『40までにしたい10のこと』はなぜ人気?── 庄司浩平×風間俊介、抜群のケミが話題
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『40までにしたい10のこと』はなぜ人気?── 庄司浩平×風間俊介、抜群のケミが話題

2025.08.21 17:00

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このところ、土曜の朝は多くの人が寝不足だ。原因は金曜深夜に放送されているドラマ『40までにしたい10のこと』(テレ東系)である。

言わずと知れた実力派俳優の風間俊介が主演、その相手役をブレイク真っ只中の若手俳優・庄司浩平が務める本作は、この夏一番のリアタイしたいドラマだ。

7月4日に放送開始されて以来、SNSを中心に話題を呼び、8月21日時点でTVer のお気に入り数は52万人、UNEXTの総合ランキングでは7位を記録。「まだ観てないけど、気になっている」という人は多いのではないだろうか。そこで、本稿では、人気の理由と今からでも楽しめる本作の魅力を解説する。

風間俊介と庄司浩平の“差”から生まれるケミストリーに夢中

『40までにしたい10のこと』第3話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

本作は累計発行部数75万部を超え、BLアワード2024総合コミック部門で1位を獲得した人気BL漫画(著・マミタ)を原作とするオフィスラブストーリーだ。

主人公は、10年以上恋人がおらず、会社と家を往復するだけの毎日を送る39歳の会社員・十条雀(風間俊介)。誕生日が迫る中、焦って作成した「40までにしたいことリスト」を10歳年下のイケメン部下・田中慶司(庄司浩平)に見られてしまうところから物語は始まる。慶司は雀に「このリスト、俺とやりません?」と提案。2人は「タコパ」「デパ地下のケーキ全制覇」「オーダーメイドのやばい枕作る」といったリストを一緒に叶えながら、少しずつ距離を縮めていくのだ。

まず多くの人を夢中にさせているのは、風間と庄司の様々な違いが生み出すケミストリーだろう。筆者は当初、若手俳優の登竜門と呼ばれるBLドラマに芸歴28年のベテランである風間が出演することに驚いた。だが、10代からキャリアを積み重ね、狂気と優しさを自由自在に操って多彩な役柄を演じ分ける風間の力が作品に安定感をもたらしている。

雀は「40歳目前の枯れた上司」という設定。たしかに社会の荒波に揉まれたアラフォー男性ならではの哀愁は漂っているが、その上で違和感のない可愛さを付与させる風間はやっぱり凄いとしか言いようがない。特に雀が愛用するクマの着ぐるみパジャマがこれほどまでに似合う40代男性はなかなかいないのではないだろうか。

リアリティを保ちつつも、ついからかいたくなるようなラブコメ演技も魅力。同時期、風間は大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で腹に一物ありそうな演じていた男を妙演していただけに、そのギャップに驚いた人も多いのではないか。それでいてポンコツキャラではないのがミソ。雀は柔和でかつ機転が利く頼れる上司であり、風間の持つベテラン感がそこに説得力をもたらしている。

慶司を演じる庄司は『魔進戦隊キラメイジャー』(テレビ朝日系)でデビューを果たし、手塚治虫原作による『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』(テレビ朝日系)の斎藤一役でも注目を浴びた若手俳優だ。

慶司役はオーディションにて、150人以上の中から満場一致で選ばれたそうだが、それも納得。なにせ庄司は190cm近い高身長と端正なルックスの持ち主であり、加えて語学が堪能で、様々な資格を有する秀才ときた。イケメンで仕事ができ、女性からモテる慶司役にこれ以上ぴったりな人はいない。

『40までにしたい10のこと』第3話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

風間とは年齢も芸歴もかなり差はあるが、独特の落ち着きがあるためか、並んでいても違和感がないのだ。一方で若手俳優ならではのフレッシュさもあって、そのバランスが抜群。特に雀と2人きりの時に見せる生意気な年下感が愛くるしい。だけど、決してからかって遊んでいるわけではなく、リスペクトも愛もちゃんと持っていることを眼差しで伝える庄司の演技が印象的だ。

『40までにしたい10のこと』第1話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

風間と庄司の身長差も最大の萌えポイント。リストを書いたスマホを慶司から取り返そうとぴょんぴょん跳ねる雀の可愛さ、慶司が雀を抱きしめた時のすっぽり収まる感じに思わず悶えた。2人に色んな差があるからこその良さが本作にはたくさん詰まっている。

「好きなものは好きでいい」愛が人を変えていく物語

『40までにしたい10のこと』第5話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

また雀が大事にしているスズメのぬいぐるみ・すず子の声を担当するのは、『美少女戦士セーラームーン』月野うさぎや、『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト役で知られる三石琴乃。雀のお姉さんのように優しく寄り添う声と語りが、このドラマにより一層の温かみを与えている。

慶司が雀の家を訪れた時も一番近くにいるすず子は、オタクなら一度は抱いたことがあるであろう「部屋の観葉植物になって推しカプを見守りたい」という願望が投影されたかのような存在ではないか。羨ましい……!

さて、クマの着ぐるみ、スズメのぬいぐるみというワードでもうお分かりだろう。雀はファンシーなものに囲まれて生活しており、かつスイーツが大好き。でも、それを隠そうとしたり、リストの一つ「カフェですごいカスタマイズをする」も今まで挑戦できなかったのは、雀の中に「こんなおじさんが……」という引け目があるから。

そんな雀が「好きなものは好きでいいじゃないですか」と言い切る慶司に引っ張られる形で諦めてきたことに次々と挑戦していく。最初は半ば強引だったけれど、そのおかげで一歩踏み出した先に以前とは違う景色に出会えた。そのうち、雀は慶司に釣り合うような自分になるために、「休日のお父さん」みたいと言われた私服をアップデートしたり、ダイエットや無頓着だった美容に挑戦したりと前向きな姿勢を見せるようになる。

『40までにしたい10のこと』第4話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

同じくテレ東の大ヒットBLドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称、チェりまほ)でも、30歳まで童貞だったことで触れた人の心が読める魔法が使えるようになった冴えないサラリーマンの安達(赤楚衛二)が、社内一のイケメンで仕事もできる黒沢(町田啓太)から一途な恋心を寄せられていることに気づき、少しずつ自信をつけていく姿が描かれていた。愛が人を変えていく物語はいつだって私たちの心を捉えて離さない。

また、本作は雀と慶司のセクシャリティをぼやかさず、明確にしているところにも言及したい。慶司は、胸元が緩い服を着た女性をチラリとも見なかったことから雀がゲイであることを見抜き、「僕もゲイなんです」と告白する。ドラマでは、雀が後輩に恋活を勧められ、ゲイ専用のマッチングアプリをダウンロードするシーンも追加されていた。そういう風に彼らのセクシャリティを、同性愛者を透明化するのではなく、私たちの世界にいて当たり前の存在として描いていることに安心感を覚える。

その上で、慶司が「今までノンケ(※異性愛者)しか好きになったことがなかった。いいなと思う人はみんな女性が好きで、いつも始まる前に終わってる」と苦悩を語る場面も。それを聞いた時、「好きなものは好きでいいじゃないですか」と言える慶司の強さや輝きは、若さゆえの無敵感からくるものではなく、ダイヤモンドの原石のようにたくさん傷ついて磨かれてきたものなのだと思った。

『40までにしたい10のこと』第7話
(C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

そしてようやくゲイである雀を好きになり、本当はもっと先に進みたいけど、焦って関係性を壊したくないから気持ちにブレーキをかけている部分も見え隠れする。飄々としていて余裕そうに見えるけれど、実は臆病なのだ。そういう登場人物の心の揺れ動きを繊細に表現する脚本・演技・演出が、このドラマを上質なものにしている。

今はお互いがリストを通じて勇気を蓄えている時。全てのリストを達成した時には、2人が「好き」と躊躇いなく言えることを願っている。


ドラマ24『40までにしたい10のこと』

毎週金曜深夜 24時12分〜24時42分 放送

全話視聴はこちらから

第1話~3話のダイジェストはこちら

第4話~第7話のダイジェストはこちら

風間俊介さんのその他の出演作はこちら

庄司浩平さんのその他の出演作はこちら


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