心の栄養にもなる目黒蓮“耕一”と市川実日子“沢渡”の幸せな空気感『ザ・ロイヤルファミリー』第9話
妻夫木聡主演、夢を追い続けた熱き人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー『ザ・ロイヤルファミリー』第9話をレビュー

「勝ち」にこだわるのが勝負の世界だ。それまでのプロセスも大事だが、やはり報われるのは勝利を手にしたときのみである。
『ザ・ロイヤルファミリー』最終話。山王耕造(佐藤浩市)から「有馬記念で勝つ」という夢を継承した中条耕一(目黒蓮)と栗須栄治(妻夫木聡)は、ロイヤルファミリーと共にゴールに向かって走るーー。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
2025年、耕一はロイヤルファミリーの引退を決めていた。最後の有馬記念で勝って有終の美を飾る。これまでたくさん苦労はしてきたけれど、勝てばすべてが報われる。そう信じてやってきた。
何とか出場権を手にし、有馬記念の地へ戻ってきたチームロイヤル。あとは勝利を掴むだけだ。だが、そこには椎名善弘(沢村一樹)のレインボーキャンプ、佐木隆二郎(高杉真宙)が乗るビッグホープ、展之(中川大志)のソーパーフェクトが立ちはだかる。
レース前、継承を否定する展之から「ぶっちぎって俺が勝つ。へばりついた古くさい夢。俺が剥ぎ取るよ」と言われた耕一は「剥ぎ取れないよ。夢は。だって父親の夢じゃない。俺の夢だから。継承は押し付けられるものじゃない。選び取るものなんだよ。受け取る人間の数だけ受け継ぐものがある。俺は望んで夢を受け取って、自分のものにしたんだよ」と語る。そして「絶対に勝つ」と宣言した。
有馬記念が開幕した。順調に進み、良い位置につけていたファミリーだったが、出遅れていたビッグホープが怒涛の追い上げを見せ、ファミリーと同着に。写真判定の結果、ビッグホープが1着、ファミリーは惜しくも2着で敗れてしまう。
レース後、馬主の椎名は栗須にこう語る。「私にも約束したことがあるんです。社長(耕造)の馬に有馬をとらせるという約束が」。
そう。ビッグホープは、耕造と共に歩んだ馬・ロイヤルホープの子なのである。椎名が「社長と私が若い力の壁となるのです」と耕造に持ちかけて、最強の馬をつくったのだ。耕造の想いを継承したのは耕一や栗須だけではない。椎名も継承していた、というわけだ。
敗戦を喫した耕一は、引退撤回へと考えが傾く。そんな彼の想いを汲み取った栗須が「耕一さんのため、ファミリーのために精一杯尽力させていただきます」と語ると、耕一は頭を下げ「絶対に僕を裏切らないでください。絶対に」と一言。栗須は笑顔で「承知しました」と返した。
翌年、ファミリーが大躍進する。各主要レースを勝ち抜き、なんと有馬記念も制覇。耕一は、見事に自分の夢も叶えた。優勝決定の瞬間は、恒例となっていた熱い応援をぶつける場面はなく、耕一と栗須が後ろ姿でガッツポーズをし、抱き合うといった心憎い演出が施されていた。長らく2人の喜怒哀楽を見てきたが、後ろ姿でも喜びの感情が伝わってくる。表情が見えないのに、グッとくる不思議なシーンだった。
そしてもうひとつ。肩を組んで天高く拳を突き上げる2人の間に、あの男が立っている気がした。
『ザ・ロイヤルファミリー』は、どこまでいっても山王耕造の物語だ。2025年に有馬記念を制したことで、彼の物語はようやく終わりを告げた。だが、耕造の夢に乗って人生が大きく変わった栗須と耕一の夢はまだ終わっていない。耕造の夢を継承した彼らが夢を叶えないかぎりは、本当の終わりとは言えないのだ。そんな2人が1年越しに「ファミリーで有馬に勝つ」という夢を叶えてガッツポーズをしている。きっと、その中央に耕造は立っていて、2人の肩を抱いて一緒に喜んでいる。讃えている。そうに違いない。
時は流れて2030年、耕一は晴れて馬主に。親子の継承を見届けた栗須は、妻の加奈子(松本若菜)と共に引退した競走馬を預かる養老牧場を開いていた。
夢を叶えたからといって人生は終わらない。これからも続く。そしてまた新たな場所で新たな夢を見つけて走り続ける。人生とはそんなものだ。『ザ・ロイヤルファミリー』これにて終幕。
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