歌とダンスだけじゃない!EBiDANにもっと沼る映画&ドラマ厳選8作
EBiDANは、役者として個人で活躍するメンバーも多数。そこで今回は、各グループのメンバーが出演しているドラマ・映画作品を紹介します!
大のアニメ好きとして知られ、映画への愛情が深いフリーアナウンサー・女優の宇垣美里さん。大人気シリーズ「シュレック」に登場した“伝説ネコ”プスの大冒険を描く映画『長ぐつをはいたネコと9つの命』について、その魅力を語ってくれました。
たとえば賢者の石を追い求めた錬金術師たち、人魚の肉を喰らった尼、部下を蓬莱山へと派遣した秦の始皇帝。皆、不老不死に恋焦がれてのことだ。古来より、多くが死や老いを恐れ、なんとか克服せんとあがいてきた。怖かったからだ。死にたくなかったからだ。それは猫も同じこと。命が残り一つとなり、死神に怯えるプスの姿には見覚えがありすぎて笑うことなんてできない。『長ぐつをはいたネコと9つの命』はもふもふパラダイスなアニメ映画でありながら、生きとし生けるものが逃れようもない老いと死について描いている。
「長ぐつをはいたネコ」として知られるお尋ね者の賞金首猫・プスは、向こう見ずな冒険の果てにネコのもつ9つの命のうち8つを失ってしまった。自らの命を狙う怪しいオオカミの存在に怯え、不安になったプスは捨て猫を保護している家にころがりこみ、大人しく家ネコとしての人生を選ぶ。が、どうにも刺激が足りない。そんな時どんな願い事も叶うという「願い星」の存在を知り、保護猫ハウスで出会った猫のフリをした名もなき犬・通称ワンコと、かつての恋人キティと共に願い星を探す冒険に出かけるが、様々なライバルが願い星を狙っていた。
『長ぐつをはいたネコ』(2011)から十数年越しの続編ではあるが、前作を見てなくても問題なく楽しめる内容となっている。猫好きによって制作された猫好きのための映画としか思えない前作から引き継いだ、やはり圧倒的なネコのネコらしい愛らしさたるや。プスやキティの動きのなめらかさ、目をうるうるさせるシーンのあざとさにノックアウトされぬ者などいるのだろうか!?また題名を見てネコが主役の映画ってことはノットフォーミーかしら?と考えたであろうイヌ派の皆さんのハートを鷲掴みにして離さないのがワンコというキャラクター。正直見る前はいわゆるぶちゃかわ個性的な見た目ゆえ、ここまで好きなキャラになるとは思ってなかった。悲惨な過去も明るく笑い話に変えて、他者を心から信じ、愛し、その幸せを純粋に祈る姿には、私がなぜイヌを愛さずにはいられないのか、その理由の全てが詰まっていて思わず涙した。
また童話やマザーグースネタがしこまれたライバル陣も魅力的。願い星を狙う少女ゴルディと3匹のクマたちの「ちょうどいい」というワードと共に繰り広げられるちょっととぼけたやり取りがかわいらしい。また彼らの成り立ちと育まれてきた強い絆や、後々のプスとキティとワンコの間の流れる空気感そのものが、血の繋がりなんぞなくとも家族になれるということを私たちに教えてくれる。(あと彼らのクマ要素が本作のもふもふ天国っぷりを加速させていて幸せ。)
本作のヴィランであり手段を択ばず願い星を付け狙うビッグ・ジャック・ホーナーは同情の余地もないほどの清々しい悪でいっそ気持ちがいい。愛情深い両親の元何不自由ない恵まれた環境で育ちながらもボキボキにひねくれ、他者を尊重せず、足るを知ることのないダメな奴だが、ユニコーンの角の矢やアリスのお菓子、不死鳥など童話に登場する武器を手に暴れまくる姿が笑いを誘う。さらに、プスの恐怖の元となる“死”そのものであると自称するウルフは恐ろしいながらも他とは一線を画す品の良いワイルドさとセクシーさで見る者を虜にする。公開と共に大量のファンアートがSNS上で発表されており、まさにオタクほいほいなキャラクター。
そして、なんといっても本作の見どころはそのアクションシーンにある。集中線のような書き込みで表現されるスピード感から始まり、アングルがぐるぐる変化する立体的で躍動的なアクション表現。あえてコマ数を落とすことでぬるぬるとした動きではなく、歌舞伎の見栄のようにばちっときまった2Dの絵から次のコマへとびゅんと移動するカクカクした動きからなる速さと遅さのメリハリが気持ちいい、まさに2Dと3DCGのハイブリットのようなの最先端のアニメーション表現だ。
そんな最高の映像体験と魅力的なキャラクター造形、山盛りのギャグによって彩られた物語の核となっているのが死への恐怖。プスは初めて一度きりの人生を生きていることを自覚し、慌てふためく。男らしい無鉄砲さこそが自分の生き方なのだと信じていた彼は、それが失われたことで自分らしさをも一度諦めてしまう。けれどキティやワンコとの旅路の中で自分の中に巣くう恐れや弱さと向き合い、本当に大切なものに気づくことになる。
人生は短く儚い。一度きりの人生、なんて考えると何をするにも尻込みしてしまいそうになる。失敗するくらいなら、痛い思いをするくらいなら、と安全でちょっと不幸な道ばかりを選ぶ人は決して少なくないだろう。でもだからこそ、その尊さ、今この瞬間のかけがえのなさを理解した人がどれほど強くなれるのかということを、プスは教えてくれる。
挑戦的で派手なアクションと力強いメッセージはまさにドリームワークスの真骨頂。ちなみに字幕版、吹き替え版共に声優陣がかなり豪華で、特にウルフは字幕版のヴァグネル・モウラ、日本語吹き替え版の津田健次郎とどちらも最高にセクシーな囁き声がたまらないのでぜひどちらも楽しんでいただきたい。見たら二度見たくなること間違いなし。お約束します。
プロフィール
宇垣美里
兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、TBSに入社しアナウンサーとして活躍。2019年に退社後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
『シュレック』シリーズの人気者・プスを主人公に描くアドベンチャーアニメ第2弾。
お尋ね者の賞金首ネコ・プスは、気づけば9つあった命がラスト1になっていた。どんな願いも叶うという「願い星」の存在を聞いたプスは、命のストックを求める旅へ。その道中、かつて結婚も考えた元カノ・キティと、ネコに変装したイヌのワンコと出会う。
予告編
『長ぐつをはいたネコと9つの命』本編ちょい見せ映像
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