解像度が高すぎる!目黒蓮“耕一”の熱弁がオタクの“それ”だった『ザ・ロイヤルファミリー』第7話
妻夫木聡主演、夢を追い続けた熱き人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー『ザ・ロイヤルファミリー』第7話をレビュー

心に突風が吹いた。胸が熱くなって涙が止まらなかった。ゾクゾクした。このドラマには毎週のように泣かされているが、また違った感情を引き出された一幕だった。
妻夫木聡×目黒蓮…『ザ・ロイヤルファミリー』第8話は、実力派俳優のぜいたくなかけ算から名シーンが生まれた回だった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
山王耕造(佐藤浩市)から、相続馬限定馬主としてロイヤルファミリーを引き継いだ中条耕一(目黒蓮)。栗須栄治(妻夫木聡)に連れられてセリ市の見学へと行くと、見初めた馬を競り落とした若い男がいた。椎名善弘(沢村一樹)の息子・展之(中川大志)だ。彼と親しくなった耕一は、革新的な考えを持つ「若手馬主の会」に招待される。
ロイヤルファミリーは、デビュー戦を勝利で飾ったものの、それ以降は結果が出ていなかった。焦った耕一は、今や人気ジョッキーとなった佐木隆二郎(高杉真宙)と野崎翔平(市原匠悟)の交代や育成プランについて提案するも、チームロイヤルには響かず。結果的にチームは解散の危機に直面する。「有馬記念で勝つ」。皆同じ方向を向いているはずなのに、こんなことになるなんて……。
そんななか、栗須のもとに耕一が酒を飲んで喧嘩騒ぎを起こしたと連絡が入った。警察署まで迎えに行った栗須は耕一を叱責するが、後日、その場にいた翔平から誤解であることを告げられる。相手から一方的に絡まれたのだが、騒ぎが大きくなる前に、耕一が翔平を逃がしたらしい。
栗須はいきつけの定食屋に耕一を呼び出して謝罪。さらに、耕一の秘書のはずなのにこれまで「社長(耕造)ならばどうするのか」と考えるばかりで、耕一のことを見ていなかったと謝った。
一方、耕一は耕造が亡くなる前「迷ったら馬のことだけ、自分が信じたことを優先させろ」との言葉をもらったと告白。ファミリーにはチームが必要なのに、ひとりで抱え込んでいたことを反省しつつ「いつも晩飯はひとりでした。『おいしいね』とか『嬉しいね』とか感じた気持ちを言葉にするのがどうも苦手で」とポツリ。「『有馬記念で勝つ』。この夢はあの人と……父とずっと一緒に戦ってきた皆さんの夢でもある。栗須さん、僕をその夢に混ぜてもらえませんか。皆さんと一緒に叶えたいんです。もう一度、僕と一緒に戦ってもらえませんか。一緒に有馬記念で勝ってください。お願いします」と頭を下げた。
栗須は彼に条件を一つ出す。それは「絶対に私を裏切らないでください」というものだった。これは栗須が耕造に言われた言葉だ。「僕は栗須さんを絶対に裏切らない」と返した後、日替わり定食のエビフライとごはんをハムスターのように口いっぱいに入れて「おいしいです」と笑う耕一。不協和音が流れていた2人が仲を取り戻した瞬間だった。
耕一を演じる目黒の「言葉の吐き出し方」がリアルでグサグサと刺さる。彼の演技を何度も見ているはずなのに、毎回知らない引き出しを開けて、我々に感動を与えてくれる……。とんでもない俳優だ。そして、触れると火傷しそうなほど熱い言葉を聞いている栗須が、みるみる目を潤ませ、涙を流すあの表情がたまらなかった。耕一を受け入れる笑顔がたまらなかった。ドラマ史に残る名場面だったように思う。
最後に。このシーンには「耕一の人生」が詰まっているように感じるのは私だけだろうか。孤独だったがゆえに「ひとりで戦うこと」が常態化していた耕一。その名もない苦しみ、目に見えない辛さを栗須に語ることで、浄化されたような感覚がある。
「おいしいです」の一言が笑顔で言えたということは、彼に「おいしいと言える人」が見つかったということだ。もう耕一はひとりではない。栗須がいる。仲間がいる。そんなことを想って涙が溢れる。
あらゆる作品で名優と対峙し、名シーンを生み出す目黒。本作でも、妻夫木や中川らとゴールデンコンビを組み、忘れられないやりとりを見せてくれた。『ザ・ロイヤルファミリー』も終盤戦。最後の最後まで名優の演技と人間ドラマを楽しみたい。
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