1000人と婚活したライターがレコメンド!結婚観が変わるドラマ【2020年代編】
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1000人と婚活したライターがレコメンド!結婚観が変わるドラマ【2020年代編】

2025.03.20 12:00

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  • 持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~
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35歳から怒涛の婚活を繰り広げ、約1,000人の男性と対面して、39歳最後の日に(なんとか)入籍したライター・編集者・エッセイストのかわむらあみりです。現在、13歳年下の夫と愛娘、そして元保護犬のでっかいポメラニアンとともに暮らしています。

今回は、「結婚観が変わる日本のドラマ【2020年代編】」!近年、多様な設定で放送された作品をご紹介します。 もしこのコラムでご興味を持ちましたら、ぜひ鑑賞してみてくださいね。

①『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(2022年)

持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~
(C)TBS

「第二の人生」を考える父と、「誰かとともに生きること」を思い描く娘が、父娘で一緒に婚活にチャレンジするヒューマンラブストーリー。母が他界し、2年前に実家へ戻ってきたヨガインストラクターの33歳・沢田杏花(上野樹里)は、父の林太郎(松重豊)と二人暮らし。心身を整えて癒やすヨガを教える立場の杏花だが、きちんとしているように見せているのは生徒の前だけ。実際には、何をやるにもガサツで、父とのケンカが絶えない。親をいたわるどころか、自分の夢である理想のスタジオを持つことと海外暮らしをすることしか頭にないため、結婚など考えたこともないのだった。

一方、愛妻家の林太郎は妻に先立たれて気力をなくす毎日を送っていたが、ある出来事をきっかけに人生の再チャレンジを決意。一念発起し、新たなパートナーを見つけようと、林太郎は婚活パーティーに杏花のぶんも一緒に参加を申し込む。勝手に自分のぶんも申し込まれたと聞いて驚く杏花だったが、父の付き添いのつもりでしぶしぶ婚活会場へ。すると、そこには起業セミナーで出会い仲良くなった、シングルファーザーの東村晴太(田中圭)の姿があった。なんと晴太の会社が主催する婚活パーティーだと知って、気まずくなる京花だったが……。

自然な出会いを求めるなら、今一度、普段の生活を見直してみる

 持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~
(C)TBS

本作では、娘だけではなく父親までもが婚活にチャレンジする姿を描いている。もっとも、令和の現在は、いつまでたっても結婚しない子のかわりに親が結婚相手を探す“代理婚活”もあるし、親世代が伴侶を探す“シニア婚活”も浸透してきているため、年齢問わず「婚活」は身近なテーマとなってきたのだといえる。昭和時代はそんな言葉さえもなく、かつて平成21年の流行語大賞に「婚活」という言葉がノミネートされ、当時は婚活という響きさえも新鮮。その頃から、婚活する男女を描いたドラマが登場するようになってきた。

そんな現代の結婚観を反映させたストーリーの本作だが、杏花は仕方なく参加した婚活パーティーに、まったくやる気のない服装で参加している。周りの女性がフリルのついたブラウスにフェミニンなスカートといった男性ウケしそうな服装で参加しているところ、ダボっとしたトレーナーとカーディガンにロングスカートと、外見からしてアピール力ゼロの杏花。本気で結婚相手を探すためスーツ姿で参加する男性陣に、内外ともに少し失礼なところもあり、挙げ句の果てには、婚活会場でハデに父娘ゲンカをしてしまう。

初対面の印象がその後を決める婚活では、外見も重要なアピールポイントとなるため、乗り気のしない杏花のマインドは普段着で参加してしまう外見にもしっかりと表れているなあ、と1,000人と婚活で対面した筆者は思った。ただ、ドラマではその婚活パーティーで林太郎は良縁に恵まれ、杏花は晴太や、幼馴染みの不破颯(磯村勇斗)との恋の予感を感じさせる展開となっていく。

「婚活」と聞くと肩肘張ってしまう杏花のようなタイプは、“自然と出会った”相手に惹かれやすい。それは現実でもそうで、「婚活してまで結婚したくない」とか、「恋愛する時間はない」とか思っている場合でも、日常生活の中で出会った相手なら、タイミングさえ合えば恋に落ちたり、将来の話をしたりする仲になることもあるだろう。つまり、わざとらしくない出会いなら、抵抗感が少ないのだ。もし杏花と同じタイプなら、今一度、普段の生活を見直してみると、案外近くにパートナーがいるのかもしれない。

実生活では、2016年にロックバンド・TRICERATOPSの和田唱と、30歳の時に結婚した上野樹里。人生で最初に買ったCDがTRICERATOPSだったという上野のテレビ番組での発言を耳にした和田が、彼女をライブに招待するようになり、それから数年経ってライブに行った上野が「結婚しよう」とピンと来たという話は知られている。まるで運命のようなエピソードだが、これは本人たちの発言や行動力が結んだ縁でもある。お互いに以前は遠い存在だったが、身近な存在となった時、恋が生まれることもあるのだ。

②『ミス・ターゲット』(2024年)

ミス・ターゲット
©ABCテレビ

さまざまな男を手玉に取ってきた百戦錬磨の女性結婚詐欺師が、本気の婚活に乗り出して、真実の愛を見つけるラブストーリー。悪事で荒稼ぎする男たちのみをターゲットに、騙される側にもうしろめたいところがあり捜査の手が及ばないことから、狙った“的”を決して逃さない“ミス・ターゲット”として、結婚詐欺を繰り返してきた35歳・朝倉すみれ(松本まりか)。今の自分と同じ年齢で亡くなった母の命日を迎え、すみれは突然、結婚詐欺師をやめて、婚活してお金持ちの相手を見つけると言い出すのだった。

さっそくマッチングアプリに登録するすみれは、ハイスペックな男性とのデートにこぎつける。かたや、父の村松竜太郎(沢村一樹)に将来を心配されている和菓子職人の宗春(上杉柊平)も、すみれと同じマッチングアプリに登録していた。ある日、それぞれ違う相手とデートしていたがうまくいかず、偶然が重なって、すみれと出会う宗春。お金があれば幸せになれると考えるすみれと、お金がなくても幸せになれると考える宗春。真逆の価値観を持つ二人だったが、なぜか気になる存在となっていく。

本当に自分が望む結婚相手の条件を把握する

ミス・ターゲット
©ABCテレビ

理想の結婚相手が「イーロン・マスク」(わかりやすい……)というすみれが本気の婚活をするが、職業が“結婚詐欺師”という、ドラマならではのキャラクター設定ながら、婚活アプリに登録してすぐの周囲の反応は、現実でもよく言われることでもあった。「全然いいねが来ないんだけど」とぼやくすみれに、アプリを勧めた結婚詐欺師見習いの後輩は、「35歳の壁ですかね」と諭す。後輩はさらに「女の婚活市場では35歳を越えるとグッと相手を見つけるのが難しくなる」と、“婚活のリアル”を告げるのだった。

すみれほどの美貌の持ち主でも、婚活では、確実に年齢が関係してくる。男性は未だに女性に若さを求めることが少なくないし、女性は男性に経済力を求める。だから男性は経済力が高いほうが、女性はより若いほうが、選ぶ立場に立ちやすい。そんなわけで今は、まだ身近なところでも出会いがありそうな20代でさえ婚活市場に参戦し、経済力のある男性と結婚するために、婚活している現状がある。もしも婚活しようと思う人がいたら、できれば女性は早いうちに、男性なら生活力を身につけて挑むと、スムーズに事が運ぶかもしれない。

本作では、詐欺師として打算的な疑似恋愛をするのには長けているすみれだが、普通の恋愛をしたことがないため、自分の気持ちに気づくのに苦戦する様子も描かれている。現実でも、女性の場合は頭では経済力のある男性を選んだほうが生活に不安がない、とわかっていても、いまいち生活力がない男性なのに心が惹かれる場合もあるはず。筆者はまさにそうで、出会った当初は自身のほうが年収は高かったが、結果として現在、経済面では夫と逆転した。最初からお金のことは度外視していたため、今の状況は幸運だと思うものの、これが最初からお金目当てで相手を選んでいたら、金の切れ目が縁の切れ目となっていたかもしれない。人によって結婚相手の条件は異なるので、自分に合った相手と出会えさえすれば、未来は明るいだろう。

③『婚活1000本ノック』(2024年)

売れない小説家の女性が、かつて自分を捨てたクズ男の幽霊とともに、幸せになるため婚活に奮闘するラブコメディ。南綾子(福田麻貴)は、クリスマスパーティで出会った年下イケメンで医師の山田(八木勇征)と一夜をともにするも、連絡が途絶える。失恋し、彼を「山田クソ男」と命名して年が明けたある日、目の前に、女性に恨まれて刺されて死んだ山田の幽霊が出現。自らが成仏するには、死ぬ前に誰かとした約束を果たさなくてはいけないというのだ。山田の場合、綾子とのある約束を果たして自分が成仏するため、バディとなって一緒に婚活をすることとなる。

本腰を入れて婚活する綾子だが、詐欺師男に騙されそうになったり、相手をどうしても生理的に受けつけられなかったり。思いの外、なかなかうまくいかない。それでも必死で婚活するなか、モジャモジャの髪にメガネの大池貴司という、通称「小池」(野村周平)と出会う。その後も山あり谷ありといった具合で婚活し、さまざまな男性と出会っていくなか、綾子は自分にとって大事な結婚相手とはどんな人なのか、自分自身を見つめ直すのだった。

一度や二度うまくいかなくても、あきらめない。自ら運命を掴む

南綾子の同名小説を原作に、ヒロインにも同じ名前をつけてドラマ化された本作は、最新の婚活事情と“幽霊がバディになる”というファンタジー要素が組み合わさったストーリーがテンポよく展開される。運命のパートナー探しに右往左往する綾子を、お笑い芸人の3時のヒロイン・福田麻貴が演じることで愛嬌のあるキャラクターとなって、婚活で失敗しても悲壮感を漂わせることなく、ポップに仕上げることに成功していた。

実際に婚活していると、ドラマの綾子ように、クセのある相手に出会うことも、その都度自身の魅力のなさを実感して凹んでしまうこともよくあることだ。でも、うまくいかないことがある度に落ち込んでいると、なかなか婚活は続かない。筆者は結果として婚活で1,000人と対面したが、ひっきりなしに婚活していたわけではなく、思うようにいかなくてしばらく婚活を休んだ時期もあったし、自力では無理だと思って他力本願に神社仏閣に願掛け巡りに行ったこともあったし、リフレッシュをかねて旅行した時もあった。そうして気力が戻ってきたら、また出会いを探すのだった。

綾子も婚活を繰り返し、いろいろな出会いを経験した。そしてある登場人物の勇気あふれる行動に胸を打たれて一歩踏み出すのだが、現実も同じ。一度や二度、うまくいかないからといって、あきらめない。じっと待っているだけでは、運命の相手はやってこないのだ。そんな時は、自ら運命を掴みに行く。すると、「この人だ」と心動かされる人物にきっと出会えるはずだ。

④『五十嵐夫妻は偽装他人』(2025年)

五十嵐夫妻は偽装他人
©「五十嵐夫妻は偽装他人」製作委員会

素直になれない別居中の夫婦のオフィスラブコメディ。インテリアメーカーに転職して営業担当をしている会沢真尋(新川優愛)は、優秀で人当たりも良く、新天地でも順調な毎日を過ごしていたがプライベートでは問題を抱えていた。表向きはしっかり者だが、我慢強い性格ゆえに甘え下手で夫の前では意地を張り、夫婦生活がうまくいかずに夫の五十嵐直人(塩野瑛久)と別居中。そんな真尋の転職先を知らなかった直人は、偶然にも同じ会社に転職し、真尋の上司となる。お互いに青天の霹靂ではあったものの、周囲に気をつかわせないため、他人を装って働くこととなるのだった。

会社では真尋は既婚者、直人は独身と公表。普段、真尋と一緒に働く機会が多いマイペースな後輩デザイナーの瀬戸翠(兵頭功海)は、だんだんと真尋のことが気になる存在となり、いつもと違う自分の感情にとまどう。一方、経済力のある男性との結婚を目指す営業アシスタントの林美羽(田辺桃子)は、直人に一目ぼれして猛アタック。しかし、真尋と直人の関係性に勘づいた美羽は、二人を引き離そうと画策する。はたして、真尋と直人は復縁するのか、離婚となるのか?

自分の心に素直に行動することが、恋愛成就と夫婦円満の秘訣

『五十嵐夫妻は偽装他人』第1話
(C)「五十嵐夫妻は偽装他人」製作委員会

2022年に「U-NEXT Comic」より配信開始した海石ともえの同名コミックが原作。別居中の夫婦が“もだもだ”する様子が描かれている本作。あまり聞きなれない“もだもだ”という言葉だが、辞書によると「あれこれと思い悩むさま」を指すことが多い。つまりは、夫婦が胸に秘めた思いを打ち明けられずに、すれ違うさまが何かと波乱を引き起こすストーリーでもあるわけだが、誰もが結婚するまでに悩むところ、すでにその段階は超えている男女の話である。そう、もしも必死に婚活をしても、その先に待っているのは、夫婦の生活。恋愛時代のときめきでキラキラとまとわれた夢の生活ではなく、家計のやりくりもすればゴミ出しもする、ごくありふれた日常が待っているのである。

夫婦になったからといって、一生安泰とは限らない。本作のように別居に至る夫婦もいれば、ずっとラブラブでいられる夫婦もいるし、最終的に離婚を選択する夫婦だっているだろう。人生は長いのだ。ドラマの五十嵐夫妻も付き合っていた当時は、直人が膝をついて婚約指輪を真尋に差し出し、「結婚してください!」とプロポーズ。誰もが憧れるプロポーズのシチュエーションの一つでもあり、女性としてはキュンキュンしてしまう場面でもあるはず。

それがいつしかボタンの掛け違いが生じ、社内で仕事を装って、直人が「例の件、回収の予定は?」と暗に関係修復の可能性を探るべく、真尋にたずねる。すると、「それにつきましては回収すべきかどうか慎重に検討中です」と、冷たく返答されるのだった。お互いに、腹を割って話せば解決するところ、なぜか素直になれない。さらに、誤解をまねくような言動が重なって、夫婦関係はピンチになっていくのだ。

現実でも、恋人同士の時も、夫婦になってからも、相手を思いやることや本音で話すことが大事だとわかる。本音でぶつかるのはとても勇気の要ることだ。正直に話して傷付いたら、立ち直れないかもしれない。でも、大切な相手ならなおさら、妙にかっこつけたり、思ってもいないことを口走ったりして関係を悪化させるよりも、ありのままの自分で勝負してはどうかと感じる。そんな自分を受け入れてくれない相手なら、無理して合わせても、いつか自分がまいってしまうからだ。

実際、真尋役の新川優愛は、2019年にロケバスの運転手をしている一般男性と結婚した。芸能人だと実業家などと結婚しがちなイメージがあるなか、役柄では素直になれない真尋を演じた新川が、現実では自然体なスタンスでいる女性で、身近に感じるお相手と結婚したことに親近感を持った人たちは多いようだ。自分の心に素直に行動することが恋愛成就の決め手でもある。

というわけで、今回は「結婚観が変わる日本のドラマ【2020年代編】」を4本紹介させていただきました。ドラマはフィクションではありますが、現実の恋や結婚にも役立つメッセージが隠れていることもあります。とはいえ、そんなことを気にしなくても、作品を鑑賞するだけでときめいたり、共感したり。ただ鑑賞するだけでも、楽しい時間が過ごせるはずです。他にもまだまだ良作はあるので、みなさんのお気に入りの作品をぜひ見つけてみてくださいね。

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