カバー曲だからこそ、届く「声」がある──『Augusta Camp in U-NEXT』に、オフィスオーガスタが込める想い
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カバー曲だからこそ、届く「声」がある──『Augusta Camp in U-NEXT』に、オフィスオーガスタが込める想い

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  • 栗村智弘
    栗村智弘
    プロジェクトマネージャー、ライター。

2022年に創設30周年を迎えた音楽制作プロダクション・オフィスオーガスタ。杏子や山崎まさよし、スキマスイッチなど、数多くの実力派アーティストが所属することで知られています。

毎年恒例の『Augusta Camp』を筆頭に、独自の音楽イベントに注力してきた点も同プロダクションの特徴の一つ。そのオーガスタとU-NEXTがタッグを組んだライブシリーズ『Augusta Camp in U-NEXT 〜Favorite Songs〜』の配信が、2023年7月よりスタートしました。

今回は同イベントのプロデューサーを務めるオフィスオーガスタの半田悠さんと、『Augusta Camp』のプロデューサーを務める向井康太郎さんにインタビュー。オーガスタならではの「ファミリー感」が生まれる理由、『Augusta Camp』の裏側と展望、『Augusta Camp in U-NEXT』のテーマである「カバー」に込められた想いなどを伺いました。

年に一度、家族行事のようなイベントに成長した『Augusta Camp』

──1999年から続く『Augusta Camp』(※)は、オフィスオーガスタを代表するイベントです。一つのプロダクションが主催する音楽イベントが、これほど長く続いているのは珍しいようにも感じますが、継続できている理由はどこにあると感じますか?

Augusta Camp: オフィスオーガスタ主催、毎年恒例の音楽イベント。同プロダクションに所属するアーティストが集結し、1日限りのコラボレーションや特別パフォーマンスを披露する。1999年に、山崎まさよしの単独野外コンサートとしてスタート。2023年はスキマスイッチの20周年を記念し『Augusta Camp 2023 〜SUKIMASWITCH 20th Anniversary〜』のタイトルで開催予定。


向井:オーガスタの創設者であり、『Augusta Camp』を立ち上げた森川欣信の想いが強く影響していると思います。森川の「長く愛される取り組みにしたい」という気持ちがアーティストやスタッフたちに伝播して、後から加わる仲間たちにも今なお受け継がれている。『Augusta Camp』のステージに立ちたいという想いを持ってオーガスタの門を叩いたアーティストがいることからも、その想いが着実に広がっていることを感じます。

そして何より、毎年楽しみに待ってくださっているお客さんがいることが最大の理由だと思います。山崎まさよしの単独公演として始まった取り組みが、少しずつ形や規模を変えながら、みんなにとって「年に一度集まる家族行事」とも呼べるイベントに育ってきていると感じます。

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向井康太郎|2011年12月入社。2012年2月から山崎まさよしのマネージャーを務める。その他、岡本定義、さかいゆう、浜端ヨウヘイのマネージャーも兼務した経験を持つ。2015年の『Augusta Camp』では、初めてプロデューサーの立場から同イベントの統括を担当。2017年からは正式に『Augusta Camp』プロデューサーとして、毎年の開催をリードする。現在は2022年に立ち上がった新規イベント開発ルームにも所属。

半田:オーガスタの魅力について、ファンの方々からはこれまで何度も「ファミリー感」という言葉をかけていただきました。家族のような仲の良さ、温かさは、まさしくオーガスタの特徴だと私も感じます。

──「ファミリー感」が生まれている理由はどこにあると感じますか?

半田:オーガスタの一人ひとりが持つ、お互いへのリスペクトの気持ちだと思います。馴れ合いではなく、高め合う関係性とも表現できるかもしれません。

私はオーガスタに入社してから20年以上経ちますが、そのなかで最も印象に残っている出来事の一つが、2017年の『Augusta Camp』です。当時メジャーデビュー前であり、私がマネージャーを務める松室政哉の楽曲を、先輩アーティストたちが全員で一緒に演奏してくれた光景が忘れられません。

配信開始前、または配信終了しています。

半田:それまでにも、『Augusta Camp』では誰かの曲をみんなでセッションする場面が何度もありました。先輩アーティストの曲であっても、後輩が臆することなく挑んだり、事前に話し合ったりする姿が毎回印象に残っています。

上下関係にとらわれず、アーティストかスタッフかの立場も関係ない。全員がお互いにより良いものを作ろうという一心で、日頃からコミュニケーションしています。そうした根底にあるリスペクトが、とても反映されたステージだったと思います。

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半田悠|2002年に制作ディレクターとして入社。スキマスイッチの制作を担当し、2005年リリースのアルバム『空創クリップ』で初のオリコンチャート1位を経験。その後はさかいゆう、杏子、元ちとせ、福耳など、さまざまなアーティストの制作を担当する。現在は松室政哉のマネージャー兼ディレクターに加え、宣伝スタッフとして所属アーティストに関わる新たな企画の立案・実行・営業などを担う。『MUSIC BATON』『Augusta Camp in U-NEXT』プロデューサー。

向井:オーガスタの立ち上げ当初から所属している山崎まさよしと杏子を「長男・長女」と呼ぶことがあるのですが、その2人の存在もすごく大きいと思います。

2人が率先して、年齢や立場に関係なくコミュニケーションしてくれるからこそ、自然とファミリー感が生まれている。結果として変な上下関係も生じず、アーティストたちだけでなく、それを支えるスタッフたちも含めて「音楽でつながっている」という感覚があります。

──向井さんはこれまでに、「ファミリー感」を特に感じた出来事や瞬間はありますか?

向井:初めてプロデューサーの立場で開催をリードした、2015年の『Augusta Camp』です。自分がマネージャーを担当していた、山崎まさよしの20周年を記念して開催された回でした。ここまでの大役を担うのもが初めての経験で、うまくいかないことばかりで。正直、かなりしんどかったんです。

ただなんとか本番を終えたとき、山崎本人がねぎらいの言葉をかけてくれました。そこで一気に、感動と達成感が湧き上がってきたんです。山崎と抱き合った瞬間のことは、本当に忘れられない思い出になっています。

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配信開始前、または配信終了しています。

アーティスト一人ひとりの見せ場をつくる

──オフィスオーガスタとU-NEXTは、これまでさまざまな企画に取り組んできました。その一つが、半田さんがプロデューサーを務めた『MUSIC BATON』(※)です。この企画はどのようなテーマのもとに生まれた企画だったのでしょうか。

MUSIC BATON:オフィスオーガスタ設立30周年を記念したライブシリーズ。コロナ禍で世界が苦しい時期を過ごすなか、「音楽のバトン」がたくさんの人々へ繋がっていくことを願い立ち上がった企画。U-NEXTを通じて全13回、2021年11月から約1年間にわたってライブ配信された。

半田:スタートはオーガスタの周年企画でしたが、裏テーマはコロナ禍における音楽の復興にありました。

コロナ禍が音楽業界に与えた影響は、文字通り計り知れません。相次ぐコンサートの延期や中止、会場でのクラスター発生など、アーティストや関わるスタッフ、そしてファンにとっても、本当にもどかしい時期が続いてきました。

この難しい状況のなかでも、配信を通じて皆さんになんとか感謝とエールを送れないか。その想いから企画したのが『MUSIC BATON』でした。

アーティストたちもこの機会にしかできないライブを実現しようと、本当にいろいろ考えながら企画に臨んでくれました。『Augusta Camp』のように一堂に会するイベントとは違い、順番にバトンを渡していくことで生まれる、アーティスト同士のいい意味での探り合いは面白かったですね。

──そして2023年7月から、新たに『Augusta Camp in U-NEXT』の企画がスタートしました。この取り組みのテーマや背景にある想いを教えてください。

半田:『Augusta Camp』とは違った形で、アーティストたち一人ひとりの見せ場づくりにトライしたいと考えています。

たとえば『Augusta Camp』では、それぞれのアーティストの見せ場を作ることに限界があります。ありがたいことに所属アーティストの数が増え、徐々にイベント規模が拡大した結果、どうしても一人ひとりのステージに限りが生まれてしまう。

もちろん規模が広がったからこそ、より魅力的なイベントに成長しているのも間違いありません。だからこそ、それとは異なる形で、一人ひとりの見せ場となる舞台を継続的に作っていきたい。その想いから、『Augusta Camp in U-NEXT』の企画が生まれました。

向井:『MUSIC BATON』と『Augusta Camp in U-NEXT』を通じてこの2年間、オーガスタならではの企画を続けて届けられることは、とても有意義だと感じています。

『Augusta Camp』のような年に一度の大型イベントでもなく、アーティストごとの単独公演でもない。プロダクションとして、年間にわたって継続的なライブを実施することでしか作れない見せ場があると思いますし、それは同時にアーティストたちにとっても活動の刺激になるはずです。

何より、これまで何度もオーガスタのイベントに参加してくださっていたファンの方々にとっても、今までにない新鮮さを味わえる機会になっているのではないかと思っています。

『Augusta Camp in U-NEXT』は、なぜ「カバー」を主題にしたのか

──『Augusta Camp in U-NEXT』は、アーティストが披露する毎回のカバー曲が見どころの一つになっています。なぜ「カバー」を企画の軸にしたのでしょうか?

半田:オーガスタのアーティストは「『声』に特徴がある」と言っていただける機会が多くあります。その「声」を届ける手段として、カバーというテーマはとても面白いと考えました。

アーティストたちはそれぞれ、無意識的にメロディや歌詞、歌い方などの癖を持っています。それこそが個性であり、その個性を掛け合わせた集合体がアーティストのオリジナル楽曲、いわば一つの完成形になるわけです。

誰かの曲をカバーするということは、自分以外のアーティストが持つ個性に目を向け、それを深く知ることでもある。同時に、自分自身の個性に気づきなおす行為とも言えます。これらは単純なようで、実はとても難しいことなんです。

誰かの個性を自分のなかに取り込んで、すでにある自身の個性とバランスを取りながら、最後は自分の歌声に変えて曲を届ける。これはすごく勇気がいることですし、ある種の怖さもあると思います。

ただ、それだけ難しいことだからこそ、生まれる科学反応のようなものがあるはずです。その反応が、アーティストの魅力を予想もしない方向へ広げてくれるのではないかと期待しています。

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7月13日の第1回では、杏子、浜端ヨウヘイ、山崎まさよしがそれぞれ自身で選曲したカバーを披露した

半田:あとは、より多くの方々にオーガスタのアーティストたちを知ってもらう、あるいはオーガスタのアーティストたちを通して新たな音楽と出会う機会になればとも思っています。

かつて『僕らの音楽』という音楽番組のなかで、オーガスタ所属の秦 基博がaikoさんの『カブトムシ』やスピッツさんの『楓』といった名曲をカバーする機会がありました。あくまで個人的な感覚ですが、あれを機に秦の音楽がより多くの方々に届くようになったと感じています。

あるいは、同じくオーガスタ所属のさかいゆうが『CITY POP LOVERS』というカバーアルバムをリリースしており、それもまた彼の可能性を大きく広げました。新たなファンの方々はもちろん、既存のファンの方々が知らなかった楽曲と初めて出会う機会にもなったはずです。

『Augusta Camp in U-NEXT』もそれらと同様、人と音楽を新たに結びつけるきっかけになれば良いなと考えています。

ライブ会場へ足を運ぶきっかけとして

──これから約1年間にわたり続く予定の『Augusta Camp in U-NEXT』ですが、観客や視聴者の方にはどのように楽しんでほしいと考えていますか?

向井:配信での視聴が、会場へ足を運んでライブを体験するきっかけになってほしいと思っています。

生配信やアーカイブ配信だからこそ触れられるアーティストの魅力がありますし、会場に来て生で体験するからこそ味わえる魅力もあります。それぞれの良さを通じて、より広く深く、オーガスタとアーティストたちの魅力を知ってもらうことにつながれば嬉しいですね。

半田:先ほども触れたように、『MUSIC BATON』や『Augusta Camp in U-NEXT』にはここでしか作れない、アーティストごとの見せ場を生み出したいという気持ちが込められています。そのことはアーティストたちもとても理解してくれていて、毎回私たちスタッフが想像しないような面白い提案をしてきてくれます。

それがどのような内容なのか、今日触れた見どころにもぜひ注目いただきながら、楽しみに見てもらいたいです。


『Augusta Camp in U-NEXT ~Favorite Songs~』第2回のライブ配信は、8月30日の18時よりスタート予定です。

配信開始前、または配信終了しています。

過去のライブ映像はこちらからご覧いただけます。

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