12月7日開催のボクシング「第27回WHO'S NEXT」は、第1試合から大歓声が響き渡る熱戦に次ぐ熱戦!怒涛のKO祭りとなった!
特にメインイベントで行われた日本ライト級タイトルマッチ「三代 大訓vs丸田 陽七太」戦は、「激戦区」ライト級の今後を占ううえでも重要な一戦。期待に違わぬ名勝負となった!
また、WHO’S NEXT強化育成選手の堀池空希、髙橋麗斗の進化と、元日本王者の“美女ボクサー”鈴木なな子のWHO’S NEXT初参戦も見逃せない!
本記事では、“熱烈ボクシング応援団”目線でのリングサイド観戦レポートと対戦結果をお届け!
日本ライト級王者の三代大訓は、IBF9位、WBC29位、OPBF1位、WBOアジアパシフィック6位にランクされる。スムーズに出るジャブでリズムを作り、的中率の高いコンビネーションで攻めたてる。そして相手の攻撃はフットワーク、クリンチでかわしてポイントアウトするのが必勝パターン。どんなタイプの選手を前にしても、相手の長所を消し、自分のボクシングを遂行する戦略家。
丸田陽七太は、WBOアジアパシフィックライト級1位、OPBF4位、日本3位。元日本フェザー級王者。2階級上のライト級にクラスを上げたことで、減量苦から解放され、これまでのスピードはそのままにパワーが上乗せされた。ボディから顔面に返すコンビネーションでKOを狙う。
階級の壁を超えた実力者同士の対決!ライト級統一王者に近づくのは、三代か!丸太か!
試合は1回、ピリピリと張りつめた緊張感の中で、ジャブの付き合いから始まる。丸田としては、受けに回っていては、三代からポイントを奪うことは出来ないので、先手先手で攻めたいところ。しかし、三代は、丸田が攻めてくることを分かっているうえで、待ち構えている。その緊張感が、後楽園ホールを包んだ。2回、丸田は左ボディジャブで突破口を開けようとするが、三代の距離感が絶妙だった。三代は、丸田のジャブはステップバックで回避しつつ、自分のジャブは的確に当てていく。ジャブが当たれば、右ストレートもヒットする!三代が的中率で上回っていく。3回、三代のジャブが立て続けに2発、丸田の顔面を跳ね上げる。ほとんど左ストレートのような強烈なジャブだった!
4回、劣勢の丸田は流れを変えようと、ゴングと同時に接近戦でアッパーを連打。しかし、三代は冷静に丸太の打ち終わりに右ストレートを合わせる。
5回、今度は三代がプレッシャーをかけて、丸田を追う展開に。的確なジャブでポイントをピックアップしていく。そして、5回終了時点の公開採点は、ジャッジ三者ともに49-46で三代が優勢。
6回、ポイントで劣勢な丸田は、積極的に攻撃を仕掛けるが、三代もそれを受けて立ち、この試合一番の打ち合いに!しかし、三代は打ち合っても右カウンターを上手く合わせて、丸田にダメージを与えていく。甲乙つけがたいラウンドだった。
しかし、7回を前に丸田陣営がギブアップ!丸田が右目を負傷し棄権を申し出た。これで、三代が6回終了TKO勝利となり、日本タイトルV2を達成した!
丸田陽七太選手、最も強い挑戦者との対戦を求めていた三代選手からの熱いオファーを受けてのタイトルマッチだったが、残念ながらチャンスをものにできず。3回の強烈な左ジャブ被弾が悔やまれるが、ライト級が適正階級だと思うので、カムバックを待ちたい!
三代大訓選手、自ら指名した最強挑戦者に対し、完璧なファイトプランで圧倒した試合。7回以降に打ち合いに持ち込み、KOする青写真がうっすら見えた!ボクシングファンとしては、日本王者の三代大訓選手とOPBF&WBOアジアパシフィック2冠王者の宇津木秀選手との3冠統一戦が見たいもの!三代選手なら、強打の宇津木選手を完封するのではと想像してしまう!
堀池空希は、日本スーパーライト級11位。WHO’S NEXT強化育成選手。東洋大学出身、2022年度、23年度関東大学リーグ戦 LM級階級賞、2023年度全日本選手権大会 LM級準優勝。2024年4月、WHO’S NEXT強化育成選手に指定され鳴り物入りでプロデビュー。デビューから2戦連続1回KO勝利。今年9月の3戦目はKOこそ逃したが、タフな中国選手を相手に、ボクシングをレクチャーするような技術力をアピールした。さらなる進化に期待がかかる。
ガオ・チインは、2016年3月プロデビュー、主に中国国内でキャリアを積む。7勝のうち5KOとパンチの強さは折り紙付き。長身でガッチリした体格が特徴的。
WHO’S NEXT強化育成選手、堀池空希が体格の勝る強打者をどう攻略するのか注目!
試合は1回、堀池のスピードが目を見張る!体格では、まるで一階級上の選手に見えるガオ・チインが、スローに見えるほど堀池のパンチが速い。そのパンチが、ガオ・チインのボディに突き刺さる!しかも、連打でロープに弾き飛ばすと、右ストレートのカウンターがクリーンヒット!しかも続けざまに2発!スピードだけではなく、パワーでも上回った印象。
2回、堀池は、ガオ・チインを誘い込むような動き。先に手を出させて、速いカウンターを狙っているよう。その狙い通り、堀池は、ガオ・チインの右に左フックを合わせると、ロープに詰めて連打をまとめる。
そして3回、ガオ・チインが右アッパーの連打で、堀池のガードをこじ開けようとするも、堀池は左フックのカウンターで応戦しグラつかせる。さらに左ボディで削ると、この日一番の右クロスがジャストミート!タフなガイ・チインが膝から崩れ落ち、ついにダウン!ガイ・チインはなんとか立ち上がるも、もはやスタミナは尽き、ダメージも蓄積、堀池の連打を浴びたところで、レフェリーが試合をストップした。
堀池空希選手、前回の試合ではタフな中国選手を倒すことが出来なかったが、今回は、さらにフィジカルの強そうなガイ・チイン選手相手に圧勝!まさに試合ごとに進化を遂げていることは間違いない。来年はタイトルマッチを視野に、ますますの活躍に期待!
髙橋麗斗は、日本ライト級12位。WHO’S NEXT強化育成選手。大学ボクシングの名門、日本大学ボクシング部出身、2018年度、19年度国体優勝、2019年度インターハイ優勝、アジアユース選手権銅メダル。2024年4月、WHO’S NEXT強化育成選手に指定され、堀池空希選手とともにプロデビュー。右利きのサウスポーを活かし、強い右リードジャブから、左ストレートを上下に打ち分けるテクニックとアグレッシブなスタイルは、すでにプロ仕様。3連続KO勝利でパーフェクトレコード更新なるか。
チュウ・グォチは、2018年5月にプロデビュー。コロナ禍の影響で2021年からブランクを作るも、復帰した2024年は3試合行い3勝2KOと調子を上げる。
試合は、わずか83秒で決する!サウスポーの髙橋は、右リードジャブをボディに放つと、続けて左ボディストレートでグォチの意識を下に向けさせる。そのままコーナーに詰め、ボディからのコンビネーションで左フックを合わせると、グォチは糸の切れたマリオネットのようにダウン!ここまで、たった30秒!あまりにも豪快なダウンシーンだったので、もはや試合終了かと思ったが、ここで立ち上がってくるのがフィジカルの強い中国の選手。グォチは何事もなかったかのように立ち上がる!
しかし、髙橋は冷静だった。グォチのガードの間を狙い上下を打ち分けると、大振りになったグォチの顔面にコンパクトなパンチをカウンターで合わせる!たまらずレフェリーが割って入り試合終了!髙橋が圧巻の初回TKOで、デビューから無傷の3連勝3KOと記録を更新した。
髙橋麗斗選手、これまで全く隙のない圧倒的な強さで、デビューイヤーを最高の形で締めくった。来年は、いよいよタイトルマッチも見えてくる。なるか、ライト級ウォーズ世代交代!
鈴木なな子は、WBAミニマム級6位。元日本女子ミニマム級王者。スピード、回転、バランスと3拍子揃ったテクニックと、打ち抜くような右ストレートが武器。ミニマム級に続き、ライトフライ級でも頂点を目指す。
クンテラダー・クラサノウは、タイ国女子ライトフライ級王者。2022年6月プロデビュー。ジャブからのワンツーで組み立てる正統派ボクサー。
試合は1回、鈴木が丁寧にジャブで組み立てると、ワンツー、右クロスをクリーンヒット。2回、鈴木は出入りのペースを上げ、ステップインして右ストレートを打ち込むと、ステップバックし追撃を回避。右ボディストレートも効果的だった。
そして3回、鈴木は回転力を上げ、クラサノウをロープに詰めると連打をまとめる。バランスが良いので、4連打、5連打しても体制が崩れないところが鈴木の持ち味。攻撃が一方的になったところで、レフェリーが試合を止めた。
鈴木なな子選手、横浜光ジム移籍初戦を期待通りのTKO勝利で飾った!やはり、豊富な手数と、右ストレートは最大の武器。2階級制覇に向けて順調なスタートを切った!
山中蒼偉は、2023年、国体予選でアマデビュー。“熊谷のプリンス”と称される、王子系の甘いマスクとは裏腹に、未経験から3年足らずでプロになった努力家。スピードを活かしたアウトボクシングでチャンスを狙う。
内田和志は、2007年12月4日生まれの高校生ボクサー。デビュー戦の3日前に誕生日を迎えた17歳が、“聖地”後楽園ホールでプロキャリアをスタートさせる。
試合は1回からフルスロットルの打撃戦に!両者、左リードジャブからのワンツーを主軸に、スピード、手数ともに互角の展開。山中が、得意のアウトボクシングで試合をコントロールしようと、大きくステップを使いポジションを変えるが、内田もぴったりと付いてきて手数が止まらない。2回、山中は冷静さを取り戻したかのように、内田のプレッシャーをかわしながら、右ストレートを巧打。コンビネーションもまとめて的中率で上回る。
3回、内田の突進に応えるように、山中は足を止めて打ち合いに応じる。ここで打ち勝ってダメージを与え、ペースを握りたいところだったが、内田の止まらない連打に思わず後退。
そして最終4回、内田の猛攻が止まらない!会場が大歓声に包まれる中、死力を尽くした打撃戦が繰り広げられる!内田の執拗な攻撃に、距離を取りたい山中が打ち合いに巻き込まれる!最後は、激しいパンチの交換の中で試合終了のゴングを聞いた。判定は0-1のドロー!両者デビュー戦とは思えない、密度の濃い4回戦だった!
山中蒼偉選手、スピードのあるアウトボクシングで、センスの高さを見せた。今後の成長が楽しみだ!
内田和志選手、この試合がデビュー戦にして引退試合とのこと。勝敗以上に、悔いの残らない、全てを出し切るようなボクシングだった!
2024年の「WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT」は、現WBO世界ライトフライ級王者の岩田翔吉の世界前哨戦や、フェザー級のアマチュア・エリート藤田健児、中野幹人の地域タイトル戴冠、全勝ホープ高見亨介の躍進、パーフェクトレコードのままアジア王者となった村田昴の活躍、WHO’S NEXT強化育成選手の指定など盛沢山だった!
もちろん今大会で注目を集めた三代大訓、対戦が期待される宇津木秀もWHO’S NEXTのリングで輝いた!来年も熱い対戦カードに期待する!
次回1月18日の『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.28』は、OPBF東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ「中野 幹士VS英 洸貴」を中心に、藤田健児、飯村樹輝弥が出場する3大タイトルマッチを配信!お楽しみに!
U-NEXTでは、今回レポートした『WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.27』を2025年1月6日まで配信中!
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