愛する母の遺した言葉「プレイビッグ」の精神で駆け上がる! ウィンダム・クラーク【佐藤信人のPGAツアー選手解説 #5】
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愛する母の遺した言葉「プレイビッグ」の精神で駆け上がる! ウィンダム・クラーク【佐藤信人のPGAツアー選手解説 #5】

2025.04.09 17:00

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ここ2年で急激に成長し、2023年の全米オープンを制したウィンダム・クラーク。圧倒的な飛距離と爆発力を武器に世界のトップへと駆け上がった背景には、愛する母の遺した言葉「プレイビッグ」があった。苦難を乗り越え、今まさに輝きを増すクラークの軌跡と、彼が見据える未来とは——。そんなウィンダム・クラークのキャリアと強さの秘密を、U-NEXTの解説者としてもお馴染みの佐藤信人プロに、詳しく教えてもらいました!

母の死を乗り越えて、プロへ

ウィンダム・クラーク

クラークがゴルフを始めたのは3歳のとき。お母さんに連れていってもらったのがきっかけだったと言います。クラークを語る上で欠かせないのが、彼が19歳のときに乳がんで亡くなったこのお母さんとの関係です。

当時クラークはオクラホマ州立大学の学生。1年目からオールアメリカンに選ばれるほどの実力を持っていましたが、お母さんの死をきっかけに成績が出なくなります。環境を変えようとオレゴン大に転校、環境を変えたことで吹っ切れたのが再びオールアメリカンに選出され、2017年にプロ転向します。

PGAツアーには2019年に昇格し、数年は勝利に恵まれませんでしたが、転機となったのが2023年のウェルズファーゴ選手権。優勝した瞬間にキャディと熱く抱擁を交わしたのですが、そのキャディこそがオレゴン大のアシスタントコーチのジョン・エリス。

母の死を乗り越え、優勝できない苦しい時期も共に歩んできた二人が抱き合う姿は、多くのゴルフファンの心を打ちました。そして1か月後には全米オープンでメジャー初優勝。一気にトップ選手の仲間入りをはたします。

心の中に生き続ける母のメッセージ「プレイビッグ」

ウィンダム・クラーク

クラークが幼い頃、お母さんはポストイットにメッセージを書いて、いたるところに挟んでいたそうです。それが当時は少し恥ずかしく感じていたものの、今となってはかけがえのない思い出。やがてポストイットのメッセージは携帯やスマホのテキストメッセージへと変化していったそうですが、そこにお母さんがよく書いたのが「プレイビッグ」という言葉だったそうです。ゴルフに限らず、子どもに夢を与えるような大きい男になりなさい、という思いが込められていたそうです。

母を亡くして10年以上経った今も、クラークのSNSには亡きお母さんへの想いが溢れています。誕生日、命日、母の日には「あなたがいなくて寂しい」といった投稿をし続けています。プレイビッグファウンデーションという乳がん関連の寄付を行う団体も立ち上げ、最終日にはピンク色のウェアを身につけるなど、乳がん撲滅のための支援活動にも積極的に取り組んでいます。

圧倒的な飛距離と爆発力のあるプレースタイル

ウィンダム・クラーク

さて、選手としてのクラークの最大の武器はなんといっても「飛距離」です。2024年のドライバー平均飛距離は314.0ヤード(!)で、全体の8位。また、ハマったときの集中力がすさまじく、強いときは本当に強い。ただ一方ムラのある成績が特徴でもあり、40位、50位で終わる試合もありますし、予選落ちもします。しかし、その爆発力は世界ランク1位(2025年3月31日現在)のスコッティ・シェフラーにも引けをとりません。

母の言葉を胸に戦い続けるクラーク。世界トップレベルの実力を持ちながらも、まだまだ成績にはムラがある選手ですが、そのポテンシャルは計り知れません。母の想いを背負いながら戦う彼のさらなる飛躍に注目です!


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