向。ジャブで組み立てる堅実なボクシングと、チャンスで畳みかける連打が特徴的なボクサーファイター。ジョンリエル・カシメロのスパーリングパートナーを務め世界的強豪との貴重な経験を積んだ。得意の接近戦に持ち込み打ち崩したい。

西岡伶英は、元日本大学ボクシング部主将。アマ戦績68戦53勝15敗を残し、プロ転向したアウトボクサー。デビュー戦からいきなりメインイベントの大役を果たした、川崎新田ジム期待のホープ。左ジャブで試合をコントロールし、スピードと手数でこれまで全勝。中間距離でのジャブの差し合いを制して、相手の飛び込みざまにカウンターを合わせたい。

拓殖大学と日本大学の元ボクシング部主将対決は、一進一退の大接戦となった。

1回、内構はガードを固めジャブを差しつつ接近するが、西岡も鋭いジャブを突き返し、内構の打ち終わりに上下のアッパーをカウンターで合わせる。

2回、内構が、やや強引に距離を詰めて、右フックを打ち込んだ刹那に、西岡が出した右ストレートがカウンターでヒット!内構からダウンを奪う!再開後、ダウンのダメージを感じさせない内構は、ますますプレスを強め、頭から飛び込むような攻撃をしかけるが、西岡はアウトボクシングに徹した。

3、4回、これまで劣勢だった内構は強烈なプレッシャーで西岡をロープ、コーナーに押し込むと、得意の接近戦での打ち合いに持ち込む。西岡もカウンターのアッパーを狙うが、手数で押し込まれた。これでお互いにポイントを取ったラウンドは2つずつだが、ダウンを奪った分、西岡が1ポイントリードか。

5回、西岡は、内構の左右フックに対して、インサイドからアッパーを突き上げ対抗。6回には、直線的に攻め込んでくる内構をフットワークで捌き、アウトボクシングでポイントを奪い返す。流れは再び西岡に傾きかけたかと思われた。

しかし7回、このままアウトボクシングを展開したい西岡に対し、内構が再びエネルギーを使い接近戦に持ち込む。この時、偶然のバッティングで西岡が右目上をカット、さらに内構の連打を浴び劣勢に立たされる。

最終7回、開始早々、内構の左フックがクリーンヒット!この日一番の当たりで、西岡をグラつかせる。しかもその後、再び偶然のバッティング!西岡にはアンラッキーが重なり、弱気になってもおかしくない状況。しかしここは最終ラウンド、両者は最後の力を振り絞り、真正面で打ち合い、試合終了のゴングを聞いた。

気になる判定は、1-2で割れたが、西岡が勝利!序盤に奪ったダウンの差での勝利だった。

西岡伶英選手、これで無傷の4連勝!激しいシーソーゲームの中での勝利は、大きな自信につながるはず。技巧派アウトボクサーとして進化する姿が楽しみな選手だ。

内構拳斗選手、終盤の猛攻で、勝利を手繰り寄せたかと思ったが、あと一歩及ばず。つくづく2回のダウンが悔やまれるが、この悔しさこそが成長の糧になる!

第3試合:8R/113lb契約

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©Naoki Fukuda

〇ジョアリ モスクエダ(メキシコ)vs ×エルディン ギナホン(比)1回KO

ジョアリ・モスクエダは、中間距離から、いきなりの右ストレート、左ロングアッパーを躊躇なく打ち込む、豪快で好戦的なボクサーファイター。上体を柔らかく使う防御技術、鞭のようなコンビネーションでKOする攻撃力で、これまで10戦全勝7KO。メキシコのスーパーフライ級ホープが日本初上陸。

エルディン・ギナホンは、左右フックの連打で真正面からの打ち合いを好むフィリピンのファイター。勝っても負けてもKO決着の激闘タイプだが、現在2連敗中。日本のリングで再起を目指す。

試合は1回で決まる。モスクエダは、ガードを高く構え、やや左腕が前に出る“リカルド・ロペス”スタイル。ファン・マヌエル・マルケスやオスカー・デラホーヤもこのスタイルで戦っていたことがある、メキシカン特有のスタイルだ。そんなモスクエダは、左ジャブを上下に散らし、ギナホンの顔面を付き上げると、右クロス、右ストレートと連続攻撃。さらにモスクエダは、ギナホンの左フックを見切り、スウェイバックでかわすと、顔面を打つと見せかけて、左ボディ一閃!パンチがヒットした瞬間は耐えたものの、ディレイド・リアクションでダメージが襲ってきたギナホンは、リングに座り込みマウスピースを吐き出し、10カウントでは立ち上がることができなかった。

ジョアリ・モスクエダ選手、戦績そのままの強さを見せつけて圧勝。現在、スーパーフライ級世界王座は、WBOが田中恒成、WBAとIBFには、井岡一翔を退けたフェルナンド・マルティネス、そしてWBCは、絶対王者ファン・フランシスコ・エストラーダをKOで下したジェシー“バム”ロドリゲスが君臨。モスクエダ選手は、彼らに引けを取らないポテンシャルを感じさせた。今回、日本で試合をしたという事は、バム同様に日本のジムとマネジメント契約するのだろうか。今回、超新星を目撃したのかもしれない!

第2試合:8R/スーパーフェザー級

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©Naoki Fukuda

〇齋藤 麗王(帝拳)vs ×ジョン ローレンス オルドニオ(比)2回KO

齋藤麗王は、宮崎日章学園高校時代に6冠を達成。2022年、プロ転向すると、抉るような左ボディからの連打で、デビューから4連続KO勝利。しかし今年1月の中井龍戦で、まさかの7回TKO負けで初黒星を喫した。今回はその試合以来の再起戦。攻撃力と破壊力は申し分ないので、防御力の進化に注目したい。

ジョン・ローレンス・オルドニオは、ジャブの代わりに、右フックを叩きつけるように振り回し飛び込んでくる剛腕ファイター。接近戦での左右フックの連打が武器だが、ボディの弱さが致命的。今年2月の鈴木稔弘戦でもボディで1回KO負け。

試合は1回、齋藤がガードを高く構えジャブを突き、オルドニオに飛び込む隙を与えない。齋藤のプレッシャーにオルドニオはジワジワと後退し、持ち味を発揮できていない。逆に齋藤は、重たい右ストレートでリングの中を追い回す。そんな中で、齋藤の右ストレートがヒット!オルドニオがバランスを崩したところに、得意の左ボディで追い打ちをかける。オルドニオは、ダウンこそしなかったもののクリンチで逃れ、会場の時計に目をやる。そして、残り時間を被弾回避と体力回復に費やした。

迎えた2回、齋藤の強打を警戒したオルドニオのホールディングが増える。しかし齋藤は、冷静に腕を振りほどくと、クリンチされる前に左ボディを突き刺す!オルドニオは悶絶してリングに這いつくばり、10カウントを聞いた。

齋藤麗王選手、もう少し長いラウンドで、防御力の進化を見たかったが、伝家の宝刀である左ボディが決まってしまったら試合終了も仕方がない。完全復活おめでとう!

第1試合:4R/64.5kg契約

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©Naoki Fukuda

×ロックリー ジェラム(W日立)vs 〇楠 貴嗣(石神井S)2回TKO

ロックリー・ジェラムは、南アフリカ出身の33歳。対する楠貴嗣は、東京都出身の32歳、ともにオーソドックススタイルでデビュー戦同士の対戦となった。

試合は1回、楠がジャブ、ワンツーでプレッシャーをかけながら前へ出る展開。前進しながら繰り出す右ストレートには、体重が乗っており威力を感じさせる。受けに回ったジェラムは、上体を柔らかく使いダメージを最小限に抑えようとするも、楠に連打から右アッパーを突き上げられ、苦しい状態が続いた。2回、楠はジャブからの右ストレートを力みなしに打ち抜くと、ジェラムのアゴにクリーンヒット!ジェラムはロープに飛ばされるようにダウンする。ジェラムが時間をたっぷり使い立ち上がると試合は再開、ここで勝負を決め切りたい楠と、倒されまいとするジェラムの乱打戦となる。楠は、軽くて速いパンチの集中打を40秒間に渡り打ち続け、この回2度目のダウンを奪うと、レフェリーは試合をストップした。

楠貴嗣選手、基本に忠実なストレートパンチ、大振りしないコンパクトな連打から、日頃の練習の成果が垣間見られたような気がした。今回は終始、攻撃姿勢で試合が進んだが、逆に攻め込まれた時の防御技術も見てみたい。

ロックリー・ジェラム選手、ストレートパンチャー相手に、左右フックをヒットさせる前に、いいパンチを貰ってしまった。あの筋肉から放つパワーパンチは次戦に期待したい。

今大会は、三代大訓選手の戦略と技術力の高さに唸った。決してKO率は高くはないが、それゆえに対戦相手を徹底的に研究。そして弱点を見つけ出し、勝利につながる戦略を立てて、試合で完遂する。この、腕力がものを言う荒っぽいコンタクトスポーツの中で、実にアカデミックで頭脳的な手段で勝利を導き出すのだ。まさに、三代大訓選手はボクシング界の“プロフェッサー=教授”だ!

はたして、宇津木秀選手とのライト級頂上決戦では、どんなプランで試合に臨むのか、興味が尽きない!

次回9月7日の『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.22』は、日本スーパーライト級タイトルマッチ「李 健太VS山本ライアン ジョシュア」、OPBF東洋太平洋フェザー級王座決定戦「中野 幹士VSブリックス ピアラ」のダブルタイトルマッチ!お楽しみに!


U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.21』を2024年9月15日まで配信中!

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