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『ジョーズ』から始まり、シャークネードシリーズで再び爆発したサメ映画ブームは、未だ人気沸騰中。毎年のように新たなサメ映画が公開されており、中国にまでパニック映画ブームが到来した上、かの大作『MEG ザ・モンスター』の続編製作も進んでいる。それどころか、なんと日本製の新作サメ映画もされており、サメが世界の映画界を席巻していると言っても過言ではない(過言)。ほんの7~8年ほど前までは、さほど日本国内での(インターネット上での)サメ映画の認知度は高くなかったことを考えると、これは快挙といってもいいだろう。誰にとっての快挙なのかは定かではないが、一サメ映画ファンとしては嬉しい限りだ。
というわけで当記事では、そんな“サメ映画”の一部を、OTTコンテンツ・プラットフォーム・U-NEXTの配信ラインナップからピックアップしつつ、『サメ映画大全』著者・知的風ハットがサメ映画初心者向けに紹介させていただきたい!
最初は有名どころの傑作サメ映画から紹介していこう。サメ映画初心者には言わずもがな、ぶっ飛んだ低予算サメ映画には苦手意識をお持ちという方にも、胸を張ってオススメできるようなものだ。
当然『ジョーズ』はド定番。とあるビーチに現れた一匹の人食いザメを巡って、三人の男たちが狩りに乗り出す──というプロットは、今なお多くのサメ映画に受け継がれているもの。色褪せない音楽と演出のセンスも見所だ。
遺伝子操作で高知能化したサメが、海上施設を襲うパニック映画、『ディープ・ブルー』もたまらない。ド派手な爆発と水量、そしてダイナミックに飛び出すサメの勇姿は迫力抜群。加えてスリリングで先の読めない展開の数々は、エンタメ精神に満ち溢れている。
とにかくサメ映画というジャンルを語ろうとするならば、最初にこの2本は欠かせまい。ほかにも、『ロスト・バケーション』や『海底47m』などは、屈指の良作サメ映画だとして差し支えないだろう。
そんな正統派のサメ映画とは別に、世間では荒唐無稽なぶっ飛んだサメ映画も幅を利かせている様子。ぶっ飛んだサメ映画とは、やれ「サメが陸を泳ぐ(ビーチ・シャーク)」「サメが空を飛ぶ(スカイ・シャーク)」「タコと合体する(シャークトパス)」「ロボになる(ロボシャークVS.ネイビーシールズ)」「オーバーヒートする(シン・ジョーズ)」といった設定が特徴の作品群だ。
このジャンルは玉石混交……というよりも出オチの石ころが少なくないのだが、中には鑑賞に堪えうる作品も存在する。トンデモ系サメ映画の金字塔、シャークネードシリーズがその代表例だ。
「竜巻に巻き込まれたサメが、空から降ってくる」という設定が、海外SNSを中心に大ヒットした本作。一作目こそよくある災害パニック映画のようなプロットだったが、二作目、三作目と続くにつれその異常性を増し、最終的に「サメが宇宙に行く」「人類が滅亡する」「主人公がタイムスリップして世界を救う」といった超展開がこれでもかと詰め込まれるようになる。
なんだか悪い冗談のようだが、これでも最終作ラストの感動は本物のため、ぜひシリーズ全作品を通しで観ていただきたい。
さて、前述のシャークネードシリーズ全6作が完結した現在は、一周回って再びリアル路線のサメ映画が勢力を伸ばしつつあるようだ。特に『オープン・ウォーター』『赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター』のような海難スリラーものが、ここ数年のちょっとしたトレンドである。比較的近年の作品としては、『ホワイトシャーク』『ホワイトシャーク 海底の白い死神』『グレートホワイト』『海上48hours ―悪夢のバカンス―』の名が挙げられよう。
昨年の新作サメ映画『海上48hours ―悪夢のバカンス―』 はまずまずの面白さ。その内容は、オバカではた迷惑な若者たちが、無断で拝借した水上バイクで海へと乗り出すも、エンジントラブルを起こして遭難。大海原を漂流中に、人食いザメと遭遇する──というシンプルな筋書き。登場人物の大半は実にサメ映画らしい“〝やられ役”〟ばかりで、この手の作品にありがちな、遭難者同士での内輪揉めも完備。お約束ずくめであるがゆえに笑え、お気楽に楽しめる、そんな一本である。
低予算早撮りインディー系の分野では、シャークネードシリーズ完結後も、様々なトンデモ系サメ映画が作られ続けている。ヴィジャシャークシリーズや『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』、『シャーコーン! 呪いのモロコシ鮫』に『サメデター』などが、比較的最近の作品である。
率直に言ってこうした作品のほとんどは、SNSウケばかりを重視して他のすべてはナメ腐っているかのような代物ばかりであり、面白いつまらない以前のレベルで投げやりな問題児が大半だ。しかし『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』だけは少し話が違う。
ストーリーは、かつて映像制作を志していた二人の兄弟の未完成原稿から、突如として人食いザメが現実世界に出現、“〝ひどいサメ映画のサメ”〟として生み出されたことに憤りを覚え、暴走する──というもの。ハイテンションなナンセンスギャグには賛否両論あるだろうが、“〝創作にかける熱い思い”〟というテーマは一貫しており、この手のインディー映画としては意外にも見られる作り。サメのCGがヘナチョコであることを逆手に取った小ネタなど、拙いなりにギラついた、創意工夫の良さを評価したい一本だ。
中国製サメ映画にも触れておこう。元々中国では、良作サメ映画『パニック・マーケット3D』のようなパニック映画が大ヒットしていた。そして月日が流れた今は、その中国が作る側に回り、『ジョーズ・リベンジ』や『ジョーズ・ザ・モンスター』のようなサメ映画を大量生産している。とはいえ、今のところは『パニック・マーケット3D』や『ディープ・ブルー』、その他『キングコング:髑髏島の巨神』の影響をダイレクトに受けた二番煎じ作品が多いのだが。
それでも前述の『ジョーズ・リベンジ』は、それなりに見られる部類だろう。大津波によって浸水したホテルの中で、生存者たちがサメと戦う(中国製サメ映画には、程度の差はあれ、この類いのシチュエーションがめちゃくちゃ多い!)という内容の本作。尺は66分と短いながらにテンポよくまとまっており、巨大なサメがガッツリ飛び出す捕食シーンのような見所もしっかり用意されている。
一昔前には、「サメが主役のパニック映画かと思いきや、サメよりも主人公とギャングの銃撃戦やサスペンス風味の駆け引きが目玉だった」という作品も少なくはなかった。例としては『シャーク・イン・ベニス』や『シャーク・キラー』、『ドルフ・ラングレン 処刑鮫』のほか、『ディープ・シャーク』の後半部分などが挙げられるだろう。こうした作品は内容もまあ順当にイマイチだったりするのだが、この『シャーク・ナイト』は面白い。
スナッフビデオ撮影を生業とする殺人鬼集団が、若者たちをサメのエサにせんと陰謀を張り巡らせる──という、スラッシャー・サスペンス系の作品。サメはあくまで舞台装置というわけだが、ヘラヘラとうすら笑いを浮かべて主人公らに迫るその殺人鬼集団がバッチリ怖く、サメと併せてダブルで見所になっている。サメの存在が脇役だとはいったものの、パニック演出にも気合が入っている点は好印象。特に作品中盤で見られる、ダルマザメの襲撃シーンがユニークだ。
メガロドンもののサメ映画にも言及しておくべきだろう。太古の巨大ザメ“〝メガロドン”〟を主役にしたサメ映画のことだ。『MEG ザ・モンスター』や、『MEGALODON ザ・メガロドン』とその続編『ザ・メガロドン 怪獣大逆襲』、『ジュラシック・シャーク』などが挙げられよう(ほか、あえてU-NEXT様の配信ラインナップ外の作品を挙げるならば、メガ・シャークシリーズが特に有名か)。
もっとも、アクション大スターのジェイソン・ステイサムが主演ということで一躍話題となった『MEG ザ・モンスター』以外の作品は、しばしば軽んじられがちではある。その『MEG ザ・モンスター』も、主役を演じたステイサムのタフガイ・イメージがあまりに強過ぎることから、上映前にして既に「どう見てもサメよりステイサムの方が強そう」との声も大きかった(そして強かった)。
ともかく、メガロドンもののサメ映画の今後に期待したい。
ほかにもサメ映画は山ほど存在するが、当記事では一旦ここで区切らせていただこう。名作から怪作までずらりと揃ったサメ映画の世界、この機にあなたも体験してみてはいかがだろうか。
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