初めて柳和学園の校門をくぐったときからわかっていた。こうなる可能性はあった。リスクを背負ってでも花村薫（波瑠）はマミーでいようとしたし、日高茉海恵（川栄李奈）もいろは（池村碧彩）も彼女の側にいようとした。

家族とは違う。3人しかない愛のカタチ。『フェイクマミー』最終話を振り返る。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

すべての罪をかぶってRAINBOWLABもいろはも守った薫。任意の事情聴取で、薫が“茉海恵を脅迫していた”と供述したことで、RAINBOWLABへの風向きが変わり、いろはの復学も決まった。だが、薫を守りたい茉海恵は、生配信ですべての事実を告白。世間を驚かせた。

このままではいろはが退学になってしまう。日高家を訪ね、被害届を出すよう促す薫だったが、茉海恵にはそのつもりがなかった。「私はどうなったっていいんです。捕まったって迷惑がかかる人はもういません」と言う薫に対し、「いるよ！ここに。さみしすぎて大迷惑だよ」と返した。

「自分が犠牲になっても誰かを守りたいなんて、少し前の私なら考えることすらありませんでした。茉海恵さんと出会って、いろはさんのニセの母親をして、自分より大切だと思えるものが初めてできたんです。本気でそう思ったんです。私はどうなったっていい。いろはさんを守れるなら……」

そんな薫の言葉に茉海恵はたまらず抱きしめる。「かお姐がいなくなって、心にぽっかり穴が空いたみたいだった。お願いだから、いろはを一緒に守ってよ」。そう茉海恵が願うと、いろはが部屋を飛び出してきた。

「マミー！さみしかった……」

いろはの想いを受け止めた薫は「私もです」と本音を吐露。覚悟も揺らぐほどの大きな愛を受け、ついに彼女の心の壁も崩れた、というわけだ。

そうだった。私たちはこの3人の愛の物語をずっと見届けてきた。彼女たちの絆に、時には笑顔になり、時には涙を流し、時には胸を打たれてきた。一度は壊れかけたかと思ったが、こんなことで3人の関係は崩れない。だって、特別な間柄なのだから。

その後、本橋慎吾（笠松将）の発案で柳和学園にて臨時説明会が開催された。慎吾は登壇した薫たちを糾弾するが、いろはをはじめとした子どもたちの訴え、薫の想いなどが打ち明けられたことで、退学処分取り消しとなった。

怒りに震えながら会社に戻った慎吾だったが、RAINBOWLABを買収するにあたり、不正を行っていたことが詳らかに。社長の座を降ろされることになった。地位も名誉も失い、地獄の道へと歩むしかない彼を優しく抱きしめたのは、妻の本橋さゆり（田中みな実）だった。

それから幾日か経った。ずっと悪の集合体のような顔をしていた慎吾だったが、息子の圭吾（高嶋龍之介）と触れ合う時間も増え、次第に変化が。「将来はサッカー選手になりたい」と圭吾の本音を聞いた際には「パパ応援するよ」と優しく微笑んだ。本作では一度も見たことのなかった父親の顔をしていた。

一方、薫は会社を立ち上げ、黒木竜馬（Snow Man・向井康二）とも交際をスタート。もちろん、いろはのマミーとしての生活も続けている。

最後は、第1話の冒頭と同じ、柳和学園でのシーンだった。だが、あのときとは違う。いろはと茉海恵と3人で登校している。当時は厳しい表情をしていた薫だったが、朗らかな表情で、なんだか楽しそうだ。

玄関前でいろはが「ママ、マミー、行ってきます！」とあいさつし、校内に入っていった。数歩歩いて、もう一度いろはが振り返り、手を振る。彼女の瞳には、笑顔のママとマミーが映っていたーー。

なんて素敵な終幕なのだろう。この物語を見届けていた視聴者も、慈愛に満ちたこの2人の笑顔とまったく同じ表情をしていたに違いない。「幸せ」の後味が残るハッピーエンドの『フェイクマミー』。最高のドラマだった。

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フェイクマミー

最終話 ２人のママは娘を守れるか!?心で繋がる家族の運命

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フェイクマミー

2025年

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