「ふてほど」とは真逆な河合優実。W主演の坂東龍汰と『RoOT / ルート』の魅力を語る
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「ふてほど」とは真逆な河合優実。W主演の坂東龍汰と『RoOT / ルート』の魅力を語る

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テレ東・ドラマチューズ!枠にて、4月2日(火)より放送中のドラマ『RoOT / ルート』(以下、『RoOT』)。地上波アニメからアニメ映画・舞台・マンガとメディアミックスされてきた『オッドタクシー』の世界から誕生したミステリードラマで、河合優実さんと坂東龍汰さんのダブル主演でも話題を集めています。

河合さんはドラマ『不適切にもほどがある!』、坂東さんは初主演舞台「う蝕」に出演するなど、今まさに注目の俳優同士。女子高生失踪事件を追って、東京の夜を駆けるクールな女探偵・玲奈とドジな後輩の佐藤。意外にも地上波連続ドラマは初主演になるという2人に、『RoOT』の舞台裏やお互いの印象、俳優として大切にしていることなどをたっぷりと語っていただきました。

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世界観を同じくするアニメの裏側も垣間見れる実写ドラマ

──まずはじめに、『RoOT / ルート』で演じている役について教えてください。

河合:玲奈はまだ19歳ですが、探偵事務所で働いている女の子です。クールで無愛想に見えますが、自分の好奇心にはすごく素直な性格で。高校の後輩(三矢)ユキの行方を探すために何でもやっていこうとするように、自分が納得できるものにしか心動かされないような、芯の通った人なところにすごく共感できました。

坂東:佐藤はかなりいい加減で、探偵になった動機も「格好いい」「モテそう」とかで、とにかく行動が軽く見えるかもしれません(笑)。人が失踪したりと本格的なミステリーを展開するドラマの中でも、“凶運ポジティブ新人”の佐藤がいるシーンは息抜きとして楽しんでもらえればと思います。

──登場人物とご自身で、似ているところはありますか。

坂東:佐藤のポジティブで、何かに熱中すると周りが見えなくなるところは似ていますね。趣味に熱中していて気づいたら朝になっていたりとか。普段の話し方や振る舞いそのままに佐藤としてカメラに向かうことができました。

河合:佐藤が軽すぎるから(笑)、玲奈とちょうどバランスが取れているんです(苦笑)。

──『RoOT』はアニメ『オッドタクシー』から派生したドラマですが、アニメを意識したポイントはありますか。

河合:ドラマでもオッドタクシーの世界観は共通しているので、なぞらなきゃいけない部分もあるのかなと思っていましたが、監督から「演じる上でそこまで縛られすぎないでいいですよ」と言葉をいただいたので、自由度高く演じさせていただきました。でも、できあがったものを見ると、独特な人ばかり出てくるんだけど都会的なアニメの空気感が『RoOT』にも感じられました。

──自由に演じていたのに、気づけばアニメリスペクトの作品になっていたと。

河合:みなさんフランクに演じていて「アニメの再現」を重視していたわけではないのに、同じ空気を共有できていて驚きましたね。それは『オッドタクシー』という作品の世界観がすでにすごく緻密に作られていて、演者それぞれがその世界観を暗黙に共有できていたからだと思います。それができていれば、生身の人間が演じてもオッドタクシーらしさは損なわれないのかなと。

坂東:現場で撮った時の印象とできあがった映像が別もので、僕たちも新鮮な気持ちで見ていました。映画のような作品になったなと思っていて、深夜にいい意味でドラマらしくない、淡々としたセリフのやりとりが進んでいきます。ミステリー要素がある心理劇でもあるので、滑舌よくハキハキというよりは、しっかり相手と会話をする感覚で臨んできました。

河合:深夜ドラマってすごくタイトなスケジュールで撮ると聞いていたから緊張していたんですが、すっごくホワイトで(笑)。演者も土屋監督ほかスタッフのみなさんも、じっくり作りたいものを追求できたと思います。

──アニメ版のファンに注目してほしいポイントはありますか。

坂東:違う視点から事件を追っていけるところですね。「アニメのあの出来事の裏でこうなってたんだ」と発見があります。

河合:本当に矛盾がなくて、『RoOT』もオッドタクシーの世界観のひとつなんだなと実感できます。それだけ細部まで作りこまれたシリーズなんです。

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つきあいが長いから?バディ感を感じさせるふたりの関係性

──現場の雰囲気はいかがでしたか。

河合:坂東くんとの共演はこれが3回目で、彼の明るい人となりもわかっていたので、プライベートの距離感をうまく使いながらバディを演じられました。カメラが回っている時も回っていない時も坂東くんがいろんな感情を引き出してくれたようです。

坂東:僕はずっと「ダブル主演」ということを忘れて演じていました(笑)。情報解禁されて、再認識したくらいで。もちろんはじめに(ダブル主演であることは)聞いていましたし、作品の内容や優実ちゃんとバディをやることはインプットしていましたが、彼女が主人公で僕は玲奈を支えよう、というアプローチでいました。

それは玲奈と佐藤が一見正反対のキャラクターなので、「玲奈がこういう風に感じるなら、佐藤はこうだろう」というように、玲奈に対してアクションを返していき、また後輩として引っ張ってもらおう、と思っていたこともあります。

河合:坂東くんはこんな感じで犬みたいに人懐っこいんですが、俳優としては信頼していますし、当たり前のことですがお芝居に対してとても真剣です。

坂東:そんな瞬間、ありました?(笑)

河合:少なくともすり合わせは常にしてたよ。2話でもあったじゃない。捜査で2人でビルに行って、「株式会社グレードッグって何だ?」って玲奈が言うシーン。2人で話し合って、佐藤がスマホで調べて「芸能事務所ですね」って言う場面を入れたり。

坂東:確かに「この名前を見ただけじゃわからないよな」と僕も思って、シーンに追加してもらいました。台本だけではわからなかったことも、演じているうちに現場で時系列がわかっていったりするので、「ここは視聴者に伝わるかな」とか、逆に「説明しすぎかもしれない」といったことは意識していました。

河合:演じる私たちも、展開を整理するのに頭を使いましたね。

坂東:撮った順番は話数通りではなくバラバラだったので、前後の繋がりを再確認しながらの撮影でした。ちなみに、1話で銀行員を車の中から張り込みしている時、お尻でクラクションが鳴ってバレてしまうのは、僕が実演して鳴らしています(笑)。

──すごくリラックスした関係が伝わりますが、お互いをどんな存在だと思っているのででしょうか。

河合:坂東くんは誰とでも仲良くなれて、いるだけで空気を明るくしてくれます。それだけでなく「ハートがピュアじゃない人を見抜ける」と彼は言うんですが、感度が合う人を見分ける能力が高いんだと思います。

坂東:僕は物心ついた頃からずっと北海道の田舎で育ってきました。だから大都会のような、たくさんの人にもまれる環境には慣れない気質で。人に対してガツガツアプローチして関係を広げていくより、人柄が似ていると思う人に僕が近づいて、ゆっくり関係を構築していきたいんですね。

もちろん優実ちゃんもその1人で、人に気を遣わせないところが好きです。彼女と共演する人はみんな「一緒にやってて本当にお芝居がしやすい」と言っていて、僕もリラックスしてお芝居をさせてもらいました。

──坂東さんから見た河合さんはいかがですか。

坂東:感情を表情にのせるのがとても上手で、そこが役者として魅力です。例えば僕がいたずらを仕掛けると、ピクっと細かく表情筋が動くんです。こんな風に!(と、河合さんをつついて、2人に笑いが)。人が本当に驚いた時の表情をしてくれる。芝居をしている時は頭も使うし、カメラに向かっている緊張感もあって無意識に表情が固くなりがちですが、彼女にはそれがない。考えないで感覚のままに、振る舞いに感情を込められる人だなと、僕も近くで見ていて実感しました。

河合:それも、坂東くんが自然体でリアクションしやすい雰囲気を作ってくれたおかげです。

ドラマ「RoOT ルート」

ふたりとも素に近い役どころ、しかも想像以上にかっこいい

──昨今、おふたりとも新進の俳優として注目が集まっています。本作で開拓したい、新たな一面はありますか。

河合:『不適切にもほどがある!』の純子で覚えていただいた方には、ギャップがすごいかもしれませんね。玲奈と純子は何もかも正反対で(笑)。どちらも作風が違うだけで、俳優として臨む姿勢は変わらないのですが、『RoOT』は過去の作品と比べても、リアルな温度のお芝居になったと思います。

──リアルな温度、とは?

河合:(玲奈は)根本の性格は違っても、感情の表現の仕方は私とそっくりだなと完成した映像を見て感じました。話す口調や身体的な表現に、ドラマチックな誇張がほとんどないタイプの、ナチュラルな演じ方になったというか。それが『RoOT』の東京の夜を撮った映像美とマッチして、現代の東京に本当にいるかもしれない人として存在できたと思います。

坂東:僕も自然な芝居になったと思います。静かな映画館で観る映画と違って、ドラマは僕たちの日常の、いわば雑然としたプライベートの空間の中で見ることが多いと思います。その中で見る人の視線をそらさせないためにオーバーな伝わりやすい芝居をするのではなく、今回の現場は正反対の、余計なものをそぎおとしていく役作りになりました。深夜のローテンションでも楽しんで観たくなる作品です。

河合:映像で見ると玲奈も手ごたえ以上に格好よくて、こんなに都会が似合う役になったんだということも新しい発見でした。

──河合さんは映画でも昨年『少女は卒業しない』、今年6月公開の『あんのこと』で主演しています。映画とドラマの現場で、違いはありますか。

河合:映画は短距離走です。数週間で撮りきるような作品もあり、「限られた時間ですべてのシーンをより良くしていかないと」という心持ちで臨むことが多いです。ドラマもタイトなスケジュールですが、数ヵ月をかけて手ごたえをつかんで、パフォーマンスの質をだんだん上げることができるという違いがあります。

坂東:演じる人物に短い期間で向き合って濃密な時間を過ごせるのも映画の良さ。その人と一緒に過ごすというか、演者として役の人生を一緒に生きる感覚があります。大変だけどやりがいのある作業だよね。

──『RoOT』でダブル主演を経験して、お互いに新しく抱いた印象はありますか。

河合:坂東くんは「二番手です」と言いながら、絶妙なバディ感を作ってくれました。現場で玲奈と佐藤としての関係でいた時は(佐藤の影響で)能天気に見えたけど、今日改めて彼のスタンスが聞けて(笑)。顔なじみとはいえ経験してきた作品は様々で、真面目な演技のこともなかなか話しづらいけど、その一端が聞けました。

坂東:初めて会ったのは5年前ですが、すっかり大人になっちゃって(笑)。でも、人となりは変わっていなくて「これからも馬が合う関係でいられそうだな」と思えます。飾らず堂々としていて、多彩な役ができるのに人としては何色にも染まらないところが優実ちゃんらしさです。いい人間関係で、楽しい現場を過ごさせてもらいました。

──最後に、『RoOT』の楽しみ方を教えてください。

河合:ミステリー、心理劇としても完成度が高くて、アニメを見ていない人でも絶対楽しめる作品です。『オッドタクシー』の要素を入れつつ映像的にも「オリジナルで格好いいドラマを作ろう」という現場のこだわりが込められています。たまたま、寝る前になんとなくつけたテレビで観たら、そのままハマってしまうような中毒性があります。

坂東:深夜のいい時間ですし、お酒でも飲みながら観たくなりますね。テレ東さんで東京が舞台のドラマなのもぴったりです。夜更かしになりますが、損はさせません(笑)。リピートして、楽しんでください。


(番組情報)

ドラマ『RoOT / ルート』

テレビ東京、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送にて毎週火曜24時30分放送。テレビ大阪にて毎週金曜26時放送。
Netflixにて見放題独占配信。

プロフィール

河合優実(かわい・ゆうみ)
2000年12月19日、東京都生まれ。2019年デビュー。21年『サマーフィルムにのって』、『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第35回高崎映画祭最優秀新人俳優賞、第95回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞、第64回ブルーリボン賞新人賞、2021年度全国映連賞女優賞を受賞。23年には映画『少女は卒業しない』に主演し、今年6月には主演映画『あんのこと』と劇場アニメ『ルックバック』が公開予定。

坂東龍汰(ばんどう・りょうた)
1997年5月24日、北海道出身。2017年デビュー。22年『フタリノセカイ』で映画初主演し、第32回日本映画批評家大賞新人男優賞受賞。現在、ドラマ『366日』に出演中。今年5月25日に主演映画『若武者』、25年には主演映画『君の忘れ方』が公開予定。

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