タイガー・ウッズ級の選手になれるか!?スコッティ・シェフラー【佐藤信人のPGAツアー選手解説 #1】
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タイガー・ウッズ級の選手になれるか!?スコッティ・シェフラー【佐藤信人のPGAツアー選手解説 #1】

2025.03.19 12:00

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ここ2年世界ランク1位に君臨し続け、昨年は年間7勝を挙げて年間王者にも輝いたスコッティ・シェフラー。彼は一体どのようなゴルファーで、その強さの秘密はどこにあるのか!? U-NEXTの解説者としてもお馴染みの佐藤信人プロに、詳しく教えてもらいました!

世界ランク1位、年間王者、五輪で金……現在文句なしの“世界最強”

スコッティ・シェフラー

スコッティ・シェフラーは現在ダントツで世界ランク1位。2023年の全米プロ以来、ここ2年間その座を守り続けています。世界ランクの歴代1位はタイガー・ウッズの累計638週。2位はグレッグ・ノーマンの累計331週で、3位はダスティン・ジョンソンの累計135週ですが、このままいけば間もなくダスティン・ジョンソンを追い抜き、シェフラーが歴代3位に躍り出ます。

そんなシェフラーですが、初優勝は意外と最近で、2022年のフェニックスオープン。その後わずか2年でマスターズ2勝を含む13勝を挙げる快進撃を見せています。2024年には年間7勝を達成し、PGAツアーの年間王者の座も獲得。パリ五輪で金メダルも獲得しています。

ゴルフ一家で育った幼少期

1996年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。姉1人、妹2人の4人兄弟で、家族全員がゴルフに親しんでいたそうです。母親は法律事務所で働き、父親が主夫として家庭を支えるという環境でした。

幼少期にテキサス州へ引っ越すと、ロイヤルオークスCCのメンバーとなります。どうやら、4人の子どもをまとめて遊ばせておく一番安全な場所がゴルフ場だったようですね。ロイヤルオークスではランディ・スミスというプロと出会い、彼は今もシェフラーの指導を続けています。

その後2013年に全米ジュニアで優勝。テキサス大学では3度オールアメリカンに選出され、2017年の全米オープンではローアマチュア(最優秀アマチュア)に輝いています。余談ですが、彼のメジャー初出場は2016年の全米オープンで、結果は予選落ちだったのですが、そのときにキャディを務めたのはお姉さんだったそうです。

2018年に大学卒業とともにプロ転向すると、翌年コーンフェリー(下部)ツアーで2勝を挙げ、年間王者に輝くとともにPGAツアーへの切符を手にします。その後、初優勝がなかなか来ない2年間を過ごしますが、2022年にフェニックスオープンで初優勝を手にしてからはすでに述べた通りの大活躍を見せています。

 一番の強みは強い信仰に裏打ちされた最強メンタル

スコッティ・シェフラー

プレーヤーとしてはオールラウンドな技術の持ち主と言えます。飛距離はロリー・マキロイのようなトップクラスではありませんが出ますし、正確性が非常に高くフェアウェイキープも含めた“トータルドライビング”はつねに上位です。

いちばんのストロングポイントはアイアン。グリーン周りのスキルも優れており、短所とされていたパッティングも2024年のアーノルド・パーマー招待でマレット型のスパイダーツアーXに変更してから劇的に改善しています。

個人的には、メンタルの強さが際立つ選手だと思います。シェフラーは敬虔なクリスチャンなのですが、日頃から結果を求めるコメントはしないのが特徴。結果は「神様が決めることだ」という考えなんです。自分ができるのは、いい態度で試合に臨むこと、いいプレーをすること。それしか言わない。結果は自分がコントロールできるところではない、ということなんですね。

プレー中にクラブを叩きつけたりと性格には激しい部分もありますが、そこでガタガタっと崩れなかったかどうか、そういうところを振り返って、気にしているようです。

シェフラーは、世界ランク上位のローリー・マキロイやザンダー・シャウフェレと比べて決定的に技術が優れているわけではないと思うんです。しかし、メンタルの強さはすごい。SNSをほぼやらず、外部の雑音を気にせずプレーに集中する姿勢もそうですし、結果をコントロールするのは自分ではなく神の領域と考え、たとえ優勝できなくても受け入れる。この考え方により、一般的な選手が陥りがちな自己批判や迷いにとらわれることなく、常に安定したパフォーマンスを発揮しているように思います。

比較対象はタイガー・ウッズ!? 

スコッティ・シェフラー

シェフラーは2024年シーズンをほぼ完璧に終えましたが、年末にワイングラスで手を切る怪我を負い、しばらく試合を欠場しました。2025年シーズンに入ってすでにツアーには復帰していましたが、今は少しずつ調子を上げている段階でしょうか。

出てきたときはこんなにも長期政権を築くとは思っていませんでしたが、初優勝をして以降はつねにタイガー・ウッズの記録と比較される立場になっています。もちろん、タイガーの記録はすべて途方もないものですが、少なくとも「タイガーと比較される」というだけですごいこと。

彼の安定感とメンタルの強さを考えると、今後もPGAツアーを牽引し続ける存在であり、さらなる歴史を刻んでいくのではないでしょうか。


2024年年間王者を決めた「ツアー選手権DAY4」の視聴はこちらから

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