鎮西寿々歌（FRUITS ZIPPER）さんが、映画『ルックバック』を「2024年の1本」に選んだ理由

2024年で1番心が揺さぶられた作品です。母が原作を持っていたので存在は知っていたものの、読んだことはなく、何も知らないまま映画館に観に行きました。

登場人物が少ない分、主人公の2人のキャラクターや人間関係が、シンプルな作画と共に、しっかりと描かれていました。

私は展開で楽しむことを重視した作品よりも、関係性を丁寧に描いてくれる作品の方が好きです。

この作品は後者でとても感情移入していたからこそ、後半での悲劇は信じられないくらいダメージを受けました。

でもその後、ラストのエンドロール。

決してハッピーエンドではない中、これからも生きていく主人公藤野の背中をずーーっと見守っていると、「ルックバック」という言葉の一つの意味が分かったような気がして、新感覚の前向きな気持ちになっていました。

一度だけ過去を振り返り、違う世界線の自分たちを切望した彼女が、机に向かって黙々と漫画を描く背中からは、もう前しか見ないという強く逞しく愛おしいものを感じました。

鑑賞中には何度も涙を流したのですが、終わってからも家でなぜか、自分の状況と重ね合わせ考えを巡らせていると何かの蓋が開いてしまったのでしょうか、信じられないくらい泣きました（笑）。今年一番感情を表に出した日だったと思います。

「ルックバック」は私に新しい感情を教えてくれました。

鎮西寿々歌（FRUITS ZIPPER）さんプロフィール

アイドルグループFRUITS ZIPPERのメンバー。

2009年度から12年度にかけ、NHK「天才てれびくん」シリーズに“てれび戦士”として出演。NHK Eテレ「沼にハマってきいてみた」にハマったさんリポーターとしてレギュラー出演中。

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