1000人と婚活したライターがレコメンド!結婚観が変わるドラマ【2010年代編】
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1000人と婚活したライターがレコメンド!結婚観が変わるドラマ【2010年代編】

2025.02.28 12:00

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  • 私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
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35歳から怒涛の婚活を繰り広げ、約1,000人の男性と対面して、39歳最後の日に(なんとか)入籍したライター・編集者・エッセイストのかわむらあみりです。現在、13歳年下の夫と愛娘、そして元保護犬のでっかいポメラニアンとともに暮らしています。

今回は、 時代によっても異なる男女の価値観にも注目し、「結婚観が変わる国内ドラマ【2010年代編】」をお届けします。もしこのコラムでご興味を持ちましたら、ぜひ鑑賞してみてくださいね。

①『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(2016年)

私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
(C)TBSスパークル/TBS

スペックは高いのにモテない女性が、毒舌すぎる恋愛スペシャリストの男性からスパルタで恋愛術を学んでいくラブコメディ。美容系クリニックの開業医である橘みやび(中谷美紀)は、容姿端麗で年収1500万円というハイスペックな女性ながら、仕事や趣味の時間に浸って愛犬とたわむれる日常生活を送っていた。気づくと39歳になっていた独身の娘を心配して、時々、みやびの一人暮らしの家を訪れる母・昭子(夏木マリ)の姿も。

ある日、みやびは自身と同じく男性を値踏みするタイプの女友達に連れられ、高級和食店を訪れる。彼女たちは予約をしていないにも関わらず、無理やりカウンターを陣取り、男性を馬鹿にする発言を繰り返す。そうしてガールズトークに夢中になる彼女たちを見て、店のオーナーシェフである十倉誠司(藤木直人)は、「結婚できない女の典型」「美人・キャリア・アラフォーは三重苦の恋愛弱者」「値踏みする女を男は選ばない、つまりお前は負け組だ!」と説教する。

その言動に腹を立てたみやびは、「結婚? べつにしようと思えばできるけど!」と応戦し、本気の婚活に挑むようになるのだった。

自分の思い通りになるとは限らない“結婚”は心の声を聞く!

私 結婚できないんじゃなくて、しないんです
(C)TBSスパークル/TBS

実生活では、2018年にドイツ出身のヴィオラ奏者と、42歳で国際結婚した中谷美紀。十分に仕事も恋愛も味わったのち、日本の枠にとどまらず、インスピレーションを感じた相手と“大人婚”を果たしている。平成の終わりから令和の現在と、確実に女性の結婚観や生き方は変わっていったものだが、生涯のパートナーを得た中谷が、結婚2年前に昭和感あふれるドラマに出ていたのは興味深い。

ドラマでは、みやびが同窓会に参加すると美人でチヤホヤされるのは最初だけ。未だに独身だとわかると引かれ、むしろ心配されて、タイトルのように「私、結婚できないんじゃなくて、しないんです!」とキッパリ断言するのだった。高級和食店でも、“自分は特別扱いされて当然”という態度が見て取れ、職業柄もあるがお店が出すメニューに「糖質、控えてるんで」とご飯を拒否するなど、各所で強いこだわりを見せるみやび。

さらに結婚相談所でアドバイザーに相談しながらも、「そんなには焦ってなくて、その時が来たら」などと悠長なことを言う。結婚できない事実を受け入れられないため、“いつでも結婚できるポテンシャルがある私だけど、とりあえず婚活しているだけ”というポーズを崩せない(崩し方がわからない)姿に、筆者はとても共感したのだが、同じように思った視聴者のかたも少なくないのではないだろうか。

本作は水野敬也の恋愛マニュアル本(2014年発売)が原作となっているため、高飛車すぎるみやびや、独身のみやびに「プレ更年期のうぬぼれ女ドクター」などとトンデモナイ発言をする十倉など、上から目線のオンパレードが続く設定は、令和の今だと放送しづらいかもしれない。だが、あれくらい強く恋愛術を説いてくれる人がいるなんて、非常に心強いし、スパルタ教育に食らいつくみやびのガッツも相当なもので、観ていて清々しさを感じるほどだ。

現実でも、恋愛や結婚について悩んだ時、誰かに相談して思いがけないことを言われたら、図星ならなおさら凹むこともあるだろう。しかし、そこでアドバイスを取り入れて動いてみようとするか、キレて何もしないかでは、結果に大きな違いが出る。みやびのように、つい強気な発言をしてしまう人もいるかもしれないが、それは不安の裏返しとなっていることもあるのではないか。

美人だから結婚できるとも限らず、お金持ちだから好みの相手を手に入れられるとも限らない。なにぶん相手がいる恋愛や結婚では、すべてが自分の思い通りになるとは限らないわけだが、そのことに本当に気づけるのか? そして、本当に結婚したいのか? 流されてなんとなく結婚しなくてはいけないと思っているだけではないのか? そんな心の声に気づけるかどうかも、明るい未来に進めるか否かの分かれ道となるだろう。

②『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)

逃げるは恥だが役に立つ
©TBS©海野つなみ/講談社

職ナシ・彼氏ナシ・居場所ナシという女性が、恋愛経験のない独身サラリーマンの男性と契約結婚する様子を描いた社会派ラブコメディ。院卒ながら内定はゼロで、派遣社員になるも派遣切りに遭う、求職中の25歳・森山みくり(新垣結衣)。そんな娘を不憫に思った父親のはからいで、IT会社に勤める地味なサラリーマンで、年齢=彼女いない歴の“プロの独身”35歳・津崎平匡 (星野源)の家事代行として働き始める。

仕事でも恋愛でも、誰からも必要とされていないつらさを感じていたみくりは、守りが堅く合理的な平匡の家事代行として本領を発揮。彼からその仕事ぶりが気に入られたものの、みくりは家の都合で家事代行を続けられなくなり、「仕事」として契約結婚をすればずっと家事を続けられるという提案をしてしまう。

その提案をずっと考え続けていた平匡は、デスマーチが続く仕事で追い込まれ体調を崩し、みくりは献身的に看病する。そこで、派遣切りに遭ったことや、平匡からの感謝の言葉が心底嬉しかったことを吐露。帰り道、「誰かに選んでほしい。ここに居ていいんだって認めてほしい。みんな誰かに必要とされたくて、でも、うまくいかなくて。いろんな気持ちをちょっとずつ諦めて、泣きたい気持ちを笑い飛ばして、生きているのかもしれない」と悟るのだった。

そして1カ月半の家事代行を辞める日。平匡は、事実婚として給料を支払い、主婦として家事をすることを試算した結果を提案し、「雇ってください!」と即答するみくり。こうして周囲には秘密にしながら、雇用主=夫・従業員=妻という関係を始めることとなる。

迷っている時ほど理性的に状況や相手を見極めたい!

逃げるは恥だが役に立つ
(C)TBS (C)海野つなみ/講談社

本作は海野つなみの同名マンガが原作、ヒットメーカーの野木亜紀子が脚本を担当。男女ともに人気のある新垣結衣、ミュージシャンで俳優の星野源という組み合わせで高視聴率を記録し、2021年には契約結婚から生まれた恋を経て、みくりと平匡が本当の“結婚”を決めた連ドラの“その後”が描かれたスペシャルドラマも放送された。胸キュンの設定から、家族愛へとテーマが変化し、実際に本作でご縁が結ばれたふたりが結婚したことは大いに話題となった。

劇中では、お互いに合理的に生活していくプランを考慮したからこそ、契約結婚という一見突飛な発想に辿り着くわけだが、実際みくりのように自己肯定感が低くなっている時に、自分を必要としてくれる相手に気持ちが揺らぐことはままあることだ。その相手は、超地味で“独身のプロ” の平匡だが、モテる女性には少々物足りなく思われるキャラクターかもしれない。しかし、彼は堅実な性格で経済力があり、結婚相手としてはなかなかの好条件。お互いに良い相手に巡り合ったといえる。

周りを説得する自信がなく、いわゆる普通の恋愛結婚を装って、両家の顔合わせをしたシーンがあったのだが、嘘をつかせた申し訳なさを伝えるみくりに、平匡はこう言った。「ハンガリーにこういうことわざがあります。逃げるのは恥、だけど役に立つ。後ろ向きな選択でも、恥ずかしい選択でも、生き抜くことが大切で、その点においては異論も反論も認めない」。平匡の考えはなるほどと思った。

現実でも、問題にすべて正面から向き合っていくことはとても疲れること。時に逃げるという選択を選んでも、それが意外にも満足できる解決策につながることや、自分の心身を守ることにつながることもあるだろう。それは恋愛でも、結婚でも同様だ。人生はいい時ばかりではない。たとえうまくいっていない時でも、そんな自分にも響き合う相手に出会う可能性はある。そこで相手の手を取ろうとするか、理想を追い求めて独りで奮闘し続けるか。迷っている時ほど、理性的に状況や相手を見極めることも必要だといえる。

③『まだ結婚できない男』(2019年)

 まだ結婚できない男
©カンテレ/MMJ

偏屈な独身男性が、周囲の人たちと交流していくなかで、次第に変化していく様を描いたコメディ。53歳の一級建築士である桑野信介(阿部寛)は、外見も収入も社会的地位も人並み以上だが、皮肉屋でプライドが高くこだわりも強い性格で人と共存しづらく、「メリットがない」という理由から独身を貫いていた。いつまでたっても結婚しない息子を母や妹は心配するも、かつての部下で、共同経営者となった村上英治(塚本高史)は、長年の付き合いから桑野の性格を熟知し見守っているのだった。

ある日、桑野が暮らすマンションの隣の部屋に引っ越してきた舞台女優の戸波早紀(深川麻衣)、近所で事務所を構えていた弁護士の吉山まどか(吉田羊)、離婚してバツイチとなったカフェ店長・田中有希江(稲盛いずみ)らと知り合う。そんななか、英治が桑野のプロフィールを婚活アプリに勝手に登録。

削除しようとする桑野だが、たくさんの女性からのメッセージを読んでその気になり、いざデートしようとするもハプニングに遭遇する。相手は桑野の他に並行して会っていた他の男性にプロポーズされ、デートをすっぽかしたのだった。はたして、桑野は新しい出会いを掴めるのか? それとも周りの女性たちとの関係を育めるのか?

もしも結婚したい時はバリアを張っていないか振り返る!

まだ結婚できない男
©関西テレビ/MMJ

2006年に放送された前シリーズ『結婚できない男』が評判で、その13年後に“まだ”結婚できない主人公を描いた本作。2006年は結婚することが当たり前とされる時代で、女性はもちろん、男性は“所帯を持ってこそ一人前”と考える人たちが多かった。

続編となる本作でも、心の奥では結婚したいと思いながらも恋愛は不得手ながら、悲壮感を漂わせることなく、クセのある桑野が繰り広げるさまざまなエピソードはコミカルでストーリーのテンポもいい。

桑野は、趣味のクラシックを堪能するために、部屋にあるAIスピーカーに「Mr.SPOCK(ミスタースポック)」と命名し、嬉々としてクラシック音楽を大音量でかけ、曲に合わせてタクトを振る姿も。そんな独りでニヤけながら音楽に浸る姿は、不気味どころか、こちらまで楽しくなってくるような突き抜けた開放感でいっぱいだ。バリバリ仕事をして成果を出し、自立した生活を送り、独身でいることを謳歌しているようにも見えた。

しかし、独身生活が長い桑野は、きっと他人にはあまり関心がなく、自分のことを愛しているタイプ。“自分の世界”がすでに出来上がっていると、婚活していても、相手の世界に入り込めない見えないバリアがあるような気がして、それ以上前に進もうとは相手に思ってもらいにくいはずだ。桑野は男性だが、これが女性の場合でも同じで、ひとりで十分やっていけそうに見えると、男性側からするとなかなか入り込む余地がなさそうに見えることもあるだろう。

令和の現在は個人の生き方が尊重されるため、そこまで結婚する気がないなら、堂々とシングルライフを満喫したいところだし、どう生きようが個人の自由である。だが、もしも結婚したい気持ちがある時は、確認してみてほしい。知らない間に他人に対してバリアを張っていないか、気に入った相手がいても独りよがりにならずに世界観を共有できるか。そんなちょっとした振り返りが、良いご縁を運んでくることもあるはずだ。

④『偽装不倫』(2019年)

婚活に疲れた独身女性がうっかりついた嘘から始まるラブストーリー。独身で派遣社員の濱鐘子(杏)は、恋愛らしい恋愛をしたこともないまま、32歳になった。両親と姉夫婦が住む二世帯住宅に同居し、恋愛ではいつも「思い込みの激しい重めの女」と思われてしまう。それでも幸せな結婚を夢見て29歳から婚活を頑張ってきたが、合コン・街コン・知人の紹介・お見合いパーティー・相席居酒屋・マッチングアプリ……と、いろいろな婚活に励むがまったく結果が出ないまま時が過ぎていくのだった。

それもそのはず、鐘子が住む東京は、おひとりさまに優しい街。ひとりラーメン・ひとり焼肉・ひとりカラオケと、おひとりさまが楽しめるものがいっぱいあるがゆえに、まだ自立せず気楽に独身生活を楽しむ鐘子。ある日、1年間の派遣契約を終え、唯一の趣味である一人旅行で、“婚活サヨナラパーティー”をするため博多へと向かう。空港で手荷物検査をする際、ワンピースのポケットになぜか5歳年上の姉・吉沢葉子(仲間由紀恵)の結婚指輪が入っていることを発見。

機内では、フリーのカメラマンで海外から帰国し、生まれ故郷の福岡に向かおうとしていた25歳の伴野丈(宮沢氷魚)と出会い、自己紹介の際とっさに“既婚者”だと嘘をついてしまう鐘子。既婚と答えることで、鐘子にとってコンプレックスとなっていた売れ残りの女ではなく、価値のある誰かの女であると見栄を張ってしまったのだ。なりゆきで一緒に博多の街を巡るなか、丈は鐘子に「この旅行の間だけでいいから、僕と不倫しましょう」と言うのだった。

心が動いた相手と距離を縮めるタイミングを逃さない!

「婚活3年頑張ってみたけど、もう辞めたい」という鐘子の心の声から始まる本作。そんな妹を「32歳なんだから婚活に本腰入れなさいよ!」と喝を入れる姉・葉子だが、鐘子はこの3年間で自分がモテない理由を「男に話を合わせられない」「モテファッションがとことん着られない」「ゆえに年より老けて見える(45歳といわれたことがある)」という自己分析を披露するのだった。

筆者は35歳のアラフォーで婚活を始め、活動してから5年目になんとか結婚できたため、正直なところ、鐘子はまだアラサーで未来は明るいはずだがとも思った。しかし、年齢問わずひとつのことを3年続けて結果が出ないと、もう疲弊しすぎて投げ出したくなる鐘子の気持ちは痛いほどわかった。そんなときに、ただ不倫に興味があるだけなのか、遊びたいだけなのか、謎の年下イケメンに「たった7歳しか変わらない」と口説かれて、揺れる鐘子の不器用さが愛おしく感じた。

実際、婚活してすぐにうまくいく人は少ない。ほとんどがトライ&エラーの繰り返しだ。なかには、初めて行った婚活パーティで相手がすぐ見つかってとんとん拍子に結婚した知人もいたが稀なこと。そんなビギナーズラックはそうそうあるものではない。よく“結婚は勢いだ“といわれるが、鐘子のように複雑な心境ながらも、「気になる!」と心が動いた相手と距離を縮めるタイミングが合致するなら、勢いで突っ走るのも必要なことだといえる。相手の真意はどうあれ、まずは“自分はどうしたいのか”と振り返り、時に行動してみるのも悪くない。本作では鐘子をはじめとした登場人物たちから、さまざまな恋愛観や結婚観を垣間見ることができるだろう。

というわけで、今回は「結婚観が変わる国内ドラマ【2010年代編】」を4本紹介させていただきました。ドラマはフィクションではありますが、現実の恋や結婚にも役立つヒントが隠れていることもあります。とはいえ、そんなことを考えなくても、作品を鑑賞するだけで共感できたりキュンキュンできたり。楽しく鑑賞するだけでも、有意義な時間が過ごせるはず。他にもまだまだ良作はあるので、みなさんのお気に入りの作品をぜひ見つけてみてくださいね。

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